さくらインターネット 代表取締役社長 田中邦裕さん(@kunihirotanaka)
1996年、舞鶴高専在学中にさくらインターネットを創業、レンタルサーバー事業を開始。99年、さくらインターネットを設立、代表取締役社長に就任。IPA未踏プロジェクトマネジャーやソフトウエア協会会長、日本データセンター協会理事長なども担う
エンジニアリングマネジャーを悩ませるチームマネジメントの課題。より良いチームを作りたいのに、うまくいかない……そんなとき、一冊の良書との出会いが課題解決のきっかけをくれるかもしれない。
そこでこの記事では、さくらインターネットやサイバーエージェントなど、テックカンパニーのCTOや経営者たち7名が、2022年に「本当に買ってよかった」と感じるマネジメント力の向上に役立った書籍をそれぞれ一冊ずつピックアップ。
リーダーとして将来を見通す力を磨く方法、チームのコミュニケーションを活発化させる国語力の磨き方……バリエーション豊かな7冊をご紹介しよう。
『ブリッツスケーリング 苦難を乗り越え、圧倒的な成果を出す武器を共有しよう』(日経BP)
『ブリッツスケーリング』は、将来を見通しにくい状況で、急成長を目指す企業に向けたバイブルと言える書籍です。
急成長を目指す企業においては、ビジネスモデルや戦略、経営など多岐にわたる事を成し遂げなければなりません。本書籍には、急激な成長を成し遂げるブリッツスケーラー企業の事例が多数紹介されており、当社もさらなる成長を目指す企業として、具体的なアイデアが得られました。
本書籍は、企業経営者だけでなく、サービスや事業の成長を目指す事業責任者にもおすすめしたい1冊です。
さくらインターネット 代表取締役社長 田中邦裕さん(@kunihirotanaka)
1996年、舞鶴高専在学中にさくらインターネットを創業、レンタルサーバー事業を開始。99年、さくらインターネットを設立、代表取締役社長に就任。IPA未踏プロジェクトマネジャーやソフトウエア協会会長、日本データセンター協会理事長なども担う
『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』(日経BP)
自分が会社を起業する時に、サイバーエージェントの藤田社長が強く影響を受けた本ということで紹介されていたので読みました。
サイバーエージェントが理念を重視する企業であるのも、おそらくこの本の影響が色濃く出ているのではないかと思います。自分もそんな理念を重視した会社を作りたいと思って株式会社アクシアを立ち上げましたが、現実はそんなに簡単ではありませんでした。
今までのアクシアでは理念経営がなかなかうまくいきませんでしたが、今はトゥモローゲートというビジョンを重視する会社と出会い、創業時の思いを再度思い出しながら仕事をしています。
アクシア 代表取締役/トゥモローゲート メディア戦略室長 米村歩さん(@yonemura2006)
青山学院大学卒業後、システム開発会社に入社。その後フリーランスを経て、2006年にシステムの受託開発を行う株式会社アクシアを設立。既存のソフトウエアやサービスなどでカバーできない業務分野のWebシステム構築をはじめ、既存システムの保守・運用、サーバー構築までのトータルサービスを手掛ける。かつて同社では長時間労働が常態化していたが、2012年に残業ゼロを断行し、現在も継続中。有給消化率は100%。17年にホワイト企業アワード 労働時間削減部門 大賞を受賞。20年にはオフィスを廃止し、全社員完全リモートワーク化を実現。著書に『完全残業ゼロの働き方改革』(プチ・レトル)など
『AIに負けない基礎力がつく!ふくしま式「本当の国語力」が身につく問題集[一文力編]』(大和出版)
主語・述語、修飾語・被修飾語など、言葉の係り受けに特化した、ベーシック・トレーニング集です。伝わる文章を作成するには「確固たる一文力」を備えていることが必須。
チームでプロジェクトを推進する上で必需となる、コミュニケーション力を高めてくれること間違いなしの一冊です。
私の場合、要件定義書作成や大学院生の研究計画の前にお渡しすることが多いのですが、学生や従業員のロジカルシンキング能力や伝達力がアップしているのを肌で感じます。
琉球大学 工学部 教授
H2L, Inc. CEO 玉城絵美さん(@hoimei)
博士。H2L創業者。1984年沖縄県生まれ。2006年、琉球大学工学部情報工学科卒、筑波大学大学院システム情報工学研究科、東京大学大学院学際情報学府でロボットやヒューマンインターフェースの研究を行う。11年「ハンドジェスチャ入出力技術とその応用に関する研究」で東京大学・博士(学際情報学)。アメリカのディズニー・リサーチ社、東京大学大学院総合文化研究科などを経て、早稲田大学准教授。12年、東京大学大学院で暦本純一研究室に所属し、ヒューマンコンピューターインタラクションを研究していた岩崎健一郎とともに、H2Lを起業。身体そのものを「情報提示デヴァイス」にする「PossessedHand(ポゼスト・ハンド)」は11年『TIME』誌の「The 50 Best Inventions」に選出。17年、外務省WINDS(女性の理系キャリア促進のためのイニシアティブ)大使に任命。21年4月より琉球大学教授
『Lean UX 第3版 ―アジャイルなチームによるプロダクト開発』(O’Reilly Japan)
