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日本企業のDX遅れ「SI出身者に熱視線」のワケとは? 日本IBMが解説「レガシーに精通したエンジニア」の本当の価値

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日本でもDX推進の必要性が叫ばれて久しいが、諸外国に比べるとまだまだ遅れている。その背景の一つには、「DXを推進する力があるにも関わらず、活躍のチャンスに恵まれないエンジニア人材」の存在が挙げられると語るのは、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)の渡海浩一さんと寺澤真紀さんだ。

グローバルの事例を含め、最先端のDX事情を知り尽くしたIBMのプロフェッショナル二人から見た、日本特有のDXにおける課題とは何なのか。逆に「活躍のチャンスに恵まれるエンジニア」とはどういう人物像なのか。二人に詳しく話を聞いた。

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IBMコンサルティング事業本部
ハイブリッドクラウド・サービス
ハイブリッドクラウド・トランスフォーメーション 
パートナー
渡海浩一さん

様々な業界・業種のクライアントに対し、クラウドへのマイグレーションおよびモダナイゼーションのコンサルティング支援やプロジェクトの実行をリード。モダナイゼーションをテーマとした講演やWeb記事の執筆も多数手掛ける

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IBMコンサルティング事業本部
ハイブリッドクラウド・サービス 
ストラテジック・パートナーシップ
パートナー
寺澤真紀さん

国内大手SIerでSEとして製造業・テレコム・官公庁分野を経験したのち、2020年10月に日本アイ・ビー・エム入社。現在はMicrosoftやGoogleなどのクラウドベンダーとの協業推進を担う

レガシーなシステムが日本のDXを阻害している

――IBMは世界各国でDXを推進しています。その中で日本の現状をどのように捉えていますか。

tamaki

渡海:日本のDXは諸外国に比べてかなり遅れているのが現状です。2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」では、DXの遅れによって2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性について警鐘を鳴らしました。

この「2025年の崖」は大きな注目を集めましたが、さらに経済産業省は2020年に新たな「DXレポート」を公表し、その中で日本企業は海外企業に比べてDXの成熟度が低いことを指摘しています。

このレポートによれば、日本企業の大半は6段階評価でレベル1や2に甘んじています。これは全社戦略が明確でない中で部門単位での試行・実施にとどまっている、あるいは全社戦略はあっても一部の部門でしか推進していない状況です。

一方、海外企業の多くはレベル3や4に達しており、先進的なテクノロジーを活用してDXを推進しています。

tamaki

――なぜ日本はこれほどDXが遅れているのでしょうか。

渡海:諸外国に比べてレガシーなシステムを利用し続けている企業が多いことが原因です。では、なぜそのような旧来のシステムが残っているのか。理由は三つあります。

一つめは、日本企業ではカスタム開発が主流だったこと。諸外国では標準化されたパッケージを採用し、必要に応じてカスタマイズしながら使うのが一般的ですが、日本ではそれぞれの企業に合わせて個別のアプリケーションを提供してきました。よってそもそも構造が複雑な上、メンテナンスを繰り返すうちに企業ごとにブラックボックス化しているのです。

二つめは、ベンダーへの依存度が高いこと。海外のように内製化されておらず、開発も運用もすべてベンダー任せだったため、社内にスキルやノウハウが蓄積されていません。

三つめは、トラディショナルなITを理解する世代が高齢化してリタイアしてしまったこと。既存のシステム環境を正確に把握できる人が少なくなったことから、新しい環境へ移行しづらくなってしまったのです。

――海外に比べてDXが遅れている現状を、日本企業はどのように受け止めているのでしょうか。

渡海:企業側の意識は大きく変わりつつあるというのが実感です。きっかけの一つが先ほど紹介した経済産業省の「DXレポート」で、企業の競争力強化にはDXの迅速な推進が必要であると政府が明確に示したことにより、日本企業でも本腰を入れてこの課題に取り組む動きが活発化しました。

加えてコロナ禍も企業の意識を変える契機になりました。経済や社会情勢の不確実性が増大したことにより、多くの企業がDXへの投資を一時的に抑制するというマイナスの側面もありましたが、一方でデジタル化が進んだ企業はコロナ禍でも成長し続けました。

それを見てDXの必要性を再認識した経営者は多く、感染状況が落ち着きを見せ始めてからは、ITへの投資意欲がかなりの高まりを見せています。

terasawa

寺澤:DXは私たちの生活に身近なところでも進み始めています。私は今、社会インフラに関する案件を担当していて、先日は現場へ足を運びました。現場から生まれる情報がデータ化されていないために非効率な業務が発生したり、熟練の職人が持つノウハウが共有されなかったりといった課題があるとお客さまから伺い、現状を視察に行ったのです。

そこでは作業内容に関する情報を黒板に書いて記録し、夜になると黒板の記録を整理するという作業が行われており、事前に聞いていた課題を目の当たりにした思いでした。

そこで私たちは、現場のデータをデジタル化してプラットフォームに蓄積し、社会インフラを継続的かつ安定的に運用するためのDXをお客さまと共に推進しようとしています。一見すると工事現場とDXなんて何の関係もないように思えますが、実は社会のあらゆるところでデジタル化の必要に迫られているのです。

最先端とレガシーの両方を理解しなければ、DXは推進できない

――日本社会にとってDXは待ったなしの課題であることが分かりました。ではどうすればこの課題を解決できるのでしょう?

