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ワーケーションはエンジニア向きの働き方? 始め方やメリット・デメリットを紹介

エンジニア辞典

    働き方改革が推進される昨今、多くの企業でリモートワークやフレックスタイムといった制度の導入が進み、徐々に柔軟な働き方が定着してきました。その中でも新たな働き方として「ワーケーション」というものが注目を集めています。

    ワーケーションとは、仕事と休暇を両立できるニューノーマルな働き方。多くのメリットが期待されることから、導入する企業が増えています。

    特にエンジニアの仕事はワーケーションと相性が良いとされており、働き方として選択肢の一つとして広まっていくでしょう。

    今回はワーケーションとはどのような働き方なのか、なぜエンジニアに向いているのか、ワーケーションのメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。ワーケーションの始め方や成功させるためのポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

    ワーケーションとは?

    ワーケーションとは、ワーク(Work=仕事)とバケーション(Vacation=休暇)を組み合わせた造語です。オフィスや自宅ではなく、観光地やリゾート地で休暇を楽しみながらリモートで仕事を行う新しい働き方を指します。

    ワーケーションは2000年代にアメリカで生まれたと言われています。アメリカは年次有給休暇を取得する権利が法律で保護されていないため、有給取得率の低さが問題となっていました。

    ワーケーション

    以前は「たった数時間の重要な会議のために長期休暇が取れない」というケースが多くありましたが、ワーケーションが実現できればその時間だけ旅先からリモートで仕事をすればオフィスに行く必要はない。従業員の有給取得率の向上と長期休暇促進のためワーケーションが広まりました。

    リモートワークが可能な仕事は特にワーケーションを実現しやすく、アメリカやヨーロッパでは新型コロナウイルス感染症が流行する以前からリモートワークが浸透しています。

    ワーケーションが注目される理由

    日本では、2017年頃からJALやJTBなどの民間企業がワーケーションの導入を発表したことで広く知られるようになりました。

    近年特にワーケーションが注目されている要因は、働き方改革の推進と新型コロナウイルス感染症の流行にあるでしょう。年5日の有給休暇取得の義務化やリモートワークが普及したことに伴い新しい働き方が注目を集め、ワーケーションの認知度も高まっています。

    ワーケーションの種類

    ワーケーションは、目的や場所に応じて大きく「休暇型」と「業務型」に分類されます。

    ・休暇型ワーケーション

    休暇を主目的とし、休暇の合間に滞在先から仕事をする働き方。有給休暇を活用し、リゾート地や観光地からリモートで仕事をします。

    ・業務型ワーケーション

    業務を主目的とし、企業が定めた行き先で業務時間の前後や合間に休暇を楽しむ働き方。主体となる企業や自治体の目的に応じて四つのタイプに分類されます。

    (1)地域課題解決型
    ワーケーション先の地域の人との交流を通じ、地域課題の解決策を共に考える。企業では人材育成や地域創生に向けた取り組みとして採用されている。

    (2)合宿型
    オフィスや自宅以外の場所で職場のメンバーと議論を交わす。普段と異なる環境で意見交換することにより、新たなアイデアを生んだり社内のコミュニケーションを活性化したりといった効果が期待される。

    (3)サテライトオフィス型
    企業が設置するサテライトオフィスや一般的なシェアオフィスで仕事をする。オフィス以外の仕事環境を設け、従業員の働き方の選択肢を増やすことや、業務効率を上げることを目的とする。

    (4)ブレジャー
    ビジネス(Business=仕事)とレジャー(Leisure=余暇)を組み合わせた造語。出張先などで滞在期間を延長し、余暇を楽しむことを指す。

    参考:観光庁『「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー

    ワーケーションがエンジニアに向いている理由

    ワーケーション

    ワーケーションはエンジニアと相性の良い働き方と言えます。その理由は、エンジニアが数ある職種の中でも自由な働き方を実現しやすい仕事である部分にあります。

    ワーケーションを実現するには、リモートワークができることが前提となります。リモートワークの普及はIT企業を中心に進んでおり、特にエンジニアにおいては場所を選ばない働き方が当然となってきました。PCとインターネット環境さえあれば、どこでも働くことが可能です。

