株式会社日本総合研究所
次世代ホスト勘定系タスクフォース 部長
金澤 亮さん
2001年に新卒で大手SIerの子会社に入社し、メインフレームの開発を担当。05年に金融系のSIerへの転職を経て、07年に日本総研に入社。メインフレームの開発を担当したのち、12年より勘定系システムの更改プロジェクトに参画し、次長に昇進。20年にシステム企画部に異動、その後三井住友フィナンシャルグループへの出向を経て22年4月より現職
【PR】 働き方
転職を重ねながら経験を積み、市場価値を高めていくエンジニアは多い。しかし、どんなに経験豊富であっても、転職後すぐに自身のプレゼンスを発揮するのは難しい。
新しい職場に、未知の業務内容、まだ気心の知れないプロジェクトメンバー……慣れない環境の中で、エンジニアが文字通り「即戦力」になるにはどうすればよいのだろうか?
今回は、転職後の早期立ち上がりを実現したエンジニアの体験談からそのヒントを探っていこう。日本総合研究所(以下、日本総研)に入社して早々重要プロジェクトに抜擢されたエンジニアと、メンバーたちの活躍を後押しするマネジャーの話を聞いていく。
株式会社日本総合研究所
次世代ホスト勘定系タスクフォース 部長
金澤 亮さん
2001年に新卒で大手SIerの子会社に入社し、メインフレームの開発を担当。05年に金融系のSIerへの転職を経て、07年に日本総研に入社。メインフレームの開発を担当したのち、12年より勘定系システムの更改プロジェクトに参画し、次長に昇進。20年にシステム企画部に異動、その後三井住友フィナンシャルグループへの出向を経て22年4月より現職
株式会社日本総合研究所
カード基幹システム本部 部長代理
中園 聡さん
2013年に新卒で生命保険会社のIT関連会社に入社。主に基幹系システムの開発を担当し、内製開発、プロジェクトリーダーを経験。21年2月、日本総研に入社。クレジットカードのシステム開発部門にて、利用履歴を通知するオープン系システムの開発に携わったのち、現在はオーソリゼーションシステムの開発を担当。22年6月よりシステム部門の「次期中期経営計画検討プロジェクト」に参画
中園 聡さんは新卒で生命保険会社のIT関連会社に入社し、基幹系システムの更改プロジェクトを担当。リーダーポジションを務めるようになった頃、「もっと成長できる環境で働きたい」と考えるようになったという。
そして転職先に選んだのが、SMBCグループ各社のシステム開発や運用を手掛ける日本総研だ。
「前の会社に8年ほど勤めた頃、キャリアの棚卸しをした際にさらなる成長を目指すなら環境を変える必要があると思いました。
私の目標は、問題解決やプロジェクトマネジメントといったビジネススキルと、エンジニアとしての高い技術力を兼ね備えた人材となること。日本総研であれば、それが実現できるのではと考えました」
入社後、中園さんはクレジットカードのシステム開発部門に配属された。異業界からの転職にも関わらず、入社からわずか1年程でオーソリゼーションシステムのモダナイズプロジェクトのリーダーに就任している。
さらに特筆すべきは、彼がシステム部門の未来を担う「次期中期経営計画検討プロジェクト」のプロジェクトメンバーに抜擢されている点だ。
このプロジェクトの概要を、中園さんは次のように説明する。
「日本総研では、中期経営計画を3年ごとに策定しています。
2023~25年度の3年間で会社が向かうべき方向性や具体的な戦略について、私が参画しているプロジェクトチームで検討を進めています」
中園さんがアサインされたのは22年6月。入社から1年強がたった頃だ。抜擢の話を聞いた時は、「喜びよりも驚きの方が大きかった」と振り返る。
「プロジェクトチームは15名ほどで構成されています。役職は私より上の方が多く、私は最も社歴が浅いメンバーです。勤続10年以上のベテランエンジニアの姿もありました。
当時の私は、入社2年目に入ったばかり。日本総研という会社に対する知識が少ない自分に重要なプロジェクトのメンバーが務まるだろうか、という不安もありました。その気持ちを、役員へ率直にぶつけてみたんです」
