本連載では、圓窓代表・澤円氏が、エンジニアとして“楽しい未来”を築いていくための秘訣をTech分野のニュースとともにお届けしていきます
Twitter CEO交代に見る「あらゆる産業のトップは、エンジニアが務めた方がいい」と思うワケ【連載:澤円】
株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」 』(プレジデント社) Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム
皆さんこんにちは、澤です。
みなさん、Twitterは好きですか?
ボクは好きです。相当好きです。
おかげさまで、つい先日にはフォロワーが40,000人を超えました。
インフルエンサーというほどの人数ではないかも知れませんが、やはりこれだけの人数がボクの発信に興味を持ってくれているというのは、とても嬉しいものです。
また、Twitterを通じて知り合って別メディアでのコラボに繋がった方や、自分の情報発信に反応してくださって、インタビューの申し込みをいただくなど、Twitterのおかげでビジネスの幅がどんどん広がっている実感があります。
さて、そんなTwitterですが、CEOが交代しましたね。
名物CEOであり、Twitterの顔でもあったジャック・ドーシーさんが退任して、元CTOのパラグ・アグラワルさんが就任しました。
37歳のインド系エンジニアということで、最近のアメリカテック産業の流れがしっかり現れている印象を受けました。
それにしても、これだけの巨大プラットフォーム企業のCEOともなると、とんでもない天才ですね。
インド工科大学からスタンフォードの博士号とか、もうボクとは別世界すぎてよくわかりません(笑)
そして、人工知能と機械学習を専門にするエンジニアとして2011年に入社して、たった6年でCTOに就任とか、どれだけ優秀なのか想像する気にもならないレベルです。
エンジニアとして超優秀なパラグさんが、CEOという「経営全体の責任をもつ」ポジションにつくことの意味は、非常に大きいと思っています。
というのも、テック企業のトップはエンジニア出身者がいいというのがボクの意見だからです。
もっと言えば、あらゆる産業のトップはエンジニアが務めた方がいいとまで思っています。
インド人でかつエンジニアがトップを務めている会社といえば、ボクの古巣であるMicrosoftのサティア・ナデラさん、Googleのサンダー・ピチャイさん、Adobeのシャンタヌ・ナラヤンさん、「ソフトバンク孫さんの後継者」として一躍有名になったニケシュ・アローラさんなど、本当にたくさんいらっしゃいます。
いずれの会社も、テクノロジーの急激な進歩を牽引する役目を担い続けていられるのは、テクノロジーへの深い理解がトップ層にあるからだと確信しています。
「お金の勘定だけが得意なトップ」は残念に映る
ちなみに、Microsoftは一時期「終わった会社」として酷評されていた時代がありました。
実際のところ、株価は低迷し、SaaS、PaaS、IaaS、検索などのあらゆるクラウドサービス、スマートホンやタブレットなどのモバイルデバイス、音楽やニュース配信などのオンラインコンテンツなど、あらゆるテクノロジー領域で遅れをとっていました。
当時の経営トップは、エンジニアバックグラウンドが全くなく、お金の勘定だけが得意な人たちでした。
末端の一社員だったボクの目には、テクノロジーの価値や意味を軽視するトップの存在は、とても残念に映っていました。
しかし、サティア・ナデラCEO時代になると、一気に復活を遂げました。
サティアさんは、「この業界では伝統ではなくイノベーションだけが尊重される」というメッセージを、社内外に繰り返し発信していました。
「イノベーションを重んじる〜テクノロジーの持つ可能性を信じる」というトップの強いメッセージは、会社全体に極めてポジティブな影響を与えることができます。
ましてや、そのメッセージの発信者が優秀なエンジニアであれば、説得力は大きくアップします。
エンジニア以外がテクノロジーの話をしてはいけない、なんて雑な主張をするつもりはありませんが、本当にテクノロジーの当事者として触れたことのある人に見えてる世界は、解像度が全く違うものです。
トヨタ社長の豊田章男さんが、一流のレースドライバーの腕をお持ちであることは有名ですよね。
それも、ただの社長の道楽としてやっているのではなく、本気で車のことを理解するために、寸暇を惜しんでドライビングテクニックを磨いたそうです。
そうすることで、自動車というテクノロジーの塊に対する理解度を極限までアップしたのでしょう。
トヨタが日本の代表的な会社であり続ける秘密は、このような狂おしいまでのトップの真剣さにあるように思います。
社会的な責任が伴うサービスに、テクノロジーは何ができるのか
ということで、Twitterの話に戻りましょう。
ユーザーとして見ると、Twitterは「140文字以内でメッセージを投稿するプラットフォームである」という印象ですよね。
しかし、このプラットフォームはこの創業から16年の間で、めちゃくちゃ進化を遂げています。
ボクもTwitterを使い始めて12〜3年経ちますが、非常に使いやすくなりましたし、直感的になった印象があります。
以前なら、リツイートは「RT」と手入力していたのが、ワンクリックでできるようになったり、「いいね」の機能がついたり、ミュートの機能が追加されたり……
ちなみに、Twitterの基本概念は「SNS」ではなく、「社会的な要素を備えたコミュニケーションネットワーク」なんだそうです。
(と言っても、TwitterのありようをみたらSNSそのものと言っても言い気がしますけれど)
とにかく、匿名で手軽に投稿できるのがTwitterの魅力。
とはいえ、数億人のユーザーを抱えるプラットフォームの社会的な責任は、どうしても重くならざるを得ないようです。
心無い投稿をする人や、攻撃的なやり取りの応酬がエスカレートすることは日常茶飯事。
その中には「人道的にアウト」なこともたくさん含まれます。
ただ、世界的なプラットフォームである以上、特定の民族的・宗教的・国家的な主義主張を中心に据えにくいことも事実。
まさにこの辺りが、昨今のテクノロジーが直面している問題でもあります。
そんな中、テクノロジーは何ができるのか。どのようにテクノロジーの力によって解決していくのか。
超一流エンジニアでありつつCEOとしてTwitterを牽引する立場になったパラグさんには、大きな期待を持っています。
応援してます!
自分に嘘をつかない、
無理はしない。
だから、可能性が広がっていく。
マイクロソフトを卒業して、
自分らしく生きる僕が大事にしていること
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