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パンダに1日5時間!? アスリートに負けない、熱いエンジニア魂に刺激をもらえる記事を一挙紹介!

ITニュース

第一線で活躍するエンジニアたちを取材していると、そのストイックぶりに「技術者って、ほんとアスリートだな」と思わされることが頻繁にある。

そこで本記事では、明日7月26日(金)から始まる4年に一度のスポーツ祭典に負けて劣らない、「エンジニアたちのアスリートっぷりを感じる一節」を一挙ご紹介しよう。

“技術界のトップアスリート”たちの仕事っぷりには大いに刺激をもらえるはずだ。

パンダに1日5時間費やすマークアップエンジニア

最初にご紹介するのは、上野動物園のパンダに異常な(!?)愛を注ぐ、エンジニアの高氏貴博さんのアスリートっぷりだ。

パンダを愛するマークアップエンジニア 高氏さんインタビュー記事

高氏さんは、Webマーケティングやサイト制作などを手掛ける仕事の合間を縫って、かれこれ約13年間(インタビュー当時は8年間)にわたってほぼ毎日パンダを撮影し、ブログ『毎日パンダ』にアップする、というストイックな日々を送っている。

仕事の状況にもよりますが、時間があるときはパンダの列を3周します。例え急な案件があったとしても、見る回数を1回に抑えたり時間をずらすなどで対応して、毎日上野動物園には向かっていますね。撮影に3時間、写真の確認・選定に2時間くらい……と、毎日5時間ほど“パンダタイム”を設けています

毎日5時間も趣味の時間を設けるとなれば、さすがに仕事や生活にも支障をきたすのでは……? と思いきや、高氏さんは『毎日パンダ』を始めたことで仕事の時間をうまく確保できるように調整したり、生活にもメリハリをつけられるようになったと話す。

だいたい開園時間の1時間前に到着しているので、その間に『この作業を終わらせよう』と決めて、ノートパソコンを広げています。『この後にパンダを見られる』『パンダのためなら』と思うと、自然と集中できる。“開園まであと何分”という終わり時間が見えているのも、集中力を保てる要因かもしれません。パンダの存在が仕事へのモチベーションにもつながっているんです

本業でも成果を出しながら、どうやって「趣味」や「好き」と両立しているのかに応えてもらった高氏さんの記事を読み、本業と「もう一つの軸」の両立を考えてみる夏もアリかもしれない。

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「往復1.5時間の通勤は技術書三昧」コインチェックCTO松岡剛志

続いては、コインチェックのCTO松岡剛志さんの記事からアスリートを感じた一節をご紹介しよう。

コインチェックCTO 松岡剛志インタビュー記事

松岡さんはヤフーの新卒第一期生のエンジニアとして入社し、『Yahoo! BB』などのプロダクト開発に従事。その後、ミクシィで取締役CTO兼人事部長、2019年には一般社団法人 日本CTO協会を設立するなど、CTO同士のコミュニティー活性化にも熱心に取り組んできた人物だ。

常に日本のインターネットの最前線を走り続けてきた松岡さんだが、天狗になっていた若手時代に「鼻をへし折られた経験がある」と振り返る。

自分がヤフーにいた25、6歳の頃、今思えば、少し天狗になっている時期がありました。そんな時、チームにすごく優秀な若手が入ってきたんです。『これはまずい、死ぬ気で勉強しないと1年以内に抜かれる』と思い、必死に勉強をするようになりました

その努力っぷりがこれまたストイックなのだ。

それからというもの、毎月2、3万円の技術書を買い、とにかく読み漁る日々を過ごした。往復1時間半の通勤時間で勉強したことを、帰宅後に試す。もちろん土日も使う。気付くと、床から天井まで届くほどの技術書の柱が何本もでき上がっていた。そんな生活を30歳くらいまで続けたという。

「結局、その若手には抜かれてしまいましたが、彼のおかげでこの時期に死ぬほど勉強できたのは良かったと思います。でも同時に『すごく遅かったな』という後悔の気持ちもありました。もし18歳の頃から勉強を始めていれば、今よりもっと強いエンジニアになれたのに、と」

インタビュー中、天を仰ぎ、後悔の念を語る松岡さん

インタビュー中、天を仰ぎ、後悔の念を語る松岡さん

20代という貴重な時間に大量のインプットを積み重ねたからこそ、現在の松岡さんのキャリアが築かれたのだろう。「後悔先に立たず」と松岡さんが後輩エンジニアへ送るエールも必見だ。

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「ゲームエンジンを3種類も用意」龍が如くスタジオ技術責任者・伊東豊

続いては、ゲーム『龍が如く』の技術責任者を務める伊東豊さんの発言にみたアスリートっぷりを紹介したい。

龍が如くスタジオ技術責任者 伊東豊インタビュー記事

『龍が如く』シリーズはドラゴンエンジンと呼ばれる独自に開発したゲームエンジンで開発されている。

完全内製でゲームエンジンを持つのはとてつもない時間と労力と予算がかかるわけだが、その分、『龍が如く』用にカスタマイズされた開発環境で柔軟かつスピーディーなものづくりができる。つまり、この内製のゲームエンジンがあれば十分事足りているのだ。

しかし、だ。

『龍が如く』のプログラマーチームはドラゴンエンジンに加えて『Unreal Engine』『Unity』の二つの汎用エンジンも使いこなす。「普通はそんなコストがかかることはしないですよね」と伊東さんは笑いつつも、こう理由を語ってくれた。

