本連載では、圓窓代表・澤円氏が、エンジニアとして“楽しい未来”を築いていくための秘訣をTech分野のニュースとともにお届けしていきます
5G技術の浸透がエンジニアのキャリアに与える影響は? 世界の大転換期に備えよう【連載:澤円】
株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、外資系大手テクノロジー企業に転職、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」 』(プレジデント社) Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム
皆さんこんにちは、澤です。
ボクは世田谷のマンションに住んでいます。世帯数は全21戸、広さも50平米以下という割と小じんまりとした、築35年の中古マンションを14年ほど前に購入しました。
生活するには何の不便もないのですが、建物としては「最新テクノロジー」には縁遠い所で暮らしています。
そのマンションには理事会があり、順番に理事の担当が回ってくるのですが、とにかくマンションに住んでいる方は高齢者が多く、51歳のボクが若手に分類される有様です。
ある日開かれた理事会のトピックが、「携帯キャリアの5G基地局設置」でした。マンションの屋上に、5G用のアンテナを設置して、その利用料がマンションに支払われるという提案です。
おぉ、いよいよ5G展開が本格化してきたな……と感じさせる出来事でした。
とはいえ、工事実施は秋以降になるようで、使えるようになるにはまだ当分時間がかかりそうです。まさに今はインフラ整備を進めている最中といったところでしょうか。
新技術インフラに対する“アンテナ”を限界まで磨こう
すでに皆さんもご存知の通り、5Gの基本は「高速・大容量」「多数接続」「低遅延」の三つです。
これだけ見ると、本当に夢のようなネットワーク基盤なわけですが、インフラ整備がまだまだこれから。また、ビジネスのニーズもめちゃめちゃ高まっている! という感じでもありません。
実際、2020年1月の時点ではボク自身も「まだこれからの技術」として紹介させていただきました。
>>2020年は何元年? 5G、スポーツVR、リモートワークなど、注目技術が盛りだくさん!【連載:澤円】
では、エンジニアの皆さんはのんびり構えていればいいのでしょうか?
ボクは、今こそまさに「5Gを含めた新技術インフラに対する自分自身のアンテナを限界まで磨く時期」だと考えています。
というのも、今は世界をリセットするボタンが押されたからです。
そう、COVID-19。新型コロナウイルスの登場です。COVID-19によって、世界中が混乱しています。
既存のビジネスモデルは機能不全に陥り、いったいどう振舞うことが正解なのか誰も分からない状況になっています。
世界の大転換期が到来。エンジニアとして飛躍するために「自分に投資」しよう
ボクは、「このレベルで世界が同時にリセットされたというのは25年ぶり」とよく言っています。
25年前の1995年、世界で何が起きたのでしょうか。そう、インターネットの登場です。世界はこれによって大きな変化の時を迎えました。
ボクが社会人になったのは1993年。つまり、インターネットが登場するよりも前の世界でプログラマーの仕事をしていました。
ボクはすぐにネット接続できる、当時ではかなりハイスペックなパソコンを購入し、毎日ネットにつないであれこれ試していました。
しかし、会社の先輩や同期の人たちは「家に帰ってまでコンピューターを見たくない」と言って、購入までする人はごく少数派。ボクの周りでは正直すぐに大きな変化は生まれませんでした。
ボクはネットの世界を知ることで自分の業界の中での立ち位置を知り、同時に「このまま過ごすのはキャリアとして面白くない」と感じて転職をすることにしました。
あの時に転職を決断していなければ、こうやって原稿を書かせていただくこともなかったかもしれません。
今のボクが成功例だと言うほど傲慢な考えはみじんも持っていませんが、文系出身のポンコツエンジニアであったボクが、素晴らしいテクノロジー業界の方々とご一緒させていただく機会に恵まれたのは、まさに「自分への投資」を早めにできたからではないかと思っています。
現時点でできる自分への投資を行い、「世界がリセットされたときに動ける状態をつくる」ことは、エンジニアとして大きな飛躍をする上で大事なマインドセットだと思います。
コロナ禍の世界で、どんなビジネスモデルが生まれて受け入れられていくのかは、まだまだ不透明です。その全てを生み出すのは至難の業ですが、「新しいアイデアを形にする」ことこそ、エンジニアの本分ではないかと思うのです。
一つの事例を挙げたいと思います。今やメガベンチャーの代表格のように語られる株式会社ビズリーチ。この会社は、南壮一郎さんという素晴らしいビジョナリーが生み出した素晴らしい会社です。
南さんは、インターネットの持つ可能性を信じ、2007年にビズリーチを起業しました。しかし、南さんはエンジニア経験がなく、最初にシステム構築を発注した会社も全く役に立たなかったそうです。
八方ふさがりの状況を救ったのは、竹内真さんという天才エンジニアでした。知人の紹介でつながった後、竹内さんはあっという間に南さんの頭の中のアイデアをWebシステムとして実現してしまいました。
>>「真に受けてはいけない」“若手エンジニア超売り手市場”の実態――ビズリーチCTO竹内真が予測するエンジニア採用、次の20年
今や誰もが知っている超メジャーなHRテック企業であるビズリーチも、創業時は一人の天才エンジニアによって救われたと言っても過言ではないのです。
時代をつくる人、置いていかれる人。どちらになるかは自分のマインドセット次第
アイデアを形にすることは、エンジニアの本分でもあります。
まだ収束の道筋の見えないコロナ禍、そしてビジネス活用の事例はまだほぼゼロの5G。これをチャンスと見ることができるエンジニアは、大きな飛躍ができるかもしれません。
5Gは、4Gの延長線上の技術ではなく、全く違う形での利活用が可能な技術要素を持っています。「スマートフォンできれいな動画がストレスなく見られますよ」というレベルの話で終わるようなものでは、どうやらなさそうです。
では、どうやって活用するのが勝ちパターンなのかというと、今の時点ではそんなものは存在しませんし、そもそも事例を探している時点でイノベーションを諦めているとも言えます。
イノベーティブなアイデアを自分で考えるのも楽しいですが、ビズリーチのように「やりたいことはあるけれど、テクノロジーは全く分からない」という人と組むのも面白いでしょう。
ボクは、今のビジネスシーンでの5Gの扱われ方は、初期のインターネット時代に似ている部分があると感じています。
「無料の電話回線」という程度にしか見ていなかった企業や組織が、今やあらゆるビジネスインフラをインターネットに依存していると言っても過言ではありません。
そして、インターネットでビジネス価値を生み出すことに先駆けた会社が、今は高い企業価値を誇っており、既存のビジネスに固執してしまった企業の衰退ぶりは残酷でした。
過渡期・混沌期の今だからこそ、自分のアンテナの感度・精度を上げていく必要があります。
時代をつくる側に回るのか、置いて行かれるのかは、エンジニアのマインドセット次第でしょう。
ぜひ、新しくて面白い時代をつくる側になりましょう。
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