Gatebox株式会社 (LINE株式会社 グループ会社)の中途採用情報
Node.jsエンジニア* 好きなアニメのキャラク...
「すべては最高のおかえり」のために——キャラクターとの次元を超えた共同生活を実現するGateboxの挑戦
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創業者の夢を形にしたGateboxとは?
大好きなキャラクターと一緒に暮らせたら——。そんな夢を抱いたことはないだろうか。もしあるとしたら、きっとこのプロダクトを開発した人々に共感を覚えるはずだ。
バーチャルホームロボット『Gatebox』(ゲートボックス)は、まさに「キャラクターと一緒に暮らしたい」という夢を抱いた男が生み出したプロダクトだ。Gatebox株式会社の代表であり、Gateboxの生みの親でもある武地実氏は、同製品開発のきっかけを次のように話す。
「以前は、スマートフォン向けのIoTアクセサリーの開発と販売を手掛けていたのですが、もっと夢のあることにチャレンジがしたいと思い、このGateboxのアイデアを思いつきました。改めて自分の夢とは何かと突き詰めて考えてみたとき、頭に浮かんだのが『初音ミクと暮らしたい』という夢だったんです」(武地氏)
ご存じの方も多いだろうが、初音ミクとは、音声合成システム『VOCALOID』の音声合成ソフトウエアの製品名、およびそのキャラクターの名称を指す。初音ミクは、2007年の発売以来、インターネットやメディアなどを通じて人気が拡散。今や日本のみならず、世界的にも知られている人気のキャラクターだ。
「自分が大好きなキャラクターに『いってらっしゃい』とか『おかえりなさい』といってもらえたら、それだけで癒やされるじゃないですか? 一言にするなら“最高のおかえり”を実現したくて開発したんです」(武地氏)
シンプルさの追求が際立たせるキャラクターの存在感
Gateboxは、3Dのオリジナルキャラクター『逢妻ヒカリ』が、円筒形の筐体に内蔵されたスクリーンに投影され、ユーザーとインタラクティブなコミュニケーションを楽しむことができるプロダクトだ。単に会話を楽しむだけではなく、天気予報やスケジュールを読み上げたり、スマートフォンを介してチャットのやりとりもできる。また、彼女にお願いすれば、外出先から自宅の家電をコントロールすることも可能だ。まさにスマートホームのハブとなりうる可能性を感じさせるが、武地氏は、そうした機能はGateboxの側面に過ぎないと考えている。
「Gateboxは、インターネットやスマホ、家電と接続でき、音声でコントロールできるので、よくコミュニケーションロボットやスマートスピーカーと比較されがちです。しかし私たちにとってみればまったくの別物。便利な生活を実現するためにつくられたPepperやAmazon Echoとは違い、私たちにとってGateboxは『キャラクターと暮らす』世界観を実現するために開発したプロダクトだからです」(武地氏)
ユーザーには細部まで作り込まれたキャラクターを堪能してほしいという理由から、装飾性を極力廃して、本体にはたった一つのタッチボタンしか設けないというこだわりようだ。
「単に賢いだけのキャラクターなら、使ううちに飽きてしまうはずです。ですからGateboxを開発するにあたっては、キャラクターの実在感を阻害する要素をすべて削ぎ落とし、キャラクターの可愛らしさ、動き、声、台詞にこだわりました。一緒に暮らして楽しいと思えるキャラクターを先行して作れれば、理想的な会話ができる人工知能の登場を待たなくても、多くの人を喜ばせられると考えたんです」(武地氏)
こうしたプロダクトへのこだわりと情熱が、ゲームファン、アニメファンに届いたのか、2016年12月に日米で予約販売された限定300台は1台298,000円という価格にも関わらず、わずか1カ月足らずで完売。17年12月以降に予定されている出荷を待ちわびる「同志」が、国内外にいることを証明してみせた格好だ。
