~サカモト@エンジニアキャリア論が回答~
エンジニアのための「転職&キャリア」相談室有名テック企業への転職、年収アップ、理想のキャリアを築くための方法は? エンジニアのための無料キャリア相談で人気の「サカモト@エンジニアキャリア論」さんが、エンジニアから実際に寄せられた相談内容をもとに、転職成功の秘訣や年収・キャリアアップに役立つ情報を紹介していきます!
~サカモト@エンジニアキャリア論が回答~
エンジニアのための「転職&キャリア」相談室有名テック企業への転職、年収アップ、理想のキャリアを築くための方法は? エンジニアのための無料キャリア相談で人気の「サカモト@エンジニアキャリア論」さんが、エンジニアから実際に寄せられた相談内容をもとに、転職成功の秘訣や年収・キャリアアップに役立つ情報を紹介していきます!
はじめまして、サカモトです。とある外資系企業でソフトウエアエンジニアとして働いています。
普段、Twitter やnoteなどでテック企業の面接情報、面接で聞かれる技術質問の解説、さまざまなエンジニアのキャリアストーリーなどの情報を発信しています。
今回から『エンジニアtype』さんで、連載をスタートすることになりました。
この連載のテーマとしては、私がこれまで150人以上エンジニアの無料相談をしてきた中で印象に残った話を中心に書いていきたいと思います。
SIer、SES、Web系、中にはGoogleのような誰もが知っているBigTechで働いているエンジニアが相談に来た事例もあります。
さまざまなバックグラウンドの方の事例を取り上げることで、同じようなことに悩んでいるエンジニアの皆さまのためになれば幸いです。
サカモト@エンジニアキャリア論さん(@sakamoto_582)
外資テック企業で働くソフトウエアエンジニア。エンジニアがテック企業トップに行くためのキャリア論をTwitterなどで発信中
以前、私の元に以下のようなDMが送られてきました。
経済学部卒、社会人歴2年目の24歳、女性です。
職種: Webアプリケーションエンジニア
業界経験年数: 1年半
年収:370万円
将来の目標年収: 25歳で450万円 35歳で800万円
スキル: Java,VB,HTML/CSS,Oracle
現職に至るまでの経緯: 新卒で入社
現職の不満点: 会社全体で炎上している。年次が上がっても給与が低い。人を育てようという意識が皆無
相談内容: 今の会社を抜け出したいし、自分の技術力が低いのも分かっているが、適当な会社には勤めたくない。次のキャリアにどのような会社を選べば、将来の年収目標に到達するか分からない
「会社全体で炎上している」というパワーワードを目にして、これはとんでもない相談が来たなという事が一目で分かりました。
Aさんは二次受けの中小SIerに勤務しており、Javaを使ったWebアプリケーション開発の保守を担当しているとのこと。
しかし、業務内容について聞いてみると、これは本当にひどい状況だと言わざるを得ない環境である事が徐々に分かってきました。
Aさんいわく……
「新しい機能を作る際も、全くの新しい機能ではなくどこかで書かれている似たような機能があり、そのコードはコピペすることでそれなりにイジっていたらエラーが出なくなり、できましたという状態。オブジェクト指向って何?」
「上司からも『コピペしろ』と指示される。デリバリーできれば何でもよい」
「当然ソースコードレビューも存在しない。自分で書いたコード」
「コピペした事で中身はよく分かってないが、テストを行いExcelにスクショのエビデンスを残しとりあえず動いた事を示せば大丈夫」
など、とにかくひどい開発現場であることが伝わって来ました。
また、会社で一つの案件が炎上したことで、それを火消しすべく優秀なエンジニアが他の現場から借り出されることになり、連鎖的に炎上が続いているというのです。
その影響で、自身のメンターになってくれるようなエンジニアもおらず、成長するにも難しい環境とのことでした。
私が今まで経験した現場では考えられないような出来事ばかりだったので、正直、最初は面くらいました。
でも、明らかなのは、そこが「長期間いるべき現場ではない」ということ。それはすぐに判断できました。
なぜなら、キャリアが浅いときにいかに良い経験ができるかで、今後のエンジニア人生に大きく関わってくるからです。
多くの場合、日本の企業では年齢が上がるにつれて、「それ相応の経験」を求められます。
中堅にさしかかったところで「コードはいつもコピペしてます」なんてことになれば、転職する際に苦労を味わうことになるでしょう。
また、身近なところに見本となるようなエンジニアがいないことも非常に問題です。
