生成AI活用普及協会理事・木内翔大が解説
3分でつかむ!AIビジネストレンドこの連載では、生成AI活用普及協会理事でGMO他複数社でAI顧問を務める木内翔大さんが、エンジニアの仕事力向上&キャリアアップに役立つAIビジネストレンドを、仕事合間の3分でさっくり読めるコラムで紹介! 業務効率化に役立つAIツールの情報や、今月おさえておきたいAI関連のニュースをお伝えしていきます。
生成AI活用普及協会理事・木内翔大が解説
3分でつかむ!AIビジネストレンドこの連載では、生成AI活用普及協会理事でGMO他複数社でAI顧問を務める木内翔大さんが、エンジニアの仕事力向上&キャリアアップに役立つAIビジネストレンドを、仕事合間の3分でさっくり読めるコラムで紹介! 業務効率化に役立つAIツールの情報や、今月おさえておきたいAI関連のニュースをお伝えしていきます。
皆さん、初めまして。AI活用コミュニティSHIFT AI 代表の木内翔大です。
SHIFT AI とは別に、生成AI活用普及協会(GUGA)の理事やGMOなど複数社でAI顧問としても活動していたりもします。そんな私のキャリアはエンジニアから始まり、その後プログラミングスクールの立ち上げ、そして現在は、日本をAI先進国にするために活動しています。
この連載では、私の経験と知識を生かし、エンジニアの皆さんがAIビジネストレンドをキャッチアップするための情報を提供していきたいと思います。皆さんと一緒にAIについて知識を深めて、このAI時代を生き抜くためのスキルを身につけていければと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。
株式会社10X 代表取締役
木内翔大さん(@shota7180)
元・株式会社SAMURAI 代表取締役。一般社団法人生成AI活用普及協会 GUGAの理事を務めながら、GMO AI & Web3株式会社 顧問としても活動。大学時代からフリーランスのWEB・AIエンジニアとして3年ほど活動。2013年に日本初のマンツーマン專門のプログラミングスクールである「SAMURAI ENGINEER」を創業。累計4万人にIT教育を行い2021年に上場企業へ売却。「日本をAI先進国に」をテーマにSNSを中心に生成AIについて発信している
昨今のAIブームの中でも生成AIは特に注目を集めています。生成AIは、人間が作り出すような文章や画像、音楽などを生成する技術で、その可能性は無限大です。
例えば、OpenAIのChatGPTは、人間と同じように自然な会話を生成することができ、その応用範囲は広がり続けています。そんな生成AIがエンジニアの役割を大きく変えているのはご存じでしょうか。
これまでエンジニアは、プログラミング言語を使ってサービスを「作る」側でしたが、生成AIの登場により一部のエンジニアは「使う」側に移行をはじめています。
具体的には、”サービスを使ってサービスを作る”ようになっているんです。この変化によって、プログラミング言語を知っている、使えるだけでなく、AIのサービスやツールを知っている、使えることが求められはじめました。
生成AIは日進月歩で進化していて、先ほど挙げたChatGPTを活用したサービスは現在も日々絶え間なく生まれています。ブルームバーグ社によると生成AI市場への注目は爆発的に高まっており、今後10年間で約1兆3000億ドル(約181兆1850億円)規模まで成長する見込みがあるそうです。
また、Gartner社によるとSaaS市場も2022年から2023年までの市場規模は20.7%増加と、生成AIブームと併せて拡大してることが分かります。これは、生成AI技術や、生成AIのAPIを活用することでプロダクトの価値を高めたり、プロダクトの開発自体が簡略化されていることが関係していると考えられます。
これらの新たなツールを活用することで、エンジニアはビジネストレンドに迅速かつ効果的に対応することができます。また、生成AI自体の進化とエンジニアの技術的な強みを掛け合わせることで、ビジネストレンドを作る側になることも可能なのです。
しかし、この変化に対応するためには、エンジニア自身が生成AIのキャッチアップを怠らないことが重要です。新たなツールを使いこなすためには、それらのツールを深く理解し、その特性や制約を把握することが必要になります。そのため、エンジニアこそ生成AIのキャッチアップが必要と言えると思います。
エンジニアは生成AIを活用してプロダクトの開発や改善を行う中心的な役割を担うようになりつつあります。
前述したように、プログラミング言語が必須だった時代から、ツールを使用して作成する時代に変化しているんです。
この時代の変化は、生成AIのツールを使いこなすことで、より効率的に、より高品質なプロダクトを生み出すことが可能になったため起きていると考えています。
このように、生成AIがビジネスプロセスに組み込まれていく中で重要になってくるのがAI倫理です。
これまでもAI倫理の重要性は問われてきましたが、生成AIの進化に伴い、エンジニアはこれまで以上にAI倫理を考慮して、透明性や公平性を確保するための対策を講じる必要があります。
これは、AIが人間の意思決定を補助または代替するようになると、その判断基準やプロセスが公正であること、またそれが明らかにされていることが求められるからです。
また生成AIの活用に伴い、情報の信ぴょう性には特段気を使う必要があります。生成AIは大量の情報を処理し、それに基づいて新たな情報を生成しますが、その元となる情報が信頼性の低いものであれば、生成される情報もまた信頼性を欠く可能性があるんです。
そのため、エンジニアはAIの制約を理解し、情報源を特定するなどして、出力結果を厳格に検証し、結果の妥当性を確認するという立ち回りが必要になってきます。
このように、生成AIの進化により、エンジニアの立ち回りは大きく変わっていく可能性が予測されます。しかし、それは新たな職、役割が生まれるチャンスでもあります。
生成AIの進化に対応し、自身のスキルを磨き続けることで、エンジニアとしての価値を高めていきましょう。
ここまで、キャッチアップの重要性、AI倫理や情報リテラシーについて紹介してきましたが、具体的にエンジニアの価値を高めるためには何が必要なのでしょうか?
