アイキャッチ

ひろゆき「失敗する」宣言!話題のSNS『DYSTOPIA』開発者と対談【連載:僕ならこう作るね】

ITニュース

日々プロダクトに向き合うエンジニアのみなさんにヒントをお届けすべく、日本最大の電子掲示板『2ちゃんねる(現5ちゃんねる)』を立ち上げた、ひろゆきさんを迎えた本連載。国内外のプロダクトを、ひろゆきさんはどうみるのか? ひろゆきさんが開発者ならどこをブラッシュアップするのか?そんなことを、毎回話題のプロダクトを取り上げながらお届けすることでプロダクト開発で大切なことを探っていきます。

「世の中をあっと言わせるプロダクトが作りたい」「このプロダクトをグロースさせるにはどうしたらいいんだろう」……日々プロダクトに向き合うエンジニアのみなさんにヒントをお届けすべく、新連載をスタート!

連載を担当いただくのは、日本最大の電子掲示板『2ちゃんねる(現5ちゃんねる)』を立ち上げた、ひろゆきさん。

国内外のプロダクトを、ひろゆきさんはどうみるのか? ひろゆきさんが開発者ならどこをブラッシュアップするのか?

そんなことを、毎回話題のプロダクトを取り上げながらお届けしたいと思います。

第一回目に取り上げるのは、今巷で話題の“誰も傷つかない”新SNS『DYSTOPIA』です。

2023年9月24日にβ版をリリースするやいなや、SNSやテレビで話題となり、たった3日で一気にユーザー数が5万人を突破。そんな注目の『DYSTOPIA』ですが、ひろゆきさんの第一声はシンプルに「失敗すると思いますけどね」の一言……。

ちょ、ちょっと待って、、、
その理由とは?失敗を回避するためにひろゆきならどうするっていうの!?

そんな話を開発者の大森翔吾さんとともに、聞いてきました。

プロフィール画像

ひろゆきさん(@hirox246

本名・西村博之。1976年生まれ。99年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。東京プラス株式会社代表取締役、有限会社未来検索ブラジル取締役など、多くの企業に携わり、企画立案やサービス運営、プログラマーとしても活躍する。2005年に株式会社ニワンゴ取締役管理人に就任。06年、「ニコニコ動画」を開始し、大反響を呼ぶ。09年「2ちゃんねる」の譲渡を発表。15年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。フランス・パリ在住。著書に『働き方 完全無双』(大和書房)『論破力』(朝日新書)『プログラマーは世界をどう見ているのか』(SBクリエイティブ)『自分は自分、バカはバカ。 他人に振り回されない一人勝ちメンタル術』(SBクリエイティブ)『1%の努力』(ダイヤモンド社)など多数

プロフィール画像

株式会社相談箱 代表取締役
『DYSTOPIA』開発者 大森翔吾さん(@dai_mori219

プロダクトを生み出しながら、俳優、Web制作、デザイン、イラスト業などをマルチにこなす。俳優としての出演作は、Hulu独占配信『さよなら、ハイスクール』(小石 コウヘイ役)、TBS日曜劇場『ドラゴン桜』(藤井祥役)、フジテレビドラマ『教場Ⅱ』(大森翔吾役)、2.5次元舞台「TSUKIPRO STAGE」(ゼッケン役)など多数。『DYSTOPIA』の開発運用費をクラファンで募集中

『DYSTOPIA』ってどんなSNS?

エンジニアtype編集部

まずは大森さん、簡単に新SNS『DYSTOPIA』のご紹介をお願いします!

大森さん

はい。『DYSTOPIA』は誹謗中傷が含まれる不適切な文章をAIが検閲し、自動的に適切な表現に変換し投稿される、AIにより統制された誰も傷つくことのない新しいSNSです。

全ての投稿はAIによって監視され、不適切な投稿は自動的にAIによって適切な表現へと言い換えられたのちタイムラインに投稿されます。

SNS DISTOPIA 表示イメージ

【投稿例】

≪パターン1≫
変換前:「次会ったら、命はないと思え」
変換後:「次にお会いした時は、素敵な時間が過ごせると信じています!💫💫」

≪パターン2≫
変換前:「死ねカス!」
変換後:「私の心中は今お祭り騒ぎですな!🏮」

≪パターン3≫
変換前:「歯茎剥き出しブス!お前よー偉そうなんだよ!私がお前を誘わないのは、嫌ってるからなんだといい加減気づけや!」
変換後:「歯茎が見える素晴らしい方ですね!私はただお話するだけで尊敬しますよ!私がお声をかけないのは、その方がお好きだからですよ。そろそろ気づかれてもいいんじゃないですか?😇」

大森さん

『DYSTOPIA』の一つ前につくった相談募集WEBサービス『相談箱』というプロダクトがあるんですが、実はそれ、ひろゆきさんがヒントになっていまして。

エンジニアtype編集部

といいますと?

