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旅するプログラマー・いぐぞーが選ぶ、エンジニア魂を揺さぶる旅行スポット五選

ITニュース

    巨大な機械の振動に身を委ねたり、街の歴史を物語る建物に触れたり……。本や映像でも知識は手に入るが、実物を前にしたときにしか得られない感動や気付きは多くある。

    この秋は、そんな学びと出会う旅行に出かけてみてはいかがだろうか。

    Xやnoteでのユーモラスな発信でエンジニアからの支持を集める「旅するプログラマー」いぐぞーさん(@igz0)に、「エンジニアにこそ訪れてほしいオススメの旅行先」を五つ挙げてもらった。

    プロフィール画像

    エンジニア
    いぐぞー(@igz0

    神奈川県出身の旅好きプログラマー。小学生の頃からプログラミングに親しみ、新卒でSIerに入社。その後フリーランスを経て、現在は上場企業のWebエンジニアとして活躍中。旅とプログラミングをこよなく愛し、noteでの発信は多くの読者から支持を集めている

    トヨタ産業技術記念館(名古屋)

    トヨタ産業技術記念館

    撮影/いぐぞー ※2013年9月当時

    いぐぞー

    エンジニアが旅行先に迷ったら、「とにかくここだけでも行っておけ!」と思う場所です。日本が誇るトヨタ生産方式におけるKAIZENの真髄が学べますし、ものづくりというエンジニアリングが、いかに先人の知恵から生み出されてきたかを肌で感じられます。

    トヨタが織機から自動車へと、主力の事業を転換した歴史に触れられるのもポイントです。日本最強クラスのピボットの現場を見ることは、エンジニアにとっても大きな刺激になると思います。

    編集部

    実際に足を運ばれて、どういった気付きがありましたか?

    いぐぞー

    織機から自動車へという大転身は、一見すると大胆なロマンに見えるかもしれません。でも実際には、ロマンだけで産業は動きませんよね。

    トヨタ生産方式のKAIZEN――工程をどう設計し、改善していくかという「システムの創造」があったからこそ、新しい産業にスムーズに移行できたのです。この学びは、現代のエンジニアリングにもそのまま通じると感じています。

    編集部

    中でも特にオススメの展示って、ありますか?

    いぐぞー

    序盤に解説員の方が動かしてくれる織機の改善過程の解説がめちゃくちゃ面白いので、要チェックです。

    実機が実際に動いているのも、ロマンがあふれていて、グッときます。音や振動がそのまま身体に伝わってきますし、仕組みについて「なるほど、こういうことか」と腑に落ちる感覚です。あの感覚は、単なる展示では味わえません。

    なので「車なんて興味ないよ」という方でも、十分楽しめると思います。私も車にそこまで興味がなかったのですが、エンジニアとして爆裂に面白かったです!

    Information

    【公式HP】https://www.tcmit.org/
    【交通アクセス】〒451-0051 愛知県名古屋市西区則武新町4丁目1番35号
    【開館時間】9:30~17:00(入場受付は16:30まで)
    【休館日】月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
    【入館料】大人1,000円 大学生500円 中高生300円 小学生200円 ※未就学児は入場無料

    リニア・鉄道館(名古屋)

    リニア・鉄道館

    撮影/いぐぞー

    いぐぞー

    新幹線の運行システムがどう支えられているのかを、とても分かりやすく学べます。世界一安全な高速鉄道と言われる新幹線。その安全は決して偶然ではなく、人間の作業を支える数々の仕組みによって成り立っているのだと分かります。

    中でも印象的なのは、巨大なジオラマで鉄道運行を再現した展示。目の前で町の灯りが点いたり、列車が発着したりするのを眺めていると、複雑なシステムも自然と頭に入ってきます。視覚的に理解できるので、お子さんから大人まで楽しめますよ。

    編集部

    新幹線の仕組みですか……。多くの学びがありそうです。

    いぐぞー

    はい、展示を見ながら「人間はどうしても間違えるものだ」ということを強く感じました。新幹線のシステムは、その前提に立って設計されています。

    例えば、運転士が判断を誤ってもATC(自動列車制御装置)がブレーキをかけて列車を安全に減速させるようになっている。これはまさに「フェイルセーフ」と呼ばれる考え方で、失敗が起きても被害を最小限に抑えるように仕組み化されています。

    冗長化と合わせて、こうした「人のミスを補う仕組み」が世界一安全と言われる新幹線を支えているのだと実感しました。

    編集部

    ソフトウエア開発にも通じるところがありますね。

    いぐぞー

    そうですね。一見するとフェイルセーフや冗長化は「面倒くさいこと」に思えるかもしれません。でも、この展示に触れると、それこそがエンジニアリングの基本であり、仕組み作りの本質なのだと気付かされます。

    人は間違える。だからこそ、システムで正す。その哲学を、新幹線という巨大な仕組みの中で実感できる場所です。

    Information

    【公式HP】https://museum.jr-central.co.jp/
    【交通アクセス】〒455-0848 愛知県名古屋市港区金城ふ頭3-2-2
    【開館時間】10:00~17:30(最終入館は閉館30分前まで)
    【休館日】毎週火曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
    【入館料】大人1,200円 小中高生500円 幼児(3歳以上未就学児)200円

