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若手エンジニアに送る、「仕事人生を謳歌するための5つの心得」

働き方

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    Sansan株式会社 CTO
    藤倉成太さん(@sigemoto)

    株式会社オージス総研に入社し、ミドルウエア製品の導入コンサルティング業務に従事。赴任先の米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発事業に携わる。帰国後は開発ツールやプロセスの技術開発に従事する傍ら、金沢工業大学大学院(現・KIT虎ノ門大学院)で経営やビジネスを学び、同大学院工学研究科知的創造システム専攻を修了。2009年にSansan株式会社へ入社し、クラウド名刺管理サービス「Sansan」の開発に携わった後、開発部長に就任。16年からはプロダクトマネジャーを兼務。18年、CTOに就任し、全社の技術戦略を指揮する

    皆さん、こんにちは。
    藤倉です。

    最近、いろいろなところでエンジニアのキャリアについて相談を受けることが増えてきました。そこで、ここから数回に分けて私がキャリアについて思うことをお伝えしていきます。今回は、エンジニア人生を謳歌するために私が重要だと考えている「5つの心得」について紹介します。

    キャリアとはその人の価値観や人生観、仕事観の上に積み上がっていくものであり、「唯一の正解」というものは存在しません。しかしながら、皆さんにとってこの記事が、キャリアを考えるためのヒントになれば嬉しいです。

    1.キャリアとは結果なり

    私は、そもそも「キャリア」とは自らが狙ってつくり上げていくようなものではないと思っています。キャリアとは、組織内での役割やその仕事、そこで出す成果などによって紡がれていくもの。そしてその仕事というのは、自分ができること、やりたいこと、組織から期待されることが重なる場所に存在します。ここに「組織からの期待」が存在する以上、自分の意志だけでは制御できません。

    もちろん、キャリアにつながるかもしれない選択を自らする場面はあります。挑戦的なプロジェクトや役割を打診されたとき、社内での異動が検討されたとき、転職を考えるときもそうでしょう。それらのタイミングでは、結果として訪れるであろう未来を想像し、戦略的意図を持って選択をしますよね。ただ、その先の将来が本当に期待した通りのものになることは稀な気がします。むしろ、想像すらしていなかったものがやってくることの方が多い。

    ただ、仕事は「自分のやりたいこと」であってほしいとは思います。やりたくない仕事は辛いですから。一方で、やりたいことだけをやっていれば良いわけではないことも事実です。そこで、自分のできることや、やりたいことを積極的に仕事に重ねていくことが重要になります。

    2.苦労や経験の“優先順位”を考えよう

    エンジニアとして卓越した成果を出そうと思ったら、多くのスキルが必要です。例えば「技術力」と一口に言っても、プログラムを早く正確に書く力や、品質を高める力、設計の力、技術選定をするための知識や経験など、意図することは本当にさまざまですから。また、昨今はチーム開発が主流ですが、チームの中で貢献するためには技術力とは異なるスキルも必要です。前回記事でも触れた通り、事業に貢献することを考えれば、さらに多岐にわたるスキルが必要になるでしょう。

    エンジニアとしての経験が浅い方は、これらのスキルを地道に身に付けるしかありません。「若い時の苦労は買ってでもしろ」とはよく言ったもので、その道に入ったばかりの頃はどうしても、苦労しながらスキルや経験を蓄積していくしかないですね。

    (苦労といっても、全く意味のないもの、おじさんが言う「俺たちの若い頃は……」的なものはスルーしていいこともありますが)

    これから多くのスキルを身に付けなければならないとなると、大切なのは優先順位です。これについては、達成すべきゴールや、分かりやすい成果から逆算するのが定石ですね。つまり、「事業やプロジェクトチームに対して最も効果的に貢献するために、今必要なスキルは何か」と考えてみるのです。複数思い浮かんだ場合には、その中で特に好きなものから始めてみましょう。やはり好きなものを探究しているときは、モチベーションが高いですから。

