コードを書く時間は減らさない!
ビジネス書「10分」リーディングビジネスや世の中のことももっと勉強したい、でもコードを書く時間は減らしたくない!そんなエンジニアに、10分で読める要約版でオススメ書籍を紹介します
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この1年、在宅時間で「インプット」の量は増やせた。しかし実際に、得た知識を自分のスキルとして身に付けられたと胸を張れる人は、決して多くはないだろう。
ではどうすれば、インプットをアウトプットに変換できるのか。そこで今回は「学びを結果に変える アウトプット大全」(サンクチュアリ出版/著者:樺沢紫苑)の内容を紹介する。
・読書などでいくらインプットしても、アウトプットしなければ記憶として定着することはない。「自己成長」はアウトプットの量にこそ比例する。
・アウトプットが苦手な人は、まずは「話す」ことから始めよう。読んだこと、聞いたこと、自分が体験したことについて第三者に話してみよう。
・「話す」ことに比べて「書く」ことのほうが、圧倒的に記憶に残り自己成長を促す。書くことで脳に信号を送り、集中力を高め、積極的に情報を収集することができるようになる。
・インプットの「読む」と「聞く」、アウトプットの「話す」と「書く」に加え、「行動する」も重要だ。
Book Review
本書は、日本で初めてアウトプットに特化した、アウトプットの決定版とも言うべき一冊である。
著者である樺沢紫苑氏は、精神科医でもありながら作家でもある。10年連続で年2冊以上の本を書き、メルマガを13年間毎日発行し、動画を1500本以上アップしてきたという、驚異的なペースで情報発信している人物だ。本書は、そんな著者が80の視点からアウトプットのノウハウを解説した、いわば「アウトプットの百科事典」である。
インプットは情報を「入れる」こと、アウトプットは入れた情報を「出す」ことを指す。本書によると、「読む」「聞く」がインプットに、「話す」「書く」「行動する」がアウトプットにあたる。
さて、あなたのインプットとアウトプットの比率はどれくらいだろう。ある調査によると7対3が平均だそうだが、著者は、インプットとアウトプットの“黄金比”は3対7だと指摘する。そしてアウトプットなしに自己成長はありえないというのだ。
本書には、著者が精神科医という立場から指南する、アウトプットのノウハウが満載だ。各項は見開き完結型でまとめられており、スキマ時間に気軽に手に取ることができるはずだ。しかも図解入りで、読書が苦手な人も直感的に理解しやすい。読んだその日から実践できる、チャレンジのハードルを下げたノウハウが紹介されている点もポイントだ。
本書を手に取り、アウトプットを実践して、自分の人生を能動的、積極的に変えてみてはどうだろうか。
「月3冊読んで3冊アウトプットする人」と「月10冊読んで1冊もアウトプットしない人」では、どちらが成長するだろうか? 間違いなくアウトプット量が多い、前者である。
「読めば読むほど知識がつき、成長できる」と考えている人がほとんどかもしれない。だがここで重要なのはインプットの量ではなく、アウトプットの量である。
いくらインプットしても、アウトプットしなければ記憶として定着することはない。本棚にある本を1冊取り出し、その内容を5分で説明してみよう。できるだろうか?
