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約40年、大手航空会社を支えてきた精鋭チームに秘められた 「広大なマーケットを変える力」とは?
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6億5817万人。これが何の人数だかお分かりだろうか? 国内日帰り・宿泊旅行、海外旅行を合計した際の、日本人の年間旅行者数である(出典)。
巨大な旅行市場の一翼を担うのが、トラブルなく旅行者が移動できるよう支える航空ソリューション。中でも、国内二大航空会社の一つであるJAL・JALグループの航空ソリューション開発に長年携わっているのが、今回取材に伺ったアイティシージャパン株式会社だ。
1980年代から航空会社のITソリューション開発に携わる同社は、いわば日本の空の旅を司る“陰の立役者”。総社員数約40名という少数精鋭の同社は、いかにして顧客からの信頼を得たのだろうか。第一線で活躍するエンジニアの声から紐解いてみよう。
「どこよりも航空業を知っている」信頼の秘訣は、技術力+寄り添う力
一口に航空ソリューションと言っても、必要となるシステムは実に多岐にわたる。空席照会やフライトスケジュールの検索、自動運賃計算といった旅行者向けのものから、旅行会社や航空会社が使う顧客管理システムや危機管理システム、さらにシステム全体を支えるホストコンピュータまで、幅広い。
創業以来、約40年にわたって航空会社のITソリューションを手掛けてきたアイティシージャパンは、総社員数40名前後の少数精鋭チームである。航空ソリューション部の副部長を務める岩田勝博氏は、航空業界のシステムの複雑さについて次のように説明した。
「旅行会社の窓口に行けば、『いつ・どこに・何人で旅行したい』と伝えるだけで、簡単に航空券を予約することができますよね。ですが、航空券を発券するためには、パスしなければならない手続きがとても多いんです。
天候などによってフライト状況に影響が出ることもあれば、支払い手続きや発券方法も多岐にわたります。いかなる状況であっても、さまざまな工程をスムーズに進行するために必要なのが、私たちが開発しているシステムなのです」(岩田氏)
滞りなく運航便を出発させ、旅行者を快適な空の旅に送り出すための重要な砦が、同社が手掛ける航空ソリューションというわけだ。
「40年近く航空ソリューションに触れてきたからこそ、JALさんをはじめとする航空業界のことはどのSIerよりも知っている。現場でどのような業務が行われているのかも分かる。これが、私たちの大きな強みです。もちろん、技術力にも自信はありますが、その業界で働く人々の業務にどこまで寄り添えるか、というのが、システム開発においては最も重要ではないでしょうか。
最近手掛けたものでいうと、旅行会社の店頭で窓口業務に携わる人が使用する業務システムです。古くから使われてきたシステムのため、UIも操作性もとてもレガシー。それをより簡単に予約受付できるように改善したり、必要な情報をすぐ検索できるようなUIへ刷新したりしました。システムを使う人の状況をきちんと把握できている当社だからこそ、なし得たプロジェクトだと思っています」(岩田氏)
「任せる環境」でエンジニアのスキルが磨かれていく
同じく航空ソリューション部で活躍する長嶺稜氏は、昨年入社したばかりの26歳。入社一年足らずで、すでにパートナー企業も含めたエンジニアのマネジメントをも任されている。
「少数精鋭にも関わらず大規模なプロジェクトに参画していること。在籍するエンジニアのスキルが高いこと。そして、開発だけに留まらず、マネジメント能力やコミュニケーション力といったビジネススキルが身に付きそうだったこと。これが、アイティシージャパンへの入社を決めた理由でした。
実際、直近のプロジェクトでは、スケジュール管理やメンバーのスキルに合わせたタスクの割り振りなどを経験させてもらいました。入社早々にこうした役割を任せてもらえるとは思っていなかったので、とてもありがたいですし、成長している実感もありますね」(長嶺氏)
長嶺氏は、そう言って嬉しそうに笑う。とはいえ、初めて経験するマネジメント業務に困惑したこともあっただろう。聞いてみたところ、「技術力もビジネススキルも高い先輩がそばにいたから心強かった」と教えてくれた。
「先輩エンジニアの皆さんは、技術力の高い方ばかり。それもクライアントから信頼を得られている要因の一つだと思います。加えて、既存のシステムに対して『+α』の提案ができる力を持っている点も強みに違いありません。
要望通りに進めるのではなく、一歩踏み込んだ提案で付加価値を提供する。それは技術力だけでは不可能です。特に、岩田がクライアントと折衝している姿を見ると、潜在的なニーズを汲み取ったり、相手が何をしたいのかを先読みしたりしていることに気付かされます。本人にもいつも伝えていますが、策士だなあ、と尊敬してしまいますね(笑)」(長嶺氏)
部下や後輩からの信頼の厚さが伺える岩田氏だが、後任の育成についてどのような哲学を持っているのだろうか。
「人の成長というのは、チャレンジした回数に比例します。 私自身、この会社に入ってさまざまな機会をもらってきました。
自ら課題と向き合い、経験を積み重ねることで身に付くスキルというものもあると思います。こちらから『ああしなさい、こうしなさい』と示すのは簡単ですが、最終的には自分の意志で判断できるようにならないと、エンジニアとして以前に、人としての成長が止まってしまうのではないでしょうか。だからこそ、当社のエンジニアにはチャレンジする機会をたくさん用意したい。意欲に応じた役割やプロジェクトにアサインしていきたいと考えています」(岩田氏)
決して失われないマーケットに、変革をもたらすことができる面白み
最後に、数ある選択肢の中から「航空ソリューション」を手掛ける面白みはどこにあるのか聞いてみた。
「旅行というマーケットの規模は、とてつもなく広大です。そんなマーケットと密接する航空ソリューションに対する需要は、今後も失われることはないでしょう。
とはいえ、古くから栄えてきたマーケットだからこそ、使われているシステムにはレガシーなものも多いのが現状です。それらを変えていける力が、当社にはあると自負しています。先にも申し上げた通り、長年にわたって航空ソリューションに精通してきた私たちだからこそ、持てる視点があるはずです。
いまや、ネットで格安な航空券を探したり、Airbnbで宿泊先を探したりすることが当たり前になりました。旅行者のニーズが激変していくこの時代、ただ言われた通りのシステムを納品するのではなく、『今、旅行業界ができることはなんだろう』と考え、それをシステムに反映させられるのは大きな面白みだと思います」
今後は、膨大に蓄積されているデータを活用したデジタルマーケティングの領域にも踏み込んでいきたいという。「いかに多くの旅行者にその航空会社・旅行会社を選んでもらえるか、という部分まで踏み込んでいきたいですね」と力強く語る岩田氏から、航空ソリューションに携わる誇りとやりがいが感じ取れた。
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マーケティングソリューション&プロダクトサポート
取材・文/石川香苗子 撮影/赤松洋太
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