    3.とにかく言語化しよう

    スキルを身に付ける上で非常にお勧めの方法があります。それは、「他人に説明できるようになること」を意識することです。

    例えばある技術の専門書を読了したとします。そのとき、まずは学んだことを頭の中で整理して、抜け漏れがないことや、理解が十分であることを確認しましょう。さらにそこで終えるのではなく、それを他人に説明できるかどうかをシミュレートしてみるのです。

    このとき、身近な誰か……例えば“技術に詳しい先輩”などを思い浮かべると良いかもしれませんね。その人に説明をして、「なるほど」と言ってもらえるかどうかを想像しましょう。これを繰り返すことで学んだことが咀嚼でき、理解を深められるようになります。想像だけで終えるのではなく、実際に勉強会で話してみるのも有効です。LT (Lightning Talk) は時間も短いですから、自信がない人でも比較的挑戦しやすいかもしれませんね。

    エンジニアなら特に、「過去の技術」や「すでに存在するシステムの設計意図」について説明できるようにする癖を付けておくのもお勧め。例えば既存システムの実装も、設計をしたときにはそれなりの理由があってそうなっていたはずです。それを自分の言葉で説明できるようになると、今後どのように発展させるべきかを論ずるときに、言葉に厚みが出ますよね。

    この取り組みを繰り返すことで自然と“説明能力”が高まり、いざ自分が「やるべきだ」と思ったことに対して周囲の賛同を得やすくなりますから、自分がやりたいことと仕事が重なっていくことにもつながります。

    ただもちろん、全ての分野のスキルを「その道の第一人者」と言われるまでに高めるのは難しいと思います。まずは今の自分の力でできる範囲で大丈夫。ちょっと上の先輩に褒めてもらえる程度を目安にして、頑張りましょう。こうして、一つ一つのことを丁寧に積み重ねていくことで、できることがだんだんと増えていくのです。

    4.大変な時こそ楽しんで

    エンジニアの仕事をしていると、苦労することも少なくありません。ボリュームに対して開発期間が短いとか、リリース間際に問題が発生したり、原因不明の不具合に悩まされたり。

    そんなときこそ、ポジティブに状況を乗り越えましょう。

    緊急事態が起こると、人は実力以上の力を発揮できることがあります。そしてそれが、実力の底上げにつながるケースもよくありますね。また、再び大変な状況に陥ったときに「以前も乗り越えられたから大丈夫」と、自分を信じられるようになったりもします。何より、困難を乗り越えることは関係者からの信頼を集めることにつながります。その信頼こそが、次の魅力的な仕事や役割を運んでくることも珍しくありません。「厳しい状況でも前向きに周囲をリードしてくれる仲間がいたら、その人にはより魅力的な仕事で大きな成果を出してほしい」と、多くのマネジャーは考えるはずですから。

    5.チャレンジしよう

    どんな職場でも、どんなプロジェクトでも、今の自分に足りていないスキルを得るチャンスはあるはずです。それらを一つ一つ丁寧に身に付けていきましょう。そしてもし、もっと大きな経験を積みたいと考えたときには、転職を検討したらいいと思います。

    ただし、どんなときでも「チャレンジする気持ち」を忘れないでください。

    職場にも不備はあるでしょうし、人間関係に疲れることもあります。それでも、現職の不満を解消するために転職するのではなく、あくまでももっと大きく成長するために、“次のステージに行くため”の転職にしてほしい。受け入れる側も、現職の不満を語る人よりは、ポジティブに挑戦する人を受け入れたいと思うものです。

    私は、「キャリアというのは成果のみならず、その人に向けられる信頼の積み重ねでもある」と思っています。ソニー創業者の井深氏の言葉で、「仕事の報酬は仕事である」というものがありますが、本当にそうだと思います。目の前の仕事を大切にして良い仕事をすれば、周囲からは信頼が寄せられ、その結果としてやりがいのある仕事や面白い仕事が集まってきます。それがエンジニアとしての成長を促し、さらに大きな挑戦ができるのです。

    素晴らしきエンジニアという仕事を謳歌しましょう。

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