株式会社シジスカイ 代表取締役社長 長谷川莉夏さん
1982年生まれ。大学卒業後、2007年にSES企業へ営業職で入社。14年、1社目の経験を生かしシジスカイを設立。2児の母
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ChatGPTの登場以降、日々メディアをにぎわすAI技術の進歩。業界業種を問わずさまざまな企業でAI活用が進んでいる。そのうちの一つが教育分野だ。
SES事業をメインビジネスとして展開しつつ、自社サービスとしてAIロボットの開発に取り組んでいるシジスカイの代表、長谷川莉夏さんは「AIロボットの力で日本の教育の課題を解消したい」と語る。
日本の教育現場の課題に、どのようにアプローチしているのか。長谷川さんと、AIロボットサービス事業を担当する顧問の福岡健一さんに、事業立ち上げの背景や今後の展望を聞いた。
株式会社シジスカイ 代表取締役社長 長谷川莉夏さん
1982年生まれ。大学卒業後、2007年にSES企業へ営業職で入社。14年、1社目の経験を生かしシジスカイを設立。2児の母
株式会社シジスカイ 顧問 福岡健一さん
長年、大手IT関連会社で、システム保守、開発、企画などに幅広く携わる。早期退職後、AIロボット事業に挑戦すべく、2020年にシジスカイにジョイン。現在は、AI・ロボットサービス事業の責任者としてソリューション開発をけん引中
シジスカイの設立は2014年。SES企業として事業を拡大し、3~4年前から一括での受託開発案件も増加している。
そして22年、自社サービスとして立ち上げたのがAI・ロボットサービス事業だ。
今最も注目を集めていると言っても過言ではないAI技術とロボットを掛け合わせたプロダクトを通じ、プログラミング教育や英語教育ソリューションを提供している。
この事業の立ち上げ背景には、二児の母である代表の長谷川さんだからこそ感じた日本の教育現場にまん延するある課題があった。
「本来、子どもの教育は平等であるべきだと思いますが、日本国内でも地域によって差があります。特にデジタルデバイスに触れる機会は、都会と地方で大きく異なるはず。
日本の教育現場におけるタブレットやパソコンの活用は、まだ進んでいるとは言い難い印象です。
どうにかして日本の子どもたちに等しく最先端の教育を受ける機会をつくりたいと思いました」(長谷川さん)
そんな長谷川さんに声を掛けたのが、現在シジスカイで顧問を務める福岡さんだった。
大手IT企業を早期退職した福岡さんは、前職で携わっていたAIやロボットの活用に可能性を感じ、「AIロボット事業を立ち上げないか」と旧知の長谷川さんを誘ったという。
福岡さんもまた、日本の教育分野に課題を感じている一人だったのだ。
「教員不足は、日本が抱える大きな課題の一つ。人材不足を解消しつつ、教育の質を向上させるためには、AIロボットが欠かせないものになると思っていました。
誰かと一緒に事業化したいと考えていた時、真っ先に思い浮かんだのが長谷川さん。共通の知り合いを介して知り合ったのですが、人に対してとても誠実で、一度決めたことはやり通す情熱の持ち主だと感じていたので、新しいことをやるならぜひ長谷川さんと一緒に、と思ったんです」(福岡さん)
福岡さんからの提案に、長谷川さんは二つ返事でうなずいた。
「近年、AIやロボットについてニュースで取り上げられる機会も増えていましたし、シジスカイが請け負う案件でも同様の開発が増えていました。
自社でもAI技術を用いたプロダクトを持ちたいと考えていたタイミングだったので、福岡さんに声を掛けていただいた時はうれしかったですね」(長谷川さん)
現在、シジスカイが提供しているAIロボットの用途は主に2種類。一つ目が企業や店舗のコンシェルジュ業務、そしてもう一つが、当初から予定していた子どもに向けたプログラミングや英会話教育だ。
NUWA ROBOTICS社が開発するロボット『Kebbi Air(ケビーエアー)』にシジスカイ独自のアプリケーションを実装し、受付や教育現場で活用できるプロダクトへと仕上げた。
特に教育現場では、タブレットやパソコンよりもロボットの方が学習効果を発揮すると長谷川さんたちは確信しているという。
その理由は、親近感を抱きやすいロボットの見た目にある。
「当社で使用しているロボットは、かわいくてコンパクト。試験導入した小学校の生徒からは、『かわいい!』と大人気でした。
見た目の受け入れられやすさは、ロボットを普及させるためには必要不可欠だと思っています」(長谷川さん)
「日本人はさまざまなものを擬人化して捉え、かわいがることがうまい傾向があると思いませんか? そういった意味でも、無機質な機械より、人間味のあるロボットがより好まれやすいのだと思います」(福岡さん)
現在は当初の計画通り、教育分野ではAIロボットを使ったプログラミングと英語の教育ソリューションを提供している。
特にプログラミング教育については、「他社の類似プロダクトとは異なるアプローチにこだわった」と福岡さんは力を込める。
「変化の時代とも言われるように、近年はテクノロジーの進歩が目覚ましく、子どもたちが社会に出る頃にはなくなっている仕事もあるでしょう。
先が読めない時代を生きていくために子どもたちが身に付けるべきは、小手先のテクニックではなく、新しいものを自ら考え出して創造する力です。それを養えるようなソリューションを開発しています」(福岡さん)
