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テクノロジーで口の中に“味”を生み出す!? 今、フードテックの世界が興味深すぎる【連載:澤円】

働き方

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株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)

立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」 』(プレジデント社) Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

皆さんこんにちは、澤です。

エンジニアtypeにアクセスしている方なら、「フードテック」という言葉はご存じですよね。

生きていくためには食は絶対に必要不可欠な存在です。

そして、テクノロジーによって進化する余地がまだまだ残っている領域でもあります。

テクノロジーは「時間と空間を解決するもの」

ボクは、テクノロジーは「時間と空間を解決するものである」と定義しています。

「食」に対してこの定義をあてると、解決するための道筋がいくつも浮かび上がってきます。

<時間>

・食事を作る時間を短縮する
・食材を育てる時間を短縮する
・食事や食材が手元に届く時間を短縮する
・食事の時間をより豊かにする
・適切な食事の時間を設定する
etc

<空間>
・狭い空間でも食材を育てられる
・離れた場所に食事や食材を届ける
・複数の場所の食材を効率的に組み合わせる
・美味しく感じる空間を作る
・食材を補完する空間を効率化する
etc

上記のような課題を解決するテクノロジーは、現時点でもすでにたくさん開発され、実際に運用されています。

例えば、「離れた場所に食材を届ける」という役割は、長年八百屋屋さんや魚屋さん、スーパーマーケットが担っていました。

しかし、この流通モデルは生産者と消費者の間に多くのステップが存在するため、「どこかがストップすると食材の流通が止まる」という問題が発生します。

また、どうしても一時生産者は消費者との距離が遠くなり、販売価格に対する決定権も小さくなりがちでした。

このような問題を解決しようとしたのが、『食べチョク』というサービスであると思っています。

ボクが食べチョクを知ったのは、3年前のICC(=Industry Co-Creation)というスタートアップイベントでした。

そこで、食べチョクの運営会社であるヴィヴィッドガーデンの秋元里奈さんのプレゼンを聴き、深く感動しました。

そしていまや食べチョクは、コロナ禍の中で非常に多くの生産者を救う存在としてどんどん認知度が高まっています。

これは、秋元さんが「生産者のこだわりが正当に評価される世界へ」という会社のビジョンに、とにかく愚直に取り組んだ結果ではないかと思っています。

そして、そのサービスの裏側を支えているのが、情熱あふれるエンジニアたち。

まさにエンジニアたちによって作られる、素晴らしいフードテックサービスの事例だと思っています。

また、『ユーグレナ』も、まさにテクノロジーによって食糧問題を解決しようというアプローチでできた会社です。

ボクはユーグレナ創業者の出雲(充)さんの大ファンなのですが、この方は本当に良い意味で頭がおかしい(笑)

バングラデッシュで飢餓問題を目の前で見たことが原体験になり、「ミドリムシで地球を救う」と本気で考えて研究に取り組んだのだそうです。

今では、食料としてだけではなく、バイオ燃料の領域にも応用するようになり、「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」というユーグレナの企業哲学を実現し続けています。

上記の二つは、創業者が知り合いということもあり、ボクにとってはある意味「身近な」事例になります。

世界には、フードテックのクレイジーな研究や事例が多くある

そして、世界に目を向けてみると、他にもかなりクレイジーな研究や事例があります。

例えば、キッチン全体をロボット化してしまった『Robot Kitchen』というものがあります。 イギリスのMOLEYという会社が開発しているキッチンです。

Webサイトをのぞいてみると、単なるコンセプトだけではなくて、すでにオーダーもできるようになっています。

このロボット、センサーを身に付けた超一流シェフの調理の動きをあらかじめ学習データとして蓄積して、ロボットによって再現するそうです。

そして、最新のレシピはインターネット経由でアップデートされるそうな。

家でごはんを作るのは、料理が趣味の人だけになる日がくるかもしれませんね。

そして、料理でもっとも重要な要素の一つである「味」。

「ひどい味になったらどうしよう……」という恐怖心が、料理が苦手な人を生み出している側面もありますよね。

そんな人たちに朗報かもしれないのが、こちらの研究。「Digital Taste Interface」。

なんと、電極を埋め込んだ特殊な箸によって、デジタルの力で口の中に味を生み出してしまうのだそうです。

もともとは塩味が強すぎることによる健康へのネガティブインパクトを減らす、という目的もあるようですが、これは実に面白い発想ですね。

味付けというものの概念が大きく変わってくるかもしれませんし、料理の失敗がこの世から根絶されるかもしれません。

テクノロジーによって、食というもののあり方がどんどん進化してきているのは間違いありません。

そして、食というのは人生を幸せに送るためには絶対に必要なものです。

自分を幸せにするために、食とテクノロジーの両方と向き合っていきたいものです。


「疑う」からはじめる。 これからの時代を生き抜く思考・行動の源』(アスコム)

常識に縛られたら、思考は停止する。

澤円さんが「既存の価値観を取り払い、豊かな人生をデザインする思考法」を紹介する。

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