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AIがクリエイターになり得る時代に「自分のスキル」の生かし方を考えてみる【連載:澤円】

働き方

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株式会社圓窓 代表取締役
澤 円(@madoka510)

立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)/『未来を創るプレゼン 最高の「表現力」と「伝え方」 』(プレジデント社) Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

皆さんこんにちは、澤です。

ボクはテクノロジーがらみの同じ質問を、数えきれないくらい何度も受けたことがあります。

それは「AIは仕事を奪うのですか?」という質問です。

AIによってさまざまな仕事が簡略化され、AIを搭載したロボットは人間ではなしえない作業量を楽々とこなしてくれています。

もともとAIというのは人間を助けるために開発されているわけで、人間を不幸に陥れるために存在しているわけではありません。

しかしながら、あまりにも急速に発展していることや、非エンジニアの人たちからすると「何がどうなっているのかさっぱりわからない」というのが正直な感想でしょうから、恐怖にも似た感情を持つのは、致し方がない部分もあります。

そんな人たちに対して、堀江貴文さんはあるインタビューで「AIに仕事を奪われるとか嘆くのはダサい」と一刀両断しています。さすがや(笑)

でも、ボクもこの意見に結構賛成だったりします。

奪われると考えるより、便利になる、簡単になる、楽になると考える方が、ずっと健全だと思うんですよね。

それを「怖いもの」と思って遠ざけてしまうのは、ちょっともったいないかなと思います。

なので、ボクは「まずはちょっと体験してみる」という考え方が必要だよな、と常々考えています。

エンジニアの人たちは、その知識と経験を活かし、AIに恐れを持っている人たちに対して「ちょっとしたチャンス」を提供する役割を担うことで、テクノロジーと人間との橋渡し役を担うことができます。

この考え方は、あらゆる分野でエンジニアが活躍できる可能性を大きくしてくれると思います。

AI×クリエイティブの進歩

さて、ボクは友人でありサンフランシスコでデザイン会社を経営しているBrandon Hillさんから「人間にしかできないこと」として以下の三つがあると教えてもらいました。

・クリエイティブであること
・起業家精神を持つこと
・リーダーシップを発揮すること

確かにそうだよな! とボクはこの考え方に深く賛同しました。

しかしながら、最近は人間顔負けの文章をAIが書いたり、素晴らしい絵を描くAIが登場したりしています。

また、そのAIの機能は誰でも手軽に利用できるようになってきています。

Midjourney」などはその典型で、多くの方々が試してみたのではないでしょうか。

キーワードを入れるだけで簡単に高解像度の画像を生成してくれるこのサービス、AIの進歩を体感するには最高のWebサービスの一つと言えるでしょう。

その一方で「クリエイターの仕事を奪っている」という意見も少なくありません。

実際、コンテストでAIが描いた絵がトップになってしまい、大騒ぎになったこともあるようです。

クリエイティビティもAIに奪われるのでは?」と危惧する方もいるかもしれませんね。

新たな技術が登場したって、過去の体験は無駄にならない

とはいえ、「価値のある絵」というものの定義が変わったのは、過去にもあるようです。

ボクのかみさんは美術大学出身で、ボクにアートの歴史などをあれこれ教えてくれます。

昔の貴族や富裕層は、自分の姿を肖像画として画家に描いてもらっていたようですが、写真の発明によってその仕事は失われることになりました。

しかしながら、冒険心のある画家たちは、「室内で絵を描くのではなく、外に出て自然光のもとで絵を描く」というチャレンジをするようになったようです。

その活動を後押ししてくれたのが、チューブ入りの絵具だったとか。

というのも、それまでの絵具はパレットの上で顔料と油を混ぜてから使っていたのですが、屋外ではすぐに乾いてしまうという問題があったのです。

それを、チューブ入りの絵具は解決してくれたので、画家たちは活動の場を大きく広げることができたというわけです。

かの有名な印象派のルノワールさんは「チューブ入りの絵具が発明されなかったら、印象派は生まれなかった」という言葉を残しています。

ちなみに、有名な画家たちは弟子たちに、自分が使う分の絵具を調合してもらっていたそうです。

となると、その弟子たちも仕事なくなっちゃったわけですね。どうしたのでしょう?

調べてみると、どうやら絵具職人として絵具の調合を生業にするようになった人もいたようです。

さらに、チューブも豚の膀胱から真鍮やガラスのシリンジ、そして今でも現役のアルミのチューブなどへと変遷を遂げていきます。

絵具職人のなかには、チューブ製造などにかかわっていた人もいたことでしょう。
(この辺りはちょっと調べただけなので、興味のある方は深く学んでも面白いかもしれませんね)

画家のありようや絵具職人の仕事の変化は、「何か革新的な技術の誕生は、過去の経験を別の場所で生かすきっかけになる」と言えるでしょう。

同じ仕事をずっと続けることができない世の中になってきているのは、エンジニアtypeの読者の方々ならきっと理解していますよね。

でも、過去の体験は無駄にはならないはずです。

その生かし方を考えていくのは、まさにキャリアを考えること。

変化に戸惑うことがあるのは仕方ないですが、それでも時間は進んでいきます。

前進あるのみですね。


澤円
▼澤円氏 最新書籍『「やめる」という選択』(日経BP)

自分に嘘をつかない、
無理はしない。
だから、可能性が広がっていく。

マイクロソフトを卒業して、
自分らしく生きる僕が大事にしていること

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