ぺブルコーポレーション株式会社
代表取締役社長
藤方裕伸さん
大手動画配信サービスや多様なコンテンツビジネスで活躍後、ソフトウエア開発のIT企業を創業。令和元年11月、当時の東証一部上場企業への会社売却を経て新たにぺブルコーポレーションを設立
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毎年数多くのITベンチャーやスタートアップが生まれているが、その成長を「長く」維持できる会社は一握りだ。では、長く成長を続けられるベンチャーにはどのような特徴があるのだろうか。
これまでに2社のITベンチャーを創業し、現在はAIやIoTなどの最先端技術で企業のDXを推進するペブルコーポレーションの代表を務める藤方裕伸さんは、「エンジニアからの提案を事業に生かせない会社に未来はない」と断言する。
「どんな事業を手掛けているかよりも、どんな環境でエンジニアが働いているかの方が大事」だと話す藤方さんへのインタビューから、エンジニアが転職活動で長期的に成長するベンチャー企業を見極めるための三つポイントを紹介しよう。
ぺブルコーポレーション株式会社
代表取締役社長
藤方裕伸さん
大手動画配信サービスや多様なコンテンツビジネスで活躍後、ソフトウエア開発のIT企業を創業。令和元年11月、当時の東証一部上場企業への会社売却を経て新たにぺブルコーポレーションを設立
ーーここ数年で、ベンチャー企業のエンジニア採用が激化しています。転職者の中には、せっかく働くなら「長く成長を続けるベンチャー」で働きたいと考える人が多いと思いますが、短期的な成長ではなく、長期的に成長できるポテンシャルを持った企業はどうすれば見極められると思いますか?
転職先の候補としている企業が「長く成長を続けられる会社」かどうか見極めるために一番大事なのは、事業や戦略にエンジニアの声を反映する風土があるかどうかだと思います。
ーーどんな事業を手掛けているかよりも、そこにエンジニアの声が反映されているかどうかの方が大事ということでしょうか?
そうですね。というのも、ベンチャー企業はその性質上、カリスマ的存在の創業者やエース社員など、アイデアを出す特定の人がいて、その人がやりたいことをかたちにした事業を柱にしたような企業が多いと思うんです。その結果、ワンマン経営になっていたり、かたくなに一つの事業に固執してしまっていたり。
もちろん、社長の強いリーダーシップで成長を続けている企業も、中にはあると思いますが、変化が多い時代においてワンマン経営は厳しい。社長一人の知識や経験なんて、たかが知れていますから。
一方、ベンチャー企業には本来、仕事にやりがいや成長を求めるタイプの志の高いエンジニアがいるはずです。そんな彼らが提案するアイデアや意見をスモールスタートでもいいから“まずはやってみる”スタンスがあるかどうかが、企業の長期的な成長を左右すると考えています。
例えば、開発現場から上がった意見を最終的にかたちにできないことがあったとしても、「どうすれば実現できそうか」「他に策はないか」と実現に向けて考えをめぐらせる文化が根付いているかどうかは、面接を受ける際にも確認した方がいいと思います。
また、現場から上がったアイデアの良しあしをちゃんと見極められる人がいるのかも入社前に知っておきたいポイント。エンジニアから寄せられたアイデアを生かして利益につなげられるような、ビジネス視点に優れた人物がいるかどうかも採用担当に聞いておけるといいですね。
ーーぺブルコーポレーションでも、エンジニアの意見を事業に生かす取り組みには力を入れているのでしょうか?
はい。全ての意見をかたちにできるところまでは実現できていませんが、エンジニアから寄せられたアイデアをスモールスタートからでも実行に移すカルチャーはしっかり根付いていると思います。
もしもそれで失敗したら、その時にやめればいいだけのこと。まずはやってみて検証する、トライアルアンドエラーを高速で繰り返していくこと。それが、次のビジネスの柱を見つけるきっかけにもなるし、チャンスも広がります。
ビジネスの種を継続的につくり、複数の柱を立てられる体質があるかどうかが、長く成長するベンチャーに値するかを測るポイントです。
ーーでは、転職希望者がそうした会社を見極めるには具体的にどうすれば良いでしょうか?