5年間で100以上のネットサービス・事業に関わってきた経験から、エンジニアには「プロダクト志向」を強く持ってほしいと感じています。
この先、市場で求められるエンジニアはアウトプットだけではなくアウトカム(施策によって与えた影響)まで責任を持つことが求められると考えるからです。
そして「プロダクト志向」を身につける時の1stステップとして「UXデザイン」について学び・実践するのが良いと思っています。
『Lean UX 第3版』では最新のアイデア/手法や事例も多く紹介されており、実践的なスキルアップに役立つ本だと思います。日本のIT業界は請負構造が多く、エンジニアがプロダクトに対してオーナーシップを発揮できる機会が少ないと思いますが、本書をきっかけにぜひ実践してほしいと思います。
サイバーエージェント 専務執行役員 技術担当 長瀬慶重さん
大学卒業後、通信業界での研究開発を経て、2005年サイバーエージェントへ入社。『アメーバブログ』や『アメーバピグ』、『ABEMA』などのサービス開発を担当し、常務執行役員を経て22年より現職。「技術のサイバーエージェント」を加速すべく、技術政策に注力している
『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』(三笠書房)
『ORIGINALS』、『GIVE & TAKE』など、アダム・グラント先生の本は好きで出たら必ず読んでおりまして、『THINK AGAIN』の日本語訳が出たので読みました。
知性とは考えることや学ぶことだけではなく、現代では考え直す能力が必要ということを説いた本で、自分が持つバイアスや心にある盲点に気づきながら変えていくにはという本です。
会社や組織や自分の中でのオートパイロット機能や、パターン認識となっているものも含めてアップデートし続けつつ、うまく前進し続けるために適切な問いを考え当てていき、経験や過去の実績に依存せず変化し続けられるような状態へしていく、そんなことを行動し続けております。
株式会社MIXI 取締役CTO 村瀨龍馬さん(@tatsuma_mu)
ゲームの専門学校に半年在籍した後、2005年にイー・マーキュリー(現:MIXI)に入社。SNS『mixi』の開発に携わる。09年に1度退職し、ゲーム会社のエンジニアや役員を経験。13年にミクシィ(現:MIXI)に復帰し、『モンスターストライク』の開発に携わったほか、XFLAG開発本部本部長を務め、18年には執行役員CTOに就任。19年6月より現職
『良い戦略、悪い戦略』(日経BP)
経営としての視座を身につけるために読んださまざまな本の中で、1番読み返している・薦めている本かもしれません。
本書はまず「戦略」とは何であり、何でないのかを明確に断じ、陥りがちなわなをひとさらいし、さらには良い戦略に必要な要素とそれを見抜く力を授けてくれています。
良い事業も良いプロダクトも、良い戦略策定、つまり解くべき課題の設定を過たない力あってこそ生み出されるものです。
エンジニアは職業柄「どう解くか」に飛びつきやすく、誤謬に陥ってしまうこともしばしば。安易な道に踏み出してしまいそうになる前に、セルフレビューするための観点として機能させるべく、絶賛鍛錬中です。
Cake.jp CTO 新多真琴さん(@ar_tama)
国立音楽大学卒。在学中よりプログラミングを独学で学び、面白法人カヤックやGoogleのインターンにも参加。卒業制作としてオリジナルアプリ『テンスウリズム』を制作の後、新卒でDeNAに入社する。その後はセオ商事、ロコガイドへと転職し、2021年6月にCake.jpに入社。22年1月からCTOを務める。日本もちもち協会代表。料理・音楽ユニット「All My Relations」共同主宰としても活動中。好きなもちもちは餅と団子
『組織を芯からアジャイルにする』(ビー・エヌ・エヌ新社)
自分が大人数のエンジニア組織とどう向き合っていけばよいのか分からなくなった時に手にした本です。
昨今話題のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の認識を改めるところを出発点に、ソフトウエア開発手法であるアジャイルを組織づくりに適用する考え方やHow toが述べられています。
正解のない状況において探索し適応していくアジャイルの考え方は、ついつい正解を追い求めて身動きが取れなくなっていた自分への処方箋となりました。
また、組織全体が同じ方向に進むためには、トップと現場の間でどのように意思疎通するか、トップはなにを伝えるか考える出発点を得られた一冊です。
ゆめみ 技術担当取締役 渡部陽太さん(@yohta_watanave)
1986年生まれ。2020年3月iOS/Androidテックリードとして入社。複数のプロジェクトを支援する傍ら、新人研修の作成や新技術推進とiOSグループとAndroidグループ両方の委員会活動に関わる。現在は急成長スタートアップの内製化支援とFlutterの技術開拓に注力。視野の広さとバランス感覚、行動力を生かして、技術担当取締役としてCTO室を立ち上げ、他社CTOとのネットワーキングを図りつつ内製化支援サービスのリード獲得、技術ブランディングを推進している
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