「週休3日で年収1000万以上もかなう」DXブームで加速するPMO採用。“ヘッドレス経営”企業に転職したエンジニアたちの実情とは
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各社でDX推進が行われる中、組織や消費者を横断したデジタル化プロジェクトが急増している。そんな中、以前にも増して重要度を増しているのが、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の存在だ。
ハイスキルなPMOコンサルタント(以下、PMO)を育成し、企業のDX推進などの変革を後押しし続けてきたユナイテッドコンサルティングには現在、クライアントからの問い合わせのみならず、SESやSIer、コンサルティングファームで経験を積んだ人材が、収入アップや、やりがい、成長、柔軟な働き方などを求めて集まっている。
同社代表取締役の村田栄二さんは「当社でPMOになったエンジニアの中には、前職から年収2〜3倍になった人もいますし、週休3日も可能。DX推進のニーズがますます高まる中で、PMOの引き合いは絶えない状況」だと明かす。
同社に中途入社した三名のPMOコンサルタントと村田さんに、転身の理由や働く魅力について聞いた。
システム開発の“末端”を脱出。SESからの転職で年収は2倍にアップ
「今までシステム開発の“末端”の仕事をしてきた人でも、PMOなら年収1000万円台は十分可能です」
SES出身の篠原さんは、そう自信を持って話す。
ユナイテッドコンサルティングに入社する前は、ソフトウエア開発会社のシステムエンジニアとして10年ほどネットワークインフラの運用管理に携わっていた。
当時の職場は、いわばシステム開発の“末端”。顧客との間に複数のベンダーを挟んでいたため、スケジュールの調整の余地がなく、長時間労働が慢性化していた。
年次が上がると管理職として10人ほどの部下を持つようになったが、手当は微々たるもの。リーダー手当を含めても、年収は約450万円だった。
「毎日本当に忙しくて、クライアントからのプレッシャーもきつく、矢面に立たされて孤立無援の状態でした。このままでは働き続けることすら難しいと思っていました」
そう思い悩んでいた時、先にユナイテッドコンサルティングに転職していた元同僚の勧めで2016年に同社へ転職した。今は理不尽な長時間労働からも、精神的な苦しさからも解放されたと感じている。
「SES時代は『このままやると絶対に失敗する』と分かっている状態でも、言われた通りに走らざるを得ないことが多々ありました。でも今は、問題が発生しそうなときは前もってそれを回避する提案ができるので、気持ちはかなり楽になりました」
システム開発の「下流」から「上流」へ移りたいと思っても、スキルなどへの不安から躊躇してしまう人は多い。
しかし、篠原さんは「SESで長く働いてきた人でも、クライアントとのコミュニケーションをきちんと取れる人であれば、誰でもPMOに挑戦できる」と言う。
「私は前職で得た知見や、クライアントの現場で学んだ知識から提案を積み重ねてきた結果、『会議に出てほしい』などと頼まれることが増え、クライアントから重宝していただけるようになりました」
クライアントからの信頼が高まるにつれ、篠原さんの収入も上がっていった。現在の収入は、前職の年収の2倍以上。本年度中に、約3倍まで到達しそうだという。
「当社の場合、給料は自分が担当するプロジェクトの売上によって決まります。売上以外の、上司の評価や勤怠などは一切給与に影響しない評価設計になっているところも特徴の一つだと思います。
クライアントから追加業務を頼まれても、前職時代は給与が上がるわけでもなく、ネガティブにしか捉えられませんでしたが、今は逆。追加で売上が得られれば、その分給料も上がるので、モチベーションも高まりますね」
大手シンクタンクでも手掛けられなかった最上流の業務でスキルアップ
未経験からPMOに挑戦した篠原さんとは異なり、田村さんはPMO経験者としてユナイテッドコンサルティングに入社した。
現在入社3年目の田村さんは、かつては大手シンクタンクに勤務しており、そこで初めてPMOの仕事を経験した。
PMOの主業務である、プロジェクトの進行管理や関係部署間のすり合わせといった調整業務が得意だったため、「PMOは自分に合っている」と感じていたが、選んだのは転職の道だった。
「当時の職場ではエンジニアが高く評価される風潮があり、裏方のPMOは適切に評価されていないと感じていました。
PMOの仕事の価値を感じてくれる、あるいは尊重される環境で、長くPMOの経験を積んでスキルアップしていきたいと思ったんです」
大企業を離れることに対して多少の不安はあったが、それを補ってあまりある魅力をユナイテッドコンサルティングに感じたという。
「社員の皆さんの雰囲気は良かったですし、何より明朗な給与体系に引かれました。当社では各社員が上げる売上に応じて一人一人の給料が決まるため、クライアントからの評価が自分の給料に直接反映されます。
そうした明確なルールがある会社ならば、昔のように自分の評価に悶々と悩むことはないだろうと思いました」
働き始めてから何よりうれしいと感じたのは、クライアントから個人名で呼ばれるようになったことだ。
大手シンクタンク時代は自分のことを社名で呼ばれることが普通だと思っていた。でも今は、個人の能力を認められていると感じている。「PMOとしてかつての職場で積んだ経験が、今の現場で生かされている」と田村さんは言う
同社に移ってから得たのは、やりがいだけではない。PMOとしてのスキルも着実に向上している。
