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強みなきSESは淘汰される時代。「教育」に活路を見い出したベンチャー企業が話題!/株式会社スカイ・プロジェクト

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    日本独特のヒエラルキー構造によるSI事業は、長年その問題点を指摘されてきた。受託開発案件を二次・三次請けの立場で引き受けるSES企業は、収益の面でも人材採用・育成の面でも弱みを抱え、従事するエンジニアもまた自身の成長をなかなか得られない状況下にいる。課題は、独自性や付加価値をどう手に入れるかだ。自社サービスの開拓・開発を目指したり、特定領域にフォーカスをして専門性を引き上げる努力を続けている企業は少なくない。

    そんな中、異色のチャレンジによって付加価値を獲得しているベンチャー企業がある。いわゆるテック・スクールとは異なる発想による教育事業を手掛けるスカイ・プロジェクトだ。

    なぜ小さなSESベンチャーである同社が「独自性」を武器に注目を集めているのか。同社代表取締役・入江政好氏に話を聞いた。

    株式会社スカイ・プロジェクト 代表取締役 入江政好氏

    株式会社スカイ・プロジェクト代表取締役 入江政好氏

    1977年生まれ。放射線技師としてキャリアをスタートした後、2000年代初頭からIT業界へ。ネットワーク機器関連の設定分野で専門性を得た後、12年にスカイ・プロジェクトを設立。SIおよびアプリケーション開発の事業を軸に成長を目指す一方で、未経験者をエンジニアとして育成していく教育事業にも着手。現在は厚生労働省が推進する求職者支援訓練のプログラムとして、「ビジネスパソコン基礎科」や「ネットワーク・サーバー構築科」などさまざまな講座を行う。独自のスタンスで社会貢献と業界活性化、そしてエンジニアのキャリア確立のために奔走している

    エンジニアは「仕事を通じて学ぶ」しかないのか?
    成長を阻害する、SES企業の問題点

    34歳でスカイ・プロジェクトを設立した入江氏は、もともとIT業界とはまったく違う分野でキャリアをスタートしている。プログラミングに携わるようになったのは、20代後半になってからだった。

    「私はもともと放射線技師をしていましたが、仕事にあまりやりがいを感じることができずに過ごしていました。当時はITバブルの盛り上がりがまだ残っていた時期だったので、素人でも熱意さえあればシステム系の企業に入れる時代。IT業界にチャンスとやりがいを求めて、私も挑戦してみることにしました」

    そして入社したSES系の企業で、全てを経験から学んでいったのだと入江氏。とにかく現場に出て、見よう見まねで必要な知識と技術をインプットしていったという。10年ほど現場で鍛え上げられた後、仲間とともに設立したのがスカイ・プロジェクトだった。

    株式会社スカイ・プロジェクト 代表取締役 入江政好氏

    ここまでの話ならば「IT業界あるある」だと誰もが思うだろう。だが、入江氏を始め、スカイ・プロジェクトの創業メンバーたちには強い問題意識が共有されていたという。

    「IT業界自体は拡大しているし、エンジニアにもチャンスは広がっている。だけど今のように現場で鍛え上げるスタイルでは、世の中のエンジニア不足は解消されないし、個々の成長も限られたものになってしまう……そんな危機意識があったんです」

    一部の大手SIer等に入社できれば、充実した教育プログラムも用意されているだろう。だが、多くのエンジニアはスキルの大部分を仕事上の経験から学び取るしかない。

    体系的に基礎からプログラミングを学ぶことができれば、例えば近接領域の新しい技術に挑んでいくことも可能になるが、「仕事で出会い、必要になったスキルや知識を断片的に得るだけ」では、すぐに成長が限界を迎えてしまう。

    「そんな環境で良いはずがない」という危機感が入江氏にはあったというのだ。

    「ただのSES企業では社員が消耗していくだけ」
    自社の危機を察知し、教育事業をスタート

    しかし資金や人材が不足するベンチャー企業には、人材育成をしている余裕がないのも事実。スカイ・プロジェクトも例に漏れず、そんなジレンマを抱えていた。

    「弊社も始めの頃は、受託案件を獲得しつつ、自社サービスの開発などで活路を拓いていこうという姿勢でやってきました。すると、次第に社内の空気が淀み始めていることに気づいたんです。これでは、他のSES企業と変わらないし、根本的な問題は何も解決しない。そこで、SES案件と並行して教育の分野を取り組んでみようと思い立ちました」

    潤沢な資金を得て、場所と機器と講師陣を揃え、華々しくテック・スクールを開業するような余裕はない。「今自分たちにできることから」という発想で、2016年から地道にスタートしたのがスカイ・プロジェクトの教育事業だ。オフィスの一部を教室スペースに仕立て、本業で使っている機器類をかき集め、入江氏をはじめ社員自らが教壇に立つ。まさに手作りな状態で始まったのだという。