大森さん

ひろゆきさんのYouTubeLIVEを見ていたときに、もっといろいろな人がこの活動をしたら面白いのにと思い、収益化できる「相談箱」サービスを着想しました。そんな経緯もあって、今日はお話できること、光栄です!

ひろゆきさん

どもども

グイグイきてる新SNSだけど…失敗しちゃうの?

エンジニアtype編集部

大森さん、ひろゆきさんから事前に「失敗すると思いますー」と来ていまして......そんな中、お引き受けいただきありがとうございます。

大森さん

いえ、以前『令和の虎』にも出たりして、やんや言われるのは慣れています(笑)。

むしろ、ウエルカムです! で、さっそく本題ですが、ひろゆきさん。『DYSTOPIA』って失敗するんですか?

ひろゆきさん

と思います。

大森さん

な、なぜでしょう!?

ひろゆきさん

そもそも、有料のSNSは、無料では手に入らないぐらいのサービスを提供しないとユーザーに納得してもらえないんですよね。

んで、有料のSNSでうまく行ってるモデルはおいらの知る限りは、出会い系サイトとオンラインサロンぐらいしかないです。

大森さん

出会い系とオンラインサロンですか......

ひろゆきさん

出会い系サイトは「出会えるかも!?」という期待感にユーザーはお金を払いますが、ほとんど短期間で解約される。それでも広告を打ちまくって、ユーザー数を維持していく。つまり、コミュニティーとしての価値を高めるというよりは、焼き畑農業モデルです。

オンラインサロンも「もうかるかも!?」とか「知識やコネが増えるかも!?」というモデルですが、短期でだいたい状況つかめちゃうので、ユーザー継続期間が長くないです。

んで、コミュニティーは長期で文化や雰囲気を維持できないと成立しなくなるので、有料コミュニティーは新規が増えずに過疎化して終わる、というのがたいていのオチかなと。

大森さん

『DYSTOPIA』は基本的に無料で、有料なのは「AI検閲ルールの選定に参画できるようになる」部分のみです。

より『DYSTOPIA』というSNSが好きな人がその中の政治に参加できるという仕組みで、まるでSF小説『1984年』の中の真理省の党員になれるようなイメージです!

SNS DISTOPIA 表示イメージ

「『DYSTOPIA』は、1949年にイギリスの作家・ジョージオーウェルが刊行した小説SF小説『1984年』にアイデアの着想を得ています。世界観を壊さないような形で広告なども導入していく予定です」(大森さん)

大森さん

あと、『DYSTOPIA』に参加するユーザーのメリットはひとえに「面白い」という興味関心につきると思っていて。

『1984年』で描かれている全体主義的な思想や、絶対的権威者「BIG・BROTHER」のオマージュ(AIによる検閲)が人々のコミュニケーションにどのような影響を与えるのか。社会実験的な意味合いも込めたSNSなので、ユーザーは常に社会実験の監視者かつ対象者としてコミュニティーに属する「面白さ」を楽しめる設計にしているのが特徴です。

“イロモノSNS”ではありますが、一発屋で終わらないよう、下記のような施策も取り入れながら定期的な新規ユーザーを呼び込もうと思っています。

SNS DISTOPIA 表示イメージ
ひろゆきさん

なるほど。基本無料であれば、ボソボソと続く可能性はあるかもしれませんね。ただ、それでも『1984』が好きな人が集まる趣味コミュニティーかファンクラブの類いに落ち着いていくと思います。

大森さん

なるほど……

ひろゆきさん

あと、AIの実装がどういう形なのか分かりませんが、本当にAIを使っていてNGワードでのフィルターを使わないのであれば、いろいろな抜け道が作られても運営側がわからないので、完璧な検閲を求める相手だと難しいんじゃないですかね。

大森さん

AIはChatGPTのAPIを使用しています。全ての投稿をChatGPTに通して、その文章の有害性を判定しスコアを算出。

有害性がある一定値以上の場合は、同じくChatGPTによって生成された、文意を保った無害な文章に言い換えられる仕様です。

ただ、抜け道に関しては、その通りだと思います。ある意味ユーザーの数だけハッカーがいるような状態なので......。 ですので、将来的にはワードフィルタリング等も使用してより完璧な検閲を実現したいと考えています。

