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学歴・経歴・経験なしの元俳優が、34歳でAIエンジニアに転身できた理由

働き方

    今とは違う仕事にチャレンジしてみたい。でも経験や自信もないし、そもそも受け入れ先もあるのだろうか……。新しいことに挑戦したいと思いつつ、どうせ無理だろうと諦めてしまっている人は少なくないだろう。

    そんな一歩踏み出す勇気が持てない人に、34歳でAIエンジニアに転身した高橋宏治さんを紹介しよう。高橋さんは高校卒業後、俳優としての道を10年歩み、その後洋服のリフォーム店を経営。そこからAIエンジニアへの転身を決意し、1年間スクールに通ったのち、スタートアップ企業に転職してAIエンジニアとして活躍している。

    経験はおろか、「学歴も経歴もない」と笑って話す高橋さんは、なぜ30代で未経験の仕事に就けたのだろうか。エンジニアtype新米編集者の君和田が聞いてみた。

    <a href='https://gvatech.co.jp/'target='_blank' rel='nofollow'>GVA TECH株式会社</a> AIエンジニア 高橋宏治さん

    GVA TECH株式会社 AIエンジニア 高橋宏治さん
    高校卒業後、ロバート・デニーロに憧れ、俳優の道へ。『テルマエ・ロマエ』等に出演。その後、洋服のリフォーム店でマネジャーとして統括業務を担当。33歳でAI エンジニアを志し、プログラミングスクールに通い、未経験からpythonの基礎、機械学習、深層学習を学ぶ。2018年7月よりGVA TECH株式会社に転職しAIエンジニアとして活躍中

    『テルマエ・ロマエ』に出演した元俳優が、AIエンジニアを目指すまで

     

    君和田

    今日はよろしくお願いします!僕も10月に異動で営業から編集者に転身したばかりなので、未経験からAIエンジニアになった高橋さんの話にとても興味があります。早速ですが、高橋さんはもともと、俳優として活動されていたんですよね?

    高橋さん

    はい。高校を卒業してから28歳までの10年間、俳優として活動していました。

    GVA TECH株式会社 AIエンジニア 高橋宏治さん
    君和田

    『テルマエ・ロマエ』にも出ていたとか……!?

    高橋さん

    お祭りの場面で神輿をかついでいただけですけどね(笑)。結局俳優としては芽が出なくて、その後は代官山で洋服のリフォーム店を始めました。

    君和田

    え、俳優からいきなり経営者ってことですか?

    高橋さん

    起業した高校の先輩から、「お金は出すからお店を立ち上げてみれば?」って言われたんです。役者を続けるかどうか、今後について考えていた時期でしたし、この機会を逃したら次はないと思ってチャレンジしてみました。

    君和田

    すごい行動力ですね……。

    高橋さん

    ただ3年ほどで、売り上げが伸びずに辞めてしまいました。それでまたしても今後に悩んだ結果、今度はAIエンジニアになろうと思い立って、1年ほどプログラミングスクールに通いました。

    君和田

    これまた突然ですね。なぜ、次はAIエンジニアに?

    高橋さん

    何か新しいことを始めたいと思っていろいろと調べていく中で、AIの可能性の大きさを知って、興味を持ちました。
    これからの世の中で必要不可欠になっていくって考えたらワクワクして、「今のタイミングで何か始めるならAIだ!」と思ったんです。あと、エンジニアがカフェでMacをいじっている姿が単純にかっこいいなって(笑)

    君和田

    分かります。なぜか、かっこよく見えますよね(笑)

    「100万円を払っていなかったら、AIエンジニアになることを諦めていました」

    君和田

    そもそもですが、未経験からAIエンジニアってなれるものなんですか? プログラミング経験があるわけでもなかったんですよね。

    高橋さん

    いやー、想像以上に大変でした。pythonというプログラミング言語の基礎から機械学習、深層学習まで学びましたが、スクールに通い始めた最初の3カ月間は本当にきつかったです。
    プログラミング言語を書くことも読むこともできないですし、理解が追いつかない。始める前は「まぁ大丈夫だろう」と楽観視していましたが、いざやってみたら拒否反応で吐きそうになることもしばしばありました。

    GVA TECH株式会社 AIエンジニア 高橋宏治さん
    君和田

    僕だったらすぐ辞めてしまいそうです……。

    高橋さん

    実は、何回も辞めようと思いました(笑)。なんとなくエンジニアはかっこいいってイメージを持っていたんですけど、実際のプログラミングは地味な作業の繰り返し。
    自分はエンジニアに向いていないんじゃないかと考えては、毎日不安でしたね。

    君和田

    どうして逃げ出そうとしなかったんですか?

