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“自分探し”で仕事辞めるってアリ? 7年さまよい続けたエンジニアはどのようにして道を見つけたか

働き方

予期せぬ停滞?意図した休憩?

男性エンジニア、「キャリアの踊り場」を行く

多様なキャリアの選択肢が取れる時代になったとは言え、常に新しい技術を学び続けなければならないエンジニアにとって、「キャリアの一時離脱」は勇気がいるもの。 しかし、どんなキャリアになったとしても、そこにはいろいろな“やりよう”があるはず。 さまざまな「一時離脱、停滞期(=キャリアの踊り場)」を経験したエンジニアの事例から、前向きにキャリアを選択していくヒントを探る。

「この仕事のままでいいのか?」自分のキャリアに疑問を持ったとしても、そこで会社を辞めてまで「一度立ち止まる」のは勇気がいるものだ。

そこで今回は、25歳の時に「自分が本当にやりたいことは何か?」と考え、エンジニアから7年間“離脱”した経験を持つ松嶋さんのキャリアを紹介したい。

松嶋さんは小学生の頃からプログラミングが趣味で、専門学校在学中にインターンとしてプログラマーのキャリアをスタートさせた。だが就職後、望まない配属先や現実の仕事と理想のギャップに打ちのめされたことから退職。技術畑を離れ、原付バイクで日本一周の旅に出たり、期間工として働いたり、エンジニア人生を見直す時期を過ごした。

しかし彼は現在、ライフサービスプラットフォーム事業を運営するじげんの沖縄オフィスでWebエンジニアとして活躍している。

なぜ松嶋さんは、再びエンジニアの世界に戻ったのだろうか。「7年のブランク」が彼のキャリアに与えたものは一体何だったのか探ってみよう。

プロフィール画像
   

株式会社じげん 住まいDivision エンジニア 松嶋さん

専門学生時代にゲーム会社にアルバイトとして入社し、ゲームプログラマーに。その後、正社員として入社するもゲーム担当を外れ、1年ほどで退職。自動車工場での期間工の仕事などで生計を立てながら単身で日本一周の旅へ。7年間のブランクを経て、32歳のときにWebエンジニアとして社会復帰。2度の転職を経て、2018年に株式会社じげんに入社。現在は、同社の賃貸情報サービス『スモッカ』のリニューアル開発および、運用業務にバックエンドエンジニアとして参画中

辞める不安よりも、続ける不安が大きかった

――そもそも松嶋さんはなぜ、エンジニアの道を志したのでしょうか?

もともとはゲームプログラマーになりたくて、専門学生時代に今でいうインターンとして開発会社に入社しました。関わっていたゲームは無事リリースされ、エンドロールに名前も載って。一つの作品を作ることはこんなに楽しいのかと、感動したことを覚えています。

卒業後もそのまま同じ会社で正社員として働いていて、ゲームの開発人員は足りていたのでビジネスアプリの担当になったんですが、どうしても肌に合わなくって。大企業のサブシステムのような、全体像がまったく見えないシステムのコードを仕様書通りに書くだけの仕事に面白みを感じることができず、25歳の時に辞めてしまいました。それからしばらく、地元埼玉の自動車工場で期間工として働きながら生計を立てていました。

――ほかのゲーム開発会社への転職は考えなかったのですか?

考えませんでした。ゲーム開発って面白い反面、かなり過酷な現場だったこともあります。最初の就職先では、会社の床で寝ている人が大勢いて、僕自身も入社初日に寝袋を買いに行ったほど(笑)。若い時はいいけれど、30歳、40歳になったら続かないだろうなと思いましたね。

昨今は労働環境もだいぶ改善されていると思いますが、その頃のゲーム開発業界はどこも似たような環境のところは多かったかと。ゲーム業界でなくても、システム開発現場に対してはそういった印象を抱いていました。

なので辞めることへの不安よりも、このままエンジニアを続けていく方が難しいのでは、という不安の方が大きかった。精神的にもちょっとまいっていたので、一度離れて自分が本当に何をやりたいかを考えたいという一心でした。

――そこで「やりたいこと探し」をすることにしたと。

たまたま自動車工場で出会った、日本一周を経験した方の話がすごく面白くて。若いうちにしかできないことにチャレンジしてみたかったし、新しい世界を見るのは今後何かをする上でも良い経験になるだろうと思い、原付きバイクで日本を周ることにしました。

埼玉の自宅を出発して、北海道まで行ったら西海岸を南下して、南は沖縄、最南端の与那国島にも行きました。美味しいものを食べたり、人と出会ったり、目一杯旅を楽しんだという感じですね。

じげん

特に沖縄は、海もきれいで、人も温かくて、「こんなところに移住できたらいいのに」と強く思った印象深い地でした。

「面白そう」から始まった旅ではありましたが、自分はこれからどうすべきなのかという問いは常に頭にあって、旅の途中によく考えていました。でも結局、旅を終えてもすぐにやりたいことは見つからず、しばらく自動車工場で働いたり、たまに旅に出たり……を繰り返していて。

ただ、そんな生活の中でも、趣味でゲームやアプリを作ることは続けてたんです。仕事としては続けられなかったけど、プログラミング自体はやっぱり好きなんだなと思いましたね。

「入りやすさ重視」で再就職したから拓けた自分の道

――その後、何がきっかけで再就職を決めたのでしょうか?

