本特集では、テクノロジーの力で社会課題の解決に取り組む「未来の創り手」たちの仕事にフォーカス。彼らが描くビジョン、挑戦の原動力、エンジニアがイノベーターへの一歩を踏み出すためのヒントを聞いた
DMM亀山会長、スプツニ子!、梅澤高明…7人のイノベーターに聞く、“普通のエンジニア”がイノベーションを起こすためのヒントとは?【TECH INNOVATORS 2020 まとめ】
日本社会は今、経営、環境、医療、教育、ジェンダーなど、あらゆる領域の社会課題に直面している。そこで必要とされているのが、テクノロジーによるイノベーションだ。
しかし、イノベーションと聞くと、なんだか大それたことのように思えるし、「イノベーションを起こしてほしい」なんて会社から言われたところで、正直何から始めればいいのかも分からない。
どうしたら、エンジニア一人一人が世の中の課題解決に一石を投じるイノベーターとしての一歩を踏み出せるのか…?
そんな疑問を解くために、エンジニアtype編集部では、特集【TECH INNOVATORS 2020】を企画。
さまざまなジャンルで活躍するイノベーター7人への取材を通して、テクノロジーの担い手たちが理想の未来をつくっていくためのヒントを集めた。
今回は、本特集の記事すべてをまとめてご紹介しよう。
No.1:合同会社DMM.com 会長 亀山敬司さん
DMM亀山会長が日本の“イノベーションブーム”に物申す「世の中、イノベーターだらけでもダメなんじゃない?」 0から1も大切だし、10を100にする仕事も大切。どちらのタイプもいないと、結局は本当の意味での大きなイノベーションってのはできないと思う。
つまり、世の中がイノベーターだらけでもダメってこと。
フットワークが軽く暴れるやつがいないと新しいものは生まれないけど、一方でそれを育てたり守るやつもいないと、大きくなれないし長くは続かないってことよ。
No.2:ウミトロン株式会社 代表取締役 藤原 謙さん
「論理は世界をつまらなくする」イノベーションを生むのはエンジニアの“感情的な意思決定”だ【ウミトロン藤原謙】 もし、今の日本で「現代のイノベーター」と言えるようなエンジニアが生まれにくいのだとしたら、それは、感情的な意思決定ができる場所が少ないからだと思います。
例えば、皆さんは最近「面白そう」から何かものづくりをしましたか?
理詰めで考えず、感情のままに何かスタートさせたことはありますか?
利益追求を後回しにして、自分のやりたいことに没頭していますか?
そう聞かれると、「意外とないな」と気付く方も多いかもしれません。
No.3:医師 / 医療CGクリエーター 瀬尾 拡史さん
日本で唯一の医療CGクリエーター瀬尾拡史が実践する“橋渡し”のイノベーション「超一流の人をその気にさせる。それが自分の役目」 二つの世界をつなぐには、両方を知っている通訳的な存在が少なくとも一人は必要なんだろうと思います。
優秀な日本人と中国人がいたとして、でもお互いの言語が分からなかったら、何もできないじゃないですか。
二つの世界をつなぐには、両方を知っている通訳的な存在が少なくとも一人は必要なんだろうと思います。
三流でもいいから、一応通訳できる人がいて初めて何かになる。それと同じです。
No.4:株式会社POL 代表取締役CEO 加茂倫明
将来への楽観と、足元への悲観ーー“ポジティブな社会貢献”を実現するマインドセットとは?【POL加茂倫明】 日本の人口が減少する中、生産性をドラスティックに変える役割がイノベーションに期待されています。
ただ僕には、「だからイノベーションが必要」というよりも、根本的に人類全体を良くしていきたいという思いがあります。自分たちの子どもや孫の世代が生きる未来を、少しでも明るいものにしたいんです。
社会的に意義のあることをやろうとする場合、「成し遂げなくては」という義務感が先走ることがあるかもしれません。
でも僕は、それよりも、楽しむ気持ちを大切にした方がいいと思います。
No.5:株式会社キュカ CEO/CTO 禹ナリさん
痴漢レーダーは“平和な日本”の見えざる問題をあぶり出す。イノベーションの始まりは「身近な課題の解決」【キュカ禹ナリ】 もし、イノベーションを起こすために必要なことは何かと聞かれたら、その答えはたった一つ。「身近な課題を解決すること」です。
ソリューションを一番考えやすいのは、問題の当事者です。「これまで経験したことの中で、最も嫌だったことは何か? 解決するにはどうしたら良いか?」、それを考えるのが、イノベーションの始まりだと思います。
GoogleもFacebookもそう。近年社会を大きく変えたイノベーションは、みんなそうやって生まれました。
No6:スプツニ子!さん
多様性のない組織が生むイノベーションは「危険を孕んでいる」――スプツニ子!が指摘する理由 多くの人はイノベーションというとSFのような話をしたがるけれど、「テクノロジーがどのくらい進化したか」なんて、実はそんなに重要じゃない。そりゃあ人が時間をかけて新しい技術に取り組めばテクノロジーは進化しますし、イノベーティブなものもつくれるでしょう。
でも、人に優しい未来をつくるためのイノベーションは、ひたすら技術に向き合うだけでは起こせません。エンジニアは技術を磨く以上に「何のために作るのか」を考える時間を持つことが大切なのではないでしょうか。
No.7:CIC Japan 会長 梅澤高明さん
CIC Japan梅澤高明が明かす、ユニコーン企業が生まれない日本の真実「一流のエンジニアこそ起業せよ」 「イノベーション」をリードするのは誰か他の人の仕事だと思っているエンジニアがいるのだとしたら、何を寝ぼけたことを言ってるんだという話です。イノベーションのど真ん中にいるのは、あなた方エンジニアでしょう、と。
イノベーションを起こそうと思ったら社会と接続しないとダメ。インベンションだけいくら一生懸命にやっても、その後工程を放棄していてはイノベーションは起きません。
イノベーションは、テクノロジーの担い手であるエンジニアに掛かっている
本特集にご登場いただいた7人には、「エンジニアがイノベーターになるには?」というテーマで、それぞれの考えを教えてもらった。
取材の中でほとんどの人が語ったのは、「イノベーションの種は、身近なところにある」ということだ。
イノベーションというと大袈裟に聞こえるかもしれないが、世の中に新しい変化を起こすきっかけは、自分の過去の経験や、今現在の困りごとにあることがほとんど。身近なことの中から自分が変えたいことは何か発想してみることが、ファーストステップとなる。
また、エンジニアがビジネス視点を持つことの大切さについて語った人も多かった。
素晴らしい技術が「あるだけ」では、世の中は変えられない。その技術をどう使い、どうマネタイズしていくか、そこまで考えられてこそ、真のイノベーションは生まれるものだ。
もしも経営やビジネス分野の話が苦手なら、それが得意な人を仲間に迎えいれるのも一つの手。チームを作り、適材適所でやるべきことに取り組むという選択肢もあるだろう。
最後に、全員が共通して語ったこと。それは、 これからの世界をより良く変えるようなイノベーションの担い手は、「間違いなくエンジニアである」ということだ。「エンジニア自身に、ぜひそのことを自覚してほしい」と7人は語っていた。
未来をより良く変えることも、世の中をもっと面白くすることも、エンジニアならきっとできるーー。
『エンジニアtype』では今後も、エンジニアの背中を押し、チャレンジをサポートするような情報を発信し、皆さんを応援していきたい。
構成・文/河西ことみ(編集部)
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