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Metaでインパクトを出すために「成果が出る鉱脈」を探している/松岡玲音【聴くエンジニアtype Vol.58】

働き方

エンジニアtypeが運営する音声コンテンツ『聴くエンジニアtype』の内容を書き起こし! さまざまな領域で活躍するエンジニアやCTO、テクノロジーに関わる人々へのインタビューを通じて、エンジニアとして成長していくための秘訣を探っていきます。
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今回はMeta Londonの松岡玲音さんの「エンジニアとしての成長」にフォーカス。

インパクトを出すことが重要な評価ポイントだというMetaで働く中で、松岡さんが戦略的に取り組んでいることとは?

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【ゲスト】
松岡玲音さん(@lain_m21

1992年生まれ。東京大学薬学部卒業後、アメリカの大学院で宇宙工学を専攻。その後、機械学習のロボットへの応用へ興味を持ち、マサチューセッツ工科大学(MIT)の航空宇宙工学専攻へ転学。ロボットAIなどについて研究を重ねた。その後中退し、18年10月よりメルカリでインターンシップを開始し、19年1月に同社へ入社。機械学習エンジニアとして「出品価格推定」のモデリングや「レコメンドエンジン」の基幹システム、「エッジコンピューティング」など、メルカリの事業の中核となる技術に携わる。テックリードとしてプロジェクトマネジメントも担った後、22年5月に退社。同年夏からロンドンのMetaにジョイン

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【MC】
エムスリー株式会社 VPoE
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish

Sansan株式会社、Yahoo! JAPAN、エムスリー株式会社の機械学習エンジニア、チームリーダーの経験を経てCADDiにジョイン。AI LabにてTech Leadとしてチーム立ち上げ、マネジメント、MLOpsやチームの環境整備、プロダクト開発を行う。2023年5月よりエムスリー株式会社3代目VPoEに就任。業務の傍ら、趣味開発チームBolder’sの企画、運営、開発者としての参加や、XGBoostやLightGBMなど機械学習関連OSSのRust wrapperメンテナ等の活動を行っている

最小の労力で最大のインパクトを出す。今はそのための準備中

ばんくし:玲音さんは、エンジニアとしての成長のために最近やっていることはありますか?

松岡:成長のため……というよりは、趣味で技術書を読み続けています。ヨーロッパの日本人テックコミュニティーのDiscordで集まって毎日何かをやる「みんチャレ」というのがあって。毎日1ページでも良いから何か本を読むみたいな企画をここ3カ月くらいやっています。今1クールが終わって2クール目に入ったところです。

最近読んで面白かったのは、今さら感はありますが『Effective Modern C++』ですね。昔のC++11/C++14の話がたくさん出てきます。あとは『Database Internals』も良かったです。日本語名だと『詳説 データベース』だったかな。Bw-Treeとか、聞いたこともないマニアックなワードも出てきて面白かった。

技術書は常に読んではいるけど、業務に活かせるから読んでいるというよりは趣味で読んでいる感じですね。逆に業務に関係がある内容だと、面白く読めないんですよ。だから今は興味のある技術に触れながら幅を広げている感じです。

本を読んでいる女性の写真

Metaって、Meta特有の技術やテックスタックがものすごく多いんですよ。今併行して進めている四つのプロジェクトも、それぞれ全然違うところにアプローチするような感じで。

今は広告配信のチームで、配信の最上流側や中間地点でブースティングさせたり、その途中で分岐して広告をさらにエンリッチしたりする部分にアプローチすることが多いんですけど、そのあたりについて広く学んでいると、いろんな人とつながれたり広告の配信システム全体について知れたりするんです。

今は知識の幅を広げつつ、そのプロジェクトでいくつか成果が出たら、今度はそこを深掘りして自分の柱にしていこうかな、と思っています。成長と言うよりも、会社の中でどう生き残るかの戦略的な部分の話ですが。

ばんくし:今は幅を広げる段階」というのは、自分で決めたのですか? それともマネジャーから言われたんですか?