説明できたなら、その本の内容が身についているということ。もし説明できないとすれば、内容を覚えておらず、何の役にも立っていないということだ。インプットはただの「自己満足」にすぎない。「自己成長」はアウトプットの量にこそ比例する。
ここからは、アウトプットの4つの基本法則を紹介しよう。
1つ目は、「2週間に3回使った情報は長期記憶される」である。インプットした情報は、何度も使わないとすぐに忘れてしまう。脳に入力された情報は、「海馬」に仮保存される。仮保存される期間は2~4週間だ。
その間何度も使われた情報は、「重要な情報」と判断され、「側頭葉」の長期記憶に移動する。側頭葉に記憶された情報は、忘れにくくなる。
コンビニでお金をレジに仮保管しておき、お金が貯まったら金庫に移すことと似ている。情報の入力から2週間で3回以上アウトプットすると、長期記憶として残りやすくなる。2週間の間にその情報を話したり聞いたりしよう。
アウトプットの基本法則2は、「成長の螺旋階段」である。
これは、自己成長におけるインプットとアウトプットの関係を表現した言葉だ。成長するためには、インプットとアウトプットをどんどん繰り返す必要がある。だが、インプットとアウトプットは、同じ場所をぐるぐる回っているわけではない。インプットとアウトプットをセットで行うことにより、螺旋階段を上るように少しずつ成長していく。
作家の立花隆氏や脳科学者の茂木健一郎氏も、インプットとアウトプットのサイクルを回すことの重要性に言及している。自己成長のためには、このサイクルがとにかく重要だ。
アウトプットの基本法則3は、「インプットとアウトプットの黄金比は3:7」である。
この比率でインプットとアウトプットを行うと最も効率的だということがわかっている。ある研究において、大学生を対象に、勉強時間のうち「インプット」(教科書を読む)と「アウトプット」(問題を解く)の時間配分を調査した。その結果、インプット対アウトプットの平均的な比率は7対3だった。著者がセミナー参加者に同様の調査をしても、同じく7対3が平均であった。
コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ博士の実験を見てみよう。100人以上の子どもたちに、人名図鑑に書かれた人物プロフィールを覚えて暗唱させた実験だ。覚える時間(インプット時間)と練習する時間(アウトプット時間)の割合を変え、最も高い結果を出したグループを調べた。
最も高い結果を出したのは、インプットとアウトプットが3対7だったグループだ。これがインプットとアウトプットの黄金比だといえよう。思うように成長しないのは、インプットが過剰になり、アウトプットが不足しているからだ。黄金比を意識し、アウトプットを増やそう。
アウトプットの基本法則4は、「アウトプットの結果を見直し、次にいかす」である。
インプットとアウトプットのサイクルを回すにあたり、絶対に欠かせないプロセスがある。それは「フィードバック」だ。これは、アウトプットの結果を評価し、その結果を踏まえて次のインプットに修正を加えるという作業である。見直しや反省、改善、方向修正、微調整、原因究明などが該当する。
失敗した場合にはその原因を追究し、対策を講じよう。成功したときには、その理由を考えてさらなる改善を求める。そうすれば必ず成長がみられるというわけだ。せっかくのアウトプットも、やりっぱなしでは成長につながらない。
アウトプットが苦手な人は、まずは「話す」ことから始めよう。
話すことは、最も簡単なアウトプットだ。読んだこと、聞いたこと、自分が体験したことについて、第三者に話してみよう。昨日読んだ本の感想を家族や友人、後輩に話すだけでいい。そうすれば、あなたの考えや思考、想いなどが言語化され、脳は活性化し、記憶の増強や定着に大きく貢献する。
感想を話すときのコツは、「自分の意見」「自分の気付き」をひとつでも盛り込むことだ。たとえば「話題のラーメン店に行きました!」というコメントに加え、それがどんな味で、おいしいのかおいしくないのかを話すようにしよう。そうすればあなたの話に価値が生まれる。
また「話す」とき、ポジティブな言葉を増やすことを意識しておきたい。ポジティブ心理学の研究によると、ポジティブな言葉を増やせば仕事も人生も結婚生活もすべてうまくいくことが判明しているからだ。ノースカロライナ大学の研究では、仕事の成功や良好な人間関係のためには、ポジティブな言葉がネガティブな言葉の3倍以上必要であるということがわかっている。
「話す」ことに比べて「書く」ことのほうが、圧倒的に記憶に残り自己成長を促す。
なぜなら、書くことで、脳幹網様体賦活系(RAS/Reticular Activating System)が刺激されるからだ。RASとは、脳幹から大脳全体に向かう神経の束、つまり神経のネットワークであり、「注意の司令塔」という別名をもっている。RASが刺激されると、大脳皮質全体に「目覚めよ! 注意せよ! 細かいところまで見逃すな!」という信号が送られる。すると脳は、集中力を高め、積極的に情報を収集するというわけだ。検索エンジンにキーワードを入力するようなものだと理解すればいいだろう。
