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エンジニア出身マネージャーの「人間関係」攻略法! 行動経済学でチームを動かす三つの原則

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澤円の「モヤモヤ言語化ラボ」

元・日本マイクロソフト業務執行役員であり、“プレゼンの神”こと、澤円さんが、エンジニア読者のモヤモヤや気になるニュースを、分かりやすく“言語化”。「どう考えたらいいか分からない」を「そう考えればいいのか」に変える、頭と心の整理の場です。あなたが前に進むためのヒントを一緒に見つけていきましょう。

皆さんこんにちは、澤です。

今回の相談は、新人マネージャーさんのお悩み。

エンジニアがマネージャーになるのは、いつの世でもしんどいものです。

相談内容

開発一筋でやってきましたが、新任マネージャーになり「人間相手のタスク」に限界を感じています。具体的には、会議のファシリテーションや他部署との調整、合意形成といった「関係者をまとめてプロジェクトを進行すること」がどうしても苦手です。

コードはロジカルに動きますが、会議は予期せぬ反応で議論が迷走しやすく、何も決まらない時間に強いストレスを感じます。周囲からの「マネージャーなんだからうまくやってよ」という無言(時に有言)のプレッシャーに焦るばかりで、技術課題のように解決策が見えません。

この「人間関係のハンドリング」という苦手分野には、どう立ち向かえばよいのでしょうか。マネージャーとしての初歩的な部分で躓いている自分にアドバイスをお願いします。

マネージャーに職掌転換したエンジニアは、同様の悩みを持つことがめちゃくちゃ多い印象があります。

ボクがいたマイクロソフトでも、とにかくエンジニアロールだった人たちは、マネジメントをやりたがらなかった記憶があります。この方と全く同じ「人間相手のタスクが苦手」という理由で、マネジメント職を敬遠するわけです。

「コードはロジカルに動くけれど」なんて、めちゃくちゃ本音ですね。人間はロジカルには動かないですからね。

ロジカルに動くものを作れるのに、自分はロジカルに動けないという、とても皮肉な状況です。

さてさて、現状分析はこれくらいにして、解決策について考えてみましょう。

なぜエンジニア出身マネージャーは
「人間相手のタスク」に疲弊するのか?

コードと人間の違いはなんでしょうか?

これは「コントロール可能なものかどうか」に尽きます。

コードは書き換えられるけど、他人は自分の思い通りにコントロールはできません。

こうやって書くと当たり前のことに思えるのですが、マネージャーになったりすると「相手を動かす」という発想になりがちです。

「マネージャーたるもの、メンバーを動かしてなんぼ」みたいに考えると、ちょっとしんどいことになります。人間は、他人の力では簡単に動きません。

会議室でタブレットや資料を囲み議論するチームの風景。コードとは異なり、他人は自分の思い通りにコントロールできないというマネジメントの本質を表現している。強い言葉で相手を動かそうとする「逃避行動」の誘発ではなく、メンバーが自発的に動くマインドセットを醸成するための、コントロール不可能性の受容という文脈で使用

何かしら「動こう」という自発的なマインドがないと動かないものです。

時々、強い言葉や高圧的な態度で相手を動かそうとする人がいます。

そうすることで相手が動いたかのように見えるのですが、これは単に「不快な状況から抜け出す」ための逃避行動に過ぎず、本来の生産性の高い働き方とは程遠いものです。

ということで、相手に気持ちよく動いてもらうための原理原則をまず理解しましょう。

ナッジ行動経済学で解く「相手を動かす三原則」

ここで役に立つのが「ナッジ行動経済学」というものです。

「ナッジ」というのは、「肘で軽くつつく」という意味の英単語で、「相手の行動を引き出す」という意味も含んでいます。

この分野の第一人者である竹林雅樹さんは、ボクの親しい友人です。

人を動かす、という観点で非常に有効な「ナッジ行動経済学」について、竹林さんは「心の中のゾウと仲良くなる」と表現しています。

竹林さんは、人間の感情のことを「心の中にいるゾウ」と表現しています。

感情は人の行動に対する影響が大きい割にコントロールが簡単ではなく、一度暴れ出すと手に負えなくなるという特徴を捉えて「ゾウ」と表現しているのです。

このゾウを手なづけることが大事だというわけですね。

1.タイミング 2.選択肢 3.ポジティブな言葉

このゾウと付き合うためのコミュニケーションのポイントを、竹林さんは三つ挙げています。

1.相手が疲れているタイミングは選ばない。
2.相手が選ぶ選択肢を奪わない。
3.最初と最後の言葉をポジティブにする。

これだけで、コミュニケーションが円滑になり、相手の心のゾウの「いいところ」を引き出せるというのです。

疲れているタイミング、あるいは人の話を受け入れにくいタイミングって、いつでしょう?

竹林さんが教えてくれた事例で、イスラエルの裁判所で仮釈放申請の承認率の話がありました。ランチ後で65%だった承認率が、ランチ前だと何%だと思いますか?

A.0%
B.45%
C.80%

答えは、なんと「A. 0%」だそうです!

まさかのゼロ!

それくらい、時間帯によって判断は変わるってことですよね。

ということで、ランチ前は避けた方がいいみたいです。

あと、退勤時間寸前も避けた方がよさそうですね。

「しごおわモード」になっている人に、新しい情報をインプットすると、反発されるリスクが高くなってしまいます。

ということで、ビジネス会話をするなら、朝イチの集中モード時間が過ぎて一息ついたあたりと、ランチ後1〜2時間くらいがよいみたいです。

マネージャーこそ「教わる名人」になるべき理由

オフィスでチームメンバーがタブレットを囲み議論する様子。エンジニア出身マネージャーが直面する「コードは書き換えられるが他人はコントロールできない」という現実と、強い言葉での強制が招く不快な状況からの逃避行動、そして自発的なマインドを引き出す重要性を対比的に示す文脈で使用

そして、コミュニケーションするときにボクがよく使っていた言葉が「ちょっと教えてくれますか?」です。

ボクがマネージャーをやっていた頃、業務の報告でも技術的な質問でも、同じく「教えてくれますか?」と聞いてました。

「報告してもらえますか?」と聞くよりも、「教えてくれますか?」の方が、相手は依頼を受け取りやすい気がしています。

また、相手を先生、自分を生徒として「教えてくれますか?」と依頼することで、相手の自己承認欲求を満たす効果も期待できます。

「自分を下にするとなめられるのでは」と思うかもしれませんが、評価権限を持っている時点で、圧倒的に力の差があるわけで、ちょっと謙虚な姿勢でいるくらいでちょうどいいと思います。

「なめる・なめられる」なんていう、ちょっとヤンキー風味な思考はせず、「教わる名人」になる方が、ビジネス判断に役立つ情報が入ってきやすくなります。

できるマネージャーになるためには、情報量は生命線です。

いろんな情報が入ってきやすいマネージャーを目指してみてはいかがでしょうか?

生成AI時代、他人とうまくやっていくことは最も価値ある仕事になります。

マネージャーはその中心となる存在なので、やりがいがあると思いますよ!応援しております。


澤円 書籍 The Giver 人を動かす方程式
The Giver 人を動かす方程式(文藝春秋)

AI時代のできる人は、Giver(=与える人)である

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株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)

立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。武蔵野大学専任教員。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。 著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界No.1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」』(プレジデント社)/『「疑う」から始める。これからの時代を生き抜く思考・行動の源泉』(アスコム社)/『「やめる」という選択』(日経BP社) Voicyチャンネル:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

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