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EM(エンジニアリングマネジャー)とは? エンジニアの新キャリア? 仕事内容や必要なスキルを詳しく解説

IT用語集

エンジニアリングマネジャー(以下、EM)というポジションをご存知でしょうか? EMは主にエンジニアチームのマネジメントを行う役割を持ち、IT人材の需要が高まる中で誕生した比較的新たな職種です。

この記事では、近年注目を集めているEMについて、仕事内容や必要なスキル、キャリアパスまで詳しく解説します。新たなキャリアパスの一つとして、ぜひ参考にしてください。

EMとは

EM(Engineering Manager)とは、エンジニアのマネジメントを行う職種です。技術分野の専門知識を持ち、エンジニアチームをリードしてプロジェクトを成功に導く役割を担います。企業によって求められる役割は変化しますが、基本的には技術的な知識・スキルとマネジメント力の両方が求められるポジションです。

EMの成り立ち

EMは、日本では2010年代の後半頃のメガベンチャーでの採用から広がっていったとされています。EMというポジションが求められるようになった背景としては、技術分野が急速に発展し、ビジネスに対する影響力が増加したことが考えられます。

これによりエンジニアチームが大規模化し、チームの調整やコミュニケーションなど、エンジニアを管理するリーダーが必要となりました。

結果、ビジネスと技術の両面を理解しつつ、エンジニアチームを管理・リードするEMのニーズが高まり、設置する企業が増加しているのです。

EMとPM(プロジェクトマネジャー)の違い

EMと混同されやすい職種として、PMがあります。両者ともにマネジメントを行う職種という点は共通していますが、担当する領域が異なります。

PMはプロジェクト全体の管理を担当し、プロジェクトの成功に向けてスケジュールや予算管理、ベンダーとの調整などを行いリード。一方でEMの担当領域はプロジェクトを含むエンジニアチームです。例えば、プロジェクトを成功させるために、エンジニアに働きかけて技術的な問題解決やエンジニアリングプロセスの改善まで行います。

EMとテックリードの違い

技術に精通するポジションとしては、EMの他にテックリードが挙げられます。EMとの違いは根本的な役割です。

テックリードは特定のプロジェクトにおいて技術的なリーダーシップを持つ役割を担います。一方、EMはエンジニアチームの働きやキャリアなどをマネジメントする役割です。

テックリードが現場の最前線で技術をリードする存在なのに対し、EMはビジネス視点を持ちながら組織を支える存在であるという違いがあります。

EM

EMの役割

ここからは、EMに求められる役割について詳しく解説します。

エンジニアリング組織のパフォーマンスを最大化する

エンジニアリング組織をマネジメントし、メンバーのパフォーマンスを最大化させることがEMの大きな役割の一つです。

エンジニア個人とチーム全体がスキルを最大限に生かせるように、細かなケアを行い組織体制を整えます。エンジニアチームの生産性を向上させることで企業の利益につなげる目的もあるため、技術視点とビジネス視点の両方が必要です。

技術的負債の受け入れ・解消

技術的負債とは、システム開発においてスピードを優先したことで引き起こされる、目に見えないコストのことです。

例えばリリースを早めることを優先したために、コードが整っていない・バグが多いなどのケースがあります。技術的負債のすべてを排除することは難しいため、あらゆる視点から検討し、どの程度受け入れるか・解消すべきかを判断することもEMの役割です。

経営層とメンバー層の媒介

経営層と現場のメンバー層でギャップが生じることも少なくありません。両者の媒介者となり、このギャップを埋めていくのもEMの役割です。

経営層の意思決定や現場からの要望などを技術視点・ビジネス視点で考慮し、適切に媒介していくことが求められます。EMは組織の潤滑油のような存在でもあります。

EM

EMの仕事内容

次に、EMの具体的な仕事内容について紹介します。

エンジニアの採用活動

チームを構成する人材の採用は重要な業務です。チームに必要な技術スキルや経験だけでなく、コミュニケーションスキルや協調性、仕事への取り組み方などの適性も見極める必要があります。

メンバーの評価・目標管理

チームの生産性を向上させるには、メンバー一人一人のマネジメントが欠かせません。各個人と定期的な面談などを実施し、目標設定や評価によって成長を促すことも重要な仕事です。

チームビルディング

開発チームにはさまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが集まっています。それぞれが持つスキルやカルチャーも異なります。また、働き方が多様化する現在では、フルリモートやフレックスで働く人、海外拠点で働く人など、コミュニケーションの方法もオフラインとは限りません。

このような環境の中で多様性を尊重しつつ、方向性を揃えてチームを作り上げていくこともEMの仕事です。しかし、多様な個性やスキルを持つエンジニアで構成されたチームをまとめ、モチベーションを維持させることは容易ではありません。エンジニアのモチベーションの低下はチームのパフォーマンスにも影響するため注意が必要です。

モチベーションを維持するためには、明確な目標設定や、透明性のある評価制度の導入のほか、エンジニアとの定期的な1on1ミーティングを行う必要があります。また、チームワークの強化のためには、チームビルディングイベントの実施などが効果的です。

労働環境の整備

エンジニアが働きやすく、パフォーマンスを最大化できる職場環境を整備することもEMの重要な仕事です。実際に働くメンバーにヒアリングし、要望のあるツールや備品を導入することで作業効率が上がる場合もあります。