プログラミング学習の問題と言えば、「図形の内角の和を求めるプログラムは?」といった単純な問題であることが一般的だろう。しかし、シジスカイのAIロボットの出題はひと味違う。
例えば、「自分の地域や街を調べて発表する」といった大きな課題が与えられる。その課題に対して「何について調べるか」「調べたものを発表するときはどんな表現を使えばいいか」「そのためにはどんなプログラムを組めばよいか」と、上流から順に考えていくのだ。
「プログラミングをする」というゴールは変わらないが、考える過程が大きく異なることが分かる。
「考える過程の中で、子どもたちは新たな気付きや視点を得られます。それが子どもたちの未来の可能性を広げることにもつながると思うんです」(福岡さん)
現在、シジスカイの教育AIロボットは、長野・和歌山・鹿児島の三つの小学校に導入されている。実際に授業の様子を見にいった長谷川さんは、想像以上に子どもたちがAIロボットを使いこなし、レベルの高い発表をしていることに驚いたという。
「ロボットは実物を目で見て触れることができます。さらには動くので親しみやすい。楽しみながら学べるので、子ども達が夢中になるのだと思います。
授業中、ロボットと触れ合う子どもたちの集中した顔や自信満々に発表する様子を見て、日本の将来を支える人材としての可能性を感じました。改めて、社会貢献性の高い事業を手掛けている誇りとやりがいを実感しましたね」(長谷川さん)
AIロボットのもう一つの活用法であるコンシェルジュソリューションは、23年2月にリリースされた。多言語に対応するため、インバウンド対応に期待が寄せられているという。
加えて、今後は福祉分野にも力を入れていく計画だ。
「少子高齢化が進む日本にとって、福祉の分野も人手不足が深刻です。
その点、AIロボットの特長の一つは自然なコミュニケーションが取れること。介護施設に一人で暮らしているお年寄りがロボットと会話できれば、日々の生活の楽しみが増えますよね。
教育ソリューションもコンシェルジュソリューションも、今後はさらに改善して進化させていく計画です。
最近ではChatGPTを見ても分かる通り、ジェネレーティブAIの進歩が目覚ましい。最先端の技術をうまく取り込むことで、より質の高いソリューションを提供していきたいと考えています」(福岡さん)
SES事業を中心とするシジスカイだが、長谷川さんは「今後は自社開発の割合を増やしていきたい」と考えている。
「シジスカイは設立後の5~6期目まではSES事業が100%でした。その後、次第に一括での受託案件を増やし、現在は全体の4割ほどを受託案件や自社プロダクトの開発が占めるようになりました。
まだ詳細はお話しできませんが、AIロボット以外の自社プロダクトの開発が進行中です。これまでに培ってきたノウハウを生かし、より一層自社プロダクトの開発を強化し、会社としてさらなるステップアップをしていきたいですね」(長谷川さん)
現状、AIロボットに携わっているエンジニアはまだ数名だが、今後は自社開発担当のメンバーを年に5~10%程度ずつ増やしていく計画だ。
「AIロボット開発には高度なスキルが必要ですから、未経験者がいきなり携わるのは難しいのも事実。だからこそ、まずはSESの案件で経験を積み、続いて社内の受託案件でさらにスキルを磨くことで、AIロボット開発をはじめ自社開発で活躍してもらえるといいのかなと思いますね」(長谷川さん)
AIロボット開発のおもしろさについて、福岡さんは「社会にまだない新しいものを考えて、自分たちで作り出していけること」だと明かす。そして、シジスカイはそれを実現しやすい環境だと語った。
「私自身、チャレンジが大好きな人間なんですよ」と長谷川さんも笑顔で続ける。
「失敗するかどうかなんて、やってみないと分からないじゃないですか。だから社内のメンバーにも、失敗したら私がフォローするから、まずは何でもやってみていいと伝えているんです」(長谷川さん)
何でも提案できる場と、それを実現できるチャンス。その両方が与えられるからこそ、「言われたことをやっているだけでは身に付かない、自分で考える力が養われる」と福岡さん。技術のみならず、ビジネススキルを持つエンジニアとして成長できる環境がある様子がうかがえる。
さらに、長谷川さんは「とにかく楽しく働くことが大事」だと強調した。
「どういう仕事環境を求めるかは、人によって違うと思うのですが、私はコミュニケーションをとりながら、みんなで毎日笑い合えるような環境が好きです。
ビジネスについても、利益はもちろん大切ですが、何よりも『おもしろいかどうか』を重視してきました。AIロボット事業を始めたのも、福岡さんから話を聞いておもしろそうだと思えたからですしね。
それに、楽しければ利益は後からついてくるものだと思うんです」(長谷川さん)
心から価値があると、楽しいと思える事業を手掛けること。それは、エンジニアが自身の仕事に納得感を持つために欠かせない要素だろう。
心の中でくすぶっている野望を持つエンジニアにとって、シジスカイはぴったりの環境かもしれない。
取材・文/古屋 江美子 撮影/桑原美樹
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