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近年エンターテイメント界隈をにぎわせている「xR」というワード。中にはxRのことを「VRやMRに続く新しい技術?」と思っている人もいるかもしれませんね。
そこで今回は「xRとは?」といった基本的な説明からxR業界を目指すエンジニアに向けたお役立ち情報まで徹底解説。xRについて知りたい人はもちろん、xR業界に興味のあるエンジニアはぜひ読んでみてくださいね!
技術やデバイスの急速な進化により、さまざまな分野・業界の企業が参入し、爆発的に普及が進んでいるxR。私たちの生活でもxRに触れられる機会が増えてきましたね。
「xR元年」という言葉も生まれるなど、xRは過渡期を迎えているといっても過言ではありません。では、そんなxRとは一体何なのか、どんな技術なのか、そして活用例についても詳しくご説明します。
xR(Extended Reality:エックスアールもしくはクロスリアリティ)とは、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)などの画像処理技術の総称で、現実世界と仮想世界を融合させ、新しい体験を生み出す技術のことを指します。xRのxは“未知数”という意味があり、この部分にさまざまな文字が入ることを示しています。
近年急速にxRという言葉が使われるようになった理由は、VRやARなどの画像処理技術が発展し、それぞれの技術間の境界線があいまいになってきたから。この境界線があいまいな技術を表すためにxRという汎用性の高い表現が生まれたのです。
先ほどxRはさまざまな画像処理技術の総称であることをご説明しました。それでは、xRを構成する技術にはどのようなものがあるのでしょうか。活用事例も合わせてみていきましょう。
CGや3D技術などによって作られた仮想世界を体験できる技術。ヘッドマウントディスプレイや専用ゴーグルなどのデバイスを装着するため、体験者の視線とリンクした映像が楽しめる点が特徴です。「限りなく実体験に近い体験が得られる」ことが魅力の一つといわれています。
近年ではVRの技術を教育分野や医療・介護、観光や不動産などさまざまな分野に取り入れる動きが広がっています。
活用事例
・医療:手術中の様子をVRで見学可能にすることで、一流の医師の手術をリアルに体験できたり、事前にVRによって手術のシミュレーションをしたりすることも可能に。難易度の高い手術の成功率向上が期待されている。
・不動産:物件に直接足を運ばなくても、VRによって物件の様子をリアルに体感することができる。コロナ禍や遠方などの理由から住宅の内見が難しい場合に役立っている。
現実世界にコンピューターで作った画像や文字、音声ガイドなどのデータを重ね合わせる技術で、スマートフォンやタブレットのカメラ機能を通した現実世界に仮想世界を重ねたような体験ができます。
商品購入前にその商品を試す体験や訴求力のある広告づくりなどに活かされることが多く、顧客の満足度向上やブランディングなどに期待されています。
活用事例
・小売り:AR技術によって購入前の家具・家電などの商品を自分の部屋に設置したり、通販の洋服・アクセサリーを疑似的に試着したりすることが可能。事前にシミュレーションすることで商品の返品率低下につながる。
・観光:スマートグラスを装着して楽しむ観光ツアー。決まった時期にしか見ることのできない桜や紅葉、動物などの様子などをいつでも楽しめるほか、同時翻訳機能も搭載することで外国人も楽しめる観光ツアーを実現。
MRはVRとARを組み合わせた技術で、現実世界と仮想世界を同時に体験できます。MRはARと混同されやすい技術ですが、ARは現実世界の上に仮想世界のデータを重ねる技術で、MRはSF映画のように現実世界に仮想世界の物体を登場させ、実際にさまざまな角度から眺めたり触ったりすることが可能な技術のことを指します。
活用事例
・製造:MRの技術を用いて、点検者が実際に見ている映像を遠隔地にいる管理者も同時に見ることで精度の高いチェックをおこなうことが可能。監視カメラなどの2次元画像のモニタリングでは見逃しやすいトラブルを未然に防ぐ効果がある。
SRは過去に発生したことや、事前に編集した映像をこれから起こる現実として体験できる技術です。視覚以外にも、聴覚や触覚などさまざまな感覚を刺激することで、仮想世界で起きていることを現実世界で起きていることとして体感できます。VR、AR、MRとSRの決定的な違いは、現実か非現実か判別することが難しい点です。
SRにはまだ代表的な活用事例はありませんが、心理療法やさまざまなデジタルコンテンツと連携した新しいインターフェースを生み出す技術として期待が寄せられています。
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近年xRが注目されるようになった要因は大きく二つあります。一つは5Gの登場。5Gによって一度に大容量のデータが送受信できるようになったため、データ容量の大きいVRやARなどの技術を取り入れやすくなったのです。
二つ目の要因は新型コロナウイルスの感染拡大です。これにより、私たちは人との接触を避けたり、外出したりしづらい状況になりました。そのような状況下でも人とのコミュニケーションやリアルな体験を実現するためのツールとしてxRに期待が高まっているのです。
2019年には約4000億円といわれていたxR市場は、2025年には約1.2兆円にまで膨れ上がると予測されており、今後ますます目が離せない分野といっても過言ではありません。
新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業でリモートワークが取り入れられました。日本では現在、リモートワークで使用するツールはZoomのような画像と音声でやりとりをするWeb会議ツールが主流です。一方アメリカではVirbela(ヴァーベラ)という企業が展開するxR技術を利用したバーチャルオフィスが注目されています。
Virbelaでは3Dの仮想世界であるバーチャルオフィスを作り、社員一人一人がアバターを使ってバーチャルオフィスに集まります。バーチャルオフィスには休憩室やテラスなどもあり、ZoomなどのWeb会議ツールを利用するよりもリアルに職場にいる感覚で働けるのです。