今回はエンジニアに求められるスキルを大きく三つに分けて説明していきます。
AIスキルは、生成AIのような新たなツールを使いこなすスキルを指します。従来、エンジニアに求められていたのは、プログラミング言語を知っている、使えるというスキルでした。
しかし、AI時代には、それに加えて、AIのサービスやツールを知っており、その特性や制約を理解した上で使用できるというスキルが求められると考えられます。これには、プロンプトエンジニアリングなどの新たなスキルも含まれます。
AIの進化により、人間は単純作業や反復性の高い業務から解放され、より複雑で創造的な仕事をすることが求められるようになるでしょう。そのため、設計やマネジメントなどの上流業務を担う能力が必要になります。
しかし、上流業務を行う上で、適切にタスクの割り振りやスケジュール設計をするためには、どのツールがどのような役割を担えるのかを理解している必要があるため、AIスキルを兼ね備えていることが求められます。
AIの生産性が上がっていく中で、人対人のコミュニケーションの重要性が相対的に高まっていくと言われています。
例えば、さまざまなメディアが出している「AIに奪われない仕事」でも、複雑なコミュニケーションが必要な仕事はおおむねランクインしており、これは人間特有の感情や共感、対人間の深い理解など、AIがまだ到達できていない領域をカバーするためです。
これらの三つが、AI時代のエンジニアにとって必要なスキルと言えます。新たな技術の進化に対応しながら、自身のスキルを磨いてエンジニアとしての価値を高めていく。それがこれからの時代を生き抜く最大の武器となっていくでしょう。
生成AIの進化は、エンジニアの就職・転職においても影響が出ており、昨今ではエンジニア採用の選考フローにおいて、生成AIに関するリテラシーや、ツールを使用できるかのテストなどの項目が追加されており対策が必要になっています。
私が理事を務めている生成AI活用普及協会(GUGA)では、生成AIパスポート試験というAIに関する基礎知識、生成AIの簡易的な活用スキルの可視化をするための資格制度の提供を始めました。
また、日本ディープラーニング協会(JDLA)も、AIに関する資格G検定の他に、新たに生成AIの活用知識を問うためのテスト「JDLA Generative AI Test 2023」を実施しており、生成AIの知識について重要性はますます上がっていると言えるでしょう。
他にもキャリアへの影響としては、エンジニアとデータサイエンティストの境界が曖昧になってきていることが挙げられます。
生成AIを扱うAIエンジニアは、データに基づいた学習を行ったAIの挙動や出力の仕組みを理解しないといけないため、データサイエンティストに必要とされる知識が必要になってきているんです。
また、ドメイン知識の重要性が増していることで、エンジニアのキャリアに対する評価方法も変わってきていると思います。
生成AIは汎用的なタスクを担っていくので、特定のドメインに特化した特化型AIの需要が高まっていますが、同様にエンジニアが特定のドメインにおける知識や専門性を持つことが価値になってきているんです。
そのため、エンジニアのスキルだけでなく、領域横断的に経験を積むことが評価されるようになるでしょう。
生成AIの進化は、エンジニアがサービスを作る側から使う側へと変化しているという潮流を生み出し、エンジニアの役割と必要なスキルを大きく変えています。
中でも、生成AIのサービスを広く知っており、特性や制約を理解していることはスキルとして重要であり、それに伴って情報のキャッチアップの重要度は上がっています。
さらに、生成AIは大量の情報を処理し、それに基づいて新たな情報を生成しますが、その元となる情報が信頼性の低いものであれば、生成される情報もまた信頼性を欠く可能性があるため、リテラシーの向上という意味でも情報のキャッチアップが必要になるでしょう。
また、AI時代においてはエンジニアに必要なスキル、キャリアも変化してきています。例えば、AIが人間の意思決定を補助または代替するようになると、その倫理的な判断基準やプロセスが公正であること、またそれが明らかにされていることが求められるため、AI倫理についての知識が必要になります。
キャリアとしても、エンジニアとデータサイエンティストの融合、ドメイン知識の重要性の増加など、新たなチャレンジがエンジニアを待っています。
しかし、それはエンジニアとして新たな価値を生み出すチャンスでもあります。生成AIの進化に対応し続けることが、エンジニアのキャリア形成において重要なトピックになるでしょう。
この連載では、これからも最新のAIビジネストレンドを紹介しながら、エンジニアの皆さんが仕事力を向上させ、キャリアアップを達成できるような情報を提供していきます。次回もお楽しみに。
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