    株式会社スカイ・プロジェクト 代表取締役 入江政好氏

    収益自体が劇的に上がったわけではない。しかし、入江氏は「効果は、てきめんだった」と言う。

    「大きな成果の1つは、この国の求職者の実状を肌で感じることができたということです。若い人に成長のチャンスを提供したい、という気持ちで『ビジネスで使えるパソコン技術』を教え始めたので、かつての私のようにパソコンを扱うことにやりがいを感じて、多くの若者が集まったことには驚きませんでした。でも、集まったのは若者ばかりじゃなかったんです」

    年齢も含め、多様な属性の人たちが受講を希望したこと、そして「教える側」をやりたいと申し出る40〜50代の方たちが集まったことが、入江氏の思いを強くした。「学べるチャンス、教えるチャンス」さえあれば、これだけの人が動く。自分たちが成果を出していくことができたなら、日本の技術者を取り巻く環境だって変えられる、と確信した。

    しかも、それだけではない。教育事業のスタートは社内の空気を変える「効果」も生み出したのだ。

    「収益性の高い自社事業の確立」ばかりが付加価値ではない。
    挑戦は、社内に刺激と絆をもたらした

    「当社自体、まだまだ成長途上のベンチャーですから、社員の多くは自分が担当するプロジェクトにかかりきりになりがち。SES案件の場合、お客さま先に常駐することも増え、社内には人がいない状況も多くなります。どうしても社員同士の一体感が薄れてしまいますが、教育事業を始めるようになってからは、定例会で講師に教育内容を熱心にヒアリングする社員が増えていきました。理由は、社内スペースで展開している教育事業の受講生が気になるから。自身が講師を務めているわけではなくとも、熱心に学んでいる受講生の様子が気になったり、自社事業として展開しているこのプログラムに少しでも貢献したいという思いが強まったりすることで、社員の刺激になり、絆が生まれていったんです」

    嬉しそうに語る入江氏は重ねて言う。「教育を事業軸の一つとして持つことによって、社外の人材だけではなく、社内までもが活性化される」ことの効果の大きさを。

    株式会社スカイ・プロジェクト 代表取締役 入江政好氏

    「今、中小規模のSES企業が乱立しています。何か明確な強みを持たなければ、今後は淘汰されていくでしょう。もちろんスカイ・プロジェクトとしても、技術力に基づいた自社事業を切り拓いていこうとしています。しかし教育という要素が社内に生まれると、収益には直結しなくても、それが強みになっていくんです。社員の意識改革や絆が生まれるばかりでなく、お客さまからも『スカイ・プロジェクトさんは教育事業に熱心なんだね』と、他社とは違う好印象を持ってもらえるようになりました」

    自社の存在意義を上げながら、エンジニアの地位向上に貢献していきたい

    現在スカイ・プロジェクトが提供しているのは、厚労省が推進する求職者支援制度の一環である「求職者支援訓練」のプログラムだ。ハローワークとの連携が前提であることからも、すぐに就職・転職につながる基礎的なパソコン技能・知識の提供が主体となっている。入江氏としては、今後「公共職業訓練」のカリキュラム提供の認可を獲得することが当面の目標だという。そうなれば教えることのできる科目・領域を増やしていくことが可能だからだ。

    「学ぶ側からのニーズとしても、Web系の知見を求める声が非常に大きいんです。IT領域の技術といっても、非常に多種多様ですから、我々が教える領域を拡大していくことができれば、より多くの受講生が集まるでしょうし、卒業後に活躍できる範囲も広がります。エンジニアがもっとチャンスを手に入れて、社会的な地位を上げていけるようにしたいですね」

    本業と教育事業の双方に力をいれることで、会社全体の成長も加速していくはず。例えばスカイ・プロジェクトのエンジニアが教える立場にも就き、「教えながら自らも学ぶ」ような効果にも期待しているとのこと。

    株式会社スカイ・プロジェクト 代表取締役 入江政好氏

    「世の中のエンジニアが不足しているからこそ、当社の教育事業は多方面から関心を持ってもらえています。多くの技術者にチャンスを提供していけるよう、これからもこのチャレンジを続けていきたいですね。まさに成長フェーズの当社ですから、これから入社するエンジニアにはとても刺激的な環境だと思いますよ」

    独自の戦略で、業界内の存在感を強めてきたスカイ・プロジェクト。このベンチャーSES企業の躍進は、止まらない。

    取材・文/森川直樹 撮影/桑原美樹

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