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「2025 年、いままでのSIerは滅びる!」迫り来るIT革命を生き延びるために身に付けなければいけない、エンジニアにとっての“付加価値”とは?

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    「2025 年、従来型のSIer は滅びると考えています」

    そう話すのはコーディング不要のシステム開発基盤『OutSystems』を日本国内で販売するBlueMemeの代表取締役、松岡真功氏だ。

    松岡氏はこの『OutSystems』のように、大規模なシステムを少ないチームで開発できる“コードレス開発”の仕組みが現れたことで、2025年にはIT業界を揺るがす革命が起きると考えている。

    「この革命によって、仕様書の内容をただコード化するだけという仕事は大幅に減少します」(松岡氏)

    松岡氏がそのように考えるのはなぜか。そして、革命を経てもなお生き残るエンジニアとはどのような人たちなのだろうか。

    (左から)朱未(しゅ・み)氏、松岡真功(まつおか・まさのり)氏、 山田政徳(やまだ・まさのり)氏

    (左から)朱未(しゅ・み)氏、松岡真功(まつおか・まさのり)氏、 山田政徳(やまだ・まさのり)氏

    “コードレス開発”の実態とは? 数人で大規模システムを作れる時代の到来

    そもそもコードレス開発とは一体どういったものなのだろうか。まずはその実態を松岡氏に聞いた。

    「一言でいうならば、“プログラミング言語によるコーディングを一切行わずに、システムを作り上げるための仕組み”です。『OutSystems』を利用すれば、JavaやC#などのコードを一切書くことなく、完全に自動でアプリケーションの生成が可能になるんです」(松岡氏)

    とはいえ、モデル駆動型開発、RAD(ラピッド・アプリケーション・デベロップメント)、超高速開発など、プログラミングの知識なしに開発を行うための手段はこれまでにも存在した。呼び名の由来や定義はさておき、『OutSystems』はこれまでのコードレス開発とは何が異なるのだろう。

    松岡真功氏

    「『OutSystems』の最大の特徴は、ビジュアルモデリングと呼ばれる開発手法です。ロジックを文字ではなくマウスでドラッグ&ドロップしながらフローチャートを描くだけで、画面を見ながら直感的に作りたいシステムを作ることができるんです。また、ワークフロー、画面設計、業務ロジック、データベース操作等の様々な複雑な処理を一貫して行えるほど柔軟性が高いことも特徴の一つです」(松岡氏)

    ポルトガル生まれの『OutSystems』は、今や軍隊やアクサ生命、フォルクスワーゲンなどが導入しており、顧客企業は25カ国で 600社以上に及んでいる。松岡氏はこのように『OutSystems』が随所で受け入れられた理由についてこう語る。

    「そもそも企業経営者がシステムの導入にあたり期待しているのは、ビジネスの効率化です。それにも関わらず、これまでシステムの開発プロセスはあまりにも非効率だった。これで良いはずがないんです」(松岡氏)

    松岡氏がビジネスを成功させる上で最重要であると考えているのが開発のスピードアップ。その点において『OutSystems』がいかに優れているのか、執行役員兼プロフェッショナルサービス部部長を務める朱未氏が補足する。

    朱未氏

    「お客さまから『こういうビジネスを展開するんだけど、こういうシステムを作れないかな』と相談されることがあります。以前なら、一度会社に持ち帰って、時間をかけて分析をして、仕様を考え抜いて答えていたものを、『OutSystems』があれば、その場で『こういう感じになります』と提示することができるんです」(朱氏)

    また、プロフェッショナルサービス部のマネジャーでセールスエンジニアを務める山田政徳氏もさらに言葉を重ねる。

    「採用活動の一環で学生向けに行ったデモンストレーションでは、『OutSystems』を使った開発を披露しました。『こういったシステムを作るのに、どれくらい時間がかかると思うか?』と尋ねてみたところ、ほとんどの学生は数カ月~1年かかるだろうと予測していました。しかし、『OutSystems』はそれをものの10分で完了させてみせたんです」(山田氏)

