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【稼げるIT職種2025】「年収800万円以上欲しいエンジニア」が知っておきたい、今狙い目の職種TOP4

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生成AIの爆発的な進化など、さまざまな技術革新が起きた2024年、エンジニア市場にも大きな変化が生まれた一年だった。

来る2025年、一体どんな職種の需要が高まり、高収入につながるのだろう。エンジニアのキャリア・転職に特化した情報発信で支持を集める、「IT菩薩モロー」こと株式会社キッカケクリエイションの取締役副社長・毛呂 淳一朗さんに、高収入が見込める「狙い目のIT系職種」について聞いた。

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株式会社キッカケクリエイション
取締役 副社長
毛呂 淳一朗さん(@it_bosatsu_moro

慶應義塾大学法学部法律学科出身。2012年に人材ベンチャーに入社し、新卒採用領域の営業・人事を経験後、タイ・香港にて海外事業の立ち上げを担当。その後、ベトナムでの人材エージェントの創業を経験し、帰国後、都内のIT企業にてエンジニアの採用担当として勤務。現在はITエンジニア向けキャリア支援サービス「キッカケエージェント」の事業責任者を担当。またYouTube『IT菩薩モローチャンネル』にて、エンジニアのキャリア・転職に特化した情報発信で話題を呼んでいる

【トレンド三選】クラウドのニーズ高騰も「AWSだけ」は要注意

まずは2024年のエンジニア市場を振り返り、企業が求める人材ニーズや技術の市場価値の変遷など、業界トレンドを三つ紹介していきます。

【1】フロントエンドとバックエンドの境目を意識しないことが勝機につながる

2024年を振り返ると、AWSやAzureといったクラウドの領域が著しく成長した一年だったと感じます。クラウド市場の拡大は23年から見ても顕著で、22年や21年と比較するとさらに加速していると言えます。

そしてこの流れは、インフラエンジニアやネットワークエンジニアだけでなく、アプリケーションエンジニアにとってもクラウドの知識が不可欠になりつつあることを示しています。

特に現在は、多くの企業が試行錯誤しながらオンプレミスからクラウドへの移行を進めている真っ最中。クラウドネイティブなアーキテクチャを採用し、サーバーレスやAPI連携を前提としたアプリケーション開発を進めています。

このような環境では、フロントエンドエンジニアであってもバックエンドやクラウド環境の仕組みを理解し、設計段階から関与することが求められる。単に「画面を作る人」ではなくシステム全体を意識した提案ができるかどうかで、そのエンジニアの価値が問われるようになりつつあります。

毛呂 淳一朗さん インタビューカット

毛呂さん「2025年はフロントエンドとバックエンドの境界がさらに曖昧になり、『全体を理解するエンジニア』が求められる時代が続いていくと思います」

【2】手順書通りに仕事をするエンジニアの需要減少

少し耳の痛い話になるかもしれませんが、近年需要が減っている仕事がいくつか見受けられます。

具体的には、インフラやクラウド、ネットワークエンジニアの担当領域における、手順書に従って作業するだけの運用・保守業務。またソフトウエア開発での、指示通りにコードを書くだけの実装業務もその一例です。

例えばSIerの業界では、ユーザー企業の業務フローや業界知識を理解した上でシステム要件に落とし込むニーズはあるものの、「設計書を元にコーディングする作業は正社員である必要はない」との考えが、以前よりもさらに強くなってきています。ノーコード・ローコードツールの浸透も、この流れをより加速させている一因です。

加えて、UI/UXを中心とするフロントエンド開発のニーズも、数年前より優先度が下がってきているように感じます。最近は「まず最初にバックエンドの開発に着手した上で、余裕があったらUI/UXを改善したい」といった話を聞くようになりました。フロントエンド開発に強みを持っている企業からも「高単価の案件を受注しづらくなった」という声をよく耳にします。

もちろんUI/UXは、ユーザビリティーを向上させるために欠かせない要素の一つです。しかし限られた予算の中では、どうしてもバックエンドの開発やインフラといったシステムの基盤となる部分の整備が優先される傾向があります。なので先述のように、フロントエンド側のエンジニアもバックエンド側の技術を深く理解する必要があるのです。

【3】「やりたがる人がいない」からこそオンプレミスの経験が武器に

意外なことに、オンプレミス環境の知識や経験を持つエンジニアの需要は依然としてあります。クラウドへの移行プロジェクトを進めたり、移行は完了したもののオンプレミスとクラウドが併存する環境でプロジェクトを進めたりするには、オンプレミスの知識やスキルが欠かせません。オンプレミスのスキルを持っている方は、クラウドの知識を身に付けることで、より市場価値の高いエンジニアを目指せます。

ただ一口にクラウドと言っても、特定のサービスに偏りすぎることには一定のリスクがあります。それころ現在は「AWS」が市場で大きなシェアを占めていますが、「Azure」もMicrosoftの強い営業力によってシェアを伸ばしており、中長期的にはAzureがAWSのシェアを追い抜くかもしれないという予測も出てきています。