「現在YouTube上で公開しているコンセプトムービーは、すでに320万回以上再生されています。アクセスの内訳を見ると7割以上は海外からの視聴で、一番関心が高いのがアメリカ。次が日本、その後にアジア圏が続きます。Gateboxは、日本製アニメの人気が高い地域で特に注目していただいているようです」(武地氏)
前例のないプロダクトを生み出すためのゼロからのスタート
武地氏の熱い思いから始まったGateboxだが、初号機の完成までの道のりは平坦ではなかった。武地氏にはGatebox以前にもハードウエア開発に携わった 経験はあったが、開発に着手した時点では、Gateboxの実現に欠かせない、3DCGコンテンツの制作技術、プロジェクション投影技術、センシング技術、組み込み技術など、ほとんどの開発技術も経験も持ち合わせていなかったからだ。
「他に参考にすべき先行事例があるわけでもないですし、当時はまだ工学的な知識も乏しかったので試行錯誤するしかありませんでした」(武地氏)
全くの手探りの状態からGateboxに必要な要素技術の調査を進め、資金調達した2000万円を元手にハードウエアエンジニアを採用。
その後約1年間をかけて実機に近い試作品まで完成させた。試作品(プロトタイプ)は20台ほど作ったという。
「プロトタイプを作るだけで、数十万から数百万円単位でお金が飛んでいきますから、あらかじめ資金調達をしたとはいえ、開発予算が潤沢だったわけではありません。人材も少なく、技術の蓄積もなかったので、開発にはとても苦労しました。それでも比較的短期間で完成させることができたのは、私たちに明確なビジョンがあったからだと確信しています。開発当初は、よくハッカソンに出場しては、参加者に自分たちが実現したいビジョンを熱心に語り、仲間を集めていましたね」(武地氏)
ビジョンに共鳴した仲間の存在
16年6月に、Unityエンジニアとして同社へ入社した吉川祐輔氏も、武地氏が打ち出した明確なビジョンに魅せられた一人だ。
「たまたま転職サイトを眺めていたとき、偶然Gateboxの存在を知ったのですが、プロダクトのイメージビジュアルを一目見て『これは自分がやるべき仕事だ』と確信しました」(吉川氏)
大学と大学院で、ARを利用した研究を行なっていた経験を持つ吉川氏にとって、Gateboxとの出会いには運命的なものを感じたという。
「大学生のときに初音ミクが登場してから大ファンでずっと追いかけていますし、空想世界のキャラクターを現実世界に呼び出して融合するという手法にも関心がありましたから、Gateboxを見た瞬間『これだ!』と思いましたね」(吉川氏)
そんな吉川氏も入社から1年を経て、いまはGateboxのソフトウエアエンジニアとして辣腕を振るっている。現在は、担当領域であるUnity開発と、ソフトウエアチーム全体のプロジェクトマネジメントを兼任し、製品出荷に向けて奮闘する日々だ。
「Gateboxを製品として世に出すため、今解決しなければいけない課題はまだまだたくさんありますが、それも“自分の夢を叶えるため”だと思えば全然苦には思わないんですよね。自分と、自分と同じ情動を持った未来のユーザーのためのためにモノを作るというやりがいを感じながら取り組むことができています。Gateboxというプロダクトに出会って、僕は二つの意味で「想像を現実にする」ことができたんです。ひとつは「想像上のキャラクターを現実に呼び出す」ということ。もうひとつは「自分の本当にやりたかったことを見つけ、それを仕事にする」ということです」(吉川氏)
Gatebox発展を担う5つの技術領域
同社が現在抱える一番の課題は「人材不足」だ。Gateboxは17年3月、LINEと資本業務提携を結び、クラウドAIプラットフォーム『Clova』との連動や技術資産の共有が期待される中、一人でも多くのエンジニアが必要な状況となっているからだ。しかしソフトウエア、ハードウエアともに「技術水準を満たしていれば即採用」とはいかないところが難しいのだと、吉川氏は言う。
<Gateboxの主な募集職種>
①Node.jsエンジニア……キャラクターのインプットとアウトプットの中核となる頭脳を担う
