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キヤノンビズアテンダ株式会社の中途採用
「誰が何をどのようにやるか」ブラックボックス化した業務にメスを入れる、働き方改革プロ集団の本気度
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「働き方改革」に伴い、残業時間の削減に取り組む企業は増えてきた。しかし「働き方改革とは、単なる労働時間の削減ではない」。そう指摘するのは、キヤノンビズアテンダでさまざまな企業の業務改善を手掛けてきた村上光則さんだ。
キヤノンビズアテンダでは、クライアント企業の業務処理をBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)というスタイルで徹底的に改善している。同社のBPOコンサルティング部門を立ち上げ、数々の現場を見てきた村上さんに、日本企業が「働き方改革」において真に取り組むべきことを聞いた。
生産性向上の鍵は、“目の前にある仕事”だ
キヤノンビズアテンダは、キヤノンマーケティングジャパングループのBPO専門会社だ。BPOは、自社のビジネスプロセスを外部企業にアウトソースすることによって、社員や経費などの自社リソースを有効活用する手法として広く知られている。同社が注力しているのは、クライアントの業務をRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)などのテクノロジーを用いて改善するコンサルティング事業だ。
クライアントからのアウトソースとはいっても、同社のコンサルティングは、単にシステムを導入することが目的ではない。あらゆる業種・業態の現場に入り込んで社員の抱える業務を可視化し、生産性向上や労働時間の短縮に繋げている。村上さんは、同社の業務改善コンサルタントの役割について次のように話す。
「働き方改革に必要なのは、時間の使い方を変えること。そこに何よりも大きな影響を与えるのが、“目の前にある仕事”の変革です。そのためには、まず現状の可視化が必要不可欠。業務の手順を全て明らかにし、誰が、何をどのように、どれくらいの頻度で、どのくらいの時間とコストをかけてその業務を行っているかを洗い出し、その課題を分析しなければなりません」
こうして「現状の可視化」を行った上で、課題に合った手法によって業務の自動化や生産性の向上を推進していく。業務プロセスを最適化した上でRPAを駆使してPC操作や書類作成業務を自動化したり、パッケージソフトウェアを導入して相乗効果を図ったりする。提供するのは、形ある製品やシステムではなく、いかに業務を改善するかという本質的なソリューションだ。いずれも、エンジニアリングの知見が必要な領域である。
「今はRPAの重要性が叫ばれているとはいえ、やみくもに自動化すれば良いというわけではありません。担当業務や業務量をはっきりさせ、どこをシステム化するのがベストか明らかにすることが重要。その見極め方を誤ると、RPAの効果は半減してしまいます。適切なシステム化が実現できれば、それぞれの社員が本来やるべき業務に注力できるようになります」
では、適切な見極めは、どのように実現されるのか。
「各企業の現場に対してまず、現場にそくした業務分析シートを作ります。その後、社員へのヒアリングや実際に業務リスト通りに仕事が進められているのかをモニタリングするなどして、精度を高めていくのです」
例えば不動産業界の業務改善コンサルティングを行った際は、契約書や重要事項説明書など紙ベースで管理されている書類の処理方法が課題だったという。業務は標準化されておらず事業所ごとにばらつきがあり、担当者は書類処理に多くの時間をかけていた。その時、なぜそのようなことが起こるのか。その業務の処理スピードや分量、担当者のスキルレベルは適切か。キヤノンビズアテンダでは、こうした細かな業務を現場目線で徹底的に洗い出す。
多くのITコンサルティング会社は、ヒアリングだけで調査を終えてしまいがち。しかし同社の場合、長年企業の業務運用を手掛けてきた経験から、「その業務にかける時間やコストは正しいか」を的確に判断することができるという。
「企業でブラックボックス化しがちな“一人一人の業務”を明るみにし、誰が何をするべきかを決めていく。属人的になっている仕事をプロセス分析力を使って最適化していくのが私たちの仕事です」
役割以上の仕事を「やってはいけない」。属人的な働き方は時代遅れになる
さまざまな業種・業態の企業の現場に入り、業務改善を行ってきた村上さんは、日本の働き方改革が進まない原因を次のように分析する。
「日本的な職場の最も大きな問題は、一人一人の役割が明確ではないことです。一人の人材がいろいろな業務をマルチに担当していて、業務レベルも難易度の高いものから簡単なものまで幅広い。とても非効率的ですし、それが業務を複雑化しているのです」
日本企業はこれまで終身雇用を前提に、「地頭の良さ」で新卒採用を行ってきた。入社後は一人でさまざまな役割を担うため、多くの部署や業務を経験させ、時間をかけて育てていた。しかし労働市場が流動化し、転職が当たり前になった今、それはもう通用しない。
「欧米企業の場合、やるべき業務が『役割』として明確になっています。どこからどこまでが担当者の業務なのか、線引きが明確で、その役割に対して報酬をもらっている。むしろ与えられた役割以上の仕事を“やってはいけないの”です」
村上さんはこれから先、日本企業も欧米型に変わらざるを得なくなると考えている。
「転職が当たり前になるということは、中途採用の社員に任せる役割を明確にしておかなければならないということです。彼らは地頭ではなく、高い専門性やスキル・経験で採用されているわけですから、これからは企業側も社員の業務範囲を明確にせざるを得なくなるでしょう。しかし現在の日本企業はそれが全くといっていいほど、できていません」
2020年までに人員を1.5倍に増やし、日本の働き方改革を変える
キヤノンビズアテンダが行うのは、バックオフィス業務のような、どの企業にも共通する業務の効率化ではない。コアな事業に直結する業務改善をすることにより、クライアントのビジネスを加速させようとしている。
「私たちの手掛けるBPOにおいて重要なのは、事業に関わる業務全体を幅広く請け負うことです。業務の一部分だけ見ていても、ビジネスの効率化は実現できません。事業のコアとなる業務プロセスを請け負うことができるのが、私たちの強みです」
同社ではクライアントのコア事業に関する業務処理の知見やノウハウが蓄積されているため、10~20年の長期にわたって大手企業の一部門を任されるケースが多い。時にはその部門の戦略ミーティングに参加して意見を求められることもあるという。
「当社の取引先は上場企業を含め大手企業ばかり。入社してすぐにこうした企業の業務改善をサポートすることができるのも、この仕事の面白いところですね」
2018年現在、BPOコンサルティング部のメンバーは20名ほど。キヤノンマーケティングジャパングループ全体としてBPOビジネスに力を入れていく方針を掲げており、来年中に30名まで拡大することが決まっている。
グループ全体の戦略的事業として位置付けられているキヤノンビズアテンダ。システムへの深い知見と、ビジネス現場へ入り込める専門的なノウハウの2つを武器に、日本の「働き方改革」推進をリードしていく。
取材・文/石川香苗子 撮影/赤松洋太
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