「理想の環境は、待っていても訪れない」元地方公務員エンジニアがAI教育ベンチャーのCTOになるまで【キカガク祖父江誠人】
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AIをはじめとする最先端技術の学習プラットフォーム『キカガク』を提供する株式会社キカガクCTOの祖父江誠人さん。
新卒では、地元高知で公務員として働く道を選んだ彼はその後、一念発起して東京に転居。プログラミングを学び、4年前にエンジニアとしてのキャリアを歩みだした。
なぜ彼はエンジニア歴わずか数年で、現在CTOとして活躍することが出来ているのか。祖父江さんのキャリアを振り返ると、エンジニアとして「没頭できる仕事」に出会い、成長を加速させるためのヒントが見えてきた。
「老後が想像できるのはつまらない」安定を捨て、背水の陣で上京
――祖父江さんはもともと、地元である高知県で公務員をなさっていたそうですね。
はい。僕は高知県で生まれ、地元大学の理学部で数学を専攻していました。一時は高校の数学教員になろうと試みたものの、最後の教育実習を面倒くさく感じ、免許取得を諦めるほど気ままな生活を送っていました(笑)
卒業が迫っても就職活動すらせず、親から勧められて受けた公務員試験に運よく合格。ひとまず「安定」を手に入れ、公務員として働き始めました。
ところが、いざ入庁してみると代わり映えのしない生活に物足りなくなってきて……。「こういう老後を迎えるんだろうな」という将来像がありありと目に浮かんだんです。
もっと変化のある毎日を過ごしたくて、キャリアチェンジを意識するようになりました。
――そこからなぜ、エンジニアを志したのでしょうか?
当時の僕には何一つスキルがなかったので、勢い任せに退職しても、明るい未来を描けそうになかったんです。数学は大学で専攻していたので少し得意でしたし、情報系の領域ともスキルの親和性が高いのではないかと思ってプログラミングを学び始めました。
ぼんやりとIT業界の「好きな時間に、好きな場所で、好きな人と働ける」イメージに憧れていたのも大きかったですね。
プログラミングを学ぶと決めてからは、勉強の日々が始まりました。無料の学習サイトを頼り、就業時間の合間を縫ってモニターに向かう日々。
もちろん土日も学習にあて、プログラミングスキルの中でも汎用性が高いとされるRuby on Railsを中心に学んでいきました。
こうして半年ほどたった頃に、東京に移ることを決意。毎月決まったお給料が振り込まれる環境では、どこかで甘えが出てしまうことに危機感を持ったので、とにかく上京してしまえ!と思ったんですよね。
――思い切りがすごいですね!
実際には、転居して半年間はただ貯金がすり減っていくだけの毎日が続き、恐怖でしかありませんでしたけどね(笑)
上京してからも引き続きプログラミングの勉強をして、寝食以外はPCに向かう日々。その時に、色々と調べ直してこれまでの数学の知識を生かして、Pythonを使った機械学習を学ぼうと考えるようになりました。
そこで有料動画講座サイト『Udemy』にアクセスし、機械学習の動画教材を探していた時に、キカガクの「脱ブラックボックスコース」に出会ったのです。
これはキカガクでも一番人気の動画で、完全無料でディープラーニングの基礎スキルを一気通貫で学べるコース。難しい内容を、ここまで分かりやすく伝えることができるのかと感銘を受けました。
そして動画の最後にあった「スタッフ募集中」の文言を見て、「これはもう、飛び込むしかないな」と直観的に応募したんです。
もともと教育には興味があったし、Webベンチャーに入るのも面白そう。ちょうどAIの勉強も始めたところでもある。キカガクと自分の思考がピタリとハマる感覚があったんですよね。
そこからは面接に進みましたが、「まずは機械学習の講師をやってみよう」と話が進みました。
――地方公務員から、いきなり東京のスタートアップへの転身。カルチャーも何もかもが違いそうです。
全く違いましたね。当時のオフィスは小さなマンションの一室で、「これがスタートアップか!」と興奮したのを覚えています。
入社後は機械学習講師として「ディープラーニングハンズオンセミナー」などを担当し、東京を中心に全国のお客さまのもとを転々としながら、機械学習を学び続けていきました。それが2018年頃の話です。
翌年からは機械学習エンジニアとしても働き、主に画像領域を中心としたAI導入コンサルタントなどを担当するなど、仕事の幅を広げていきました。
訪れた「CTO」の大チャンス
――もともとはキカガクの講師やAI導入コンサルタントをされていた祖父江さんが、CTOになったきっかけは何だったのでしょうか。
これまで対面講義スタイルで積み上げてきたコンテンツを、2020年から自社プロダクト化することが決まったんです。ちょうどコロナ禍のタイミングでもありました。
自社のWebサービスをスムーズに開発するためには、社内の組織体制を強化する必要があります。
そこで代表の吉﨑から、ちょうどその頃ソフトウエアエンジニアとしての仕事も担っていた僕にCTOへの指名があったという経緯です。当時ソフトウエアエンジニアは吉崎を含めて3名という小さなチームでした。
当社はもともと代表の吉﨑が超優秀なエンジニアで、技術的な意思決定などは全て代表が行っていました。しかし彼は、「自分が唯一のトップのままでは、組織として成長していかない」と考えたようです。
今すぐにはスキルが追いついていなくても、他のメンバーに役割を持たせた方が長期的な成長につながる。そんな「教育」的な意味もあり、僕がCTOを任されることになりました。
――とはいえ祖父江さんは、それまでプロダクト開発の経験もなかったのでは?
