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スイカゲーム開発者がギネス世界記録達成™︎!話題を生むための発想の原点とは?

ITニュース

照明一体型プロジェクター『popIn Aladdin(ポップインアラジン)』。
愛らしいUIのフルーツを合体させるパズルゲーム『スイカゲーム』。
そして、年末に「アメトーーク!」番組内の家電芸人コーナーに取り上げられたことでも話題の、乗るだけで無意識に体重管理ができる『スマートバスマット』。

ポップインアラジン スマートバスマット スイカゲーム

これらを生み出したのは、のプロダクト開発者でありシリアルアントレプレナーの程 涛(テイ・トウ)さん。

程さんは一昨年にポップインアラジンを開発するpopIn株式会社を売却し、現在は東大ベンチャー・issin(イッシン)の代表となり、新たなプロダクト開発にまい進中だ。

そんな程さんが次に仕掛けるのが『Smart 5min(スマートファイブミニッツ)』。

issin スマートファイブミニッツ

生き生きした毎日を送りたい全ての人のための、朝の5分で運動習慣が定着する、心拍数連動オンラインエクササイズサービス『Smart 5min(スマートファイブミニッツ)』。腕に専用のIoTベルトを巻いて、毎朝5分のオンラインエクササイズをする最新ヘルステックだ。

2024年1月14日、Smart 5minの開発チームが挑んだ「オンラインエクササイズ同時接続者数のギネス世界記録™︎」のイベントにお邪魔し、程さんにヒットプロダクトを生み出す極意を聞いた。

プロフィール画像

issin株式会社
代表取締役社長
程 涛さん

1982年、中国・河南省生まれ。東京工業大学卒。シリアルアントレプレナー(連続起業家)。2008年、東京大学情報理工系研究科創造情報学専攻の修士在学中に、研究成果のpopInインタフェースを元に、東大のベンチャー向け投資ファンド「東京大学エッジキャピタル(UTEC)」の支援を受けて、東大発ベンチャー popIn株式会社を創業。15年に中国検索大手のBaiduと経営統合、2017年に世界初の照明一体型3in1プロジェクター『popIn Aladdin』を開発し、21年12月、シリーズ累計販売台数25万台を突破し異例のヒット商品となる。同年12月にNintendo Switch™ソフト『スイカゲーム』を発売、現在500万DLを突破し大ヒットゲームとなる。21年4月、issin株式会社を創業。2022年8月、popIn株式会社代表を退任。2022年4月、日常生活に溶け込む体重計『スマートバスマット』をリリース

原点はいつでも「家族のため」

ーー生み出すプロダクトが次々にヒットを飛ばしています。その発想の原点はどこにあるのでしょうか?

程さん

私の場合は、「身近な人のため」がいつでもプロダクトのアイデアにつながっています。

スマートバスマットは父が病気を患い、体重が減ったことがきっかけで「もっと早い段階から体重の減少に気付ければよかった」という後悔がきっかけになりました。

ポップインアラジンも、スイカゲームもそうです。私の妻や子どもたちの生活を明るくするもの、便利にするものはないかという気持ちが出発点です。

ーーご家族のために、という気持ちからプロダクトが生み出されているのですね。とはいえ、多くの人から「これが欲しかった」と共感を集めたり、購入してもらえたりするプロダクトへ転嫁させるには工夫が必要です。発想力を鍛えるために日頃行っている工夫はありますか?

程さん

突飛なことはしていません。とにかくプロダクトをユーザーに使ってもらって、その使用具合を観察しては課題をつぶしていく。そんなことをひたすら繰り返しています。

私は家族起点でプロダクトを発想するので、まず最初に使ってもらうのも家族です。中でも妻は毎回、一番最初のユーザーになってもらっています。

スマートバスマットも数十の試作品を作り、家中のいたるところにプロトタイプを置きました。30か所以上は置いたかな。

ーー30か所も!?

程さん

はい。浴室だけでも数か所置いて、どの位置なら毎日無理なく使ってくれるのかを試しました。すると面白いことが分かったんです。

ーーどんなことが分かったのでしょう?