また、コミュニケーションの取りやすい組織体制の整備や、不要な社内ルールの改正・撤廃などの検討も重要です。

プロジェクトの課題調整

急な仕様変更や納期の前倒しなど、開発プロジェクトの進行中には課題が発生することが少なくありません。

このような場合にもスムーズにプロジェクトを進めるため、作業の優先順位付けや人員配置の変更などを迅速かつ適切に判断することもEMの仕事です。課題解決力や柔軟な判断力が求められます。

技術投資計画の提案

投資計画は経営において欠かせないものですが、専門知識が必要です。技術的な知見を踏まえて開発環境やツール、人材などの投資計画を立てることもEMの重要な仕事です。

EMに必要なスキル

ここからは、EMに求められるスキルについて解説していきます。

マネジメントスキル

「エンジニアリングマネジャー」という名前にもある通り、まず挙げられるのがマネジメントスキルです。EMには、以下の4つの領域にまたがるマネジメントスキルが求められます。

1.ピープルマネジメントスキル

エンジニア一人一人やチーム全体をマネジメントするスキルです。EMの軸となるスキルと言えます。

目的を達成するためにチームメンバーを効果的に指導・管理し、モチベーションを向上させて成長を促すことが重要です。チームのパフォーマンスを最大化させるために重要なスキルと言えるでしょう。

2.テクノロジーマネジメントスキル

技術面に関するマネジメントスキルです。技術的な観点からマネジメントを行い、生産性を向上させる目的があります。

新たなテクノロジーの導入や最適な活用方法の検討、予算やリソースの配分などを行う際に需要です。

3.プロジェクトマネジメントスキル

プロジェクトを円滑に進行させるスキルです。ピープルマネジメントやテクノロジーマネジメントが土台となり、これらを管理した上でプロジェクトの進行に携わります。

エンジニアがトラブルなく順調に業務を進められるように働きかけることで、プロジェクトを成功に導きます。

4.プロダクトマネジメントスキル

プロダクトを通じて顧客に価値を提供し、ビジネスとして利益を出すことを目的とするマネジメントスキルです。市場分析や顧客ニーズの調査、プロダクトの戦略立案などで必要となります。

コミュニケーションスキル

EMはエンジニアリング組織のメンバーはもちろん、他部署や経営層、クライアントなどさまざまな人と関わります。相手との信頼関係を構築するためにも、的確な意思疎通を行うコミュニケーションスキルは必須です。

特にチームメンバーとは、相談しやすい環境を整えるなど、日頃からより良いコミュニケーション体制を意識する必要があります。また、伝えたいことを的確に言語化する能力も日頃から意識して身に付けておくと良いでしょう。

EMを目指すには?

では、EMを目指すにはどのようなステップを踏めば良いでしょうか?

エンジニアとして経験を積む

EMには技術的な知見が欠かせません。まずはエンジニアとして多くの開発プロジェクトを経験し、技術的な知識やスキルを身につけることが必要不可欠です。

チームの一員としてプロジェクトに参加し、チームメンバーの役割やリーダーの働き方などを見て学ぶことも貴重な経験となります。

技術系のリーダーとして経験を積む

エンジニアとしてある程度経験を積んだら、マネジャー職やテックリードとしてチームを率いるマネジメント経験を積むのがおすすめです。

EMに必要なマネジメントスキルは実際に業務を通して経験することで身に付きます。リーダーポジションの募集があれば積極的にチャレンジし、マネジメント力やリーダーシップを身に付けましょう。その経験を活かすことで、EMへのステップアップに近付きます。

EMのキャリアパス

次に、EMとして経験を積んだ後に考えられるキャリアパスについて解説します。

VPoE

VPoEとは「Vice President of Engineering」の略で、エンジニアのマネジメントを統括する役職です。エンジニアチームをマネジメントする役割という点でEMと共通しますが、VPoEはEMよりも大局的な視点が必要となります。

例えば、EMはプロジェクトを成功に導くためにメンバーとのコミュニケーションを通してスキルを引き出したりキャリアを支援したりします。一方でVPoEは成長ビジョンを作成したり行動指針を定義したりすることで組織構造を作り、組織全体の成功に貢献していく役割があります。

EMは個人やチームに向き合うことが多いのに対し、VPoEは組織構造に向き合うという違いがあります。EMとしての経験を生かしながら、より組織に影響を与える大局的なマネジメントを行いたい方が目指すべきポジションです。

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CTO

CTOとは「Chief Technical Officer」の略で、「最高技術責任者」を表します。その企業の技術領域における最高責任者であり、技術戦略の意思決定権を持つ役割です。技術的な深い知識を生かしながら、経営にも参画する重要なポジションと言えます。

EMとしてのマネジメント経験を生かし、さらに大きな裁量を持って働きたい方が目指すべきキャリアパスと言えるでしょう。

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フリーランス

組織から独立してフリーランスとして働くキャリアパスです。専門的な知識や経験を生かして、個人でクライアントから仕事を受注します。

営業活動からクライアントとのやりとり、納品まですべて一人でこなす必要がありますが、好きな案件を選んで自由度高く働けることがメリットです。

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EMはチームの成果を最大化させるための重要なポジション

EMは主にエンジニアチームをマネジメントする役割を持つ、比較的新しいポジションです。システムの拡大やエンジニアリング組織の大規模化により、パフォーマンスを最大化させるためにリーダーとなるEMの役割が求められ、需要が急増しています。

エンジニアとしての専門的な技術を持ちながら、高度なマネジメントを行える人材は非常に貴重です。市場価値が高まっていくことが予想されるので、エンジニアとしての経験を生かしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

文/江副杏菜

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