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非エンジニアに上手く説明できない…意図をスムーズに伝えるコミュニケーションのコツは?【戸倉彩・あらたま・ばんくし/聴くエンジニアtype Vol.26】
IT業界、特にエンジニア職の間には、説明せずとも伝わる業界用語や略語が多い。普段の開発業務中であれば問題なく意思疎通ができるが、エンジニア以外が会話の輪に入ったとしたらどうだろう。技術に明るくないビジネスサイドのメンバーとの会話がイマイチかみ合わない……という経験を持つエンジニアもいるのでは?
今回のテーマは、「非エンジニア職とのコミュニケーション」。ゲストには久しぶりに戸倉彩さんとCake.jpの新多真琴(あらたま)さんが登場した。
【MC】
M3, inc. VPoE
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish)
【Speaker】
日本アイ・ビー・エム株式会社 カスタマーサクセス部長
戸倉 彩さん(@ayatokura)
【Speaker】
Cake.jp CTO
新多真琴(あらたま)さん(@ar_tama)
【今回の相談】
新卒入社4年目のエンジニアです。現在Webサービスの開発を担当しているのですが、企画担当者と話していると、こちらの意図が伝わっていないような気がして不安になるシーンが多いです。非エンジニアとのコミュニケーションのコツを教えてください。
コミュニケーションの第一歩は、相手を理解すること
河合:あらたまさんは、仕事で非エンジニアとコミュニケーションを取る機会は多いですか?
あらたま:そうですね。いろんな方との接点があります。ただ、エンジニア・非エンジニアに関係なく、コミュニケーションに大切なのは翻訳力だと思うんですよね。自分が使っている語彙を、相手が同じように使っているかどうかは分かりませんから。
私はもちもちした食べ物が大好きな人が集う「日本もちもち協会」という団体を運営しているのですが、「もちもち」という食感ですら人によって捉え方が違うんです。
なので、コミュニケーションは「この言葉は相手にどういう風に受け取られているのか」を知るところから始まります。初歩的なことではありますが、そういうことが大事なのではないでしょうか。
河合:言葉の定義から認識を合わせていくのですね。
あらたま:「相手が何を大事にしているのか」とか、「彼らが何を目的にこの話をしているのか」ということを知る材料になると思いますよ。
加えて、相手が求めている情報や自分が理解してほしい情報がどうやったら伝わるのか、その引き出しも増えるはずです。そうやって、少しずつ理解し合える範囲を広げていくことを意識しています。
河合:相手を理解する上で「少しずつ範囲を広げる」ってすごく大事なワードですよね。いきなり広げすぎてもなかなかうまくいかなかったりしますし。
戸倉さんはさまざまな職種の方とお話をしている印象がありますが、非エンジニアとのコミュニケーションについてどう思いますか?
戸倉:前提として、この相談者さんが感じている「伝わっていないような気がする」というのが気のせいという可能性もありますよね。会話が足りていないことによって「伝えたいことが伝わっていないかもしれない」という感情が生まれている可能性があります。
会話をする時やさまざまな立場の人たちと一つのことをやっていこうとする時は、お互いがどういうことを成し遂げたいのか、合意形成を言語化することが大切です。
社内でも部門によって専門用語や使っている略語が違うこともあるので、一つ一つの言葉に注意しながらコミュニケーションを取っていく。その上で確信を持って「伝わっていない」と感じたなら、そこを補っていけば良いと思います。
あとは、直接相手に聞いてみても良いと思いますよ。私が過去にサポートエンジニアをしていた時は、相手がテクニカルに強い方ばかりではなかったので、「こうお伝えしましたが、どんな風に受けとめられましたか?」と丁寧に進めていました。
相手が社内の人だと「なんとなく分かるよね」と思ってしまうことがありますが、そういった固定観念を取り払って、相手がどこまで理解できているのか、何の情報が不足しているのか、あるいはこちら側が理解できていない部分は何なのかというところを探ってみる。自分が不安に感じているということは、相手も同じ気持ちになっている可能性があるので、そこは会話で解決すれば良いと思います。
河合:そういう意味だと、「不安になる」って大事ですよね。不安にならないで進めてしまうことのほうが怖いじゃないですか。
入社4年目で「意図が相手に伝わっていないかも」と気付けているのはすごく良いこと。コミュニケーションや言葉遣いなどでまだまだ改善できるような気がします。
戸倉:その不安はスルーしちゃいけないところですよね。
あらたま:逆に「あいつは分かっとらん」みたいになってしまうと、それはそれでこじれちゃったりするのが難しいところですよね。
河合:「とりあえず大丈夫でしょ」と進めてしまうのも良くないし、「あいつは分かっとらん」と相手を否定してしまうのも良くないですよね。
「相手もこの企画やプロジェクトを成功させたくて、エンジニアの言っていることを理解したいと思っているはず」という意識をこちら側が持つのも大事なことだと思います。
あらたま:最近、PdMの方に「何をどこまで決めてからエンジニアに渡したら良いのか、線引きに悩む」と相談されたのですが、「それをそのまま相手に伝えてみなよ」と話したことを思い出しました。
河合:そうですよね。同じプロジェクトを一緒にやりたいと思っているからこそ、それぞれの立ち位置を自己開示したほうが良いっていうのはよくある話な気がします。
河合:戸倉さんは、社内と社外でコミュニケーションの取り方に違いはありますか?