渡海:レガシーなシステムが残る中でお客さまのデジタル変革を実現するには、クラウドを中心とした最新テクノロジーの活用が必須です。

しかも、ただクラウドへ移行すれば良いという単純な話ではなく、既存システムも活用しながら、クラウドとオンプレミスを融合したハイブリッドクラウド戦略による変革を推進する必要があります。

既存システムにはこれまで蓄積されたデータやノウハウなど貴重な資産が凝縮されているため、それらをすべて捨ててゼロから作り直すのは現実的ではありません。

そこでIBMでは、ハイブリッドクラウドサービス(HCS)の専門組織がクラウドへのマイグレーションやモダナイゼーションによるソリューションを提供し、お客さまの変革を支援しています。

既存のアプリケーション構造は変更せず、クラウド環境へ移設するのがマイグレーション(LIFT)で、既存のアプリケーション構造を変革し、クラウド技術を取り入れて最適化するのがモダナイゼーション(SHIFT)です。

terasawa

出典:「DX実現の肝となるモダナイゼーションに待った無し!」渡海浩一

これらの取り組みによってシステムの柔軟性や俊敏性を高めることで、お客さまはビジネス環境や顧客ニーズの変化に対応しながら変革を加速させていくことができます。

――ハイブリッドクラウド戦略を実現するには何が必要となるのですか。

渡海:最新のクラウド技術に関するスキルはもちろん、基幹システムを含めたトラディショナルなITの知見も求められます。

新規ビジネスとしてクラウドサービスをつくり出すのであれば比較的容易です。何の制約もなく、一から自由に構築できるため、スタートアップを含めて多くのIT企業がこうしたサービスを手掛けています。

しかし既存システムで動いているビジネスや業務を変革するとなると、そう簡単にはいきません。システム上のさまざまな制約があるのに加え、その会社の組織や文化まで変えなければ、本当の意味での変革は実現しないからです。

そのためには最新技術だけでなく、レガシーなシステムを含めて過去から蓄積されたIT資産を深く理解し、かつお客さまのビジネスにとって何が課題で、解決に向けて何を変えるべきなのかという戦略を描ける企業でなければ、ハイブリッドクラウドによるDX支援は実行できません。

terasawa

――なぜIBMはそれができるのですか。

渡海:当社は基幹システムの構築・運用について、長年に渡る実績があります。同時に基幹システムを扱うことができるアーキテクトやプロジェクトマネジャーなどの人材も豊富に揃っているので、日本特有のレガシーシステムからの移行に知見を持つというわけです。

またIBMはグローバルでビジネスを展開しているので、諸外国の先進事例も数多く共有されており、その方法論を活用しながらハイブリッドなサービスを提供できることも大きな強み。

最新技術と既存システムの両方を理解しているからこそ、DXの実現に向けたクラウドジャーニーをEnd to Endで描けるのです。

マイグレーションやモダナイゼーションを実行する際も、超上流のビジネス戦略やIT戦略の策定から始まり、アーキテクチャの策定やロードマップの作成を経て、実行・運用まで一気通貫で対応しています。

terasawa

寺澤:HCSには、戦略立案を手掛けるチームやアプリケーション領域に強いチーム、AIを活用しながら高度な運用改善を行うチームなど、高い専門性を備えたチームが揃っていて、しかもシームレスに連携しています。

あるお客さまから全社的なクラウド導入についてルールの見直しをしたいとご相談を受けた時も、各チームがすぐに集結し、実行や運用フェーズまで想定した戦略を提案して高い評価をいただきました。

各チームが連携して総合力を発揮できるのも、IBMの大きな強みだと感じます。

――IBMならではの総合力を発揮できた具体的な事例を教えていただけますか。

渡海:ある大手企業の事例ですが、そのお客さまは当初、基幹システムのハードウェア更改を検討されていました。しかしレガシーなシステムをただ更改しても、ビジネスで価値を生み出すことはできません。

同時に、お客さまは社内でDX推進を経営戦略に掲げており、変化への対応力を高めて新規ビジネスの迅速な立ち上げを可能にしたいというニーズもありました。

そこで私たちは、モダナイゼーションによるIT構造改革を提案。クラウド技術を活用したプラットフォームを構築すれば、従来なら新規サービスをリリースするのに数カ月の時間がかかっていたところを、数日や数週間の短いスパンで展開することができます。

terasawa

さらに、パートナー企業と協業してエコシステムを構築するためのプラットフォーム化や、お客さまの社内でクラウド人材を増やすための育成支援も可能であることを合わせてお伝えしました。

この提案が評価されてプロジェクトが立ち上がり、現在デリバリーを行なっています。日本IBMでは「テクノロジーを活用した共創パートナーモデル」を目指していますが、これはまさにお客さまと共に価値を創るプロジェクトだと確信しています。

