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「目指すは物流版AWS」物流ネットワーク改革に挑む『オープンロジ』の成長を支えた“エンジニア現場百遍”のサービス開発戦略

【PR】 働き方

今、物流業界が悲鳴を上げているーー。コロナショック以降、EC需要の高騰とともに、国内の物流量が急増。

そこに、倉庫事業者や配送業者における慢性的な人手不足やDXの遅れが加わり、物流や配送に関わるサービスにひずみが生じている。

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そんなのっぴきならない状況に一石を投じ、物流業界のゲームチェンジャーとして注目を集めるベンチャーがある。ECマーチャント向けに新たな物流プラットホームを提供するオープンロジだ。

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『OPENLOGI』はパートナーとなる倉庫、配送、資材等の物流事業者と連携し、ECマーチャントごとのニーズに合わせた物流サービスを提供する

同社は、ECマーチャントと倉庫事業者双方が使いやすい独自のWMS(※)を開発。これまでアナログだった物の流れをデジタルに変え、物をつくる人と欲しい人の間にある物流や配送をすべてネットワーク化し、需要と供給を最適化する要となる物流プラットホーム『OPENLOGI』をリリース。

(※)WMS…Warehouse Management Systemの略。入出庫での在庫変動や納品書作成といった倉庫業務の管理を行う倉庫管理システム

これにより、ECマーチャントが倉庫選定や配送などの物流関連業務に煩わされず、商品企画や販売などに専念できる環境を提供することで、EC事業の成長に貢献してきた。

2013年のサービス開始以降『OPENLOGI』を導入するECマーチャントは1万アカウントを超え、コロナ禍以降はますます引き合いが絶えない状況が続いている。

なぜ同社では、ECマーチャントの経営課題と物流チェーンの課題を同時に解決するヒットサービスを開発することができたのだろうか。

2022年3月に新VPoEに就任した坂井健治さんと、技術フェローとして同社のサービス開発に注力する五十嵐正人さんに話を聞いた。

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技術開発部 VPoE 坂井健治さん(@saka0ken

慶應義塾大学卒業後、ワークスアプリケーションズへ入社。ECサイトのパッケージソフトの新規開発や運用保守を担当後、4年目から新製品の開発マネージャーとして30人の組織のマネジメントに従事。その後、VPoEとしてジョインしたメディアドゥでは、100名のエンジニア組織のマネジメント・採用に携わる。オープンロジには2021年7月にジョイン。趣味はサウナとジンギスカン

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技術開発部 技術フェロー 五十嵐正人さん(@migrs

メーカーでのパッケージ開発やSIでの業務システム開発からオンラインゲーム開発まで多様なエンジニアリング経験を経て、ネットエイジなどで新規事業を中心に多くのプロジェクトをリード。2012年O2O系スタートアップのCTOを務め、14年オープンロジの創業期からエンジニアリング組織の責任者として従事。趣味は登山とランニング

導入企業の売上8倍に貢献。『OPENLOGI』ヒットの裏側

――『OPENLOGI』の開発背景にある、ECマーチャントをとりまく課題について教えてください。

坂井健治さん(以下 坂井):ご存じのとおり、近年EC市場は急成長しており、物流需要も高騰しています。しかし、物流チェーンの仕組みは従来のまま。非常にアナログな状態で、制度疲労を起こしている状態です。

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坂井:例えば、物流業界にはECマーチャント、倉庫業者、配送事業者というプレーヤーがいますが、おのおのの業務プロセスや管理システムなどは各事業者で連携されておらず、それぞれが自分たちの担当領域で部分最適を目指しているため、業界全体では非効率なオペレーションが常態化しています。

また、オープンロジのクライアントであるECマーチャントと、パートナーである倉庫業者にフォーカスをあてると、二つの課題が顕著に浮かび上がってきます。

一つはECマーチャントが抱える倉庫選びに関する課題です。ECマーチャントは中小企業や個人が大半なので、そもそも在庫を管理するための倉庫選びや最適な配送手段を選択するための知見を持ち合わせていないケースがほとんど。

倉庫といっても、冷凍や冷蔵品を扱えるところと扱えないところがあったり、商品の種類や大きさなどによって得意不得意があったりしてその特徴もばらばら。そのため、ECマーチャントが自分たちに合う倉庫を見つけ、一社一社見積もりをとって契約するのはかなりの手間です。