松岡:自分発信ですね。マネジャーには「こういうことやり始めたんですけど、良いですよね?」と、後から伝える感じです(笑)。「君ももう大人なんだから、時間の配分には気を付けてね」くらいは言われましたけど、そんなに相談しなかったですね。

というのも、自分の中で何となく「今は全体像を把握する方が先だな」みたいな確信があって。どこにテコを入れれば一番大きいインパクトが出せるかを見極めたいという気持ちが大きいんですよ。

そのためにはまずいろんなことに取り組んで全体を掴んでおいた方が感覚が分かるじゃないですか。「この数字を変えるとこの部分がこれくらい上がる」みたいな感覚が掴めれば、何が起きてもクリティカルな部分がどこかがすぐに分かるようになる。そしたら、そこを掘っていけば成果がガンガン出るから。鉱脈を探すのに近いですね。

ばんくし:またしても急所をつくプレーをしているわけですね。

松岡:Metaの評価軸で一番大事なのが「インパクト」なんです。どれくらいの利益をもたらしたのかが全て。となると、みんな最小の労力で最大の効果を上げることを考えるじゃないですか。最初から一点に絞って膨大な時間を掛けてしまうと、行き詰まったとき怖いから。

そもそもどこにテコを入れるのが一番効果的なのかが分からないと掘り甲斐がないので、それを知るために浅く広く探っている状態ですね。

ばんくし:Metaほどのグローバルテックカンパニーで、社員全員が事業貢献のためのポイントを狙っていて、それが上手く動いていることが驚きです。

松岡:みんながみんな同じ考えでやっているわけではないと思いますけどね。一つの領域を突き詰めていって、そこで信じられないぐらい大きい成果を出す人もいますし。これはあくまでも私の戦略です。

というのも、私のいるチームってちょっと特殊なんですよ。私は今Dynamic Adsのチームにいるのですが、もともとそのチームの本拠地はアメリカにあって、ロンドン側にできたのは最近なんです。だからわれわれは自分たちが生き残るスペースを探し出さなきゃいけない状況にあって。会社の中で存在感や強みを発揮するのが必要なフェーズなんです。だからどこに労力を掛ければ成果が出るのかをみんなで探っている状況ですね。

チームで話し合っている様子の写真

ばんくし:今置かれている状況で一番インパクトがでかいところを狙うのは、さすが玲音さんという感じです。

松岡:自分の評価につながるし、チームのみんながハッピーになるのは良いことですから。

ばんくし:実益的な部分だけでなく、意外と「チームのみんな」みたいな部分も大事にされているんですね。

松岡:「意外」と言われるのは心外なんですけど(笑)!

ばんくし:今回の対談の中で意外と出てきていないワードだったね、という意味の「意外」です(笑)

松岡:まあでも、私は結構ドライな方ではあると思います。「みんなで盛り上げていこうぜ」みたいなタイプではないですし。でも毎日顔を合わせて仕事をしている人がうれしそうなのはやっぱりうれしい。それぞれどういう部分が強いかも分かっているから、その部分で成果が出たら良いなと思うし。少なくとも自分と一緒に働いている人やマネジャー、自分の周りにいる人がハッピーならうれしいとは思っています。

ばんくし:今回お話を聞いて、以前お話ししたときよりもどんどん視野が広がっている感覚があります。たしか以前お話ししたのは5、6年前くらいでしたよね。

松岡:あの時はメルカリのインターンが終わった直後くらいじゃなかったですか?

ばんくし:そうそう。その時私はエムスリーに入社するか悩んでいて、玲音さんの話を聞いて入社を決めた気がします。

松岡:私が「オファー額はこれくらいですか?」って言ったら、頷いていたのを覚えています。

ばんくし:もー、すぐそういうこと言う(笑)

松岡:あはははは(笑)。自分ではその時から視野が広がったという感覚はないですけどね。あ、でも筋力はつきましたよ。

ばんくし:それはエンジニアリングの筋力ということですか? それとも肉体的な筋力?

松岡:後者です。最近デッドリフトで100キロ上がるようになったんですよ。

ばんくし:相当ついてるじゃないですか! じゃあ、それも含めての成長なのかな…?

松岡:実際、筋肉ってめっちゃ大事じゃないですか?

ばんくし:筋肉……というより、健康みたいな文脈で体力は大事だなと考えています。体力がないと、365日ハイパフォーマンスは出せないですから。私は毎日80点、90点を取れるようにと、最近よくランニングをしています。

松岡:いいですね。私は有酸素運動が得意じゃないから、筋トレがメインになっちゃうんですよ。

ばんくし:とにかく健康であるということが大事という部分は、私たちの間でも共通していますね。

松岡:間違いないです。

文/赤池沙希

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