SI出身者も多く活躍。学びと実践の繰り返しで成長を加速できる

――日本のDX案件のニーズが高いにも関わらず、「活躍のチャンスに恵まれていないエンジニアも多い」とのことですが、これはどういうことでしょうか。

渡海:先述した通り、日本のDX案件の現場ではレガシーシステムの知見が欠かせません。そこで注目されているのが、既存の基幹システムの知識や経験を豊富に持つ、SI企業出身の技術者の方々です。

しかしそれらの方々の中には、DX案件に適したスキルを持っていて活躍できるにも関わらず、現職のSI案件ではスキルを生かす場がないという人も少なくありません。

実際にIBMで現在活躍してくれているエンジニアも、基幹システムの構築に長く携わってきたが、これからはクラウドなど新しい技術を活用したDX案件にチャレンジしてみたいという人が多いんですよ。HCSで活躍しているエンジニアやPM層にも、大手SI出身者が多いです。

――寺澤さんも大手SIのご出身ですよね。なぜIBMへ転職されたのですか。

寺澤:実は前職時代に、あるお客さまへの提案でIBMと競合したことがあります。結果から申し上げると、私たちがIBMに負けました。

terasawa

何が敗因だったのかと考えると、スマートファクトリーに関する大規模でチャレンジングな案件だったので、私たちは「PoC(概念実証)で検証しながら実現可能なものからやりましょう」と提案した。

一方、IBMは「お客さまが実現を目指す経営戦略に向けて、自分たちはとことんやり抜きます」と提案したそうです。おそらく「絶対に最後までやり切る」という姿勢を示したことが決め手になったのだと思います。

とはいえその時点では、「こんなに難易度の高い仕事を本当にやり抜くことができるのか」と半信半疑でした。ところが一年半ほど経った頃、お客さまから「あのプロジェクトが完了したから、現場を見に来ないか」と声を掛けていただいたのです。

そこで工場へ見学に行くと、IBMが提案したモデルラインが見事に完成していた。それを見て「本当にやり抜いたんだ」と驚き、すごい会社だなと感心しました。

それからしばらくしてIBMから転職の機会をいただけたので、これも何かの縁と思い、入社を決めました。

――IBMに入社してみて、どういったところにSIとの違いを感じますか?

寺澤:IBMでは技術者のキャリアパスが整備されていることですね。一般的にSIでは、一定の年次になるとマネジメントや部下の育成を任されて実プロジェクトに接する時間が少なくなりますが、IBMでは本人が希望すれば、アーキテクトのままポジションアップすることが可能です。

渡海:マネジャーにならなくてもステップアップできるのは、SI企業との大きな違いかもしれませんね。

IBMでは職種ごとにキャリアパスが分かれていて、アーキテクトやプロジェクトマネジャー、コンサルタントやデザイナーなどそれぞれの職種でレベルが設定され、アーキテクトのままエグゼクティブまでステップアップすることも可能です。

生涯かけて最高峰の技術を磨いていけるキャリアパスが整っている会社は、確かに日本では少ないかもしれません。

さらに途中で自分の志向や興味の対象が変われば、職種も変えられます。スキルさえあれば、アーキテクトからプロジェクトマネジャーへ転身したり、プロジェクトマネジャーからセールスなどへキャリアチェンジすることも可能です。

ライフステージに合わせてキャリアを柔軟に変えていく人も多いですよ。

terasawa

――IBMなら多様なキャリアの可能性が拓けているのですね。他にはない成長の機会も得られそうです。

渡海:他にも、社員に学習のための時間とプラットフォームを提供していたり、国内外のコミュニティーに参加できたり、IBMは学びの機会が多い会社です。

学習プラットフォームの活用率は高く、誰が何をどのくらい勉強しているかなどのステイタスまでわかる仕様なので「このテーマは〇〇さんが学んでいたはずだから聞いてみよう」と社員同士が学んだ知見を自主的に交換し合う姿もIBMならではの光景です。

しかも学んだ技術を実践できるプロジェクトも豊富なので、インプットとアウトプットを繰り返しながら速いスピードで自分を成長させていくことが可能です。

寺澤:また、IBMでは、あらゆる会社のクラウド技術を駆使する「ハイブリッド・マルチクラウド戦略」を推進しています。これも、さまざまなクラウド技術を学んでスキルの幅を広げたいと考える技術者にはメリットになりますよね。

IBM Cloudだけでなく、AWSやAzure、Google Cloudなども使いながら、お客さまにとって最適なソリューションを提供できるやりがいを感じられます。

それと私が入社して実感したのは、IBMが非常にフラットな組織だということ。私のように他社から転職したメンバーにも分け隔てなく接してくれるし、研修なども充実しているので、スムーズにチームに馴染むことができました。もちろん男女の区別もなく、HCSの上位管理職は半数近くが女性です。

terasawa

渡海:組織にとって多様性は重要です。他社を経験した人や女性が加わることで、ミーティングでも新たな視点が提供されて議論が活発化し、お客さまにより良い提案ができます。

ご自分の経験やスキルを生かしながら新たな活躍の場を求めている方がいたら、ぜひIBMを候補にいれてくれると嬉しいですね。

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取材・文/塚田有香 撮影/竹井俊晴

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