のらねこワークス株式会社
代表取締役
佐藤貴彦さん
大学中退後、トラックドライバーを経て未経験でIT業界に転職。3度の転職、ベンチャー企業のCTO、自社サービス立ち上げ、タイでの事業立ち上げなどを経験。現在もエンジニアとして「大手企業の営業支援システムの新規開発」を実施中
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「案件ガチャ」「薄給」「会社の押し付け」など、ネット上にはSESのイメージを低下させるキーワードが飛び交っている。しかし安易に「SES=悪」と決めつけて良いのだろうか。
世の中には、高い報酬や待遇を実現し、エンジニアが希望する案件を経験できるSES企業も存在する。そこで今回、いわゆる“悪徳SES”の真逆を行く仕組み作りを実現し、エンジニアの採用や育成に成功しているという、のらねこワークスに取材を実施。
「エンジニアが本来受け取るべき高収入をもらいながら、自由に働ける環境を作りたかった」と起業の思いを語る代表取締役CEOの佐藤貴彦さん、取締役COOの松高 健太郎さんに、優良SES企業の見極め方を伺った。
のらねこワークス株式会社
代表取締役
佐藤貴彦さん
大学中退後、トラックドライバーを経て未経験でIT業界に転職。3度の転職、ベンチャー企業のCTO、自社サービス立ち上げ、タイでの事業立ち上げなどを経験。現在もエンジニアとして「大手企業の営業支援システムの新規開発」を実施中
のらねこワークス株式会社
取締役
松高 健太郎さん
大学卒業後、未経験からITベンチャーに入社。社会人9年目に自身の選択の幅を広げるため個人事業主として独立。佐藤とはとある案件をきっかけに出会い、佐藤の「本当にエンジニアが働きやすい会社を作る」という方針に賛同し、2021年から同社に参画。営業、リクルーター、アドバイザー、エンジニアとして奔走
ーー世間では「SES=悪」というイメージが広く根付いていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
佐藤:確かに以前は「悪徳SES」と呼ぶべき会社も存在しました。私がIT業界に入ったのは20年ほど前で、最初に勤めたのがSES企業でしたが、入社当時の月給は20万円前後。残業代が出るのは時間外労働が月200時間を超えてから。毎日終電で帰るのが当たり前というブラックな環境でした。
その会社のように、2000年代初め頃までは、劣悪な条件でエンジニアを働かせるSES企業がたくさんあったのは事実です。
松高:当時はちょうどITバブルで、「仕事はあるが、人がいない」という状況でした。そのため「経験やスキルは問わないから、とにかく手を動かせる人が欲しい」という案件が多かった。SES企業はとりあえず人をたくさん集めて、どんどん現場に送り込むだけで儲かったんですよね。
そんな時代なのでエンジニアの働き方や待遇への配慮はなく、現場でひたすら大量の仕事をこなせばいいと考えるブラックなSES企業が多かったのだと思います。
佐藤:とはいえ、それはもう過去の話です。かつては社会全体のITリテラシーが未熟だったこともあり、企業側はSIerに言われるままエンジニアを受け入れてきました。
ただ現在は、企業側にもITに詳しい人材が増えてきているので、「どんなスキルを持ったエンジニアが欲しいか」「どのような成果を出せる人材なのか」をシビアに見極めます。
よってSESも人数を揃えるだけではビジネスにならず、優秀なエンジニアを確保するために働き方や待遇を改善している。少なくとも、私が若手の頃に経験したような悪徳SES企業は減っているはずです。
メディアなどでは良い情報より悪い情報が拡散されやすいので、一部の会社の情報がまるでSES業界全体のことのように伝わってしまっている可能性はあると思います。
ーーブラックとまで言わなくても、SESに対するネガティブな情報はよく見聞きします。代表的なのが「会社が提示した案件しか経験できない」という声です。
佐藤:会社の背景や事情によっては、そういうケースもあるでしょう。
例えば、SIerなどで特定企業の仕事を長年請け負ってきた人が独立してSES企業を立ち上げた場合。これまで取引してきた企業の案件が中心になることが多いので、エンジニアはその会社の現場にしか入れない。あるいは経営方針として「この業界の案件しか受けない」「この言語を使う開発しかやらない」と決めているSES企業であれば、やはりエンジニアは従うしかありませんよね。
同じような仕事をコツコツやりたい人や一つの技術を極めたい人なら、そういうSES企業がマッチするかもしれない。だから限られた案件しか経験できないことが必ずしも悪いとは言いません。でも様々なタイプの案件を経験し、幅広いスキルや知識を身につけたい人には向かないでしょうね。
ーー「SESは常駐先がコロコロ変わるのが嫌」という声もあります。
佐藤:確かに“会社の都合”で案件が変わるのは好ましいことではないと思います。