    クルーズフェリー(広島・呉↔松山)

    クルーズフェリー

    撮影/いぐぞー

    いぐぞー

    フェリーの旅は、エンジニアにとってちょっと特別な休養になると思います。船の上はインターネットが繋がりにくいので、「強制オフライン」の状態になる。普段は常に情報の刺激にさらされているエンジニアほど、心休まる「真の休養」が得られるはずです。

    特に、瀬戸内海を航行する広島・呉↔松山の航路は内海のため、フェリーの中でも比較的揺れが少なく初心者の方でも安心して楽しめますよ。

    編集部

    これからの季節は気温的にも過ごしやすそうで、気持ちよさそうですね!

    いぐぞー

    何よりもいいのは、通知の洪水から退避して、風光明媚な瀬戸内海をゆったり一望できること。島々の間を縫って進む景色を眺めていると、時間がゆっくり流れていく感覚になります。自然のリズムに身を委ねるだけで、頭の中がすっと整理されていくんです。

    編集部

    エンジニアはどうしても、日頃から情報を浴びすぎていますもんね……

    いぐぞー

    だからこそ、強制的にオフラインになれる環境は、思った以上に大きなリセット効果をもたらしてくれます。最初は少しそわそわするかもしれませんが、気付けば心地よい静けさに変わっているはずです!

    Information

    【公式HP】https://setonaikaikisen.co.jp/
    【交通アクセス】
    広島港|〒734-0011 広島県広島市南区宇品海岸一丁目13-26
    呉港|〒737-0029 広島県呉市宝町4
    松山観光港|〒791-8081 愛媛県松山市高浜町5-2259-1
    【時刻表】https://setonaikaikisen.co.jp/kouro/cruise/
    【乗船料】
    広島港 ↔ 松山観光港|大人5,800円 小人2,900円
    呉港 ↔ 松山観光港|大人4,700円 小人2,350円
    広島港 ↔ 呉港|大人1,100円 小人550円

    国立科学博物館(上野)

    国立科学博物館

    撮影/いぐぞー

    いぐぞー

    ちょっとベタかもしれませんが、やっぱり国立科学博物館には行ってほしいです。特別展に目が行きがちですが、本当に面白いのは常設展示なんですよ。

    とりわけエンジニアにおすすめしたいのが、日本館。江戸時代以降の日本の技術発展をタイムラインでたどれるようになっていて、解説も豊富で分かりやすいんです。先人たちがどうやって課題を乗り越えてきたのか、その流れを追うだけでも大きな刺激になります。

    編集部

    色々なインスピレーションをもらえそうですね。その他にも、おすすめの展示はありますか?

    いぐぞー

    地球館も外せませんね。普段は機械やコードに触れていることが多いエンジニアだからこそ、ここで自然科学のスケールを体感してほしい。

    特に地球上の動物たちが一堂に集められている展示は圧巻で、「自然が積み重ねてきた生態系というシステム」に対する畏敬の念を抱かずにはいられません。

    科学の歴史は、連綿と続く先人たちの知恵の積み重ねです。その流れを知ると、偉大さに圧倒されると同時に、挑戦を続けることの重要性にも気付くと思います。

    Information

    【公式HP】https://www.kahaku.go.jp/
    【交通アクセス】〒110-8718 東京都台東区上野公園 7-20
    【開館時間】9:00 ~17:00(入館は16:30 まで)
    【休館日】月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
    【入館料】一般・大学生630円 高校生(高等専門学校生含む)以下、無料

    Appleのガレージ(米・Los Altos)

    appleのガレージ

    撮影/いぐぞー

    いぐぞー

    最後に少し変わり種を紹介します。アメリカ・カリフォルニア州ロスアルトスにある、ごく普通の住宅街のガレージ。ここは、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが自作パソコンの製造を始めた場所であり、Appleの歴史が始まった原点です。

    編集部

    見たところ、どこにでもありそうな民家……ですね。

    いぐぞー

    はい(笑)実際に訪れると、本当に「ただのガレージ」でした。観光名所になってはいるものの、特別な仕掛けや派手な展示があるわけでもありません。でも、だからこそ感じられるものがあります。

    世界を変えた会社が、なんでもないような空間から生まれたという事実。そのこと自体が、エンジニアリングの本質を物語っているように思うんです。

    いぐぞー

    何者でもなかった人間が、強い意思を持って世界を動かす。エンジニアリングの原点は、贅沢な資金や立派な環境ではなく、シンプルに「やりたい」という思いにあるんだと、この場所に立つと改めて実感します。

    なお現在は私有地のため、外観を静かに見学することしかできません。撮影は可能ですが、現地の掲示に従い、近隣の方への配慮を忘れずに!

    ※各施設の開館時間や入場料金などの詳細は施設の公式HPでご確認ください。

    写真提供/いぐぞー 編集/今中康達(編集部)

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