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30代前半でCTOに二度就任。Rails寺子屋師匠も務めた三浦彩が考える「本当に技術力があがる開発環境」三要素

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スマートフォンゲーム、メタバース、Web3など市場ニーズに合わせた新たな技術を中心に、企画立案から開発・運用までトータルプロデュースを行っている株式会社ScopeNext。そんな同社の技術力を支えているのが、CTOの三浦彩(みうら・たくみ)さんだ。

三浦さんは高専卒業後すぐにベンチャー企業でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせ、27歳で初めてCTOを経験。32歳のときには、キャリア上2度目となるCTO就任を果たしている。

それ以前にもRubyコミュニティー主催『RubyKaigi』の登壇やRuby on Railsの実践学習イベント『Rails寺子屋』の師匠、他社の技術顧問を務めるなど、30代前半にしてさまざまな場面で技術と知見を磨いてきた人物だ。

複数企業を渡り歩き、自分自身でも開発組織を率いた三浦さんに「技術力があがる開発組織」の特徴を教えてもらった。

ScopeNext

株式会社ScopeNext
執行役員 CTO
三浦彩さん(@mitaku

高専卒業後、株式会社オプティムに入社。大手キャリアの事業の開発や、MDM事業の立ち上げに従事。株式会社ドリコムではソーシャルゲーム事業のネイティブシフト期にサーバーのメインエンジニアとしてIP案件の成功に寄与。社内の開発文化を醸成し、国際的なカンファレンス『RubyKaigi』に登壇。その後、株式会社Scopesに合流し、CTOを務める。 Scopesのオルトプラスグループに参画後、ゲーム事業本部のスタジオの部長として、開発、企画、プロデュースなど幅広く経験。現在、株式会社ScopeNext 執行役員 CTOとして、ゲーム開発、ブロックチェーン開発、Webサービス開発等に従事。2020年より、ARエンタメ開発企業Graffityの技術顧問も務めている

1カ月掛かる機能開発を2時間に短縮した経験で考えが変化

秋田県でもトップクラスの学力を誇る秋田工業高等専門学校出身の三浦さんだが、意外にも「勉強は嫌いだった」と笑う。

「試験に向けた勉強をしたくないからこそ、いかにコスパよく点を取れるだろうかということには熱心でした(笑)。試験勉強に時間を割くより、ものづくりや趣味の時間を大事にしたかったんです」

ScopeNext

学生時代からすでに根っからの技術屋気質が伺える三浦さんに、若くしてCTOになれた秘訣を問うと意外な答えが返ってきた。

「もともとプログラミングは大好きでしたが、ある出来事をきっかけに、エンジニアの仕事はプログラムを組み上げて価値を実現したり問題を解決したりすることだけでなく、プログラミングという手段にとらわれずもっと多くの課題を解決できることなんだと気づいたことが大きいかもしれません」と振り返る。

その出来事というのが、キャリア2社目のドリコム時代の経験だった。

「当時のドリコムではブラウザのソーシャルゲームからAndroid/iOSでのソーシャルゲーム開発に主戦場が移行する時期でプロジェクトが並行して何本も走っていました。

ゲームの内容は違えど、どのプロジェクトでも同じように実装する機能が多く存在し、似たような設計で似たような実装を行うこともしばしばでした。なので、そうした仕様や実装は共通化し、もっとプロダクトの価値をあげることに注力するできるのではないかと思ったんです。

例えば、課金機能。この機能は顧客にとって重要なのはもちろん、会社にとっても収益に関わる部分なので、当然高い品質やさらには会計、法律の知識を求められますが、言ってしまえばどのプロジェクトでも同じような内容なので、リスクを負って毎回似たものを作る必要はないわけですよね。

他のプロジェクトでも導入されていて動作実績のあるものがあれば、安心して本質的な価値に注力することができるので、もっと効率的に開発できるかもしれないと考え、周りのメンバーと協力して仕組みや文化醸成を図りました」

Ruby on Railsのパッケージ管理システム『RubyGems』をつくる会社文化が存在していたドリコム。その文化を生かし、『RubyGemsの開発』について『Gem of this Week』というテーマを発表した。