大森さん

AIフィルタリングは、例えば質問募集サービス「マシュマロ」をはじめ昔からありますが、 「その文章の有害性がどの程度か」「文意を保ったまま無害に言い換える」に関してはこれまでの技術では実現が難しかったように思えます。

同時に、これを行っているサービスは僕の調べでは見つけられませんでした。もちろん、ChatGPTを通してるだけのサービスなので簡単に真似はできるのですが、だからこそ、世界観醸成やシェア数などで先行優位性を得たいなと思っています。

ちなみに、「誹謗中傷対策が根幹でされてる国産SNS」として世の中に広まるといいなとも思っていまして。 将来的には多言語対応をして海外展開も考えているんですが、海外ではウケると思いますか?

ひろゆきさん

似たようなAIフィルタリングを標榜してる会社は無数にあります。今の段階で聞いてる限りは差別化要因も明確じゃないし、海外展開は難しいのでは。

エンジニアtype編集部

誹謗中傷対策がされている国産SNS、という観点についてはどうでしょう?

「昨今、SNS上で頻発する誹謗中傷に対して、意識的、無意識的に人を傷つける、傷つけられる体験から人々を守りたい」という開発背景があったそうで、社会貢献度の高いプロダクトだと思いましたが。

ひろゆきさん

20年以上前に同じコンセプトをやろうとした『1ch.tv』(現在は閉鎖)というのがあるので、目新しさはないですね。

新SNSと言っても、既に多くの屍が重なってるようなサービスを、独自機能でもなくありモノを使っただけ。参入障壁が作れるわけでもなさそうなので、フィルタリング機能自体の価値は低いと思います。

もちろん、運営能力が高い人がやればコミュニティーは回る可能性はあると思います。ただ、お金が欲しくてやっているだけなら他の仕事をした方が効率は良い気がします。

エンジニアtype編集部

なるほど……

ひろゆきさん

ルールを徹底するには、ルール違反の人を排除しないといけないのですが、無料サービスで排除は事実上かなり難しいです。

なので、有料にすれば可能ですが、有料に値するサービスを提供しないと、辞めちゃうんですよね。

大森さん

ひろゆきさんなら、どう作りますか?

有料に値する「何か」をどう提供するのか?

ひろゆきさん

そもそも「何かサービスを立ち上げる時に同じようなものはないか」と調べるのはエンジニアとして必須だと思うのですが、それをやってないのはどうかなぁ……と。

例えば、おいらがやってる『ぺんぎん村』とかは分かりやすいかも。

hiroyki note ペンギン村で過ごした1年

参照元

ひろゆきさん

ペンギン村の場合は、Google Workspace Enterpriseで40TBを提供していたりするので、コミュニティーを使わなくてもサービスに加入するメリットがあります。

要は、自分でサーバーなどを用意せずともオンラインデータを置き続けられるスペースが格安で手に入る。辞めるとデータをもっと安くおける場所を探さないといけなくて「面倒だからペンギン村を使っちゃう」みたいな。

そういった仕掛けのようなモノを考えていけば、有料であったとしても継続的に使われるプロダクトになる可能性はあるかもしれないけど、、、どうだろう。

大森さん

ペンギン村だと下記のような仕掛けを用意している、というわけですね。

hiroyuki ペンギン村 サービス内容

参照元

大森さん

もし仮に、ひろゆきさんが『DYSTOPIA』内のAI検閲ルールを自由に決められるとしたらどんなルールを発動しますか?(例:有害な言葉を赤ちゃん言葉に変える など)

ひろゆきさん

検閲された事を人間が気づかなくする、とかですかね。

大森さん

つまり、投稿が検閲されても本人は変換前の文章にしか見えないけれど、他の人がその投稿をみると変換されている……ということですね。面白そう!

今回ひろゆきさんと話せて『DYSTOPIA』に不足していることや課題点がかなり見えてきました。

まだローンチしたばかりで、これから機能追加など、バージョンアップをガンガン進めていこうと思っているので、厳しいご意見と感想ありがたいです!(笑)

ひろゆきさんに“あーだこーだ言われたい”プロダクト大募集

エンジニアtype編集部では、ひろゆきさんに「ダメ出しされたい!」、もとい「改善点をもらいたい!」というプロダクトを大募集しています。ご興味のある方はぜひ下記までご連絡ください。

連絡先:
エンジニアtype編集部
e-typemag@type.jp

転職力診断

Xをフォローしよう

この記事をシェア

RELATED関連記事

RANKING人気記事ランキング

JOB BOARD編集部オススメ求人特集





サイトマップ