ただ、本人の希望をきちんと聞き「次はこんな言語にチャレンジしたい」「そろそろリーダーの経験を積みたい」といったキャリアプランを会社が考慮した上で案件が決まるのなら、短いスパンで色々な常駐先を経験できるのはむしろメリットになります。
先ほど言ったようにSESなら幅広いスキルや知識が身につきますが、受託開発や自社サービス開発の会社は一つ一つの案件のスパンが長く、場合によっては何年間も同じ技術や業務しか扱えないこともある。成長速度はどうしても遅くなります。
日々スキルアップしながら早く実力を磨きたいエンジニアにとっては、むしろSESは魅力的だと思います。
ーー「SESは給与が低い」という不満も多いようですが……。
佐藤:炎上覚悟ではっきり言えば、社員への還元率が低いSES企業は経営者が儲けてるんです。エンジニアの給与は低いのに、役員報酬が異様に高い会社が多すぎる。本来なら社員にもっと還元できるはずです。
また会社の見栄えを良くしたいがために、必要以上に広くてきれいなオフィスを借りたり、バックオフィスの人員が無駄に多かったりと、余計な経費をかけているSES企業が少なくありません。
もし給与が低いSES企業があるとしたら、それはSESというビジネスモデルが悪いのではなく、単にその会社の経営に問題があるのだと考えるべきです。
ーーではのらねこワークスでは、先ほど挙がったような“SESあるある”の課題に、どう対応しているのですか。
佐藤:案件については会社都合ではなく、本人のやりたいことを優先します。
一人一人のエンジニアに担当したい技術や業種、働き方などの希望を聞き、現時点での経験値やスキルを考慮した上で、条件を満たす案件を常時10件以上提示し、その中から本人が選べる体制をとっています。
ーー本当にそんなことが可能なのですか?
佐藤:はい、多様な言語や技術に挑戦できるのはもちろん、手がけるフェーズも実装だけではなく要件定義、企画・提案まで最上流を含めて幅広く用意しています。「フルリモートがいい」など働き方の希望にも対応できます。
ただこれって、私たちが何か特別なことをやっているわけではないんです。おそらく、他のSES企業も同じことをやろうと思えばできるはずです。でも営業コストやエンジニアと案件をマッチングする手間を考えると、そこまでやるのは面倒というのが本音なのではないでしょうか。
松高:私たちがエンジニアとキャリアの方向性についてコミュニケーションするのは、新しい案件に入る時だけではありません。1on1の面談を月に1度行い、長期的なキャリアについて一緒に考えます。
例えば「将来リーダーになりたい」というエンジニアには、「今参画しているプロジェクトのリーダーはどんなマネジメントをしている?」「自分がリーダーだったらどう振る舞うべきだと思う?」といった会話をしながら、日々の仕事の中で何を意識し、どんな学びを得ていけばいいかをアドバイスします。
あるいは「先端領域を扱う案件に入りたい」といった場合、まだ本人のスキルや経験値が足りないのであれば、どのような自己学習や資格取得が役立つかを提案することもあります。
自分がなりたい将来像を設定し、ゴールから逆算して何をすべきかを考える。本人が目指すエンジニア像を実現するために徹底したサポートを行なっています。
ーーこれだけ手厚い支援があれば、常駐先が定期的に変わるSESでも、目標に向けて一貫性のあるキャリアを歩むことができますね。では、給与についてはどのような対応を?
佐藤:経営の無駄を徹底的に排除することで、平均80%の還元率を実現しています。
エンジニアはリモートワークか常駐勤務なので、自社オフィスは最小限の広さがあれば十分。事務や経理などのバックオフィスも、アウトソーシングやITツールをフル活用して経費を削減しています。
もちろん、役員報酬も最低限の額に抑えています。役員が理由もなく高い報酬をもらうのはおかしいですからね。
ーーなぜそこまでして“エンジニアファースト”を貫き、一般的なSES企業が敬遠しがちな面倒なことに取り組んでいるのですか?
佐藤:そもそも私が起業したのは「エンジニアが本来受け取るべき高い収入をもらいながら、自由に働ける環境を作りたい」という動機だったからです。
私はSES企業の社員やベンチャー企業のCTO、海外での事業立ち上げなど様々な経験をしてきましたが、その中で日本のエンジニアは諸外国に比べていかに自由度や評価が低いかを痛感しました。
海外のエンジニアは会社に対して自分がやりたいことを遠慮なく伝えるし、希望が叶わなければ別の会社に転職してどんどんキャリアアップしていく。しかも経験を積むほど給与が上がり、その水準は日本よりはるかに高い。
一方、日本のエンジニアは会社の方針に従って仕事をするケースがほとんどで、実力に見合わない低い給与で働いている人も多い。
そんな状況はおかしいと感じ、「自分がエンジニアとして働きたいと思える会社を作ろう」と考えてのらねこワークスを設立したので、経営者であってもエンジニア目線で考えるのが当たり前という感覚です。
ーーエンジニアが働きやすい会社を作ることが目標なら、SES以外の事業を手がける選択肢もあったのでは?