「その結果、最低1カ月の開発期間を要するソーシャルゲームの課金機能を2時間短縮させることに成功したことと、周りのメンバーを巻き込んだ文化醸成の工夫やその様子の紹介を『RubyKaigi』登壇時に発表しました。

決して私一人の力で成し得たことではありませんが、組織を構成する仲間たちの試行錯誤で圧倒的な生産性を実現できたことへの反響は大きかったですね。

僕自身は特に、生産性が上がったことで生まれた時間を、エンジニアにとってより本質的でワクワクする開発に充てられるように組織の仕組みをアップデートさせることができたのがうれしくて。

エンジニアの本質は問題解決だとよく言われますが、自分やメンバーが持っている課題や不満をどう解消すれば組織の成長や利益に転換できるのか。そんなことを考えるのも面白いなと思えたんですよね」

時を同じくして、学生向けにRuby on Railsを使ってWebアプリ作りを実践しながら学ぶイベント『Rails寺子屋』にも参加。高専生たちにレクチャーする「師匠」のポジションを務めた。

ScopeNext

高専出身のエンジニアが集まった「高専カンファレンス」のつながりで始まった「Rails寺子屋」には、6年間クックパッドでCTOを務めた成田一生さんをはじめそうそうたるエンジニア陣が名を連ねている(参照元

「今振り返れば、こうした場に顔を出して他社のエンジニアたちと交流し、自分だけでは得づらい技術的知見をインプットしていたことも技術力を高めていったように思います」

実際、他社からの「技術顧問へのオファー」は三浦さんの技術力や経験が認められている証しだ。オファーを出した人物はARエンタメ開発企業GraffityのCEOの森本さん(@ok_totti)。

三浦さんのTwitterアカウントを偶然見つけた森本さんは三浦さんとは面識がなく、SNSや活躍ぶりを人づてに聞きつけ、三浦さんにTwitterのDMを送ったそうだ。

「当時Graffityには、ゲームサーバーの開発・運用の経験に長けたエンジニアがおらず、その分野で経験を積んでいた私に任せたいというオファーでした。

加えてドリコム、Scopes、オルトプラスで、営業・開発・サーバー運用などゲームに関わる業務全般を見ていた経験や個人としての技術力を買っていただいたことは、個人的にすごくうれしい体験でしたね」

頼れる仲間の存在は「技術的な挑戦」の後押しになる

ScopeNext

Web3、メタバース、生成AIなど、新たな技術が次から次へと登場し、必要とされる技術も激しく変化する昨今。技術力をあげるためにエンジニアは何をすべきなのか。

「個人の努力は大前提」と前置きした上で、「どんな開発組織に身を置けば技術力が向上するのか」見極めることも重要だと三浦さんは語る。

彼が考える「技術力の上がる開発組織の条件」は次の三つだ。

【1】自身のフェーズにマッチした環境を選ぶ

「技術力を高めるには目の前にあるタスク、つまり開発が楽しいと思えることが欠かせない」と話す三浦さん。そのモチベーションを阻害するものとして、自分と組織のフェーズがズレてしまう状況をあげる。

「例えば、BtoBのサービス開発をしていた私が、BtoCの高負荷なサービス開発にチャレンジしたいと転職を決意したのは、さらに高いレベルの技術に挑戦したくなったからです。

特に私の場合、飽き性なので常に同じことをやっていると自分の成長が止まっている感覚になってしまう。

そんな風に変化や挑戦を好むエンジニアには都度、手応えを感じる業務にチャレンジさせてみてもいい。逆に狭く深くスキルを高めていくのもいいでしょう。

大事なのは、自身の持つスキルや思い描くエンジニア像と、組織の業務内容や規模感がマッチしているかどうか。

経験を重ねたり、取り巻く状況が変わったりすれば、自分自身のやりたいことや組織への期待も変わってくるものなので、自身のフェーズにマッチした組織の見極めはとても重要です」

【2】自分が「下手でいられる環境」に身を置くこと

自己学習で成長を意識していても、自分が「頭打ちだ」と感じてしまった瞬間、伸び悩んでしまうことはエンジニアに限らずあるだろう。だからこそ、“下手でいられる環境”はとても重要なのだと語る。

