仕事にとことん没頭する人生もいいけれど、職場の外にも「夢中」がある人生は、もっといい。「偏愛」がエンジニアの仕事や人生に与えてくれるメリットについて、実践者たちに聞いてみた!
年300杯つけ麺を食べるホワイトハッカー・つけりきの「ルールを作らず長く楽しむ」偏愛メソッド
2000年代の半ばからブームを巻き起こした、つけ麺。かつてはラーメンの一種とされることが多かったが、専門店の増加により麺類の一つのジャンルとして確立されると、多くの「つけ麺ファン」を有するようになった。
そんなつけ麺ファンの中でも一線を画すハマりっぷりを見せるのが、つけ麺専門インスタグラマーとして界隈でその名を知られる「つけりき」こと小芝力太さんだ。
大学時代につけ麺の魅力に取りつかれて以来、都内を中心に全国各地を食べ歩き、実食数は年間約300杯、これまでに回った店舗数は2000店を超える。
普段はホワイトハッカーとして働くつけりきさん。彼のつけ麺ライフとエンジニアライフはどのように交わっているのだろうか。
つけ麺専門インスタグラマー・ホワイトハッカー つけりきさん
大学院卒業後、新卒で入社した企業でホワイトハッカーとしてのキャリアをスタート。プライベートでは大好物のつけ麺を食べ歩き、趣味が高じてインスタグラマーに。TBS系『マツコの知らない世界』出演
■Instagram
つけ麺ライフの始まりは通学中の腹ごしらえだった
つけりきさんがセキュリティーの分野に興味を持ったきっかけは、高校生の頃。キャリアの選択という点で見ると、かなり早い段階で進む道を決めている。
「映画やニュースなどでハッキングについて知ったんです。その流れでホワイトハッカーという職業と出会い、『かっこいいな』と思ってその道に進むことを決めました」
純粋な憧れを胸に、高校卒業後は理工学部の情報系のコースへ進学。セキュリティー研究室に在籍し、大学院でも一貫して情報セキュリティーに関する研究を行った。
学びを生かし、大学院卒業後は新卒で入社した会社でホワイトハッカーの仕事に就き、現在入社4年目になる。
「情報セキュリティーの脆弱性診断を主に担当。セキュリティーの脆弱性につながるリスクを発見・対策したり、規程を作ったりしています」
学生時代からの夢だったホワイトハッカーとして働く一方で、プライベートではつけ麺専門のインスタグラマーとして、新たなつけ麺との出会いを求めて食べ歩く日々。週に6軒、休日には1日で3軒をはしごすることもある。
「行ってみたい店舗はリストで管理しています。リストは定期的に更新しているので、常時40軒程度が並んでいる状態。仕事が終わったらリストの中から行きたいお店を選んで、夕飯としてつけ麺を食べに行っています」
もはやライフワークとしてつけ麺と共に生きているつけりきさん。つけ麺ライフの始まりは、大学時代。「人生を変える1杯との出会いがきっかけでは?」というの予想は見事に外れた。
「実家から大学まで電車での通学時間が90分程必要だったんです。授業を終えて帰ると途中で絶対にお腹が空く。安くて量のある物を食べたいと思い、たどり着いた最適解がつけ麺でした。
つけ麺は麺が太く、ボリュームのあるものが多い。店舗ごとに特徴があっておもしろいな、と思い、いろいろなお店のつけ麺を食べてみたいと思うようになりました」
以来、自身の住む東京はもちろん他県へも積極的に遠征をしてきた。訪れた都道府県数は約40に上る。
「休暇を利用して特定の地域を巡るつけ麺旅行をしています。もともと知らない土地を一人旅するのが好きだったので、つけ麺と旅行を同時に楽しめて一石二鳥ですね」
つけ麺愛貫く「専門性」が強みに
つけりきさんのInstagram投稿数は1200件超、フォロワーは約1.9万人(2023年11月現在)。その他、ブログやYahoo!ニュース エキスパートにも記事を投稿中だ。