その通りです。僕はバックエンドと機械学習の知識の知見がわずかにあるだけで明らかにスキル不足だったと思うのですが、「1年もすれば求めるレベルに達してくれるだろう」と期待してくれたそうです。
CTO就任から2年経ち、いまだに期待されているレベルに達せているかは不明ですが、とにかく目の前の課題を解決することに向き合ってきました。
――その姿勢があったからこそ、重要な役割が巡ってきたわけですね。
大きなチャンスを与えられたことがとてもうれしくて、これまでキカガクが対面講義で培った教育の経験値やノウハウを、インターネット上でより多くの方に提供できる仕組みを作りたいと意気込んでいました。
リリースまでの3カ月は、吉﨑と現副社長の西沢と朝から晩までZoomをつなぎ、「ああでもない、こうでもない」と議論しながら開発を進めていきました。
本来の自分の実力よりも少し目線を上げて、まさに0→1のプロダクト開発に取り組めたので、自然と経験値も身に付きました。さらに吉﨑からの期待も感じていたので、心地良いプレッシャーを感じながら開発に取り組めましたね。
「理想の環境」を待つな。自ら動き、つくり出す
――2020年にCTOとしてプロダクト開発をリードするようになってから、組織はどのように変わりましたか?
2021年末には、開発チームは僕を含めて4名体制に。2022年4月には業務委託を含めて9名体制になるなど、組織として急速に成長しています。
現在は僕が直接プロダクトコードを書くことは減りましたが、チームを横断した認証含めたインフラの整備やCI/CDなどの開発環境整備を、テックリードと協力しながら推進しています。
組織の在り方、開発基盤などさまざまなことが急速に進展し、開発組織としてとても面白いフェーズにありますね。
――これまでのキャリアを振り返って、祖父江さんご自身が仕事に夢中になれて、4年間で急成長できた理由は何だと思いますか。
僕自身は戦略的にキャリアを積み上げてきたわけではありませんが、今振り返れば「意思決定」の数は多かったと思います。働く上で、自分で何かを決める機会に多く恵まれましたね。これは自分の人生で大きな財産です。
講師やコンサルタントとして、どうすればお客さまに最大限の効果を還元できるか。自社プロダクトを開発する上で、組織をつくっていく中で、どんなアクションが適切なのか。
そういった一つ一つの意思決定の経験から得た学びは、CTOとしてのマネジメントにも生かされています。
ビジネスサイドから降りてくる要件をただ実装するだけの、社内受託のようなエンジニアにはなってほしくないですし、自分が作るプロダクトがどうすれば多くの人に使ってもらえるかを常に考えてほしい。
そう考えているので、メンバーにも伝えるようにしていますし、採用でも技術だけではなく、性格や姿勢を重視していて自ら考えアクションまで繋げられる自律的な姿勢やご経験がある方かどうかを重視して面談していますね。
また、キカガクのカルチャーは「Done is better than perfect.」なので、失敗を許容してとりあえず手を動かしましょうと伝えています。僕自身もそのように育ててもらったので、今後も大事にしていきたいカルチャーですね。
――仕事が「自分ごと」になると、それだけのめり込んで働けるようになりますよね。
ええ、その通りだと思います。責任が重くなり、たまに重圧で潰れそうになりますが、その分仕事にのめり込むこともできるのだと思います。
自分の理想にピッタリなプロダクトや企業と出会える確率って、決して高くはないはずです。
それなら「この会社のミッションや方向性には共感できるな」という企業を探して、まずはそこで全力で仕事に取り組む。そうして目の前のプロダクトに夢中になって打ち込んでいるうちに、結果的にそれが運命のプロダクトになり、理想のキャリアを実現する足がかりになると思います。
キカガクは今、会社としてとても面白いフェーズにあって、もともとあるC向けeラーニングサービスをグロースするフェーズでもあるし、また一方でto Bの新規プロダクトを0→1で開発しているチームも存在します。
まだまだ小さなチームですがB、C向けのプロダクト両方で乗り越えなければいけない課題も多くあるので、優秀なエンジニアの方がスキルを発揮できる環境です。
もしキカガクに興味を持ってもらえるなら、そんな環境で一緒にプロダクトを成長させていきたいですね。
取材・文/夏野かおる 撮影/赤松洋太
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