ScopeNext

「自分より技術力が上だと思うエンジニアが職場にいるメリットは、『いざとなれば頼れる人がいるから大丈夫』という安心感が得られることです。

以前いた職場で、SNSで名の知れた外道父さんところてんさんonkさんtodeskingさんなど高い技術力を持ったエンジニアたちと一緒に働いていたことがありました。

その安心感があるから、一緒に働くメンバーはチャレンジへの迷いがなくなり、攻めた開発にも躊躇なく挑戦できたりするんです。

全ての面でリスペクトに値する人を見つけるのが難しくても、“ここだけは自分より秀でている”という人だっていい。

CTOである私でも『この領域ではかなわないな』と思わせられる高い専門性を備えたメンバーがいて刺激をもらえることは今でもよくあります」

【3】組織に柔軟性やアジリティがあること

最後にあげたのは「組織の柔軟性」だ。例えば、ChatGPTのようなプロダクトが登場し、これまでの価値観や優位性が一変するようなことが起きたとき、変化に対応できる柔軟性やアジリティを兼ね備えた開発組織は強いと話す。

「私がエンジニアとして働き始めた2009年頃、IT業界には一種の勉強会ブームが巻き起こっていました。駆け出しエンジニアだった私もそうした勉強会に参加しては社に持ち帰って試し、を繰り返していました。

成功も失敗もたくさんありましたが、そうしたトライアンドエラーが生きた知見となり、技術力がぐっと高まった経験だったように思います」

だからこそ、いざメンバーが「この技術にトライしたい」「こんな開発をしたい」と提案してきたときに臨機応変に対応できる環境かどうかは大事なのだと三浦さんは続ける。

「組織の柔軟性は例えば、技術や案件に対する縛りからでも分かります。

ScopeNextもそうですが、案件や言語やフレームワークに縛りがなく、適切な技術選択をしていたり、新しい技術にチャレンジしたりすることをむしろ評価してくれる開発組織は、多くの経験を積めるのでよいと思います。手を上げればどんなことを、どのように挑戦させてくれる環境なのか。面接で聞いてみると見極めやすいかもしれません」

自分の中にある「譲れないもの」を見極めて

しかし、これらの三つの条件を備える開発環境を見極める前に、「まずは自分自身を理解すること」が最も重要だと話す三浦さん。

自分のことを理解していなければ、「自分のフェーズにマッチしている環境」も見誤ってしまう可能性があるからだ。

「頭では新しいことにチャレンジしていきたいと思っていても、案外真逆の性格をしていたり、能力を発揮しやすい場面が他にあったりする方も多いように感じます。

何が良い悪いではなく、マインドだったり、パフォーマンスが発揮しやすい領域だったりを見極めないと、自分と組織がうまくマッチせず、結果的に技術力の向上もかなわなくなってしまいます。だからこそ、自分の中にある譲れない気持ちは十分に理解することが大事です」

ScopeNext

とはいえ、状況によって環境は変化する。いざ、自分が身を置く環境に変化が生じた際にも適応できることは、これからの時代に必要とされる能力だろう。

そのためには「エンジニアとして“地力”を確保すること」が大切だと三浦さんは続ける。

「例えば、特定の言語やフレームワークで開発したいと入社しても、その時々のトレンドや経営状況、組織体制などさまざまな事情に影響され、状況が変わってしまうのはどの会社も同じ。この先もずっとその言語の開発プロジェクトに携われるとは限りません。

特定のプログラミング言語や技術領域を深めるだけでなく、いざ特定言語以外で開発しなければならなくなった時、柔軟にピボットできるように技術や知見を常日ごろからキャッチアップし、練習をしてレベルアップしてその挑戦を楽しめるような努力はしておきたいですね」

技術力は“ここまで高めれば終わり”というものでもなければ、あらゆる技術を一人で全て習得できるものでもない。

「だからこそ、私はCTOとして、先にあげた三要素はもちろん、一緒に働くエンジニアがモチベーション高く働きながら、おのずと技術力も高まるような開発組織やカルチャーを作ろうと考えています。

新しくジョインしてくるエンジニアとも既存のエンジニアとも知識を共有し、インプットとアウトプットをどちらも増やしながら楽しく前進していきたいですね」

文/阿部裕華 撮影/桑原美樹 編集/玉城智子(編集部)

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