しかも、倉庫の比較サイトなどもないので料金体系も不透明。よく分からないまま自分たちの商品に合わない倉庫と契約してしまうECマーチャントが多いのです。

また、ようやく契約したと思っても、倉庫内の業務フローを構築したり、システムを入れたりと倉庫を立ち上げるだけで3カ月~半年くらいかかってしまうこともあります。

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坂井:もう一つ、倉庫側が抱える課題として、現場がまだまだアナログなことがあげられます。

大手が提供している在庫管理システムは費用が高く、導入できない倉庫事業者が多いため、Excelで在庫管理をしているケースがまだまだあります。

また、ECマーチャントによっては自社で用意したWMSツールを倉庫事業者へ提供したりして、取引しているECマーチャントが10社あれば10通りの在庫管理ツールを倉庫の作業員が使い分けなければいけないことも。

それによって倉庫内の作業はますます煩雑になり、データの分析もできず、生産性の改善にも踏み切れなくなってしまうのです。

さらに、ECマーチャントが倉庫を借りる際の契約は坪単位が大半なのですが、セール開催などで一時的に物量が増えても倉庫側は契約以上のスペースや人員をすぐには増やせません。すると、商品の配送に遅れが生じてしまうわけです。

倉庫業者にとってもこのような状況は負担となっており、DXや生産性改善に向けて取り組む時間がとれない悪循環に陥っていました。

――それに対して『OPENLOGI』は、両者の課題をどのように解決してきたのでしょうか?

坂井:まず、ECマーチャントが抱える課題に対しては、価格が安価で効率的な倉庫や配送方法が提供できるようにしています。

初期費用・月額費用0円の従量課金制で、商品1点から利用可能。柔軟で拡張性のある物流リソースをAWSと同じような感覚で使いたい時に使いたいだけ使える「物流版AWS」を目指しています。

一方、われわれのパートナーである倉庫事業者に対しては、画一的な倉庫管理システムを導入するだけでなく、業務オペレーションに沿った仕様でつくった独自のWMSを提供。一般的な在庫管理システムは汎用的な設計でつくられているので、個々の現場に合わせた仕様にできないことがほとんどだったんです。

また、全国にある倉庫事業者をネットワーク化し、最適な在庫配置を実現することで、配送事業者も含めて物流業界の最適化を目指しています。

ECマーチャント、倉庫事業者など、物流業界の各プレーヤーにwin-winのサービスを提供できたことで『OPENLOGI』の導入アカウント数は1万件を超えるまで伸び、2020年までに累計27.5億の資金調達も実現しました。

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――とても画期的ですね。『OPENLOGI』がリリースされる前には、類似するサービスは国内になかったのでしょうか?

坂井:そうですね。私たちがサービスを立ち上げるまでは、そもそも料金表を公表している倉庫さんすらありませんでしたから。

そこに明確な料金体系を出し、従量課金制を取り入れたりしたコンセプトそのものが画期的だとクライアントから評価していただいて。

物流業界に新たな物流プラットホームを提供する企業として、唯一無二のポジションを築いています。

――導入数も伸びている?

はい、『OPENLOGI』のユーザー数(ECマーチャント)は右肩上がりです。2014年10月のサービスローンチ時のアカウント数は50件のところ、2021年8月には1万件を超えています。

売上8倍の事業成長に『OPENLOGI』が貢献した事例もあるんですよ。マーチャントの皆さんも事業成長に注力される中で、扱う商材を増やしたり、セールで物量が突然伸びたり。そういうEC成長の飛躍的な成長に対し、「フィジカル」な面をオープンロジが支えるといった成功事例がドンドン出てきています。

日本のEC化率は中国や欧米と比べてもまだまだ低く(※)、これからも業界の成長を支えて行けたらと思っています。
※2020年時点で中国44.0%、世界平均で16.1%だが、日本は8.08%を低い状況で、今後の成長ポテンシャルも大きいと見られている

“エンジニア現場百篇”で生み出す、現場の課題に即したwin-winなサービス開発

――クライアントであるECマーチャントも、パートナーである倉庫事業者もWin-Winなサービスが『OPENLOGI』がヒットした秘訣だと思いますが、そのようなサービスをどのように開発したのでしょうか。

