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2024年の転職は「技術が遅れ気味」企業が狙い目? エンジニア採用トレンドを高野秀敏が解説【後編】

ITニュース

勢いが止まらない生成AIの進化。だが、そんなテクノロジーを支えるIT人材の不足は深刻さを増している。そのため、近年はエンジニアの売り手市場が続いてきた。

しかし、誰もがスムーズに理想の転職を実現できるわけではないのも事実。2024年に転職を考えるエンジニアはどんな行動や考え方を意識していくとよいだろうか。

前編】に続き、企業経営や人材採用の動向に詳しい株式会社キープレイヤーズ代表取締役の高野秀敏さんに解説してもらった。

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株式会社キープレイヤーズ
代表取締役
高野秀敏さん(@keyplayers

1999年に株式会社インテリジェンス入社。2005年に株式会社キープレイヤーズ設立。これまでに1万1000人以上のキャリア面談と、4000人以上の経営者の採用相談にのる。投資した企業は55社以上にのぼり、うち5社が上場

狙い目は、技術が遅れている収益性の高い企業

ーー2024年、転職する上でエンジニアが大切にしておくといい行動や考え方はあるでしょうか?

一般的にエンジニアは、求人票など外部から調べられることを調べ尽くしてから、自分がフィットすると思う会社に転職する傾向がありますよね。逆に、ビジネス系職種の人は「まずは社長に会ってみたい。会ってみないと分からない」と考える人が多い。エンジニアも、こうしたビジネス職の視点も取り入れるといいでしょう。

「無駄なことはしたくない」という人にとっては抵抗があるかもしれませんが、人との出会いで思わぬことが起きるものです。

ーー情報だけで判断するのではなく、興味をもったら異業種の人に会ってみるなど、人との出会いが転職につながる可能性もあるということですね。

多くのエンジニアは「優秀なCTOと働きたい、技術に強みをもつ企業に転職したい」と考えていると思います。しかし、技術に詳しくない企業だからこそエンジニアがやるべき仕事がたくさんあり、自分の存在価値が高まるとも言えますよね。

そこで持つと良いのが、「技術が遅れているが収益性が高い企業を探す」という視点です。ブルーカラー業界にはそうした企業が多くあります。例えば、タクシー会社(ドライバー職)のマッチング事業など、IT化は遅れているけど市場規模が大きいところが狙い目です。

また、業界を問わずエンジニア採用に苦戦している企業が多いので、エンジニアのリクルーティングに強く、採用に協力的なエンジニアが求められています。

人事は開発経験を持たないので、エンジニア宛のスカウトメールを詳しく書くことはできません。エンジニアがスカウトメールを書いた方が、確実に返信率が高いでしょう。

しかし、「採用の仕事は面倒だから関わりたくない」というエンジニアが多いのも事実。だからこそ、採用活動に興味をもって採用にも携わってくれるエンジニアは、非常に重宝されます。

ゆるいつながりが、転職や給与アップに役立つことも

ーー自社プロダクトを提供しているエンジニアの給料水準が上がることはイメージできるのですが、例えば中堅SIerやSESで働いているエンジニアの方は、どのように年収アップを実現すればよいでしょうか?

転職の場合、面接時のパフォーマンスや企業側の需要によって、評価されれば年収アップの可能性がありますよね。アピールのうまい人であれば、実際の市場価値よりも高い給料をもらっているケースさえある。転職に成功している知人に、どう自己アピールをしているか聞いてみるのも一つの方法です。

そのためにも、まずはエンジニアの知り合いを増やすことが大切です。SESで働いているのであれば、同じようにSESで働くエンジニアの知り合いを増やすとよいでしょう。

ーー生成AIを活用して職務経歴書を作成するエンジニアも増えていきそうです。そうなると、例えば「どの職務経歴書も似ており企業側が判断しづらくなる」などの課題は出てくると思われますか?

職務経歴書をChatGPTに書いてもらうと、体裁は整いますが無機質ですよね。ChatGPTを活用したからといって良い職務経歴書になるわけではなく、むしろオリジナルで書いた部分との差が際立つだけだと思います。

決裁者が一番知りたいのは、そのエンジニアが関わった開発によって、どんな結果が出たか。人的コストが下がるのか、何かのスピードが上がるのか。プロジェクトでの役割やどのようなアウトプットが出たのかが明確になっていれば、職務経歴書の作成手段は問われないと思います。

エンジニア採用の難易度アップと共に、スカウトなどのダイレクトリクルーティングの比率はどんどん上がっています。職務経歴書のブラッシュアップへの注力は大事ですね。

ーーエンジニアの年代による転職活動の違いはありますか?

20代の方は社会人歴が浅いため人脈が少ないので、求人サイトや転職エージェントを活用する人が多いですね。30代、40代と年齢を重ねるに連れて、これまでの仕事でのつながりを生かしたリファラルのような転職が増えてくると思います。

もちろん若い方であっても、自ら情報発信をすることによって声がかかることもあります。全ての年代に言えることですが、さまざまな人とゆるいつながりをつくっておくことで転職の選択肢は広がるでしょう。

23年から引き続き、エンジニアにとって超売り手市場にも関わらず、より良い報酬や環境を求めて転職活動を行うエンジニアはまだまだ多くはありません。【前編】で触れた“中田敦彦力”を磨いてどで情報を発信しつつ、声がかかる、あるいはニーズのありそうな企業や組織を見つけたら、食わず嫌いをせずに一旦話を聞いてみる。そんなエンジニアが24年も良い転職やチャンスに恵まれると思います。

取材・文/久保佳那 編集/玉城智子(編集部)

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