本格的に社会復帰したのは前職を辞めてから7年後で、僕はすでに32歳。周りの友人は会社で役職を得ていたり、子どもが生まれてライフステージが変わっていたりしていました。

そういった話を聞くと、自分も社会と関わりたい、自分の仕事を世の中に還元したいと思うようになってきたんです。「そろそろこの生活も潮時かな」という気持ちも強かったですね。

7年間ずっと、自分が心からやりたいことは何か考えてきたのですが、結局行きついたのはエンジニアでした。小学生からプログラミングを始めていて、工場で働いている間も趣味で続けていましたし、専門的に学んでいるから強みでもある。やっぱりこれしかないと思えたんです。

――再就職活動はスムーズに進みましたか?

趣味でプログラミングを続けていたとはいえ、7年も現場を離れていたので、トレンドの技術を扱うような企業に就職は難しいだろうと考えていました。でも、すべての会社が最新技術を使えるエンジニアを求めているわけではないはず。

なので、再就職の際は、他の条件はひとまず置いておいて、エンジニアとしての入りやすさ優先で選びました。例えば大企業より地元の中小企業、技術も最新のフレームワークや開発言語ではなく、自分が経験したことのあるものを使っているところに絞りました。

結果、バーコードを開発する地元の小さな開発会社に就職できました。その会社が使っていたプログラミング言語はVisual Basicがメイン。しかもバージョンは僕が学生時代に使っていたのと同じ古いものだったんです。

その会社で新しい言語を覚えたり、実務経験を積んだりしながら、Webアプリの開発に携わるまでになりました。すると「今度はWebメインにやってみたいな」と思うようになり、2年半後にクーポンサイト運営会社へ転職。「この道で生きる」と心を決めて働き始めてからは、どんどんやりたいことが明確になっていって、自然と今どこで働きたいかも分かるようになったということかもしれません。

その後、ちょうど案件が一段落したタイミングで、じげんで働いていた友人に「じげん沖縄で働かないか」と声を掛けられ、今の会社に転職しました。

――日本一周の時に憧れていた、沖縄移住にたどり着いたんですね。

そうですね。結果的にWebの仕事、沖縄移住という理想にたどり着くことができました。

じげんへの転職を決めてからは、当時付き合っていた彼女に「一緒に沖縄へ行こう」とプロポーズして。結婚、移住、転職と人生の転機が重なりました。エンジニアとしてやっていく覚悟が決まったことで、生活も変わり、グダグダだった20代の時には想像できなかった人生を歩むことができています。

じげん

7年間のブランクは「折れない覚悟」を持つために必要な期間だった

――じげんではどのような仕事をされているのですか。

賃貸情報サービス『スモッカ』のリニューアル開発や運用業務にバックエンドエンジニアとして参画しています。作ったものがサービスという形で見える今の仕事には、とてもやりがいを感じていますね。

じげん

画像はじげんのオウンドメディア『OVERS』より

――7年というキャリアの一時離脱は、社会人としては長いですよね。結果的にご自身の価値観にどんな影響を与えていると思いますか?

ブランクの長さはさておき、僕にとってあの時間はエンジニアを長く続ける上で、絶対に必要なものだったと思います。もし、あのまま続けていても結局どこかで離脱して、心が折れて二度と社会復帰ができなくなってたかもしれません。

いったんキャリアを白紙にして、自分が本当に何をやりたいのかをとことん考え直したことで、「やっぱり自分はエンジニアとしてやっていくんだ」という覚悟が決まりました。

もちろん今も仕事でつらいことはありますよ。それでも以前のように「辞めたい」とまでは思いません。自分の根幹が折れることがなくなったイメージです。まあ、小枝が折れることはたまにありますけどね(笑)

自分の意思で離脱を選ぶことは、長い目で見たら決して悪いことではないし、一般論と比べて不安にならなくてもいいと思います。もし今かつての自分と同じような若い人がいたら、そうやって背中を押してあげたいですね。

取材・文/古屋江美子 編集/大室倫子(編集部)

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