「大手シンクタンク時代は、プロジェクトに参画する場合、仕様の設計から関わることがほとんどでした。しかし今は、それより上流のシステムの企画構想段階から参加しているので、PMOとしての視野が圧倒的に広がり、マネジメントスキルも磨かれたと感じています。
また、大手シンクタンク時代は年次を重ねるごとに社内調整や報告に時間が取られることが増え、本来のプロジェクト推進に時間が十分使えないことにやや不満を感じていました。今はほぼ大半の時間をクライアントに向き合えるのがうれしいですね」
週休3日も可能。フリーランスのような働き方を実現
「いつかは独立して、プライベートに重点を置いた生活を送りたい」
公認会計士として独立して働く父親の影響を受け、下園さんはそんな思いを抱き続けてきた。それは40歳を迎えても変わらなかったという。
システムベンダーやITコンサル、監査法人など、さまざまな業種で経験を積んできたが、独立のハードルは決して低くはなかった。システムコンサルタントとして一人でやっていける知識や経験は十分にあっても、独立に踏み切れない自分がいたのだ。
独立するか、転職してもう少し経験を積むか──。代表取締役の村田さんからオファーをもらったのは、そんな悩みを抱えていたタイミングだった。下園さんは自身の正直な気持ちを、村田さんに打ち明けたという。
「すると村田が『応援するよ』と言ってくれたんです。独立を前提に働かせてもらえるのは非常にありがたいと思いました。また当社は100%プライム案件なので、仕事の取り方やクライアントとの付き合い方など、独立後に必要なスキルも学べると思いました」
下園さんはユナイテッドコンサルティングの柔軟な働き方が気に入っている。同社ではクライアントも業務内容も社員の要望を考慮して決めるため、半強制的に案件が決まることはない。
その上、必ずしも週5日働く必要もないというから驚きだ。クライアントとの調整がつき、会社へ事前に報告をしていれば週3日勤務も実現できる。
「現在は週5日働いていますが、近いうちに週4日のスタイルを目指したいと思っています。プライベートの時間を増やして、理想の働き方に近づいていきたいですね。もちろん独立の夢は、今も持ち続けています」
“ヘッドレス経営”で評価に納得感を。追求したのは「フェア」であること
ユナイテッドコンサルティング代表取締役の村田さんは、PMOを通じて得られるプロジェクトマネジメントのスキルは、今後ますます価値を増すと語る。
「近年はAIやIoT、DXといったさまざまなトレンドがありますが、テクノロジーで世の中をどう便利にするか? というIT業界のコンセプトは今も昔も変わりません。そしてそこにはPMOを必要とするプロジェクトが常にあります。
現場の空気を読み、タイミングや相手の状況を見極めた上でプロジェクトを正しい方向に導いていく。人間力のあるマネジメントができる専門家が、これからますます求められていくでしょう」
村田さんは、IT業界で経験を積んできた人がPMOに特化したキャリアを選択するメリットを次のように語る。
「まずSES出身の方は、転職によって成長の上限を突破できます。SESでは既に作るものや作り方が決まった段階の工程から仕事が始まるケースが多い傾向にありますが、そこには差別化できる要素が少なく価格競争の対象となり、高収入を得ることが困難なように思えます。
PMOなら、テクニカルな知識やスキルをビジネス視点で顧客の課題を解決できる付加価値の高い人材として違う次元で評価されることになります」
SES出身者がPMOを目指す場合、未経験からのスタートとなるケースが多い。しかし先に登場した篠原さんのように、SES出身だからといって上流の仕事ができないわけでは決してない。それは同社の実績が証明している。
一方、SIerやコンサルの出身者にとっても、PMOに特化した会社を選ぶメリットは大きいと村田さんは言う。同じPMOでも、会社によって任せてもらえる範囲は大きく異なるからだ。
「世間では上流の会社だと思われている大手システムベンダーでも、PMOがシステムの企画構想に携われないことはよくあります。しかし、本当の上流業務を経験していないPMOは、残念ながら一流とは言えません。PMOとして自身の市場価値を上げたいのであれば、一流になれる環境に自ら移る必要があります」
社員が「一流のPMO」になることを心から応援しているからこそ、村田さんは「フェアな経営」を貫く。
「コンサルタントファースト」を徹底的に追求し、「評価(収入)の見える化」「会社運営の簡素化」「できる限りの案件選択の自由」「労働時間の自主制御」などコンサルタントが自立して活動ができるよう支援するのが会社の役割と考えている。村田社長はそのスタイルを“ヘッドレス(head-less)経営”と呼んでいる。
「篠原や田村が言っていたように、当社では、上の人間の評価が社員の給料を左右することはありません。社員が稼いだ売上から、会社の運営費として事前に公表している一定の割合と直接経費を引いた額が給料に当てられるため、クライアントの評価がそのまま給料に反映されるのです。その結果、ほとんどの社員が年収アップを実現しています。
適正な評価が得られる環境で、新しいキャリアを切り開きたい。そんなやる気のある人と一緒に働けたらうれしいですね」
PMOはやる気と適正、IT業界での経験さえあれば、門戸は広く開かれている。
「プロジェクトマネジメントの専門家になりたい」という思い、そして新しい環境へと一歩踏み出す勇気は、きっとあなたをいつの時代にも必要とされる存在へと導いてくれるはずだ。
文・取材/一本麻衣 撮影/赤松洋太
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