    コードレス開発によってSIerへの需要が減少する? その根拠は“工数削減”にあり

    松岡氏によれば、コードレス開発の波は2020年までに一定の水準まで浸透するはずだという。これまで企業のシステムは、IT投資の実情も踏まえつつ、約5年周期で大きく変化してきた。次に来る周期が2020年だとすれば、その次は2025年。この時には、大多数の開発現場や運用保守現場に浸透していると見て間違いないというわけだ。

    それでは、松岡氏が予測する大きな革命が実際に起こったとき、これまで開発に携わっていたエンジニアには、どのような影響が出てくるのだろうか。

    「まず『詳細に書かれた仕様をコード化するだけのプログラマー』はいなくなるだろうと思います。また、『OutSystems』 を使えば一人でもシステムを開発できてしまうので、単純に工数の負担を売りにしていたようなSIerの需要はなくなるのではないかと感じています」(松岡氏)

    現在ITを生業とする企業の多くがSIerだ。松岡氏の読みが正しいとすれば、限定的であるとはいえ、その一つの事業への需要が大きく減少するというのは紛れもなく革命と言えるであろう。さらに松岡氏は、マネジャーという役割にまで影響が出るだろうと続ける。

    「工程管理やコスト管理など、マネジメント業務のベーシックな部分も、やがてはソフトウェアが人よりも正確かつスピーディーにこなすはず。そうなればエンジニアには、今よりもっと企業経営陣のパートナーとして、よりビジネスの発展に貢献できる働き方が求められるようになります」(松岡氏)

    では、2025年以降も存在価値を発揮し、市場からのニーズを獲得し続けるエンジニアであるためには、どのようなスキルが必要となるのだろうか。

    2025年のIT革命を生き抜くエンジニアとは?

    松岡氏によると、2025年のIT革命以降、世の中から必要とされるエンジニアは二極化するという。一つは『OutSystems』のようなシステムを作るためのシステムを開発できるエンジニア、そしてもう一つは、そういったシステムを使いこなせるエンジニアだと語る。

    システムを作るためのシステムを開発できるエンジニアについては、確かな技術力をもって『Outsystems』のような汎用性の高いシステムを作れる人材が生き残ると確信する松岡氏。そしてシステムを使いこなすエンジニアには以下のようなスキルが必要だと続ける。

    「現在の一般的な開発工程で当てはめるとすれば、いわゆる最上流工程を担うエンジニアです。ユーザー(クライアント)の業務体系をきちんと理解したうえで、それをシステムの仕様に合った形に設計できるエンジニアがこれまで以上に強く求められるようになると思います」(松岡氏)

    また、『OutSystems』のフォーマットへと的確に落とし込むスキルは、コードレス開発を行う上で必須だと山田氏は語る。

    山田政徳氏

    「『OutSystems』のようなコードレス開発を行う場合、相手は機械です。だから今までのように、上流工程でフワフワした設計方針しか立てなくても、下流のプログラマーが融通を利かせ、技術をやりくりして形にしてくれる、なんてことはありません。優秀な機械が本来の働きを示すには、きちんと指示を出してあげることが必要なんです」(山田氏)

    そういったスキルを持ったエンジニアこそが、 付加価値を持ったエンジニアとして活躍していくだろうというのが松岡氏の見解だ。そして、スキルを磨くための方法として、山田氏は以下のように続けた。

    「今、エンジニアにできることがあるとすれば、可能な限りお客さまと直で向き合う場面を手に入れていくことだと思います。どんどんお客さまのところに足を運んで、ビジネスの感覚を磨かせてもらうことが、付加価値を生み出す近道ですね」(山田氏)

    最後に松岡氏は“2025年以降も生き抜く”ための第一歩として、こう話した。

    「とにかくトライ&エラー。最適解を求めて考え込む時間があったら、ひたすらトライをしていく。そうしないと、2025年はあっという間にやってきますよ」(松岡氏)

    取材・文/森川直樹 撮影/小林正

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