Microsoftは「Teams」などのコミュニケーションツールも含めて企業側へ提供しているため、「インフラ周りはAzureを使いませんか」とセットで提案する機会が多くあります。「Teamsを使っているし、Azureも入れてみよう」と思う企業が増えるのは自然な流れです。長い目でキャリアプランを考えて、技術の変化に対して柔軟に対応できるように準備しておきましょう。

2024年版 最新IT業界トレンド三選

【2025年予測】高収入が見込める、狙い目のIT系職種TOP4

これまで紹介した業界トレンドを踏まえた上で、今後より需要が高まり「高収入」が見込めるお勧めの職種について、私個人の予測を発表いたします。

【第一位】ITコンサルタント

2025年、最も高収入を見込める職種を挙げるなら「ITコンサルタント」を推します。

現代では多くの企業が、システムの力で自分たちのビジネスやサービスをいかに伸ばしていくかを日々模索しています。ただ今のような変化の激しい時代では、社長や役員クラスですら確証を持てないケースは少なくありません。不確実性の高い状況の中で判断する際、「客観的に第三者から見たときのアドバイスが欲しい」「プラスアルファで、壁打ち相手が欲しい」というニーズは変わらず多いものです。

その点、ITコンサルタントは言われた通りにシステムを作るだけではなく、事業やサービスにどのような影響があるかを考慮した上で「意思決定」を行うポジション。事業やサービスへ影響力が大きい役割を担当する分、高収入を見込みやすい職種だと考えています。

【第二位】プロジェクトマネジャー(PM)

次にお勧めしたいのが、プロジェクトマネージャー(PM)を含むマネジメント系の職種。イメージとしては、7~10名以上のチームを管理し、125~150人月規模のプロジェクトを一人で運営できるレベルの人材です。

このポジションはさまざまな要因で年々希少価値が高まっており、高収入を期待できます。特にDX推進が急務の企業にとって、ITや業務フローを深く理解した上で関係者と適切なコミュニケーションが取れる人材は、非常にニーズが高い。顧客折衝や課題解決といったPMの役割は、DX推進の成功可否を握る重要な要素の一つです。

PMの年収は年々上昇し続けており、現在の最低ラインは800万円ほどですが、1200〜1500万円を提示する企業も増えてきました。フリーランスでは月150〜200万円(税抜)という単価も珍しくありません。2019年頃は、一定数の企業が600〜650万円ほどでPMを採用できていた状況を踏まえると、この4〜5年の間にPMの年収相場が150~200万円以上も上昇したことになります。

本来の転職市場の相場としては、25~50人月(5名前後のチーム×6〜9カ月規模)のプロジェクトを一人で回せるPLの年収は「650〜7000万円程度」が一般的です。しかし実際には、相場よりも150〜200万円以上低い水準で働いているPL相当の人材は、転職市場に相当数いる印象です。社内でPM・PL向けのナレッジのシェアなどが十分ではなく、今の職場に不満・不安を抱えながらお仕事をされている方も多いのではないでしょうか。

毛呂 淳一朗さん インタビューカット

「『2025年の崖』を乗り越えるためにも、PMの重要性はますます高まっている」と毛呂さん。

いずれにしろPMやPLは、すべての企業といっても言いすぎではないほど、採用したい企業側の需要と供給が追いついていない職種の一つ。年収アップと市場価値のアップを両立させたい人にとって、大変お勧めの選択肢です。

そしてPMを目指す上では、「適切な企業選び」が非常に大切な要素となります。「PMP」などの資格は確かに有用ですが、それ以上に「早期にPMやPLとしての役割・業務内容を任せてもらえる企業」を選ぶことが重要です。

例えば最大手SIerの多くは、新卒入社後6~8年くらいでPMまで到達できることが多いですが、選ぶ企業によっては新卒で入社してから2〜3年以内にPMを目指すことができる企業もあります。ただ企業選びに失敗してしまうと、入社して5年以上経っても4~5名のメンバーへタスクの切り出しや進捗管理しか経験できないといったケースも出てきます。最悪の場合、現場リーダーの経験すら積めないといった可能性もあるでしょう。

特にSESの企業では、案件の商流が元請けや二次請けなのか、それとももっと深い商流なのかがキャリアに与える影響は大きいので、慎重に判断しなければいけません。

【第三位】SRE

続いての狙い目職種は、SREです。

今は、開発エンジニアであってもクラウド領域のスキルが求められる時代。クラウドエンジニアと開発エンジニアの中間的な役割を担うポジションであるSREは、今後よりニーズを増していくと考えます。日本では2010年代後半からSREが注目されるようになってきたものの、まだまだその人口は多くありません。その希少性の高さから、狙える年収も非常に高い職種となっています。