先ほども少し触れましたが、まずは面接の場などでその会社の代表や社員に直接聞いてみるといいですね。
ちなみに、ペブルコーポレーションが展開している『メディカルECサイト』や『AI脆弱性診断サービス』『Medic LAB 血液検査サービス』『AI/DX支援サービス』もエンジニアの発案が出発点なんですよ。むしろ、今事業やサービス化しているものに、僕発案のものは何もないんじゃないかな。
直近では、AWSの導入支援を手掛けていたチームが「GCPやAzureにもサービスを広げたい」と提案してきてくれたので、3大クラウドを扱うチームを立ち上げました。
企業のホームページなどで、手掛けているサービスを知ることはできても、背景や経緯までは直接聞いてみないと知り得ませんからね。
あとは、面談などで代表と話す機会に恵まれたら、ぜひ20代前半のエンジニアの提案や仕事観を経営層はどう捉え、生かしているのかも聞いておくといいと思いますよ。
ーーそれはなぜでしょう?
冒頭に、長く成長を続けるベンチャー企業は「エンジニアの提案を反映できる企業」だとお話ししましたが、僕はそこからさらに、デジタルネーティブ世代の力を存分に引き出せる会社こそ、息の長い成長を続けられる会社になり得ると考えています。
現在、当社で主力として活躍しているエンジニアの多くが20代の若手なのですが、デジタルネーティブ世代である彼らのポテンシャルは、目を見張るものがあります。
(※)日本では1990年代から2000年代に生まれた世代を指し、生まれつきインターネット社会に接しており、幼い頃からグローバルな視野を持っているとされる
ベンチャーと言えど案外、先に入社した先輩の意見が優先されたり、評価の仕組みが結局、年功序列だったりする企業も多いものです。若手エンジニアの意見が尊重され、採用される会社なのかどうかも確認しておくといいでしょう。
ーーデジタルネーティブ世代が活躍しやすい会社かどうかは、その企業のどんなところに表れると思いますか?
一つは、リアルだけでなく、デジタルを重視した働き方やコミュニケーションがしやすい会社なのかどうかで測れると思います。
例えば、当社では「全国どこからでもリモート出勤可能」にしていて、出社するのか、リモートするのかは完全にエンジニアへ一任しています。
なぜなら、デジタルネーティブ世代のエンジニアたちはオンラインと出社のバランスのとり方がめちゃくちゃうまいからです。
「今日の業務は出社した方が進めやすいな」「これはメールじゃなくて電話でサクッと聞いちゃおう」「念のため、チャットで確認しておこう」というふうに、幼少期からデジタルの存在が当たり前の彼らはリアルとデジタルの使い分け方を心得ているんですよね。
あと、制度という分かりやすいものではないですが、デジタルネーティブ世代より「上の世代」のエンジニアが社内でどう立ち回っているかもみるといいですね。
ーー30代以上の、ベテランエンジニアの立ち回り方というイメージでしょうか?
そうですね。ベテランエンジニアは、デジタルネーティブ世代の進むべき方向を舵取りしてあげるような役割を果たすべきです。
例えば、クライアント先で「次は●●案件も任せたいからよろしくね」と営業担当を介さず、若手がプロジェクトをもらってきてくれることもあるでしょう。そんな若手エンジニアに「じゃあ、誰をプロジェクトに入れたいか決めていいよ」とチーム体制も一任してくれるベテラン層がいるのか。
あるいは、オンプレからクラウドへ移行する時をイメージしてほしいのですが、ほとんどのクライアント先では既存の技術やシステムがあるので、「最新技術だけ使えます」だけでは意味がないんです。レガシー技術を知らないとできないことがまだまだ多い。
だからといって上の世代は、わざわざ古い技術や手法を若い世代に教えることに時間を割かなくていい。若い世代と同じ土俵に立つ必要はなくて、レガシー部分はこれまで培ってきた技術を生かす、でいいんです。
つまり、ポテンシャルの高い若手エンジニアと、彼らの活躍できる道筋を描いてあげるベテランエンジニア。どちらの世代も尊重し、それぞれが気持ちよく楽しく活躍できる会社こそ、長く成長していける体力があるITベンチャーだと言えます。
転職活動中にそんな部分にも目を向ければ、長く伸び続ける優良ベンチャーに出会えると思います。
撮影/大島哲二 取材・文/玉城智子(編集部)
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