担当する組織が大きくなるとマネジメントで忙しくなり、コードを書く時間が取れなくなってしまうのはエンジニアにとってはよくある話。僕も20年のキャリアの中で、コードを書くのを諦めたことが何度もあります。
その度に、心の中で言い訳するんです。『手は動かさなくなったけど、こういう仕事もありだよね』と自分を肯定しようとする。でも時間ができて再びプログラムを書き始めた瞬間、『やっぱり自分は間違っていた』と猛烈に反省するんですよね。
コインチェック、LINE、エムスリー…各社CTOの言葉から考える、エンジニアの成長に欠かせないもの
今年も残すところ2カ月と少し。年末の足音が聞こえてくると、「今年はどれだけ成長できただろうか」「来年は、今後はどうしていこうか」とどことなく落ち着かない気持ちになってくるものだ。
そんな時は、周囲の言葉に耳を傾けると新たな気付きが得られるかもしれない。
今回は、人気連載「CTO’s CAREER STRATEGY」より、最近の注目記事をピックアップ。業界の第一線で活躍してきたCTOたちが考える「この先、エンジニアに求められるもの」とは?
伊藤直也「学ばないための言い訳探しは辞めた」無知を認めて挑んだ一休の開発組織改革
まず初めに紹介するのは、宿泊・レストラン予約サイトを運営する一休のCTO・伊藤直也さん。
ニフティではブログサービス『ココログ』を立ち上げ、はてなではCTOとして『はてなブックマーク』の開発を主導。グリーではSNS事業を統括した実績を持つ伊藤さん。一休に入社する前はフリーランスも経験している。
一人の技術者として成長を続けるために、何を大切にしてきたのか。
強い自戒の念を込め、「学習し続けること」の大切さを語る伊藤さん。その言葉にはっとさせられるエンジニアも多いのではないだろうか。
コインチェック・新CTO松岡剛志「失った時間は返ってこない。大波の気配を感じたら乗る」が強いキャリアをつくる鉄則
2022年8月、コインチェックの新CTOに元レクター代表取締役の松岡剛志さんが就任して大きな話題となった。
常に日本のインターネット業界を最前線で走り続けてきた松岡さんだが、過去のキャリアを振り返ると、一つだけ後悔していることがあるという。
自分がヤフーにいた25、6歳の頃、今思えば、少し天狗になっている時期がありました。そんな時、チームにすごく優秀な若手が入ってきたんです。『これはまずい、死ぬ気で勉強しないと1年以内に抜かれる』と思い、必死に勉強をするようになりました。
コインチェック・新CTO松岡剛志「失った時間は返ってこない。大波の気配を感じたら乗る」が強いキャリアをつくる鉄則「結局、その若手には抜かれてしまった」と語りつつも、その経験から学んだことを教えてくれた松岡さん。あわせて、時代の「波」への乗り方についても話してくれた。
ヤフー新CTO・小久保雅彦の思考法「“楽”できる効率的な仕組みを探してきた」
2022年4月にヤフーのCTOに就任した小久保雅彦さんは、同社にいちエンジニアとして入社したたたき上げ。直近ではYahoo!ショッピングやヤフオク!、PayPayカードなどに代表されるコマース領域のCTOを務めてきた。
一見順風満帆に見える小久保さん。しかし「私ほど社長にお叱りを受けた経験を持つCTOや役員はいないと思うんですよね」と語る。
想定に想定を重ね、準備したものがダメだった時は凹みますよ。何よりも、ユーザーをはじめ、社内外の関係者に大きな迷惑がかかるので、毎回心苦しい気持ちでいっぱいです。
ただ、障害が起こったときはいち早く原因を突き止め、解決しなくてはいけないので、現実は落ち込んでいる場合じゃない。そんな時は、『この状況をいかに打破するのか』を考えることに意識を向けるようにしていますね。
小久保さんがキャリアを築くために大切にしてきたことは、日々開発に向き合い、試行錯誤を重ねるというシンプルながらも難しいもの。
「日々の開発に意味を見出せなくなっている」「失敗だらけで落ち込んでいる」と悩んでいるエンジニアたちにとって大きな学びになるだろう。
【LINE新CTO池邉智洋】生粋の技術屋が組織マネジメントに苦しんだ過去から学んだ開発チーム戦時代の生き抜き方
LINEのCTO・池邉智洋さんの直近のミッションは開発組織の刷新。「マネジメントも技術も」という一人二役状態のエンジニアをなくし、一人一人の機能を明確に切り分けることで、意思決定のスピードアップを狙っている。
しかし、「マネジメントの面白さが見いだせない時期もありました」と過去を振り返る。
人と向き合い続けて、一体何になるんだろうって。でも、Webサービス開発のトレンドが移り変わるにつれて『マネジメントって、実はエンジニアリングだな』って思うようになったんですよね。
(中略)
キャリアは自分でコントロールできない部分が大きくて、運や時代に左右されることも多いものですよね。だから、あまりガチガチに決めても意味がないというか。 そこで僕が個人的に大事にしているのは、なるべく人からのオファーを断らないこと。求められるものにしっかり応え続けていくことが、自分の価値につながると信じていますし、僕にとってのマネジメントのように、やってみたらだんだんとその面白さに気づくものもあると思います。
コードを書いてこそエンジニアだ、というのも一つの意見に違いはない。だが、チームの重要性がますます増していくとされる「Webサービス開発の現場の戦い方」はぜひインプットしておきたいところだ。
「ダメでも学んで500回挑めばいい」エムスリーCTO山崎聡のアジャイルなチャレンジのススメ
VPoE就任後は、たった1年で前年比2倍近くのエンジニア採用に成功し、「エムスリー急成長の立役者」としても知られている山崎聡さん。2022年4月にCTOに就任した。
若手エンジニアが長いキャリアを歩む上で必要だと考える「アジャイルなチャレンジ」論は必見だ。
そもそも医療という領域は、挑みがいのあるチャレンジで溢れています。日本一のクラウド電子カルテサービスを作る、クリニック向けのキャッシュレス決済サービスのスタンダードを作るなど、乗り越えがいのある課題がたくさんありますよね。それをどう『チャレンジ』として楽しめるか。僕自身もそうですし、メンバーにとっても大事な視点だと考えています。
「ダメでも学んで500回挑めばいい」エムスリーCTO山崎聡のアジャイルなチャレンジのススメ成長する上で欠かすことができない「チャレンジ精神」について語る力強いメッセージは、多くのエンジニアに勇気をくれることだろう。
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