キャリア Vol.938

インド発・爆速成長ベンチャーが日本進出。OYO LIFE・プロダクトマネジャーが語る、日本企業との違いとは

インド発ホテルチェーン企業、OYO。AIによる宿泊需給予測をホテル業界に持ち込み、2013年の創業から6年で、世界第2位のホテルチェーンへと急成長した。

その要因の一つに、最新技術を駆使したシステムで適正価格と稼働率の高さを実現したことが挙げられる。従来3~4割だった部屋の稼働率を7~8割まで高め、ホテル周辺のイベントや天気、曜日などを基に、1日当たり4300万回も価格を調整しているというから驚きだ。また、孫正義さんからも高い評価を受け、これまでソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから、10億ドル(1100億円強)の資金調達をしたことでも話題になった。

なぜOYOはこれだけの急成長を遂げているのか。その理由を探るべく、『OYO LIFE』のシニア・プロダクトマネジャー・伊藤友也さんを訪ねた。OYO LIFEは今年3月に日本でスタートした初期費用が不要で家具家電付きの物件が豊富に揃う賃貸住居サービス。インド発スタートアップと日本企業、そこにはどんな違いがあるのだろう。

OYO LIFE シニア・プロダクト・マネージャー 伊藤友也さん
OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN 株式会社 OYO LIFE 
シニア・プロダクト・マネージャー
伊藤友也さん

1988年生まれ。リクルートホールディングスに新卒で入社し、不動産ポータルサイト『SUUMO』のスマートデバイス戦略開発グループの配属に。マーケティング、開発ディレクション、チャットコミュニケーションの企画立ち上げなどを経験後、プロダクトマネージャーとして活躍。2019年、OYOに転職。『OYO LIFE』のシニアプロダクトマネージャーを務める

違い1:多種多様な人材と、フラットな組織文化

シニア・プロダクトマネジャーとしてOYO LIFEの一般ユーザー向けサイトの責任者を務めている伊藤さんが同社にジョインしたのは、OYO LIFEの立ち上げ期。それ以前は大手不動産ポータルサイト『SUUMO』のプロダクトマネジャーとして活躍していた。そんな伊藤さんが最初に感じたOYOと日本企業の違いは、組織文化にあった。

OYO LIFE シニア・プロダクト・マネージャー 伊藤友也さん

「前職では、メンバーの上にチームリーダー、グループマネジャー、事業部長などがいて、組織の階層が深かった。一方、OYOは非常にフラットな組織です。チームには、僕を含む3名のプロダクトマネジャー、3名のデザイナー、5名のエンジニア、2名のQAがいますが、特別な上下関係はありません。プロダクトの最終的な意思決定は僕が行いますが、立ち位置はあくまで同じなので、デザイナーやエンジニアから『そんなイケてない要件は実装したくないよ。もっとこうした方が良くない?』というような会話は日常茶飯事ですね」

メンバーの国籍は、日本、インド、イギリス、フランス、アメリカ、カナダ、中国、台湾、ミャンマーなど多種多様だ。そのため、デザイン一つに対しても、「イギリスではこれが一般的だ」「アジア人はこういう傾向がある」など、それぞれの視点を生かして議論を交わすことができる。

「シニアも新人も職種も国籍も一切関係なく、良いものは良い、悪いものは悪いとチームで話し合い、一緒にプロダクトを作り上げる面白さを実感しています。OYOはフレックス制でコアタイムも短く、部署によってはリモートワークもOKですが、僕らのチームはみんな毎日出社しています。それは、オフィスに来た方がチームでの議論も活発になり、良いアイデアが生まれるからだと思います」

違い2:細分化された専門領域がなく、エンジニアはフルスタックが当たり前

伊藤さんは転職当初に驚いたことの一つに、「エンジニアのスキルセットがフルスタックであること」を挙げる。

「日本のエンジニアのほとんどは、フロントエンドやサーバーサイド、ネイティブアプリなど、それぞれの専門領域に特化していることが多いと思いますが、OYOのエンジニアはフルスタックが当たり前なんです。転職当初、インド人のエンジニアに『あなたは何エンジニアですか?』と聞いたら、不思議そうな顔をされました(笑)。フロントからサーバーサイド、インフラまで幅広い領域を担当し、新しい技術にチャレンジしていく。だから、フルスタックなエンジニアが多く、高い生産性と、さまざまなコラボレーションが生まれるんだと思います」

事実として、伊藤さんのチームのフロントサイドのエンジニアの中には、iOS、Android、サーバサイドなど、以前は別の領域を担当していたメンバーもいると言う。

違い3:毎週ユーザーと対面する、徹底したユーザー視点

さらにOYOの特徴として、”徹底したユーザー視点がある”と伊藤さんは話す。

OYO LIFE シニア・プロダクト・マネージャー 伊藤友也さん

「OYOでは、毎週ユーザーインタビューを実施しています。Web上で特定のユーザーに声を掛け、対面でヒアリングをする。プロダクトマネジャーだけでなく、デザイナーなど他のメンバーも定期的に参加して、ユーザーの行動やインサイトを知り、何を求めているのかを考えています」

また、OYO LIFEの物件に1カ月無料で住める社員向けの体験プログラムも用意されている。

「誰でも自分が一人のユーザーとして利用できることで、『入居前にこんな連絡があったら安心』『入居後はこんなアメニティがほしい』など、さまざまな改善ポイントが出てきます。役員クラスのトップレイヤーも同様にOYO LIFEの部屋に住み、自らの経験を基に『ユーザーに対してもっとこういうことができないか』と話し合っています。会社全体で徹底的なユーザー視点を持ってサービス開発に取り組んでいますね」