五十嵐正人さん(以下 五十嵐):サービス立ち上げ当初は本当に何もなくて、ゼロベースからのシステムづくりを始めました。

最初はパートナー倉庫も1カ所しかなくて。エンジニアがその倉庫へ出向き、倉庫業務をデジタル化、効率化するために何が必要なのか、目で見てはキャッチアップし、システムに一つ一つ改善を反映していきました。

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五十嵐:当社では、エンジニアが現場に足を運ぶことはいたって普通のことなんですよ。エンジニアが実際に自分の目で見た課題をどうやってテクノロジーで解決できるか考えて、サービスに落とし込んでいくプロセスを重視しています。

――だからこそ、現場で使ってもらえるサービスが作れると。

五十嵐:そうですね。また、エンジニアの開発に対するモチベーションも変わってくると思います。

目の前で困っている人たちを本気で助けたいと思えるようになるから、おのずと開発にも力が入りますし。

――エンジニアが現場に足を運ぶことで感じた課題は?

五十嵐:創業当初よく目にしたのが、ECマーチャントから倉庫に「これを保管しておいてください」と商品が届き、ふたを開けると下記のような状態で届くわけですね。

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大量の時計がプチプチに梱包されたままの状態で届く。これでは、どれがどれの商品かわからない(笑)

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データに紐づいた画像と実際届いた商品を照合して紐づける必要があるんですけど、これが本当に難しくて大変なんですよね。

機能として実現できるはずのことでも、実際のオペレーションに乗るかどうかはまた別の話で、そこを理解することの大切さを身をもって感じました。

システムもそうなんですが、そうやって倉庫内のオペレーション業務も一緒につくってサービス提供していきました。

また、検品作業を始めとした倉庫業務をスピーディーに進められるようにシステムの処理は基本的に非同期で行うような設計思想にしています。

――処理を非同期に、というと?

五十嵐:倉庫作業では何かと荷物に貼り付けられたバーコードを一つ一つ、ピッピッと読み取っていく作業が多いのですが、とにかく膨大な量があるのでここのパフォーマンスというのはとても重要になってきます。

そこで、前の処理を待たずに、次の処理を進めていく。非同期にどんどんデータを流せる仕様にこだわりました。

たとえば出荷検品作業は現場の担当者が画面やキーボードなどシステムにまったく触らず完了できるように工夫しました。各商品のバーコードをリーダーに読み取らせると、OKやNGを音で通知し、異常がなければ次々と処理が進むようにしています。

もし、ここに画面を確認してボタンを押下するような工程が加わると、それだけで何秒かのロスになる。担当者は1日に何千個もの商品を検品しますから、その何秒をいかに短縮するかが重要になってくるのです。

それも、エンジニアが現場に何度も通ってリアルに課題を体感したからこそ気付けたことですね。

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五十嵐:あともう一つ、かなり細かい開発の話になりますが、出庫時の加工指示で「ラッピングしてください」とか「プチプチで巻いてください」とか、ECマーチャントによって倉庫に電話で依頼したり、システムの備考欄に書いたりと指示の仕方がバラバラだったところをルール化し、一つの汎用ツールとしてまとめました。

近年はより一層、こうした汎用的な設定の改善を重ねていく開発が事業をグロースさせることにつながっていると感じます。

――現場百篇を自社のエンジニアが実践し、現場の課題をリアルに感じているからこそ、業界内にwin-winを生み出すサービス開発ができるわけですね。

五十嵐:はい。われわれのサービス開発における強みは、技術面よりむしろ、こうした細かな現場作業にも肌感覚を持って、ゼロベースでシステムを作り上げてきたことです。

創業時は特にエンジニアが現場へ足しげく通い、システムに何が必要かを現場目線でとことん考え抜きました。創業当初はCEOや役員が倉庫現場で倉庫業務をしながらプロダクトを開発していたほどです。

そうやって課題が山積する現場を目でみて、時には梱包や発送といった物流業務をやってみながら開発すべきものを決めていき、ビジネスのコアをつくってきたのがオープンロジのエンジニアリング最大の強みだと思います。

五十嵐:ECマーチャント向けにこだわった点としては、サービスコンセプトは革新的な一方で技術的にはあえてシンプルに開発しているところです。

これは立ち上げ当初から技術的に尖ることより、まずは安定してスピーディーにサービス化できることと、ゆくゆくのサービスグロースを視野に入れ、スケーラビリティー(拡張性)を優先したからです。