②Unityエンジニア……キャラクターとのコミュニケーションインターフェースの開発
③iOS/Androidアプリエンジニア……キャラクターとのチャットや各種設定を行うアプリの開発
④サーバサイドアプリエンジニア……本体とスマホ間の連携を取り持つサーバサイドアプリの開発
⑤組み込みエンジニア……ハードウエアとソフトウエアを取り持つファームウエア開発
「現在、特に5職種の採用に注力していますが、技術はあくまでもGateboxのビジョンを実現するためのもの。時代が変われば扱う技術も変わりますから、一つの技術分野にこだわって仕事をしたい人にはあまり向いていないかもしれません。まだ世の中に存在しないプロダクトを作っているわけですから、必要とあれば今自分が専門としている分野以外のことでも自分から学ぶ姿勢が欠かせないんです」(吉川氏)
さらに言えば、Gateboxが追求するビジョン「キャラクターと一緒に暮らせる世界の実現」にどれだけコミットできるか。それが最も重要だと吉川氏は続ける。
「プロトタイプが簡単に作れる世の中になりました。ただし、きちんとした製品を世に送り出すためには、多大な労力と時間、資金が必要になってきます。こうした困難を乗り越えるための原動力になるのが、“ビジョン”なんだと信じています。初期ロットの正式リリースまで半年を切っている状況の中、なぜ困難にぶつかってもめげすに立ち向かえるのかといえば、エンジニア一人一人が、それぞれの思いを持ってビジョンの実現を目指しているから。これから仲間に加わる方にも、同じ思いで開発に当たってほしいと願っています」(吉川氏)
ビジョンが牽引してきたプロジェクトの描く、次の景色
武地氏は、初号機はあくまでも初号機であり、Gateboxは今後もさまざまな最新技術を組み合わせて進化していくだろうと話す。目指しているのは、キャラクターと一緒に暮らしている感覚を極限まで高めることだ。
「まずやりたいのは、キャラクターの数も増やすこと。あとはキャラクターにお願いすると料理を作ってくれたり、掃除をしてくれるようになったらいいでしょうね。夢のような話に聞こえるかもしれませんが、IoTに対応した調理器具や掃除機があれば十分に実現可能です。料理も掃除も単に機械が実現するのと、キャラクターを介して行うことでは、体験そのものが変わるのではないでしょうか。究極的には、キャラクターが装置の中だけではなく、現実世界に溶け込むような形で存在させられるようにしたいですね」(武地氏)
一方、吉川氏は「キャラクターが持っている雰囲気や気配を感じさせるようなプロダクトを目指したい」という。
「例えばゲームなどではユーザーからの働きかけに応じてキャラクターがアクションするものですが、Gateboxではキャラクターから人間に働きかけるような状況を作れる。そうした双方向のコミュニケーションを作れるのが面白いところです。大好きなキャラクターが、家で明かりをつけて待っていて、顔を見せたら『おかえり』と言ってくれるという状況を、どれだけ自然に見せられるか。利便性の追求とは違ったアプローチによってユーザーを満足させられればと思っています」(吉川氏)
IoTやスマートスピーカーに対応した新しいプロダクトが次々と誕生しており、多くの利用者を集めるプラットフォームも続々と登場している。Gateboxもそれらの流れを汲んだ製品のように見えるが、 Gateboxはそれらとはそもそも目指すゴールの異なる、一線を画す存在といえる。
Gateboxが「キャラクターと暮らせる世界の実現」というビジョンを実現するためには、開発に携わるエンジニアにも、こだわりや情熱が求められるのは言うまでもない。世界を変えようとしている彼らに共感を覚えるなら、その思いを原動力に、新市場を切り拓くという希少なチャンスを見逃す手はない。ソフト、ハードを問わず、アニメやゲームファンを自認するエンジニアは、Gateboxでのキャリアを一考してみてはいかがだろうか。
取材・文/武田敏則 、撮影/小林正(スポック)
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