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BtoB向けプロダクトへのユーザーフィードバックが薄い…モチベダウンへの対処法は?【カミナシ原トリ・10X石川洋資・ばんくし/聴くエンジニアtype Vol.23】

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エンジニアtypeが運営する音声コンテンツ『聴くエンジニアtype』の内容を書き起こし! エンジニア読者が抱える仕事やキャリアのお悩みに、注目企業のCTOやさまざまな領域の第一線で活躍する技術者が回答します
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自分が開発したものがどう使われているのか、ユーザーにどんな価値を提供していて、どんな評価をされているのか……。

ユーザーからの反響がモチベーションの一つ、というエンジニアもいるだろう。しかし、ことBtoB向けのプロダクトの場合、ユーザーが企業となるためエンジニアのもとにフィードバックが届きにくいことも。

今回の相談者も、ユーザーからの反響が薄いことに不満を感じている様子。カミナシ・原トリさん、10X石川さん、ばんくしさんが、具体的な対処法を指南した。

プロフィール画像

【MC】
M3, inc. Engineering Fellow
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish

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【Speaker】
株式会社カミナシ 取締役CTO
原トリさん(@toricls

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【Speaker】
株式会社10X Co-Founder, 取締役CTO
石川洋資さん(@_ishkawa

【今回の相談】

(Eさん・28歳)

現在、BtoB向けのプロダクト開発を担当しています。何度もシステム改修を行ってきましたが、ユーザーからの反響が薄く、停滞を感じています。

現状から抜け出し、ブレイクスルーするためにはどうすればいいでしょうか?

その停滞感は本物? 課題を見極めるために具体的なアクションを

河合:これは非常に難しい質問ですね。原さん、どう思いますか?

原:相談者さんがどれくらいユーザーの声を聞ける環境で開発をしているのかが気になりました。もしユーザーヒアリングや仮説検証をせずに開発をしているのだとしたら、まずそこを変える努力をする必要があるかもしれません。

石川:プロダクトの開発や運用にあたって、やらなければならないことはたくさんありますよね。この相談者さんは膨大な開発・運用タスクに追われているうちに「この調子でうまくいくのかが分からない」と悩んでいるのではないかと推察しました。

だとしたら、その悩みはチームやプロダクト・事業の責任者、経営者に話したほうが良いと思います。

今みんなが何にコストを割いていて、それを通じてどんな変化を起こそうとしていて、なぜそうするとうまくいくのか……という部分が、相談者さんの中では筋が通っていない状況なのではないでしょうか。

なので、まずは自分の中でその筋がちゃんと通ることが大切なのかなと思います。

開発チームが何をするべきかを決めたり、なぜそれがうまくいくのかをチームに浸透させるために、特に重要な役割を果たすのがプロダクトマネジャーです。もしかすると、今はプロダクトマネジャーとメンバー間のコミュニケーションが足りていない、時間を割けていないのかもしれませんね。

また、経営ボードからプロダクトマネジャーに対して適切な期待値が渡せていない可能性もあります。「このプロダクトがあるから運用をお願いします」と言うだけじゃなくて、「このプロダクトをこういう形にしたいから、こういう結果を出してね」と期待値が明確になっているかどうかも大事なのではないかと思います。

ブレイクスルーするということは、その商品がヒットして売り上げをあげるということだと。そのためには、チーム内でしっかりコミュニケーションをとってみんなで同じ方向を向けると良いと思います。

その結果、原さんがおっしゃっていたように「うまく行く方法を見つけるためにユーザーさんに会いに行く」といった具体的なアクションにつながるのではないでしょうか。

河合:石川さんと原さんの話を聞いて、一口に「停滞している」と言ってもさまざまな状況があるなと感じました。

実はチームの他のメンバーはめちゃくちゃうまくいっていると思っていて、より大きな成果を出すために今は踏みとどまっている段階と捉えてる。そのことを相談者さんは「停滞している」と感じているのかもしれないですし、本当にユーザーに響いていなくて、そこに対してブレイクスルーが必要だと感じているのかもしれない。

もしくは、実際にユーザーヒアリングをした上でどうすべきか分からない状況になっている可能性もあるなと感じました。

例えば、自分はユーザーからの反応が薄いと感じているのだけど、他の人たちはどう思っているか分からない、チームにどう相談したらいいか分からない……という時はどうすればいいと思いますか?

石川:いきなりチーム全体に向けて「自分はここが問題だと思います」とは言いづらいですよね。

でも、最終的にはその認識がチームに浸透することが大事なので、自分や他のメンバーの考えをチーム内で循環させるべきだと思います。そうすれば、自分の意見も表明しやすくなりますから。

相談者さんの組織ではまだうまく循環していない状態だろうと思うので、まずは近しいチームメイトや上長、プロダクトマネジャーに話し掛けて、自分の課題意識を伝えていくのが現実的ではないでしょうか。

その上で、誰と話しても認識が違うと感じるのなら、もう少し上の責任者に「自分はこういうところに課題を感じているのですが、経営的な視点で見たらどう思いますか?」と聞きにいくのも良いかもしれないです。

河合:確かに、自分には停滞しているように見えても「経営上は右肩上がりになっているのでOK」ということもあるかもしれませんね。

原:単にユーザーフィードバックが開発者側に届いていないだけで、売り上げとしてはすごく順調……ということも状況としてはありえますよね。

その場合、ユーザーフィードバックが開発者のもとに届くようなパイプラインを作るだけで「これだけの数のユーザーが喜んでくれているんだ」って見えるようになるかもしれない。

停滞を感じている背景と、周りの人たちがどう思っているのか。その認識を合わせるのが重要な気がしますね。

河合:最近「情報」と「仲間」ってめちゃくちゃ重要だなと感じているんですよね。

自分では「大体こんな空気感かな」と思っていても、他の人が全然違うことを感じていることもあるので。

イメージ

じゃあ、チーム内のコミュニケーションがうまくいっているとして、プロダクト改修をしたもののお客さんからの反応が薄い時、ブレイクスルーしていくにはどうしたらいいと思いますか?