書くことは、RASを最も簡単に刺激する方法だ。書くことによって脳を活性化させ、記憶力や学習能力を高めることができる。なお同じ「書く」でも、ノートパソコンを使わず、手で書くことをおすすめする。そのほうがより長く記憶が定着し、新しいアイデアを思い付きやすいことが明らかになっているからだ。
インプットは「読む」と「聞く」、アウトプットは「話す」と「書く」。これらに加えて重要なのが、「行動する」という要素だ。本書において「行動する」は、「話す」「書く」以外のすべてのアウトプットを指す。
著者は続けることが得意で、メルマガを13年間毎日発行、Facebookを8年間毎日更新、年2冊以上の出版を10年連続など、さまざまなことを継続している。それらを続けてきたかげには、5つの極意があったという。
1つ目が、「今日やる」ことだけを考えるということだ。たとえば「今日はスポーツジムに行きたくない」と思う日があったとする。そんなときには、「行くだけ行こう」「5分だけやろう」と考えてジムに行ってしまえば、30分、1時間と時間が過ぎていくだろう。続けようと思えば思うほどブレーキがかかるので、「今日」「今」やることだけを考えよう。
2つ目が、楽しみながら実行することだ。つらいことを続けることは不可能なので、継続したいことの中に楽しみを見つけよう。
3つ目が、目標を細分化することだ。ダイエットをしたいなら、「10キロダイエットする!」という目標を細分化し、「1カ月で1キロ痩せる!」という目標を立てよう。「ちょい難」課題に挑むとき、ドーパミンが最大で分泌される。進捗や達成度が管理しやすくなり、モチベーションアップにつながるというメリットもある。
4つ目が、結果を記録することだ。目標達成までの進捗を記録することで、ドーパミンが出やすくなり、モチベーションが上がる。
5つ目が、結果が出たらご褒美をあげることだ。目標達成時にご褒美がもらえると、さらにドーパミンが分泌される。著者は、本の1章を書いたときには少し高級なウイスキーを飲む、本を1冊書き上げたら海外旅行に行くなどのご褒美を設定している。
本書では、日々の生活のなかでアウトプット力を高める7つのトレーニング法が紹介される。要約では、そのうち2つを取り上げる。1つ目は、「日記を書く」である。これは初心者におすすめしたい。なぜなら、「書くことがない」という人であっても、1日を振り返れば何かしらのネタを見つけられるはずだからだ。
日記を書くことには、5つのメリットがある。それは、「アウトプット能力、書く能力が高まる」「自己洞察力、内省能力、レジリエンスが高まる」「『楽しい』を発見する能力が高まる」「ストレスが発散される」「幸せになる」だ。
アメリカのブリガムヤング大学の研究によると、日記にポジティブなことを書いた人は、その日の出来事を書くだけの人に比べて幸福度と生活に対する満足度が高かったという。さらにその内容を誰かにシェアすると、彼らの幸福度と満足度が2~3倍に向上することもわかっている。
著者がすすめるのは、「ポジティブ日記」だ。その日にあったポジティブな出来事、楽しい出来事、うれしい出来事などを3つ書こう。最初は箇条書きでもいい。慣れてきたら文量を増やし、数行ずつ書くことをめざす。
もう1つは、「読書感想を書く」だ。これは、ビジネススキルを伸ばしたい人におすすめのトレーニング法である。
読書感想を記すことのメリットは7つ。「本の内容が定着する」「本の内容を深く理解できる」「本の内容が整理される」「文章力がアップする」「思考力がアップする」「自己洞察が進む」「飛躍的に自己成長できる」である。
読書感想のテンプレートは、「ビフォー」+「気づき」+「TO DO」だ。「この本を読む前の私は〇〇でした」+「この本を読んで私は、○○について気づきました」+「今後、○○を実行していこうと思います」の3行で構成をまとめ、それに肉付けするとよい。このテンプレートを使えば、10分で論旨が明解な読書感想を書くことができるはずだ。
精神科医、作家 樺沢 紫苑(かばさわ しおん)
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。
SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。
月に20冊以上の読書を30年以上継続している読書家。そのユニークな読書術を紹介した『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)は、15万部のベストセラーに。
その他、『いい緊張は能力を2倍にする』(文響社)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など、28冊の著書がある。
公式ブログ:http://kabasawa3.com/blog/
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