    企業に雇用されているエンジニアの場合は会社のルールや方針に従う必要がありますが、フルリモートの働き方を推進するIT企業も増えています。オフィスを最小限にして固定費を削減し、従業員に還元する動きも見られるため、リフレッシュを目的とするワーケーションの導入も進むのではないでしょうか。

    働く場所に縛られないことはエンジニアの魅力であり、ワーケーションにも適していると言えるでしょう。

    ワーケーションの始め方は?

    ITエンジニアがワーケーションを開始するまでの一般的なプロセスについて紹介します。

    フリーランスの場合

    フリーランスであれば働き方は自由なのでワーケーションも始めやすいでしょう。しかし、環境整備や自己管理には普段以上に注意しなければなりません。

    (1)業務量や内容の調整・クライアントへの確認

    ワーケーション先で観光やレジャーなどを楽しみたい場合、納期のある仕事について事前に業務量やスケジュールを確認し、余裕を持てるように調整しておきます。

    またクライアントの機密情報などを扱っている場合は注意が必要です。滞在先のネットワークを利用しても問題ないかなど、セキュリティについて確認しておきましょう。

    (2)ワーケーションの計画を立てる

    日程や滞在先の地域を決定します。なるべく早く計画を立てたほうが、選択肢が広がります。

    (3)交通手段と滞在先を確保する

    交通手段はスケジュールや体力的に無理のない方法を選択するとよいでしょう。滞在先の予約は、仕事ができる環境が整っているかどうかきちんと確認してから行います。

    (4)ワーケーションを開始する

    普段と異なる環境ではいつも以上に自己管理が大切です。仕事と遊びのメリハリをつけるように意識しましょう。

    ワーケーション

    会社員の場合

    会社員の場合、働き方も企業のルールに従うことが前提となります。

    (1)会社のルールを確認する

    まずは勤め先の企業でワーケーションが認められているかどうか確認します。ワーケーション制度が設けられている場合、ルールをきちんとチェックしましょう。会社に思わぬ損失などを出さぬよう、特にセキュリティ面については注意が必要です。

    (2)ワーケーションの計画を立て、社内のメンバーや取引先に共有する

    業務量やスケジュールを確認し、無理のない日程で計画を立てます。社内のメンバーや取引先には事前に共有して理解を得ておき、コミュニケーションエラーを防ぎましょう。

    (3)交通手段と滞在先を確保する

    休暇型の場合は自分で交通手段と滞在先を決定できますが、業務型の場合は会社から指定されることもあります。費用の負担などについても会社によって異なるので確認しましょう。

    (4)ワーケーションを開始する

    業務時間中はいつも以上にコミュニケーションや勤怠時間の管理などに注意しましょう。

    ワーケーションのメリット

    ワーケーションには具体的に以下のようなメリットがあります。

    リフレッシュ・モチベーションの向上

    職場から離れたリラックスできる環境で休暇を楽しみながら仕事をすることで、日常のストレスを軽減させ、心身のリフレッシュが期待できます。モチベーションの向上にもつながり、ライフスタイルに良い影響をもたらすと考えられます。

    長期休暇を取りやすい

    仕事が忙しくなかなか長期休暇を取れなかった人でも、休暇の合間に必要最低限の仕事をリモートで行うことで休暇と仕事を両立できます。家族との時間も確保でき、ワークライフバランスが実現できるでしょう。

    働き方の自由度が上がる

    仕事環境がオフィスと自宅だけでなく、自分の好きな場所という選択肢が増えることで、より自由な働き方が実現します。気分転換ができることは生産性の向上にもつながるでしょう。企業側にとっても人事採用のアピール材料となり、離職率の改善も期待できます。

    新たなアイデアが生まれる

    非日常な環境に身を置くことで新鮮な発見や体験ができ、新たなアイデアが生まれやすくなります。また普段出会えない人たちと交流することで刺激を受けたり、ビジネスのきっかけが生まれたりする可能性も考えられるでしょう。