それでもあえてこの選択をしたのは、我々がゲーム業界の変化に対応しなければならないからです。もしかすると将来、非常に優れた汎用のゲームエンジンが出てきたら、世の中のゲーム会社がみんなそれを使うようになるかもしれません。

そのときに「龍が如くスタジオ」がドラゴンエンジンしか使えない状態だったら、もうこの世界で戦えなくなってしまうかもしれませんよね。

これからゲーム業界や開発環境がどの方向に進むかはわかりません。だから「龍が如くスタジオ」の新人研修では、ドラゴンエンジンに加えて『Unreal Engine』『Unity』の3つのエンジンでゲームを作り方を学んでもらっています。

他の2つのエンジンを知ることで、ドラゴンエンジンをより良いものにすることができますし、ゲーム業界の方向性が変わったときにはいつでもついていけるでしょう。そのためのトリリンガル教育です。

龍が如くスタジオ技術責任者 伊東豊インタビューに答える様子

そして、プログラマーとしての危機感や使命感を語った次の言葉にも、伊東さんのアスリート魂があふれまくっていた。

「自分たちのゲームエンジンが最高だ!」と思ってしまうのは良くありません。特に我々プログラマーは「あっちの方がすごいぞ、もっと頑張らなくては」という危機感を常に持っているべきだと考えています。

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「コウモリにできて人間にできないはずはない」ViXion技術責任者・内海俊晴

近視や遠視、老眼など、あらゆる目の問題に一台で対応できる画期的なメガネを開発をするスタートアップ、ViXion(ヴィクシオン)。その技術責任者である内海俊晴さんの言葉からアスリートっぷりを感じた一節をご紹介しよう。

ViXion 技術責任者内海俊晴さんインタビュー記事

遠くを見ても、近くを見ても、すっとピントが合う。そんな魔法のようなメガネづくりに取り組んでいる内海さんだが、その開発は一筋縄ではいかない。

難度の高い開発にくじけそうになることはないのか。そんな問いかけに「技術の力で実現できることは、まだまだある」と、内海さんは力を込めて語った。

「例えばコウモリは、超音波を出しながら飛ぶことで暗闇の中をぶつからずに移動するんです。そんなこと、人間はできませんよね。でも実際に実現している生物がいるのを見ると、技術者にできることはまだまだあるんだなと思います。 われわれが能力を高めさえすれば、きっと技術を通じて同じことができるようになるはずですから。諦める必要なんて、全くないんですよ」

ViXion 技術責任者内海俊晴さん インタビューに答える姿

終始、優しい表情で応じてくれた内海さんだが、コウモリの生態をみて「人間も負けられない」と発奮するあたりに、技術者魂を感じた

他の生物に比べると、人間にはまだできないことがたくさんある。内海さんにとってそれはすなわち、技術者がこれから実現できることは山ほどあるということなのだ。

技術の可能性を信じて疑わない「意志の力」にアスリートっぷりが垣間見えた。

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「無理ゲーだったアナログ採点を刷新」富士通・藤原英則

最後に紹介するのは、「日本のお家芸」とも称される体操競技の採点に使われるシステムを開発した富士通・藤原英則さんをインタビューした際の記事だ。

富士通の体操採点システム開発者 藤原さんインタビュー記事

実は近年、体操競技は急激に高速化・複雑化しており、審判が目視で採点すると判定に迷うケースが増えていた。そこをいち早くデジタルの力でアシストしたのが、富士通の体操採点支援システムだ。

「教本には例えば、体がわずかに曲がった場合は0.1点、明らかに曲がった場合は0.3点の減点と書かれています。ですが、その『わずかに』『明らかに』の定義が各審判の頭の中で違っていたのが大きな問題でした。我々はこれをデジタル化するにあたり、関節に番号を振り、『まっすぐとは何か』といったことを一つ一つ再定義する必要があったのです。

そうやってデジタル化を進めると、そもそも今のルール自体が正しいのかという疑問にまで突き当たります。従来、『倒立とは床と体の角度が90度の状態である』と定義されてきましたが、そんなことが果たして人間に可能なのか、と。それを客観的なデータとして示せば、体操関係者も理解してくれる。そういうことを積み重ねていきました」

特筆すべきは、このシステムの導入が単に判定を正確かつ効率的なものにしたにとどまらず、体操そのものの変革にまで踏み込んでいることだ。このシステム導入がきっかけとなり、採点基準そのものが見直されていったそう。

効率よくAIに覚えこませるために男子819の技を同様に因数分解していくと、475のエレメントの組み合わせでできていることが分かった。従来はまったく別のものとされてきた床運動と平均台の演技が、非常に近い動きの組み合わせでできていることも判明。体操関係者からは「半世紀止まっていた体系化が一気に進んだ」と喜ばれた。

このインタビューから約5年という月日が経った現在。富士通は「あん馬、つり輪、跳馬、鉄棒など全10種目に対応したシステムの開発を完了し、昨年の世界選手権で全種目に適用を開始」と発表している。

藤原さん率いる富士通のプロジェクトチームがこの5年間、着実に前進し、改革を進めていたのだ。

記事の中で藤原さんは「技術が世界を変えるためには、技術力より大切なことがある」と熱く語っていたことを思い出す。一朝一夕では実現できない地道な取り組みと信念に胸が熱くなるばかりだ。

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明日26日から開幕する国際的スポーツ祭典でも、「AIが審判の判定補助から選手育成、運営面に至るまで使われている」と報じられている

こうした裏舞台を支えるエンジニアたちの取り組みにも注目すると、より一層、今回のスポーツ祭典を楽しめるのではないだろうか。

文・エンジニアtype編集部

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