戸倉:もちろんあります。やはり社内の方が相手だと共有できる情報が多いですよね。社内で浸透している略語を使ったり、技術系のドキュメントなどを共有しながら会話を進めることができます。場合によっては「本社の開発メンバーの方を巻き込む」という技を使うこともできますし。
一方で社外の方が相手だと、専門用語、特にIBM用語と呼ばれる社内独自で使用している言葉は使えません。後で「IBMの人はこう言っていた」と言葉が一人歩きしてしまうことがないように気を付けながら言葉を選んでいます。
あとは、コミュニケーションを取る時間帯にも気を付けています。エンジニア同士だと、Slackなどのソーシャルメディアを使って夜の時間帯でもコミュニケーションを取り合うことがウエルカムな文化がありますよね。そうではない方が相手の場合、業務時間外に連絡をすると「こんな遅い時間まで働かされているのかな」と妄想させてしまったり、「すぐに返信しなければならない緊急なことなのかな」と思わせてしまったりする可能性があります。会話の内容とは別の何かを与えてしまわないように気を付けたいですね。
そのためにも、事前に「連絡が取りやすい時間帯はありますか?」と聞いたり、相手が使っているツールに合わせて連絡をしたりと、社内の方とコミュニケーションを取る時よりももっと丁寧に、相手の立場に立ってコミュニケーションを取るように想像力を働かせています。
河合:ちょっとしたことでこちらの意図とは違ったものを与えてしまいかねないですもんね。相手に不安を与えないように、情報を制限したり、情報の与え方を工夫するのは大事なポイントだと思います。
戸倉:エンジニア界隈では普通だと思っていても、異なる職種の人にとっては「分からないけど、この会話の流れでは質問しづらい……」と感じていることがあるかもしれない。なので、会話しやすい雰囲気作りも大切です。
「今の話の中で分からない単語などはありませんでしたか?」と、ちょっとした声掛けをすることで、相手に意図が伝わっているかどうか確認しやすくなると思います。
あらたま:言ったことや言われたことって、意外と後を引いたりしますからね。丁寧にコミュニケーションを取らないといけないなと思います。
河合:少し変えるだけで、コミュニケーションはどんどん良くなっていきそうですね。
あらたま:この相談者さんが1年後に企画の担当者さんたちから慕われている未来が見えますね。
河合:人同士の話なので、ちょっとしたアイスブレイクがきっかけですごく仲良くなることもありますから。仲良くなれば相手が大事にしていることも次第に分かってきて、ニュアンスも理解しやすくなってくると思うので、時間を掛けて進めていくといいのかなと思います。
次回は「希望と異なるポジションを打診された……」という相談に回答していきます。お楽しみに!
6月25日(日)『聴くエンジニアtype』公開収録を赤坂で開催!
ポッドキャストチャンネル『聴くエンジニアtype』初の公開収録を東京赤坂の会場で開催します。MCのばんくしさんをはじめ、澤 円さん、池澤あやかさん、小城 久美子さん、増井 雄一郎さんが、エンジニアから寄せられた仕事・転職・キャリアの悩みに回答。収録後には懇親会や、書籍サイン会も開催予定です!
※公開収録はエンジニアtype主催のテックキャリアカンファレンス『ECDW2023』の中のコンテンツとして開催いたします
【開催場所】
〒107-0052 東京都港区赤坂2-5-1 S-GATE赤坂山王ビル 5階
株式会社キャリアデザインセンター 赤坂山王オフィス
【参加費】
無料
※懇親会は15:30~30分程度の予定です
※懇親会への参加は自由です
【定員】
60名(先着)
【エントリー方法】
以下より詳細をご確認の上、エントリーフォームより必要事項をご記入の上エントリーください。
文/赤池沙希
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