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今、京都に世界中から優秀なエンジニアが集まるワケ【LINE KYOTO】

ITニュース

    2018年6月、LINE株式会社では東京、福岡に続き、第三の開発拠点としてLINE KYOTOをオープンした。京都で働くメンバーは全員がエンジニア。8割が外国籍で、社内では英語や韓国語を中心に、さまざまな言語が飛び交うようなグローバルな環境だ。

    なぜ今、京都に世界中から優秀なエンジニアが集まるのだろうか?

    台湾出身のエンジニア・陳昱丞さんと、LINEのエンジニア採用や技術情報の発信担当しているDeveloper Relationsチームの三木鉄平さんに話を聞いた。

    LINE株式会社 写真右:UITチーム 陳昱丞さん 写真左:Developer Relationsチーム 三木鉄平さん

    LINE株式会社 写真右:UITチーム 陳昱丞さん
    写真左:Developer Relationsチーム 三木鉄平さん

    台湾から福岡、そして京都へ。“まだ何もない”環境で働く醍醐味

    ――陳さんは台湾出身とのことですが、日本に来て、LINEで働こうと思ったのはなぜでしょうか。

    陳昱丞さん(以下、陳):私は台湾でフロントエンドエンジニアとして4年ほど働いていて、以前から「いつか海外で仕事がしたい」と思っていたんです。その時にLINE Fukuokaのエンジニア募集情報を見つけました。

    LINEはアジア圏を中心に、台湾やタイ、インドネシアなど、日本以外でも多くの国で使われているサービス。沢山の人が使うサービスの開発に携わることができるのは、エンジニアにとってとても魅力的なことです。そしてもともと日本という国自体が好きだったこともあり、LINE Fukuokaの求人に興味を持ちました。

    海外で仕事をするという希望も叶えられますし、優秀なエンジニアが集まるLINEで働くことは自身のキャリアにも必ずプラスになると思ったんです。

    ――入社してから今までは、どんなお仕事をされてきたのでしょう?

    陳:最初はLINE Fukuokaで、『LINE Creators Market』『LINEバイト』『LINE占い』などの開発をしていました。その後、今年の6月にLINE KYOTOがオープンすることになり、立ち上げメンバーとしてジョイン。京都では『LINEキャリア』や『LINE証券』、AIアシスタント『Clova』のSDK開発をしています。LINEでは全ての拠点がオンライン上で繋がっているので、拠点間で特に仕事の差があるわけではありません。

    ――半年近くLINE KYOTOで働いてみて、いかがですか?

    陳:LINE KYOTOはオフィスも小さいですし、人数も19名と少なくて、スタートアップ感がありますね。LINE Fukuokaは、私がジョインした時点で100名ほどの組織だったので、ある程度ベースができている状態でした。一方LINE KYOTOでは、0→1の立ち上げ時期から参画したということもあり、開発における自由度が高く、いろいろな選択肢を考えながらプロダクトを作ることができます。 いい意味で、まだ何もない状態。日々チャレンジすることばかりなので、面白い仕事ができていると感じています。

    LINE株式会社 写真右:UITチーム 陳昱丞さん 写真左:Developer Relationsチーム 三木鉄平さん

    1箇所に留まらない働き方は、
    エンジニアとしてのレベルアップにも繋がる

    ――福岡から京都へ転勤することを選んだのはなぜでしょう?

    陳:日本に来たからにはいろんな街に住んでみたいという思いがあったからです。京都は街全体に歴史が色濃く残っていて、昔ながらの日本の文化に触れられる場所。LINE Fukuokaで働く外国籍のメンバーの中にも、京都に行きたいという人は多かったです。

    ――陳さんが“いろんな街に住みたい”のは、なぜでしょうか。

    陳:旅行ではなく実際に住むことで、地域ごとの違いを肌で感じたいんです。例えば同じ日本でも、福岡と京都の間には、住んでみないと分からないような小さな違いがありますから。人も言葉も、食や街並みも、少しずつ違うんです。私は、そんな‟違い”を通して多様な価値観を知ることで、視野も広がっていくと考えています。

    視野が広がるということは、プロダクトを作る際にもさまざまなユーザー目線に立つことができますから、エンジニアとしての深みにもつながっていくと感じますね。

    だから京都ではプライベートも大事にしていて。休みの日は観光地よりも、地元の人が普段行くような場所に行って、地域散策を楽しんでいます。

    ――いろいろな場所に住むということは、お仕事にもいい影響があるということですね。

    陳:そうですね。エンジニアは発想力など、クリエイティビティが求められる職種。いろんな価値観に触れ、たくさんの経験ができる場所を選んだことは、自身のキャリアに良い影響を与えていると感じます。

    LINEは「働きたい場所で働ける」環境づくりを推進

    LINE株式会社 写真右:UITチーム 陳昱丞さん 写真左:Developer Relationsチーム 三木鉄平さん
    ――採用担当の三木さんに伺いますが、京都に開発拠点を構えたのはなぜでしょうか?