程さん

バスマット近くのスペースに置いた体重計には案外乗らない。たった数センチ先の板に一歩踏み出すことさえ人間は面倒くさいのだと分かりました。

じゃあ必ず踏むであろうバスマットを体重計にしてしまえば「体重計に乗る」行動が達成できるんじゃないかと考えたんです。

ーー確かに。我が家もバスマットのすぐ側に体重計を置いていますが「乗ろう」と意識しなければ乗りません(笑)

程さん

家族だと、説明なしに使用感を観察できるのもいいんですよね。ある日突然ポンっと家にプロダクトを置いてみて、彼らの素の反応や使い方を見る。そうすると、どこに課題があるか分かりやすいんです。

ーー程さんの開発する製品はグローバル展開されています。海外企業、日本企業どちらの組織にも身を置いてきたご経験から、海外でもヒットするプロダクトを日本で生むために必要なことは何だと思いますか?

程さん

グローバル市場に展開する想定で開発をスタートするといいと思います。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、案外できている企業は少ないのではないでしょうか。

あとは「グローバル向け」だからと気を張る必要もありません。例えばスマートバスマットを米国で売りたいと思えば、米国のお風呂場はどんな仕様になっているのか、どんな使われ方をしているのかを知る必要があります。でも、気合を入れてリサーチせずとも、例えば米国に住む友人や留学生にお風呂場の写真をたくさん送ってもらえばいい。そうでなくても、ネットでいくらでも画像検索できますよね。

その後は、現地の情報をもとにプロトタイプを作ってみて、実際に米国の友人や協力者に製品を送り、がんがん使ってもらうんです。そこから出てきた意見や反応をみて、試作を改善しまくる。

大それたことじゃないけれど、こうしたひと手間をやれるかどうか、行動に移せるかどうかが大事なのかなと思います。

ーー企業で働くエンジニアの場合、いざ動こうとするとやれ承認が必要だ、予算が降りない、どうマネタイズするなど、思うように実行できないケースもありそうですが……。

程さん

私も大きな組織に属していたことがあるので分かります。おすすめは、簡単なものでいいので「まず作って見せる」ことです。事業計画やプロダクトの仕様を資料で伝えても、なかなかその魅力や価値は伝わりません。段ボールとセロテープで作ってもいいんです。動くものを見せると一気に納得感が醸成される場面を多く見てきました。

あとは、エンジニアだけでなく、営業やマーケター、PRとも積極的にコミュニケーションを取るといいと思います。なんなら僕の場合は、技術畑の上司より先に他部署のメンバーにプロトタイプを使ってもらうことも。そこでいい反応が得られれば、そうした周りの声が上司や会社を動かすことだって大いにあります。

『Smart 5min』でギネス世界記録™︎を達成

程さんが今注力しているのは、たった5分で心拍数連動エクササイズができる『Smart 5min』の開発だ。

Smart 5minは、程さんが代表を務める東京大学発のヘルスケアスタートアップ・issin株式会社で開発しているヘルステック製品。「気が向いた時にスマートバンドをパチンとつければ、器具や特別な場所がなくてもエクササイズを始められる」のが特徴だ。

健康維持・増進を支援を目指すissinは、より多くの人が運動習慣を始めるきっかけを作ることを目的に、新年の目標を立てる時期としてふさわしい1月14日(日)に、オンラインエクササイズ同時接続者数のギネス世界記録™︎に挑戦。

当日は記録樹立に必要な標準記録である1,500人を上回る1,892人がオンラインエクササイズのライブ配信に同時接続し、​​ギネス世界記録™︎として認定された。

issin スマートファイブミニッツ ギネス達成
issin スマートファイブミニッツ ギネス挑戦中2
issin スマートファイブミニッツ ギネス挑戦中

プロダクトの認知を上げるため、グロースさせるために「小さな行動からでいい。まずは実行に移してみること。やれることは沢山あるはずです」という程さんの言葉通り、このギネス樹立もプロダクトグロースに向けた施策の一つなのだろう。程さん率いる開発チームが次はどんなヒットを生み出すのか、目が離せない。

*1 正式記録名:「Most live viewers of a fitness workout video on YouTube/YouTubeでフィットネスワークアウトビデオのライブ配信を視聴した最多人数」

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