違い4:「来週にスタート」ではもう遅い? 驚異的なスピード感

一般的な企業では、企画から開発、リリースまでにさまざまな工程があり、それ相応の時間が掛かるもの。だが、OYOの場合は「日本企業では考えられない驚異的なスピード感がある」と言う。

「僕がOYOにジョインしたのは、OYO LIFEのファーストローンチ直後の時期でした。当時はメンバーも少ない状況で、完璧なクオリティーではなく、まずはマーケットにローンチしたという状況でした。そこで、重要なリリースに向けて品質を改善するために、QAチームを作るように言われたんです。以前一緒に仕事をしたことがある会社にすぐに声を掛け、無理を言って翌々週には来てもらえることになったんです。そして翌週の1on1で進捗を聞かれたのでそう報告をしたら、呆れたような顔をされて。『なんでそんなに遅いんだ。他にやり方があるんじゃないの?今から30分以内に2名のQAを見つけてチームを作ってくれ』と言われました(笑)」

驚きながらも「確かに」と思った伊藤さん。Facebookで友人を辿ってフリーランスのQA2名を探し、15分後に契約をまとめて、その15分後にはテストを開始したと言う。

「このスピード感は、OYOならではのカルチャーだと思いましたね。先述した社員向けの無料体験プログラムも、『こういうものがあったらいいよね』『じゃあ、すぐにやろう』となって、案が出たその数時間後にスタートしたんですよ」

違い5:失敗を許容する文化から生まれる、“完璧を求めない”実行力

最新技術とデータ分析を駆使し、適正価格と稼働率の高さを実現しているOYO。データドリブンなサービス設計に注目が集まりがちだが、「OYOのすごさはそこだけではない」と伊藤さんは話す。

「例えば、大手企業の場合、80〜90点の品質に仕上げなければプロダクトのリリースにGOは出ません。大手企業ではリスクを避けるために議論やレビュー重ねながら進めていくことが多いと思います。

一方、OYOでは、『まずはスタートすること』をとても重要にしているので、マーケットで検証可能なプロダクトができた段階でどんどんリリースします。走りながらブラッシュアップしていくスタイルで、どんどんPDCAを回していくんです。OYOは最新技術にフォーカスされがちですが、『圧倒的なスピードでプロダクトを開発できる実行力』がOYOの強みの一つだと思います」

この“完璧を求めない”実行力を可能にしている背景には、失敗をさせてくれる環境があると伊藤さんは続ける。

OYO LIFE シニア・プロダクト・マネージャー 伊藤友也さん

「OYOの場合は、とにかくやってみることが大切で、挑戦することに対しての失敗は厭わない。そうした文化のおかげで、『失敗するかも』と恐れることなく、『もっとこうしたい』と思うことにチャレンジしていける。新しい技術やアイデアをどんどん実行できる裁量の大きさがあるから、成長性も大きいわけです。

一方で、レビューや決裁の仕組みがしっかりいる企業では失敗を未然に防げるという良い面もあると思いますが、逆に言えば、“失敗できない環境”とも言えるのかもしれません」

「チャレンジできない=リスク」世界に通用するプロダクトは能動的な姿勢から生まれる

日本には組織の枠に守られがちな文化があり、そこに安心感を求める人も少なくはない。伊藤さんはOYOの文化に触れることによって、「実はそれがリスク」だという価値観に大きく変わったと言う。

「チャレンジをリスクと考える人は多いですが、OYOに入社したことで、むしろ『チャレンジできないことがリスク』だと思うようになりました。例えば、仕事のプロセスが決まりきっている、上の階層に意見を言いづらいという組織では、それが本人の成長を阻む可能性もある。安定した環境と、チャレンジできる環境、どちらに身を置くかによって成長角度は大きく異ると思います。何が本当のリスクなのかを考えることは重要だと思いましたね」

より優れたプロダクト開発のために重要なのは、自分自身が「どれくらい能動的に取り組めるか」にあると伊藤さんは続ける。

「自分のやりたいものを見つけ、仕事やサービスに意義を感じながら、全力でやること。言葉にすると当たり前のことですけど、改めて大事だなと。僕の場合だと、前職で賃貸住宅のユーザー課題は礼金・敷金などの初期費用であると考えていました。もし初期費用がなくなったら、人はもっと自由に移動ができるようになる。それってどんな体験価値なんだろうと思い、試しに1年間東京でバックパック生活を続け、12カ所の部屋に住んでみたんです。その結果、『その時々のライフスタイルに合わせて、もっと気軽に住まいを選択できる仕組みをつくりたい』と思うようになって、OYO LIFEの話しを聞いたときは、その日にジョインすることを決めました」

OYO LIFE シニア・プロダクト・マネージャー 伊藤友也さん

「OYO LIFEには、日本の賃貸市場をより良くしていきたいという意識が全員にあります。だからこそ、誰もが能動的に仕事に取り組み、お互いに協力し合い、チャレンジを重ねていけるんだと思います。今の環境でも実行できる範囲のことでいいから、その時にやろうと思ったこと、やりたいと思ったことをどんどんやる。失敗してもいいからとにかくやる。その蓄積が、プロダクトも自分自身も次のステージに導いてくれるんだと思います」

取材・文/上野真理子 撮影/赤松洋太

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