    三木鉄平さん(以下、三木):採用面では、2つの狙いがあります。

    一つは、外国籍のエンジニアの方の採用です。京都は世界的にも有名な都市ですし、日本で働くなら京都で働きたい、という外国籍の方はとても多い。優秀な海外人材に魅力的に感じていただける職場環境として、京都という都市を選びました。

    もう一つは、関西圏の優秀な学生の方と接点を持ちやすいロケーションという点です。コンピューターサイエンスを学べる大学が京都にはたくさんあり、非常にポテンシャルの高い学生の方が多くいらっしゃいます。しかし東京と比較すると、大阪・京都など関西圏には大手インターネット企業の数が少ないためLINEのような大規模な開発環境で働くことを希望する学生の方は、東京や海外での就職を選ぶことが多いのではないでしょうか。

    学生のうちからポテンシャルが高い人材との交流機会を増やすことで、ゆくゆくはLINEにジョインしていただきたい、という思いがあります。

    ――交流という点では、東京の方が活発なイメージがありますね。勉強会など、社外のエンジニアの方と交流できるような機会は京都でもあるのでしょうか。

    三木:そうですね。LINE KYOTO含むLINEの各拠点では「LINE Developer Meetup」という、LINEのエンジニアによる技術的な知見の共有を目的とした技術勉強会を定期的に開催しています。LINEの社員以外も参加できるので、他の企業のエンジニアや学生さんなど、毎回多くの方に参加していただいています。

    東京をはじめ福岡、大阪、そして京都と、各都市で勉強会を開催してみて感じるのは、勉強熱心なエンジニアはどの都市にもいらっしゃるのですが、東京と比較すると技術を学べる・刺激を得ることができる機会がどうしても少ない、ということ。そのため地方には勉強会に飢えているエンジニアの方が多いという印象を持ちました。 LINEとして、そのような熱量が高い人が多く集まる都市では、可能な限り交流機会を提供させていただいて、コミュニティの活性化に貢献していきたいですね。

    ――その他、LINEでは「働く場所」についてどんな工夫をしているのでしょうか?

    三木:どの拠点のエンジニアも同じように仕事ができるよう、開発環境や制度を整える、という点は会社としても気をつけているところですね。日々のオンラインのコミュニケーションにはLINEやSlackを使っていますし、エンジニアだったらGitHubでも連携が取れます。対面のコミュニケーションが必要な場合には、TV会議システムを使えば、問題ありません。そういったコミュニケーションの面だけでなく、給与面においても、ロケーション間で給与格差がないように同じ評価基準を適用しています。

    ――以前はエンジニアとしてスキルを磨くなら東京に出ないと、というのが一般的でした。しかしこれからはLINEのように、場所を選ばず仕事ができる環境が整ってくると思われますか?

    三木:そうですね。陳さんのように、好きな場所で働くことを選びたいエンジニアの方にとってもいい流れだと思います。そうすると、家庭の事情などで住まいを移す必要があるケースでも、会社を辞めることなく同じ仕事を続けることができるようにもなってきますし。

    LINE株式会社 写真右:UITチーム 陳昱丞さん 写真左:Developer Relationsチーム 三木鉄平さん
    ――お話を聞いていると、好きな場所、希望の場所で働けるというのは、働く人にとってプラスなことが多そうです。

    三木:そうですね。これからは弊社だけでなく、開発拠点を地方につくるなど、環境整備を進めるWeb系企業は増えていくと思います。その時々のライフスタイルに応じて働く場所を選ぶというのは、エンジニアを始め多くの人にとって、将来的には当たり前のことになってくる。そんな未来がくれば、場所が理由でキャリアの選択肢が狭まることもなくなるし、より一層“理想のキャリアメイク”もしやすくなるのではないでしょうか。

    取材・文/中村英里 撮影/吉永和久

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