そこで役員から掛けられたのは「日本総研の“初心者”だからこそ、中園くんに入ってほしい」という言葉だった。
「確かに、私には日本総研を外から見た視点がまだまだ残っています。だからこそ周囲のメンバーとは異なる視点から意見を出し、議論を活性化させることを求められているのだと理解しました。
今はプロジェクトの一員として、自分自身のミッションを意識しながら取り組んでいます」
次期中期経営計画検討プロジェクトは、複数の重点戦略に対してチームを組んで活動している。中園さんが参画しているのは、開発の内製力強化に向けた戦略を練るチームだ。
「『これからは内製化が大事』というメッセージを発信するだけでは不十分。どういう組織構造や人員配置にするか、予算はどうするかなど、具体的な計画に落とし込んでいく必要があります。
経営陣と何度もディスカッションを重ね、今は仕上げの段階に入ったところです。重要な戦略だからこそ関係者全員から合意を得るのは簡単なことではありません。ですが、その分やりがいも大きいですね」
本業である開発業務でもリーダーを務め、経営戦略に関わるプロジェクトのメンバーとしても活躍している中園さん。
入社まもない中園さんが重要ポジションで活躍している背景には、苦労を糧にして成長にコミットする姿勢があった。
「自ら希望して新しい環境へ飛び込んだものの、最初は自分の知識不足で苦労することも多かったですね。
担当となったクレジットカード事業に関する業務知識や、システムの全体像、これまでの経緯などが全く分からず、思うように業務が進められないということもありました。
SMBCグループのシステムを担うことに対してプレッシャーも感じていましたが、そのたびに『何のために転職したのか』という転職した目的に立ち返ることで乗り越えてきました」
もちろん、単なる精神論だけで乗り越えられたわけではない。自分に足りないものを埋めるために、地道な努力を重ねていった。
「新卒入社であれば教えられるのを待っていても何とかなるかもしれませんが、キャリア入社の場合はそうはいきません。分からないことがあれば自分から周囲に聞いていくのは当然と思い、効率的に情報収集できるように意識しました。
まずは自分が理解していることと理解できていないことを整理する。何が分かれば前に進めるのかを言語化する。その上で端的に質問する。これだけで、情報のインプットのスピードは格段に上がります」
業務知識の他に、中園さんにはもう一つ足りないものがあった。それが、社内の人脈だ。
「プロジェクトを推進する上では他部署との折衝も多いので、顔の広さは一種の武器になります。入社まもない私の場合、その武器がゼロです。
新卒入社と違って他部署の同期もいないので、とにかく顔を売る必要がありました。身近な上司や先輩にお願いして、先々でさまざまな人を紹介してもらうようにしました。
また、キャリア入社者同士が交流を深められるように、Teamsのコミュニティーを立ち上げました。少し面識があるだけでも、業務はかなりスムーズに進みます」
知識不足や人脈不足は、おそらく多くの転職者に共通する弱みだ。それをいち早く理解し、打破すべく動いてきたことが中園さんの早期活躍につながった。
さらに、自らの弱みを自覚しているからこそ、より成長して周囲に貢献したいという思いも強くなっているという。今後の展望も含め、中園さんはこう語ってくれた。
「現状、開発業務はベンダーに依頼している部分が多いですが、DXが加速していくこれからの時代は、社内の技術力を高めていく必要があると感じています。
中期経営計画でも内製化強化の戦略を検討していますが、私個人としても基礎を磨き、高い技術力をベースにプロジェクトを推進していけるよう成長し続けたいと考えています」
次世代勘定系システムプロジェクトの部長を務める金澤 亮さんは、日本総研に転職してはや15年。現在はレガシーシステム側の開発をリードし、ベンダーも含め100人規模のメンバーを率いている。