    ワーケーション

    ワーケーションのデメリット

    反対に、ワーケーションには以下のようなデメリットも存在します。

    仕事とプライベートの切り替えが難しい

    旅先などで仕事とプライベートを明確に切り替えるのは難しいものです。遊んでばかりいると仕事の生産性が落ちてしまいますし、仕事ばかりしていてはリフレッシュできずにワーケーションのメリットを享受できません。時間管理をきちんと行い、その日の優先順位を決めるセルフマネジメントが必須になります。

    インターネット環境が整っていない場合がある

    滞在先からリモートで仕事をする場合、安定したインターネット環境は必須です。特にITエンジニアの仕事では通信速度も重要でしょう。普段と違う場所では、インターネット環境が整っていない場合があるので注意しなければなりません。

    セキュリティリスクが高まる

    ワーケーションに限りませんが、オフィス以外で仕事を行う場合どうしてもセキュリティリスクは高まります。会社支給PCやスマホの紛失・盗難による情報漏えい、フリーWi-Fiへの接続によるデータ漏えいなどがセキュリティリスクとして考えられます。

    コストがかかる

    ワーケーションには主に以下のような費用が発生します。

    ・交通費
    ・滞在先の宿泊費
    ・食費、雑費
    ・観光費

    費用が負担となることもあるため、ワーケーションは計画的に行うことが重要です。また企業によって費用を負担してくれる範囲も異なるので、事前に確認しましょう。

    ワーケーションを成功させるためのポイント

    では、ワーケーションを成功させるにはどうしたら良いでしょうか。具体的なポイントを解説します。

    作業環境・通信環境が整っているか事前に確認する

    ワーケーションに必要なものはインターネット環境や机・椅子といった作業のできるスペースです。滞在先の設備については事前に確認しておく必要があります。もし滞在先に十分な作業スペースがない場合は、近くのコワーキングスペースなどを探しておきましょう。またインターネット環境に不安がある場合はポケットWi-Fiを準備するなどの対策が必要です。

    スケジュールに余裕を持たせる

    非日常な環境での仕事はリフレッシュになりますが、反面その土地に慣れるまでにはある程度時間がかかります。滞在期間は可能な限り長めに設定するのがおすすめです。

    また、観光などの予定を詰め込みすぎて仕事をする時間がなくなってしまったというケースも多いです。慣れない土地ではトラブルも起こりやすいため、スケジュールには余裕を持たせましょう。

    セキュリティ対策を行っておく

    リモートワークの期間が長くなりやすいワーケーションでは、セキュリティ対策が必須です。事前にウイルス対策ソフトのインストールやVPNの整備、デバイス紛失に備えた対応などを整理し、徹底しておきましょう。

    ワーケーション補助金制度を活用する

    ワーケーション補助金制度とは、ワーケーションに必要な費用を地方自治体が一部負担してくれる制度です。地方創生のために人を呼び込むことを目的として各自治体が取り組んでおり、制度の内容は地域によって異なります。コストの課題を解決する手段になり得るため、ワーケーション先の自治体の補助金制度の内容を事前に確認してみるのがおすすめです。

    ワーケーションをうまく活用して、自由な働き方を実現しよう

    ワーケーション

    ワーケーションは仕事と休暇を両立できる新しい働き方です。今まであきらめていた長期休暇の取得や、ワークライフバランスを実現する画期的な方法と言えます。

    特にリモートワークが主流なITエンジニアはワーケーションを実現しやすく、今後導入する企業や人は急速に増えていくでしょう。リモートワークが定着した最近では、リモートワーク疲れといった言葉もよく聞きます。ITエンジニアが心身のストレスを解消し、快適に仕事を行うにはワーケーションという選択は非常におすすめです。

    ワーケーションは環境に縛られないITエンジニアと親和性の高い自由な働き方です。ぜひ一度体験されてみてはいかがでしょうか。

    文/江副杏菜

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