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【独占取材】本田圭佑「エンジニアがもっと評価される社会、日本でつくりたい」挑戦者の支援に乗り出した理由

働き方

    現役のプロサッカー選手でありながら、経営者、投資家の顔も持つ本田圭佑さん。彼はまさに、「夢」に向かって挑戦し続けてきた人だ。

    かつて本田さんは自身のTwitterで、「目標」と「夢」の違いについてこう語っている。

    本田さんが次に挑むのは、“素晴らしい夢”を抱く次世代の挑戦者たちを支援することだ。

    健康管理アプリのFiNCテクノロジーズ創業者の溝口勇児さん、ネスレ日本前社長の高岡浩三さんとタッグを組み、国内スタートアップに投資する『WEIN挑戦者FUND』を今年5月に立ち上げ、孤独や退屈、不安といった21世紀ならではの課題解決に挑む国内スタートアップなどに対して投資を行っていくという。

    具体的には、ヘルスケアや教育、SDGs(持続可能な開発)、地域振興やSNSなどのコミュニティー関連企業などへの投資を視野に入れている。

    本田圭佑さん、高岡浩三さん、溝口勇児さん

    オンライン撮影/蜷川実花

    また、今回『エンジニアtype』編集部では、『WEIN挑戦者FUND』で新たなスタートを切ったばかりの本田さんの独占コメントを入手。

    エンジニアを尊敬してやまない」と目を輝かせる本田さんに、これから仲間にしたいエンジニア像や、夢を実現するために欠かせないことについて聞いた。

    応援したいのは「失敗を糧にできる人」

    WEIN挑戦者FUND
    ーー本田さんは、ご自身が立ち上げた『WEIN挑戦者FUND』を通じて、21世紀ならではの課題解決に挑む挑戦者を支援していくとのこと。特にどんな人に投資していきたいと考えていますか?

    一言でいうと、「失敗を糧にできる人」ですかね。

    ーー優れたビジネスモデルを描いているとか、最新のテクノロジーを活用しているとか、そういうことではなく?

    そうですね。それも大事ではありますが、それだけでは足りません。いくら良いアイデアがあっても、それをカタチにするための努力を続けることができなければ、夢は叶えられませんから。

    ーーなるほど。では、「失敗を糧にできる人」というのは?

    誰がどんな領域でビジネスを行っても、新しいことをやろうとすれば必ず失敗を経験します。そこで逆風にさらされて、誰もが“心が折れるような経験”をすることになる。

    そんな中で夢を実現し、大きな成功を収められる人とは誰なのか。それは、失敗から逃げ出すのではなく、その失敗を糧にして、前進し続けることができる人だと僕は考えています。

    ーー本田さんは、その人が「失敗を糧にできる人」かどうかは、どうやって見抜いているんですか?

    本人としっかり話すことは絶対条件ですね。なぜその事業や仕事をやりたいと考えているのか、それに対してこれまでどんなアクションを取ってきたのか、そこでどんな失敗を経験して、どう立ち回ったのか、あれこれ聞いて判断しています。

    失敗って、成功以上に価値があると思うんですよね。失敗をどう捉えて、そこから何を学んだのか。そういうところをいろいろとお話させていただくことが多いですね。

    ビジネスタイプも職人タイプも、組織には両方必要

    ーーご自身がCEOを務めるNowDoでは、ITエンジニアの採用を加速していらっしゃいますよね。本田さんが仲間にしたいエンジニアとはどんな人ですか?

    そもそも僕は、いろいろなタイプのエンジニアと話すのが好きです。僕にはないスキルを持っている人達ですから、会話をするだけで学びが多くてワクワクするんです。

    特に応援したい、仲間にしたい人というと、経営サイドに興味があって「ビジネスの話ができる」エンジニアも、「技術にしか興味がありません」という職人タイプのエンジニアも、両方ですね。

    極端かもしれませんが、強い組織をつくっていくことや、イノベーションを起こしていくためには、いろいろなタイプのエンジニアがチームにいることが必要だと考えているので。どっちがいいという話ではなく、そこはバランスかなと思います。

    ーーなるほど。本田さんご自身も数年前からプログラミングを学んでいますよね。

    ええ。テック系のスタートアップに投資する身としては、プログラミングは学んでおかないといけないと感じまして。

    ーーなぜですか?

    いかなるサービス、プロダクトも、エンジニアがコードを書くことで出来上がりますよね。作り手の気持ちを知らずに、投資家としてあれこれ言うのは、サッカーを知らない監督に口出しされるような感じで、あまりいいことじゃないなと。

    ーー世界を見てきた本田さんが、日本のエンジニアに期待することは?

    期待というより、僕はエンジニアの皆さんをすごく尊敬しているので、素晴らしいスキルを持った人たちがもっと夢を持って挑戦できるように、支援していきたい。

    また、エンジニアがもっと世の中から評価されるような風土とか、仕組みを経営者・投資家としてつくっていきたいとも考えています。そうすることで、もっと素晴らしい人材が日本から生まれてくると思うので。

    夢を叶える人には、必ず「良い仲間」がいる

    ーー先ほど、「失敗を糧にできる力」が重要だというお話がありましたが、他に「夢を叶える人」に共通することは?
    WEIN挑戦者FUND/本田圭祐

    良い仲間を持っていることじゃないでしょうか。サッカーも経営も、一人じゃできないんで、僕はそう思うんです。

    自分とタイプは違ってもいいから、尊敬できる人、一緒に目標や夢に向かって切磋琢磨できる人が身近にいるといい。

    それが会社の同僚でも、友人でもいいんですが、そういう人たちが自分の周りに増えていくと、仕事がさらに楽しくなるし、結果的に成長すると思います。

    ーーそういう人と巡り合うにはどうすれば?

    行動あるのみですね。志が高い人に出会うのは、簡単なことじゃありません。受け身で待っていても、そういう人はあなたの前には現れない。

    ただ、自分が行動を起こし始めると、自然とそういう人たちとのつながりが出来てくるんですよ。「何かが変われば」と待つのではなく、「何かを変えよう」と動く人のところに同じ志を持つ人たちが集まってくるんでしょうね。

    ーー本田さんはプロサッカー選手、経営者、投資家…さまざまな顔を持っていらっしゃいますが、いずれも「夢」に向かう人を応援するという一貫した軸を持って、行動していらっしゃいますよね。

    はい。「お金がない」「能力がない」そういう理由で夢を諦めてしまう人を無くしたいという思いはずっと一貫していますね。

    さまざまなアプローチで、皆が楽しく努力が継続できて、夢に向かって挑戦できる世界をつくっていけたらと思います。そのために、自分から声を上げて、一緒に活動してくれる仲間を集めていますね。

    ーー本田さんがそこまで「夢の応援」に一生懸命になれるのはなぜなんでしょう?

    使命ですかね。やらない理由がない。僕には社会に対して少なからず影響力があるので、当然のことだと思ってます。


    【Profile】

    WEIN挑戦者FUND 代表パートナー/Co-Founder
    本⽥ 圭佑

    サッカー選⼿として過去3回のワールドカップに出場し、各⼤会にてゴール・アシストを記録した世界で6⼈⽬のプレイヤーとなる。
    ビジネス⾯では現在、世界74カ所の地域でサッカースクール・クラブを運営。16年にはエンジェル投資を始め、現在50以上のスタートアップに投資している。
    18年には、世界的俳優ウィル・スミスとのベンチャーキャピタルファンド「ドリーマーズファンド」を発表

    取材・文/栗原千明(編集部)

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