「日本総研の開発は、SMBCグループのユーザーと一体となって行うのが特徴です。
主従の親子関係というよりも兄弟関係に近く、システム開発を軸足にしつつも、ユーザーと企画ができる点が面白いですね」
そう語る金澤さんは、開発メンバーとして入社し、チームリーダー、プロジェクトリーダー、次長、そして部長へと順調にポジションアップを重ねている。これまでの経験を振り返り、次のように語った。
「日本総研に入社してからは、居場所を早く作ること、言い換えると、いち早く結果を出すことにこだわってきました。
キャリア入社者は即戦力として期待されているので、『これは金澤に頼もう』と思ってもらえるようになると仕事がやりやすくなると考えました」
具体例を聞くと、金澤さんは入社直後のエピソードを教えてくれた。
「それまでベンダーに任せていたメインフレームの開発環境構築を『私がやります』と手を挙げました。
私がやれば契約の手間も省け、ベンダーに支払う費用も削減できます。この提案に対して、上司は二つ返事で了承してくれました」
今でこそ開発の内製化に力を入れているが、当時の部署では開発をベンダーに委託することが多く、自分で手を動かしてシステムを作る社員はほとんどいなかったという。その違いが、自分の存在を早く周りに認めてもらうことにつながった。
「金融グループの企業なので保守的かと思っていたのですが、新しい提案も好意的に受け入れてくれる土壌に驚きましたね。
だからこそ、私も入社まもない時期から結果を出せたのだと思います」
現在は管理職の金澤さん。今はメンバーからの「新しいことをやりたい」という声を引き出し、実行を後押しする立場にいる。
「普段の会話の中で、メンバーに何をやりたいのか、どう考えているのかを積極的に話してもらうようにしています。
意識しているのは、意見がしやすい質問や声掛けをすること。実際、聞いてみると結構いい意見が出てくるんですよ」
もちろん、聞いた意見の実現に向けて後押しすることも忘れない。いいアイデアがあるのに「ユーザーからOKがもらえるか分からないから」と実行に移せていない人がいれば、「一緒に説明方法を考えよう」とサポートしているという。
「自分で『やりたい』と言うと、そこには責任が生まれます。実は、それも狙いなんです。
強い責任感を持って取り組めば、より大きな成長へとつながります。成功体験を積めるように支援しますし、もちろん、チャレンジして失敗してもメンバーに責任を押し付けることはありません。そこは管理職として、私が責任を取る部分だと思うので」
会社としてもフラットな組織を目指し、社員の意識調査なども頻繁に実施しているため、メンバーが率直な意見を言える機会は多い。金澤さんはメンバーにも「忖度せず正直に回答してほしい」と伝えているという。
「意識調査で出てきた意見に管理職が無反応では意味がないので、必ずアクションを起こします。
例えば人員が足りないと言われたら、実際の採用活動の現状や仕事の優先順位について話しますし、別の業務をしたいという人にはなるべくそのチャンスを作ります。私も希望の人事はかなえてもらってきましたから。
最近だと、トレンドの技術をやりたいという声も多いですね。次世代勘定系システムは、私が担当しているメインフレームと、オープンシステムから構成されています。レガシーシステムをずっとやってきた人も活躍できる一方で、オープンシステムの部署に異動すればトレンドの技術に携わることも可能です。
技術を学べる研修も豊富に用意されていますし、チーム間でパートタイム的に人員交流をするなど、エンジニアの希望には柔軟に対応しています」
金澤さんの今後の展望は、自分自身の技術の幅をさらに広げていくことだ。
「私もまだまだエンジニアとして成長していきたいと思っています。マネジメント一辺倒にならず、エンジニア目線で仕事をしていきたいです。日本総研はそれができる環境です」
取材・文/古屋 江美子 撮影/桑原美樹
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