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「エンジニアの幸せなキャリアって?」 当事者3人が明かすKaizen PlatformのCTO交代劇の裏側

働き方

    CTO交代劇を振り返り、思い出話に華を咲かせる三者。一点の曇りもない笑顔から、お互いへの信頼が伝わってくる

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    「ビジョンは決まるが、手法は決めない」マネジメントがエンジニアを動かす

    ――実際にCTOが交代して、何か変化が生まれましたか?

    須藤 まだCTOが代わってから数カ月ですが、はっきりと変化は現れていますよ。一言でいえば、会社が明るくなった。活気が出たんです。

    ――活気が出たと言うと、具体的にはどのように?

    須藤 うちではリモートワークを採用しているので、必要がなければオフィスに来なくてもいい。でも最近は多くのエンジニアが出社してくるんですよ。コミュニケーションも活発になって、会議室が足りないくらい。そのきっかけを作ったのは、間違いなく渡部です。

    ――そんなに劇的に変わるんですね! 一体、渡部さんは入社してから何をしたんですか?

    石橋 私にできなかった「言語化」をやってくれたんですよ。それぞれの現場にある混沌とした状態を整理して、みんなが分かる表現にした。「今はこういう状況にあるよね、だったら、やらなければいけないのはこれだよね」とエンジニアたちに確認する。例えば「目標を達成するために必要なのは、500の案件を4月までに作ることだよね」みたいにして、“What(=なにをやるか)”を共有したんです。

    ――なるほど!

    石橋 旧CTOの私にできなかったのは、この言語化というプロセスだったんですよ。正直、悔しかったですよね(笑)。それで「渡部っち!それ、いいよー!さすがだよー!!(肩を強く叩きながら)」って。

    ――(笑)
    課題を見える化することで社内の雰囲気が一変したと語る石橋氏

    課題を見える化することで社内の雰囲気が一変したと語る石橋氏

    石橋 で、一番「渡部っちスゲーな」って思ったのが、“What”は提示するけれど“How(=どうやるか)”は提示しないこと。あえて、そうしないんだなということはすぐに分かりました。うちのエンジニアたちは腕に自信を持つメンバーですからね。渡部は親分肌なんですよ「“How”はお前達の仕事だろ」って、その先を委ねるんです。“How”までCTOに示されて、「この通りにやれよ」と言われていたら、須藤が言ったような活気は生まれていなかったと思います。

    渡部 どんなプロジェクトでも現場の問題に直面しているうちに、始めは頭の中ではっきりしていた“Why(=なんのためにやるか)”がブレ始めたりする。だからこそ、“Why”と自問自答し、それを継続的に言語化していくんです。技術の勉強ばかりでなく、こういうアプローチがエンジニアを強くしてくれることをグリー在籍時代に肌で知ったからこそ、“Why”の追求から“What”を引っ張り出すようになったんです。

    ――実体験だったんですね。

    渡部 はい。でも、その先の“How”は現場のエンジニアが誰よりも正解を知っている。「分かっているけど言わない」というよりも「あとは頼んだ」という気持ちなんですよね。

    CTOもCEOも“みんなでゲームに勝つ”ための駒の1つ。

    ――渡部さんが考える“KaizenのCTO”としてのあるべき姿とは?

    渡部 CTOがそのチームの中で一番の技術力を持っている必要性なんて全然ないと思うんです。それぞれが自分の役割の中で力を発揮した結果、Kaizenというチームがお客さまを感動させて、ビジネスというゲームに勝てばいい。そして結果として我々が目指す社会を作り上げられればいい。私 がCTOとして今ここで果たすべき役割は、お客さまと技術者との橋渡しするということだと思います。

    ――エンジニアの中には、CTOになることがエンジニアとしてのキャリアのゴールだと考える人も少なくないと思うのですが、そうではないと?

    渡部 もちろん技術に軸足を置いている以上、モノ作りには関わるし、こだわりますよ。でも、経営という勝負事に誰がどう貢献するかは自分たちで決めればいい。スーパーエンジニアになりたい人がいるならそうすればいいし、勝負に勝つための方向性を指し示すことが得意なら、肩書きが何であろうとそこで力を発揮すればいいと思うんです。

    エンジニアの肩書きに頼るキャリア形成に疑問を投げかける須藤氏

    エンジニアの肩書きに頼るキャリア形成に疑問を投げかける須藤氏

    須藤 私も“ゲーム盤の上の駒の1つ”という意識でCEOをやってますね。仮にCEOがオトリになって勝負に勝つなら、喜んでオトリになります。だから世間のエンジニアの皆さんにも「CTOが技術者のキャリアのゴール」なんて発想は捨ててほしい。

    石橋 そうだよね。自分勝手に「俺は●●になるんだ」って言ったって、状況や環境次第でそうはいかなくなる。思い描いていた通りの自分になることを目指すのはある意味大事だけど、CTOになったら「あがり」とか、CTOはエンジニアのマネジメント役だとか、決めつけていても、その通りにはならないものですよ。

    ――石橋さんはCTOを辞めてから、理想通りの働き方ができているんですか?

    石橋 はい、すごくハッピーです。渡部とはまた違うレイヤーでエンジニアとセールスとの橋渡し役ができていますね。得意だったユーザリアリティを追求する役割に集中することで、渡部の言う「ゲームに勝つ」ことへ貢献できているんじゃないかなと。それに、お客さまに頻繁に会うようになり、こうやってちゃんとジャケットスタイルも板についてきたし(笑)。

    ――では、改めてエンジニアにとって幸せなキャリアとはどんなものだと思いますか?

    渡部 トライ&エラーで自分のステージを上げていくことが、エンジニアにとっての幸せなんだと思います。事業を作るとか、ビジネス上の成功を実現するとか、この先エンジニアにはもっとプラスαが求められるようになると思うんですよ。今の自分にないスキル要求をされた時に、「そういうの、俺やってないんで」と言わないで試してみることが大事。常にいろんなことをインプットして、アウトプットしていくことですかね。

    石橋 そうそう。色んな言語を覚えて「俺すげーぜ!」ってなるものいいけど、それをちゃんと活用できるようになったらもっと良い。エンジニアを必要としている場所はすごくたくさんあって、乾いた砂漠なんですよ。みんな水が欲しい。そこで心の底から「助けて!」って言ってるやつに手を差し出せたとき、自分のステージが一個上がるんじゃないかな。……って昨日読んだ『サラリーマン金太郎』に書いてありました。

    須藤 キャリアって結局、一緒に働いて戦っている人たちが作ってくれるものだと思うんです。CTOをやるとか、辞めるとか、そういうのは自分で決断するけれども、それがイコール「キャリアをデザインする」ことではない。デザインしようというのなら、「誰と働くか」をまず考えるべき。そこで一緒に戦う中で、その仲間がデザインに刺激をくれるし、自分が思い描いた以上の成長をさせてくれることもある。渡部が言った通り、僕らKaizenはバカだけど(笑)、バッチリうまくデザインを形にしていますよ。

    取材・文/森川直樹 撮影/小林正

    2月21日(火)に開催される『第6回 キャリアごはん』に、渡部氏が登壇決定! さくらインターネットの田中邦裕氏と共に「エンジニアと非エンジニア職のコミュケーション学」について語っていただきます!
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