SREは、ネットワークやサーバの設計・構築を2~3年経験すれば目指せるポジションですが、TerraformやAWS CloudFormation、AWS Cloud Development KitといったIaC(Infrastructure as Code)の利用経験や運用経験があると、内定が出る可能性は大幅に高まります。特にIaCを半年程度触った経験があれば、SREとして十分なスタートラインに立てるでしょう。

また経験やスキルに応じて幅がありますが、設計・構築経験とIaCスキルがある場合は550〜650万円、2〜3年のSRE経験がある方は650〜800万円を狙えます。さらに、数百万ユーザー規模の大規模サービスや秒間5000〜1万リクエストを処理するような高トラフィックのサービスに携わった経験がある場合、900万〜1000万円以上の年収も十分可能です。マネジメントではなく技術分野で年収を伸ばしたい方にとって、SREは非常に有望なキャリアパスだと言えます。

SREを目指すためには、まずクラウドや開発の現場で経験を積むことが不可欠です。独立系の受託企業やクラウドインテグレーターでAWS導入やIaCの活用を含む実務経験を得るのが理想的でしょう。

SES企業の場合は、設計・構築やIaC、プログラミングを幅広く経験できる環境を選ぶことがポイント。もし実務で触れる機会が少ない場合でも、個人でサービスを構築してIaCを活用し、運用や保守を試しにやってみることも一つの方法です。ノーコードやローコードで立ち上げたサービスを、テラフォームを使って運用してみるだけでも、実践的なスキルを磨くことができますよ。

毛呂 淳一朗さん インタビューカット

毛呂さん「SREは資格がなくても目指せる職種で、実務経験が最も重要視されます。ただ、大手企業では分業が進んでおり、クラウドやインフラに直接触れる機会が少ない場合もある。経験を積みやすい環境を選ぶことが、SREへのキャリアチェンジの鍵になります」

【第四位】オンプレミス、クラウドのどちらも対応できるインフラエンジニア

前述したトレンド解説でも触れたように、オンプレミスの知識を兼ね揃えたクラウドエンジニアの需要は非常に高まっています。

メガベンチャーや大企業の場合、クラウドとオンプレミスを併用しているケースは多くありますし、関西ではまだまだオンプレミスが主流の企業は多くある。それに、新規開発よりも既存システムの安定運用や改善に力を入れている企業は、圧倒的に多いです。

5名ほどのチームにおけるタスクの切り出しや進捗管理経験しかなくとも、オンプレミスとクラウドの両方の知識を持っている方であれば、年収700〜800万円程度は十分狙えます。

このポジションで重要になるのは、とにかく資格を持っているかどうかです。具体的には、LPICのレベル3、LinuCレベル3、AWS SAPなどの資格を取得しているとよいでしょう。オンプレミスやクラウドの設計・構築の案件を、「確約」しますとオファーを出す企業が出てくると思います。

2025年に転職を考えるエンジニアが押さえておきたいこと

私自身、35歳のときにITの世界に足を踏み入れたのですが、20社受けてようやく内定がもらえたのはたったの2社だけ。転職活動中は、本当に苦労しました。当たり前のことかもしれませんが、若ければ若いほど転職難易度は下がるんです。

近年多くのIT企業は、経験年数やスキルレベル以上に、ポテンシャルを重視するようになってきています。実務未経験であっても、技術試験に合格すれば高年収で採用されるケースも増えている。エンジニアになったばかりの人や、経験年数は少ないもののポテンシャルがある人にとってはチャンスが広がっているので、なおさら若いうちから挑戦したほうが良いと思います。

人によっては、自分らしい働き方をしたいと「フリーランス」を希望する若手の方もいるでしょう。ただフリーランスでは、今までやってきたことの延長線上にある仕事をするケースがほとんど。フリーランスになってから「リーダーやマネジメントの経験を積みたい」と思っても、難しい場合が多いことは理解しておいた方がよいと思います。自分の年齢に合ったスキルや経験、業界全体の中で見たときの立ち位置をきちんと知っておきましょう。

フリーランスで働く人のイメージ

安易に転職するのではなく、自分はどうなりたいのか、やりたいことや希望年収から逆算することが大事です。もしかしたら、今の会社でまだまだできることがあるかもしれませんので、まずは異動や職制変更の可能性を探ってみることも一つの手でしょう。

資格の勉強や新技術の習得をするにしても、「何のためにそれをやるか」が大事なのに、その視点が抜け落ちてしまっていることってよくあると思うんです。目的意識がないまま行動しても、意味がないどころか、時間を無駄にしてしまう可能性もあります。

私自身も「キャリア迷子」になったことがあり、かなり寄り道をしてきました。常に業界や会社の中で自分の立ち位置を客観的に把握した上で、最善のアクションが何なのかを誰かに壁打ちしてもらいながら考え続けることが大事ですね。

写真提供/キッカケクリエイション 文/吉田祐基 取材・編集/今中康達(編集部)

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