佐藤:実は私たちも、起業してしばらくは受託開発や自社サービス開発を行なっていた時期があります。でもリスクが大きく、経営を安定させるのは難しかった。
受託開発には、案件の工数が予定より増加しやすいといったリスクがあるんです。
仮に案件を1000万円で受けたとして、800万円のコストで完遂できれば、会社は200万円の利益を得られる。ところが何らかのトラブルや想定外が発生して工数が増え、納期が伸びて1200万円のコストがかかってしまったら、会社は200万円の赤字になります。
自社サービスについても、本気で売ろうとすればマーケティングや広報宣伝のプロが必要ですが、当社のように設立したばかりのエンジニア集団はそこまで手が回らない。開発費だけかかって売上が立たなければ、やはり赤字になります。
ーー経営者の立場からすると厳しいですね。
佐藤:そのリスクを減らすには、固定費である社員の給与を減らすしかない。でもそれでは起業時に思い描いた理想とはかけ離れてしまう。だから低リスクで利益の確保が可能なSES一本に絞ることに決めたのです。
SESはエンジニアが一ヶ月稼働した場合の単価が決まっているので、売上を安定的に確保しやすく、必要最低限の経費以外は会社の利益になります。よって無駄な経費さえ省けば、社員に高い報酬を払える。そこで受託開発や自社サービス開発はきっぱりやめて、SES事業に転換しました。
ーー悪徳SES企業が減っているのは確かですが、のらねこワークスのようにエンジニア最優先のSES企業ばかりではないのも事実です。より良いキャリアや待遇を実現できるSES企業をどう見分ければいいですか。
佐藤:SES企業なのに「自社サービス開発もやっています」とアピールする会社は要注意です。自社サービス開発は、事業の片手間にやって儲かるほど簡単じゃないんです。それこそ、SESで稼いだ利益を、自社サービス開発の赤字が食い潰している会社もあるのではないでしょうか。
松高:「自社サービスもやっています」と言えたら聞こえがいいし、採用情報に「自社サービス開発に携わるチャンスもあります」と書けるので、手を出すSES企業は多いですよね。ただ、きちんと利益を出して事業として成り立っているケースは少ないのが現状です。
佐藤:還元率が高すぎる会社も気をつけたほうがいい。「還元率90%以上」を謳うSESを見かけますが、それでは会社の経営が成り立ちません。いくら私たちが経費を削減しているとはいえ、社会保険料などを払うと還元率80%でギリギリのライン。還元率があまりに高い場合は、数字に何らかのカラクリがあるのではと疑ってみるべきです。
ボーナスを売りにする会社も同様です。SESは毎月決まった売上を確保できるビジネスなので、ボーナスを払うということは、エンジニアが稼いだ1ヶ月分の単価から少しずつ差し引いてお金をプールしておいたことになる。「ボーナスを100万円支給します」と言われたら嬉しいかもしれませんが、代わりに月々の給与を減らされているだけかもしれません。
ーー一見すると良い条件を提示しているSES企業の中にも、注意すべき会社が潜んでいるのですね。
松高:会社のホームページや求人広告で得られる情報は限られるので、説明会や面接で積極的に質問することも大事です。「担当できる案件の単価はいくらですか?」「案件は選べますか?」といった質問に対し、言葉を濁したり、曖昧な回答しか返ってこなかったら、怪しいと思ったほうがいい。
例えば「どうすれば給与が上がりますか?」と質問した時に、「頑張れば上がります」と言われても、何をどう頑張るのかはわかりませんよね。エンジニアの成長を正当に評価する会社なら、「どんなスキルや経験を身につけて、何ができるようになると、給与をいくらもらえるのか」を明確に答えるはずです。
佐藤:相手から具体的な回答を引き出すには、その会社で最も優秀なエンジニアの年齢と給与を聞いてから、「なぜその額をもらえているのですか?」と質問してみてください。
「5年前からリーダーを務め、現在はメンバー10人を率いて大型案件に入っているから給与はこの金額です」という答えなら納得できるし、「在籍年数が一番長いから」といった答えしか返ってこなければ、スキルや経験が適正に評価されない会社だと判断できます。
ーー会社が発信する情報だけを鵜呑みにせず、エンジニアが能動的に情報を取りに行く姿勢があれば、優良SES企業と出会える確率が高まりそうです。
松高:ぜひ過去のイメージにとらわれず、SESのメリットにも目を向けて欲しいですね。特に経験が浅いうちは、自分がやりたいことや得意なことがまだ分かっていない人がほとんど。キャリアの可能性を広げるためにも、若手エンジニアこそSESはお勧めです。
佐藤:新しい現場に入るたびに色々な人と出会えるのもSESの魅力です。優秀なエンジニアから刺激を受けることも多いし、「今の自分はエンジニアの中でどれくらいの立ち位置か」を常に意識するので、市場価値も高めやすい。
様々なチャレンジをしながら、効率よく成長したい人にとって、SESは最良の選択と言えるのではないでしょうか。
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文・取材/塚田有香 撮影/桑原美樹 編集/今中康達(編集部)
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