ソフトウエアエンジニアリングには、世の中に数々のベストプラクティスがあり、良いエンジニアほど、世の中のいろいろなベストプラクティスからユースケースに合った手法を適用する場合が多いものです。
これを学ぶことができないまま、「とりあえず動けばいいや」の精神で開発するクセをつけてしまうのは、非常にもったいないと言わざるを得ません。
年収に関しても、同じ会社でポジションアップしても目標年収に届く見込みはないとのことなので、その観点においても転職を考えなければなりません。
年収は個人の成果より、所属している会社のベースで決まる傾向がありますから、この時点で、「いつか必ず転職しなければならない」ことは自明だったわけですね。
こういった観点の元、Aさんには以下の五つのポイントについてアドバイスしました。
<アドバイス>
①目標年収があるのであれば、それを支払ってもらえる企業がどこか探し、具体的に入社したい会社を決める
②転職活動では、実際にその会社で働く人の話を聞いて、開発者体験の良しあしを判断する
③面接では、自分で何か決断してプロジェクトのかじ取りをした経験を伝えるとよい。指示待ちの受動的な仕事スタイルより、能動的な仕事スタイルを取れる人であることをアピールする方が、一般的に評価は高くなる
④働き方やお金のことなど、聞きにくい質問は、内定が出た後に確かめる。必要があれば交渉する
⑤実際に入社する会社は、まともな開発をやっている会社かどうかを事前に確認して、「エンジニアにとって良い会社」を選ぶとよい(例えば、ソースコードのレビューはどうやってますか? テストの自動化は進んでいるか? アプリケーションは本番環境にどのようにデプロイしているか? などの質問を通して、モダンな開発手法になっているかを確認する)
そして、このアドバイスにのっとって転職活動を続けた結果、Aさんから後日「二社から内定を獲得した」という連絡をもらうことができました。
しかも、転職によって予想以上の年収アップを実現することができ、本人も満足しているようでした。
DMをくれた時点では「自分の技術力が低い」と言っていたAさんでしたが、転職で大幅に年収アップすることができた理由として、資格取得に取り組むなど彼女が普段から自己研さんを続けていたところが評価されたようです。
内定をもらえた会社からも、学習意欲の高いAさんの「ポテンシャルを見込んで」と言ってもらえたとのことでした。
資格は経験のあるエンジニアにとってはそこまで重要なものではないと思いますが、キャリアの浅いエンジニアにとっては、ポテンシャルや伸びしろを示す効果的な方法の一つになりますね。
今回相談をくれたAさんのように、レガシーな環境で働いているエンジニアは、日本中いたる所にいると思います。
その中で、今後のキャリアに迷ったら……。まず一番大事なのは、いかに自分が「成長できない環境」で働いているのかを自覚することがスタートだと思います。
幸いAさんは、キャリアが浅いときに「このままではまずい」と自ら気付くことができました。
しかし、世の中には外部からの情報収集をできていないために、自分がレガシーな環境にいることにすら気が付かない人もいるでしょう。
その状態のまま30歳、40歳になり、いざ違う会社に行こうとなっても相当な苦労を強いられることになると思います。
そうならないためにも、常日頃から「外の世界」にアンテナを張り、可能な限り他社のエンジニアの状況を調査してみましょう。
例えば、エンジニア向けの勉強会に参加する。他社の技術ブログを見る。Twitterを始める……手段はさまざまあると思います。
何か一つに固執することはありません。いろいろな情報収集をする中で、俯瞰的に物事を見て、自分に合っているものを選択してみてください。
そうすることで、自分がいかにレガシーな環境にいるかを理解できるはずです。
そして、自分の状況を自覚し、転職の決意をした後は、面接準備です。
面接は労力を使う上に、落ちたときには自分を否定される気持ちになるなど嫌いな方も多いと思います。
しかし、面接は一種の慣れが大事ということを忘れてはいけません。いくつも数をこなしていく上で、大体レジュメから聞かれる質問などは推測することができるようになります。
そこに加えて、うまく答えられなかった部分は重点的に準備、学習することで面接のパフォーマンスは必ず上がっていきます。
諦めないで根気よく続けてみてください。
それでも結果が出ない場合……サカモトまでTwitterでDMを頂ければ、模擬面接を通して率直なフィードバックをすることも可能です。
気になる方はぜひ検討してください!
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