    高橋さん

    受講料として100万円を支払っていたからですね。逃げ出したくなっては、「でも100万円払っちゃったからなぁ……」って。

    君和田

    たしかに途中で投げ出すには100万円はデカ過ぎる……!

    高橋さん

    そうなんですよ。もし授業料が30万円だったら、途中で辞めていたかもしれないです(笑)。あとは、つらいながらもプログラミングを楽しいと感じてはいたんです。
    楽しいと思えているのなら、目指してもいいんじゃないか。そうやって、毎日自分に言い聞かせていましたね。

    君和田

    スクールで学習を終えた後は転職活動ですよね。これまた大変そうですけど、何社くらい受けたんですか?

    高橋さん

    スクールが終わってからの1カ月間で、転職サイト経由で8社と面談の機会をいただきました。その中の1社がGVA TECHで、CTOの本田と面談し、その日に入社が決まりました。

    君和田

    あれ、けっこう早く決まったんですね。30代未経験転職って、失礼ながらなかなか決まらないイメージを持っていました。

    高橋さん

    正直、僕もそう思っていました。1年スクールに通っただけの未経験で、まともな就業経験も学歴もない30代の話を聞いてくれるところなんてあるのかな、と。
    スクールの先生からも半年ぐらいは就職活動をする覚悟でいた方がいいと言われていましたし、100社は回る覚悟でいました。こんなに早く決まると思ってもなかったので、ラッキーでしたね。

    “ガッツ枠”での採用?役者の意外な経験がプログラミングに生きている

    君和田

    振り返ってみて、未経験からAIエンジニアに転身できたのは何が大きいと思いますか?

    高橋さん

    CTOの本田には、「“ガッツ枠”での採用」と言われました。金にならない役者を10年続けているヤツは、ガッツがあると(笑)。たしかに役者をやっていたころは築60年ぐらいの風呂トイレ共同の下宿に住んでいて、夏になると近所の公園に行ってホースで水浴びする生活していて……。夏とはいえ、水浴びって寒いんですよ。

    GVA TECH株式会社 AIエンジニア 高橋宏治さん
    君和田

    そんな生活、絶対にしたくないです……。

    高橋さん

    僕ももう嫌です(笑)。でも、そういうところで鍛えられた根気は今生きていると思います。オンライン上で契約書レビューを行う『AI-CONレビュー』というサービスを担当しているのですが、ユーザーから愛されるサービスになるかは自分のプログラミング次第。
    ミスがないように緊張感を持って、使うべきデータを見極めたりエラーの原因を探したり、忍耐力は必要なんです。あと、役者には観客の一挙一動や他の役者のアドリブなど、周りをよく見て対応することが求められますが、この注意深く物事を見る癖も役立っていますね。

    君和田

    俳優とAIエンジニアって、全然別物ですけど共通なところもあるんですね。

    高橋さん

    とはいえミスしてしまうこともあるんですけどね。でもそういうときは正直に上司に話して、すぐに修正、改善に向けて動いています。分からないことも知ったかぶりをしないで質問するようにしていていますが、皆さん親身になって教えてくれます。素直な気持ちでいれば、自然と味方が増えていくような気がしますね。

    君和田

    実際に憧れのAIエンジニアとして働く日々はどうですか?

    高橋さん

    とても楽しいです。試行錯誤しながらサービスを改善し、形になっていくのがうれしいですね。これまで積み重ねてきたことが良い結果に結びつくものなんだなぁと思いました。まぁ、役者は5年ぐらいで辞めてもよかった気がしなくもないですけどね(笑)

    君和田

    新しいことに挑戦したくても、どうせ無理だろうって諦めている20代はたくさんいると思うので、高橋さんのような先輩がいると励みになります……!

    高橋さん

    諦める必要なんてないですよ!30代未経験の自分でも転身できたんですから、20代の若い人たちには可能性しかないと思います。

    君和田

    編集者として、これまでの経験を生かして頑張れる気がしてきました!今日はありがとうございました!

    GVA TECH株式会社 AIエンジニア 高橋宏治さん

    ※この記事は姉妹サイト『20’s type』より転載しています。元記事はこちら

    取材・構成/天野夏海 文・撮影/君和田 郁弥(編集部)

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