原:ユーザーが何を期待しているかにもよるんですけど、実は便利だと思っているのに直接声をあげてくれないお客さんって結構いるんですよね。

僕は機能を作る時、その機能が価値を生んでいるのか、効果を出せているのかを計る指標として何を可視化すればいいのか、チーム内で認識を合わせてから作り始めるようにしています。

河合:指標がないのに改修しても、「で、ユーザーは何がうれしいの?」みたいなところはありますもんね。

原:相談者さんの言う「ユーザーからの反響」という言葉の後ろ側に期待しているものが何なのか気になりますね。

そもそも「ユーザーにとって必要なものを作れていないから反響が薄い」という話なのであれば、さっき石川さんがおっしゃっていたように、プロダクトマネジメントや経営の視点からのアプローチが必要になりますよね。

河合:例えばBtoCのサービスであればユーザーがSNSなどで盛り上がってくれやすいですが、BtoBのプロダクトの場合はそういうことが起こりづらい。なので、反響がとらえにくい部分はありますよね。

自分が質問者さんと同じ28歳だったらと考えると、BtoCのサービスが盛り上がっているのを横目に見て「作ったものがあんなにほめられていいな」と思うこともあるかも。

原:「いいな」って思いますよね。特にゲームアプリだと障害が発生しただけでTwitterが祭りになったりしますし。

中の人は気が気じゃないと思いますが、外から見ていると「ユーザーがいるのが分かるっていいよな」って。

河合:28歳だと、開発者としてまだ走り始めという可能性もあるじゃないですか。その頃って「フィードバックが欲しい」と思いますよね。

特にBtoBにおいてはユーザーの声が自分に届くまでに時間がかかるので、自分からマネジャーに聞きに行くというのは非常に大事だと思います。Slackチャンネルでユーザーの声が聞けるようにするなど「見える化」してもらうとか。私はよくそれを見て感動したりします。

原:カミナシにも、機能についてのフィードバックでなく、お客さんからの定性的な気持ちやコメントをCSやセールスのメンバーが流してくれるチャンネルがあります。あれは良いですよね。つい見ちゃいます。

河合:そういうものを作ってもらう、もしくはそういうことができないか相談しに行くのは良いことですね。

石川:確かに、自分たちが作っているプロダクトが市場でどういう受け入れられ方をしているのかを理解するのって大事ですよね。

そもそも期待が高い状態なのか、満足度は高いのか低いのか、どういう場面で役に立って、どういう場面でムカつかれているのか。そういったことを認識するのは、チーム全体として必要なことだと思います。

危機感や達成感が共有されているからこそ、力の入り方も変わっていきますしね。一人一人のメンバーが理解できている状態をつくるために、お客さんからのフィードバックを見える場所に置いておくというのはすごく大事だと思います。

原:僕の前職(Amazon Web Service)はわりとBtoBの要素も強かったのですが、あの規模の会社となると、障害を起こすと新聞の一面で叩かれたりするので、ユーザーからの反響は怖かったですね(笑)。SNSでもきつい言葉で書かれたりするので。

河合:ユーザーからのマイナスなフィードバックも、ユーザーが使ってくれているという実感を得るために必要ではありますよね。

もしかすると「マイナスフィードバックを直接伝えたらネガティブな気持ちにさせて、開発が停滞しちゃうのでは」ということを恐れて、ユーザー側があえて伝えていない可能性もあります。その結果、質問者さんが「反響が薄い」と感じているのかも。

原:周りの人が気を遣ってネガティブフィードバックを隠してしまっている可能性もありますしね。

河合:そこはチームメンバーとして「実際どうですか?」と聞きにいかないといけないと思いますね。

6月25日(日)『聴くエンジニアtype』公開収録を赤坂で開催!

ポッドキャストチャンネル『聴くエンジニアtype』初の公開収録を東京赤坂の会場で開催します。MCのばんくしさんをはじめ、澤 円さん、池澤あやかさん、小城 久美子さん、増井 雄一郎さんが、エンジニアから寄せられた仕事・転職・キャリアの悩みに回答。収録後には懇親会や、書籍サイン会も開催予定です!
※公開収録はエンジニアtype主催のテックキャリアカンファレンス『ECDW2023』の中のコンテンツとして開催いたします

>>エントリーはこちら(ECDW2023特設ページ)

【開催場所】
〒107-0052 東京都港区赤坂2-5-1 S-GATE赤坂山王ビル 5階
株式会社キャリアデザインセンター 赤坂山王オフィス

【参加費】
無料
※懇親会は15:30~30分程度の予定です
※懇親会への参加は自由です

【定員】
60名(先着)

【エントリー方法】
以下より詳細をご確認の上、エントリーフォームより必要事項をご記入の上エントリーください。

>>エントリーはこちら(ECDW2023特設ページ)

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※懇親会は15:30~30分程度の予定です
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60名(先着)

【エントリー方法】
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聴くエンジニアtype

文/赤池沙希

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