つけ麺を食べるだけでなく、情報発信を始めたきっかけは何だったのだろうか。
「2018年頃、Instagramユーザーが周囲に増えてきたことから、とりあえずアカウントを作ったのが始まりです。発信する内容が決まっていたわけではなかったので『たくさんつけ麺を食べているし、その写真を載せてみよう』と思って投稿を始めました。
Instagramを始めるまでは投稿に使えるようなつけ麺の写真は撮っていなかったので、ゼロからのスタート。発信していくうちに少しずつフォロワーさんが増えていき、情報交換もするようになりました。つけ麺仲間ができたことで、楽しく活動を続けられています」
Instagramを開始して5年強、つけ麺仲間と充実したつけ麺ライフを送っているつけりきさん。つけ麺ばかりを食べ続けても「飽き」はまだこないというから驚きだ。
「つけ麺は専門店がどんどん増えていきますし、ジャンルがたくさんあるので飽きないんですよ。
例えば15年頃は濃厚な魚介豚骨系がブームでしたが、最近では麺が昆布水に浸かった状態で提供されるスタイルのつけ麺が増えています。その時その時の流行の店舗を巡るのもおもしろいですね」
強いつながりを作る「共通の話題」の豊富さが、仕事にも好影響
つけりきさんはこれまで本名と顔を明かすことなく活動してきた。しかし、23年8月にTBS系の人気番組『マツコの知らない世界』に実名・顔出しで出演。彼の知名度は一気に高まった。
この変化は、エンジニアとしての仕事にも思わぬ好影響があったと明かす。
「職場ではあまりつけ麺の話をしていなかったのですが、テレビの反響は想像以上に大きくて。
『見たよ!』『おすすめのお店教えてよ』とたくさんの人に声を掛けてもらいました。あまり交流がなかった人とも、食というジャンルでつながりが生まれると距離が縮まりやすいんです。おかげで、普段の業務で関わる際にもコミュニケーションが取りやすくなったな、と感じています」
グルメの話題は、多くの人が興味を持ちやすいテーマの一つ。特につけ麺は、日常生活の中で気軽に食べに行きやすいため、会話のフックにもしやすいのだとか。
また、つけりきさんはつけ麺専門インスタグラマーとは別に大の筋トレ好きという一面も持つ。
「つけ麺も、筋トレも、どちらも大切な趣味。趣味が多いと話せることが増えるので、多くの方と共通の話題で盛り上がることができています。今年の夏にはボディコンテストに出場するため、つけ麺を控えて体づくりもしていたんですよ」
意外にも、つけりきさんはつけ麺最優先の生活を送ってるわけではない。何かを犠牲にすることなく、仕事や生活、他の活動とのバランスを取りながら、無理のない範囲でつけ麺を楽しんでいる。
「つけ麺を食べる上でルールは作らないようにしているんです。1日1食、月30杯、などのルールやノルマを作ってしまうと、それに追われて心からつけ麺を楽しめなくなってしまうから。
僕は僕のペースで、あくまでも長く楽しみ続けることを大切に活動しています」
趣味であっても仕事であっても、継続することが何よりも難しい。だからこそ自分に合ったペースを見つけることが重要。
最後に、エンジニアとして、つけ麺を愛する一人として、それぞれ今後の目標を聞いた。
「セキュリティーの領域は奥が深いので、もっと知識を増やして自分ができる仕事の幅を広げていきたいです。
つけ麺に関しては、『ラーメンが好き』という人と同じように『つけ麺が好き』と言ってくれる人が増えたら嬉しいな、と思っていて。先日のテレビ出演を決めたのも、そのためなんです。これからもつけ麺の情報発信を続けて、仲間を増やしていきたいですね」
取材・文/中たんぺい 編集/秋元 祐香里(編集部)
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