type転職エージェント事業部 CS局 事業部長
豊住浩史氏
新卒で株式会社キャリアデザインセンターに入社。2年間の求人広告営業を経て、人材紹介の法人営業に。以来10年以上、IT業界とコンサルティング業界を主に担当し、国内/外資の大企業から設立間もないスタートアップ企業までと、幅広く転職者の支援を行う。途中、ミドル/ハイクラスの転職支援事業にも携わり、現在はIT業界、バックオフィス職のアドバイザー部隊の責任者を務める
安定性や納期に追われない働き方に憧れて、社内SEを志望するSIer出身者があとを絶たない。type転職エージェントのキャリアアドバイザー局長、豊住浩史氏はこう話す。
「相談に訪れるエンジニアのうち、実に60%以上の方が社内SEを志望しています。この傾向はここ最近増加傾向にあり、その背景には『働き方を安定させたい』と考えている人が多いことがあります。しかし、社内SEが必ずしもそれを叶えられる仕事であるかというと、一概にそうとも言えないんです」
豊住氏いわく、そもそも「社内SE」とひとくくりで考えるのは危険だという。
「社内SEといっても、2種類に大別できると思います。1つ目は、主に社内業務システムやPC、ネットワークインフラの改修やトラブルを解消したり、運用を行うコスト部門。2つ目は社内だけに留まらず外部に出すサービスの企画・開発も担うプロフィット部門です」
同じ「社内SE」である両者だが、企業のIT投資次第で、その「安定」の度合に圧倒的な違いがあると、豊住氏は話す。
「よく『攻めの情シス』とも表現されるプロフィット部門の社内SEではITを積極的に取り入れているため、自社システムだけでなく外部システムも任されているケースがあり、企業内でIT投資が控えられたとしても、すぐに部門を縮小されにくい面があります。一方でコスト部門では人数自体も多くなく、IT投資が控えられると、コストカットされやすい。つまり、雇用の確保が難しくなります。」
では、エンジニアにとっての本当の意味での「安定」とは何か。豊住氏に話を聞いていくうちに、生き残れるエンジニアの条件が見えてきた。
type転職エージェント事業部 CS局 事業部長
豊住浩史氏
新卒で株式会社キャリアデザインセンターに入社。2年間の求人広告営業を経て、人材紹介の法人営業に。以来10年以上、IT業界とコンサルティング業界を主に担当し、国内/外資の大企業から設立間もないスタートアップ企業までと、幅広く転職者の支援を行う。途中、ミドル/ハイクラスの転職支援事業にも携わり、現在はIT業界、バックオフィス職のアドバイザー部隊の責任者を務める
豊住氏が「生き残れるエンジニアの条件」として挙げた一つが、ビジネス視点で物事を考えられることだ。
「プロフィット部門の社内SEであれば、売上を上げるためにITを考えなくてはなりません。一方で、コスト部門の社内SEでは、コストを削減することができればとても重宝されるでしょう。いかにして、会社の売上や利益に貢献するか。実際にそのような考え方ができる人は社内SEとして採用されやすいですね」
とはいえ、全てのエンジニアがビジネス視点で物事を考えられるかというと、そうではない。豊住氏も多くのエンジニアと面談してきた経験から、それができる人の割合を「10%程度」と推測する。
では、その10%になるためにはどのようにしたらいいのだろうか。豊住氏は次のように話す。
「自然とそれが身に付く環境に身を置くのが一番早いと思っています。その環境とは、プロフィット部門の社内SE。もうひとつが、クライアントに近い案件を持つSIerです」
プロフィット部門の社内SEは、自分達で売り上げにつながるサービスをつくっているため、自然とマーケティング視点を身につけられたり、数字に強くなる傾向があるという。
また、クライアントに近い案件を持つSIerでは、ITを使ってどのようにクライアントに貢献できるかを常に求められる。業務を通じて、そのクライアントの業界の動向などを観察することが、自然と身に付くのだという。
豊住氏がもうひとつの条件として挙げたのが、「自分のビジョンを持っていること」だ。
「『IT人材白書2016』によると、現在の日本のITエンジニア人口は113万人。しかし、子ども向けのエンジニア教育や、少子高齢化による外国人の受け入れ、IT人材教育などによって、エンジニア人口は増える可能性があります。一方で、日々進歩するIT技術により、問い合わせ対応などの簡単な業務はITに取って替わられ、エンジニアの働き口が減少する未来もあるかもしれません。そんな中でエンジニアとして生き残るためには、『求められるエンジニア』であり続けることが大事なんです」
豊住氏の考える「求められるエンジニア」。彼らの共通点が「こうありたい」という強固なキャリアビジョンを持っていることだ。
「今後も技術の変化からは脱却できないことは確実で、エンジニアは常に新しい技術をキャッチアップしていかなくてはなりません。では、どうしたら学び続けることができるのか。『自分はこうありたい』という強固なビジョンを持つんです。企業に依存するのではなく、自分が考える理想像に向かってまい進していくことで、周囲の環境変化を受けにくくなるんです」
求められるエンジニアであれば、企業から“選ばれる”立場から、企業を“選べる”立場になれるとも豊住氏は考えている。そうなれば、食いっぱぐれる心配はしなくてすむようになるはずだ。
常に猛スピードで環境が変わっていくIT業界。今日の常識が明日の非常識になる事だってありうるかもしれない。そんな環境でエンジニアとして生き残るために、ビジネス視点と強固なキャリアビジョンは身に付けておきたいところだ。
取材・文/佐藤健太 撮影/羽田智行(ともに編集部)
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