なので、必然的にオンプレではなくクラウドを選択しましたし、非同期処理を前提とするアーキテクチャにしました。PHPはさほど好きでもなかったのですが、Laravelに将来性を感じたのと、人材の確保という観点ではメリットが大きかったと思っています。

おかげさまで8年たった今でも既存のシステムをリプレイスするということにはなっていなくて、コアな部分は今でも大きくは変わっていません。中途で入ってくるエンジニアにも「超レガシー」なんて驚かれることもなく、「よくやってるじゃん」という評価をもらうことが多いですね(笑)

エンジニアが「現場」をリアルにイメージできることが、エンジニアリングや組織づくりに生きる

――現場百篇なエンジニア組織はどうやってつくられているんでしょうか?

坂井:そもそもオープンロジでは「自分がつくりたいものをつくる」という考え方ではなく、「お客さまの役に立ちたい、課題を解決したいからつくる」意識を大事にしています。

採用面接の段階から、こうした開発スタンスとマッチしたエンジニアを積極的に採用していることもあり、現場へ行きたがるエンジニアは多いですね。

さすがに今は創業当初のように「毎日現場へ」行く必要はないのですが、今でも現場で得られる示唆や気づきは大切にしていて、エンジニアが倉庫へ行くカルチャーも残っていますよ。

毎週金曜日に開催しているエンジニア勉強会「TGIF」(Thank God It’s Fridayの略)では、実際に倉庫へ行ったエンジニアが、見てきたことや感じた課題点などを共有し、新機能開発のアイデアにつなげています。

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五十嵐:研修でも「現場」をイメージできるような工夫をしています。入社後は大きく二つの研修があるのですが、一つは実際に倉庫へ行き、丸一日、倉庫スタッフとして働く「倉庫研修」。

二つ目は、オフィス内でも倉庫業務を体験できるスペースをつくって、商品の検品や梱包、発送といった一連の流れを体験しながら、これから開発するシステムが現場でどんな風に使われているのかをイメージしてもらっています。

――現場エンジニアの声が大切にされる風土ですよね。開発の優先順位はどのように決めていますか?

五十嵐:オープンロジでは現在でもエンジニアが自ら動き、何が必要かを考えながら開発をするスタイルです。

委託されてつくるシステムとはまったく違い、プレッシャーもあります。ただ、自分が感じた課題や改善策をプロダクトに反映していくことができるので、システムだけでなくビジネスもつくっている実感が得られると思います。

また、ここ一年位でプロダクトマネジメント体制もかなり整ってきており、プロダクトマネージャーが開発チームの一員として入ることでロードマップの実現のための開発も進めることができるようになってきました。

――そういった現場で、エンジニアが働く醍醐味をお二人はどのように感じますか?

五十嵐:自分自身で会社の成長を後押ししている感覚が持てるので、それはすごく楽しいですよね。

あと、社会問題化している物流業界の課題に取り組めることもモチベーションになります。そもそも物流はとても身近なもの。個人的にネットで買ったものがオープンロジから届くこともあるくらいですから。

そんな身近な課題をテクノロジーで解決に導けるのも当社で働く醍醐味ではないでしょうか。

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坂井:また、今後もオープンロジはさらにサービス改善を続けていきます。

今現在、技術的な負債はほぼないものの、モノリシックなサービスなので、ちょっとしたソースコードの変更も影響範囲が大きいんですね。

なので、今後開発スピードを上げ、よりスケーラブルな開発組織にするために、一部をマイクロサービス化する「リアーキテクチャプロジェクト」にも取り組んでいます。こうしたプロジェクトに関われることも、エンジニアにとっては面白いかもしれません。

五十嵐:あとは、ユーザーが増えたので倉庫の空き状況の可視化や在庫の最適分散の提案など、機能やサービスの拡充も加速していきたい。そのフェーズでは、既存の大きなシステムを扱うこともできるし、新しいプロジェクトでモダンな技術をとりいれたチャレンジも重ねられるはず。

身近な社会課題を解決する喜び、まだ見ぬ世界をつくっていく楽しさを一人でも多くのエンジニアの皆さんに味わってほしいですね。

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文・取材/古屋江美子 編集/玉城智子 撮影/桑原美樹

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