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プライドも、サンクコストも捨てろ「健康診断」しないエンジニアは死滅する

働き方

前編に続いてGOROman改めナル先生こと近藤義仁さんのインタビューをお届けする。

後編では「LLM無職」の「ナル先生」としての生活とはどのようなものなのか、さらには本格的にLLMが発展した未来におけるエンジニアの役割や求められる資質についても持論をたっぷり語ってもらった。

ナル先生プロフィール

LLM無職代行
ナル先生(@GOROman

ゲーム業界で経験を積んだ後、遊技機業界の企業へ転職。2010年に起業し、22年に散開。14年、VR業界に参画してOculus VR Japanを立ち上げる。その後、Facebook(現Meta)にジョイン。23年にハードウェアスタートアップにて執行役員 兼 CTOに就任。現在、無職(アクティブ無職)

AI時代に残された、人間の生きる道とは?

ーー今の流れで伺っちゃいますけど、エンジニアは全然いらなくなるってことですか?

いや、いらなくなるわけではないです。例えばJTCとか。防衛関連とか。絶対クラウドを使っちゃいけない仕事はやっぱり一定数存在してるので。

ーーああ、そうですね。

東大の暦本先生が「Organic Intelligence(OI)」って言い方をしてて。AI、(Artificial Intelligence、人工知能)に対して、Organic(有機的な知能)。要は人間のことです。

OIとAIを比べると、OIを使うのははるかに難しいんですよ。だって気を遣わないといけないから。

「なんか部長、機嫌悪そうだな」「今日はやめとこう。プレゼンは明日に回すか」とかって顔色伺うことになるじゃないですか。AIはそういうのが一切ないから。

なので、AI慣れしちゃうと、OIと仕事するのがマジで辛くなってきちゃうんですよ。でも、なくなるかと言うと、なくならない。例えば、ピアノは今でもなくなってないですよね。バッハの時代から続いてきた楽器だけど、何世紀も残ってる。

ーーはい、はい。

なので残る・残らないで言うと、例えばキーボードもずっと残るし、エンジニアという職業も残る。ただ、伝統工芸のような存在になると俺は思っています。学習塾でそろばんを習うのと似たようなイメージですね。

エンジニアの未来を語るナル先生

だからソフトウェアエンジニアはいなくはならないですし、特にJTCとか、AIを導入できない業界では残る。けど、Web系の領域は、かなりの部分がAIに代替されていくと思います。マイクロソフトが大規模なレイオフをすると騒がれたのと一緒で。

ーーマイクロソフトに伝統工芸はいらないですもんね。

もちろん、淘汰されて潰れる会社も出てきます。だから、ただのソフトウェアハウスみたいな下請け企業は危ないですよね。あとはウェブ制作会社も。ウェブサイト制作なんて、AIが17秒で作ってくれる時代です。ランディングページなどは、もはやAIに任せた方が速い。

ーーだから必要な人数としてはだいぶ少なくなる、と。

そうですね。繰り返しになりますけど、まずOIに指示するのが辛くなるので「AIでいいじゃないか」という流れになってきます。

そうなると、古いタイプの職人気質のエンジニア──プライドが高くて、コーディングは超速いけど、人間関係はちょっと難しい……そういうタイプの人たちは、淘汰されていくでしょうね。

だってAIはもっと速いから。「⚫︎⚫︎さん、めっちゃ速いけど性格は悪い」みたいな人は、排除される時代になる。

逆に、性格が良くて、人当たりが良くて、そこまでコーディング能力は高くないけど、AIが使える人。こういう人が、今後は超重宝されますね。

だから、サンクコストもなく、プライドも持たず、今から愚直にAIを学んでいる学生とかが、当たり前のように長年の職人エンジニアを超えていくと思います。絶対に。

朝4時に起きて毎日「健康診断」

ーー確かにゼロから始める方が抵抗なく受け入れられますよね。

職人気質の人はプライドがあるから、AIをバカにしがちなんですよ。さらに、サンクコストもあるから、それを途中で止められない。ずっとバカにし続けるしかない。「すごいすごい言ってるけど、こんなこともできないのかよ」って。

ただ「こんなこともできねえのかよ」が1週間でできるようになるのが、今のAI界隈なんですよね。プライドが高いと、そこに追いつこうとしない。これはかなりまずいです。

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撮影/桑原美樹 編集/玉城智子(編集部)

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