xRの技術は、働き方やオフィスの在り方にも影響を与え、新しいビジネススタイルを生み出しています。
リーズナブルなVRゴーグルの登場により、私たちが専用デバイスを手にできる機会も増えてきました。これに合わせてYoutubeなどの映像コンテンツサービスでもVRの提供が始まっています。
またARの存在をスマホアプリやゲームなどで知ったという人は多いと思います。中でもARを利用した『Pokémon GO』などは記憶に新しく、話題になったものの一つですね。
さらに3DCGでアートを体験できたりガイドを多言語対応させたりすることができるAR技術は美術館や博物館などの空間装飾と相性がよく、今後も多くの施設で活用が進むことは間違いありません。
また、現実世界にARの技術を組み込んだ新世代のスポーツ『HADO』も2014年に発足。年齢や性別、体格に関係なくプレイできることや、魔法のような不思議な体験ができることから、今では世界26ヶ国以上、160万人以上の人が体験するなど急速に競技人口を増やしています。
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これまでの内容から、xR業界がいかに注目されている業界なのかはお分かりいただけたと思います。これだけ期待が高まる業界であるにも関わらず、xRはまだ黎明期ということもあり、需要に対してxRエンジニアの人口が少ないのが現状です。
今xRに関する知識やスキルを身に付けておくことは、エンジニアとしての市場価値を高める事にもつながります。
そこでxRエンジニアに必要な知識・スキルやxRエンジニアへの転職についての情報をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
先ほども述べた通りxRはVRやAR、MRなどの総称です。それぞれに共通して求められる知識・スキルについてご紹介します。
Unityは代表的な3Dコンテンツの開発用プラットフォームの一つ。ゲームやアニメーションの制作現場で使用されることが多く、特にモバイルアプリの開発に強いツールです。Unityは背景・素材・音楽・アクションなどを組み合わせるだけで手軽にゲームや映像を作ることができる万能ツールで、プログラミング言語を知らない人でも操作できるのが特徴です。
Unityがモバイルアプリ開発を得意としているのに対し、Unreal Engineは家庭用ゲームやアーケードゲームの開発が得意とされています。Unreal Engineは繊細で凝った演出に長けた開発プラットフォームで、Unityよりもハイクオリティーなプロ仕様のツールです。
C#やC++はゲームやアプリケーション開発の現場でよく使用される言語です。Unityでより高品質なゲームや映像を作るなら、UnityのベースとなっているC#を理解し、コーディングできるレベルのスキルが必要不可欠とされており、Unreal Engineを扱うにはC++の知識も必要です。
xRプロダクトのバックエンド開発をするときは、GOやElixir、Rubyなどのプログラミング言語が使用される傾向があります。xRプロダクトはこれまでのスマホゲームなどに比べて膨大なデータを扱うため、データ処理に優れたGOやElixirのスキルを持つエンジニアは特に重宝されるはずです。
未経験でもxRエンジニアとして活躍する方法はあります。これまで何度も述べている通り、xR業界はまだ黎明期です。需要に対してエンジニアの人口がはるかに少ないため、xRに対する興味や探求心がある人であれば採用される可能性もあるでしょう。
xR初心者は、まずUnityエンジニアを目指すのがおすすめ。その理由は二つあります。一つ目はUnreal EngineよりもUnityのほう求人数が多いため、Unityのスキルを身に付けておいたほうが転職に有利になることが多いから。
二つ目は先ほども述べた通り、Unityはプログラミング言語が分からない人も感覚的に操作できるようなインターフェースとなっており、初心者にもチャレンジしやすいためです。Unityなら、初心者でも1ヶ月程度で簡単な3Dゲームを作ることができますよ。
xR業界に向いているのは、一言でいうと「バイタリティーのある人」です。これまで何度も述べているように、xR業界はまさに今が過渡期。スキルや経験も大切ですが、「まずはやってみる」と行動に移せるかどうかが明暗を分けるといっても過言ではありません。また想定と違うことが起きた時でも前向きでいられるポジティブさも大切です。
逆にxR業界は「決められた範囲の仕事しかしない」という人には向いていません。xR事業を展開する企業や組織はスタートアップが多く、また技術自体もさまざまな要素が複合的に組み合わさっているため、柔軟で幅広い動きが求められます。
専門外の領域のことでも楽しみながら向き合える人こそ、xR業界で活躍できる人だといえるでしょう。
先ほどxR業界では「まずはやってみる」というバイタリティーが大切と述べましたが、スキルや経験をアピールできるのであればもちろんそれに越したことはありません。むしろxR業界は経験者が少ない業界ですので、そのポジションで求められる経験をお持ちであればかなり有利といえます。
ポートフォリオは、面接官に効率よくスキルをアピールする方法の一つです。そのポジションで求められるスキルセットを考慮し、そのスキルセットにマッチしていることがアピールできるポートフォリオを作成しましょう。
また冒頭でも述べた通り、「xR」はとても汎用性の高い広義な言葉です。漠然と「xR業界で働きたい」と考えている人は「xRで何をしたいのか」と一歩進んだ視点で考えることが必要です。ユーザー目線だけでなく、サービスを提供する側やクリエイターとしての目線でxRについて考えてみることも大切ですよ。
「xR」という言葉の意味から、活用例、xRエンジニアを目指す人向けの情報まで幅広くお伝えしました。既にさまざまな業界・分野でxRビジネスを見据えた開発が進んでおり、xRが今後私たちの生活にさらなる影響を与えることは間違いありません。
xRはまだ発展途上の分野だからこそ、新規参入するなら今がチャンス。もしあなたがxR業界に参入したいと考えているのなら、今すぐ行動に移すのが吉ですよ。
文/赤池沙希
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