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採用では技術スキル以外に何を見る? 組織に合うエンジニアを見極めるコツ【聴くエンジニアtype Vol.29】
技術力がモノを言うエンジニア。とはいえ、「スキルさえあれば誰でもOK」かといえばそうとも言い切れない……というのが採用する企業の本音だろう。
では、技術以外に何を重視すべきなのだろうか。今回はエンジニア採用の悩みに、ばんくしことエムスリーのVPoE・河合俊典さん、戸倉彩さんとCake.jpの新多真琴(あらたま)さんが回答する。
【MC】
M3, inc. VPoE
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish)
【Speaker】
日本アイ・ビー・エム株式会社 カスタマーサクセス部長
戸倉 彩さん(@ayatokura)
【Speaker】
Cake.jp CTO
新多真琴(あらたま)さん(@ar_tama)
【今回の相談】
今年度からEMになってエンジニアの採用に関わるようになりましたが、技術スキル以外をどう評価すればよいのかイマイチ自信がありません。みなさんはエンジニアの採用では、技術スキルの他にどのようなポイントを重視していますか?
採用は一人ではできない。周りの視点や意見も参考にして
河合:これはさまざまな考え方がありそうな質問ですね。戸倉さんはいかがですか?
戸倉:どういうエンジニアを採用するのかによって見るべきポイントが変わってくるのではないかと思います。例えば製品開発やインフラなど自社の業務を行うエンジニアと、サポートエンジニアやセールスエンジニアのようにお客さまと接点を持ちながら業務を行うエンジニアでは大きく異なりますよね。
ただ、共通して言えるのは「チームワークができる人」。特定の業務だけを任せるためにスポットで採用されたケースでない限り、必要なスキルだと思います。
あとは、「学習意欲」があること。エンジニアの仕事は決まったことだけをやればいいわけではないですし、特に中途採用の場合は「1から10まで全部教えてください」というのは難しい。そもそも意欲がないと学習スピードはどんどん落ちてくるものなので、学習意欲は大切です。
そしてもう一つ、「体力」があること。一時期エンジニア界隈で「筋肉は全てを解決してくれる」という言葉がはやったのですが(笑)、健康の持続性とエンジニアのキャリアの持続性は直結していると思うんです。
必ずしもスポーツをやっていなければダメということではなくて、健康的かどうかという点ですね。ちゃんと眠れているか、などでいいので、採用時に答えていただける範囲で聞いてみても良いと思いますよ。
河合:身体的な体力もあれば、知的な体力もありますもんね。何かを考え続けるのも体力が必要だし、仕事をやり続けるにも体力を使いますから。
河合:あらたまさんは採用時にどんなことを重視していますか?
あらたま:私はハードスキルはあまり重視していないんです。気概さえあればいくらでもキャッチアップできる部分なので。
どちらかというと、今いるメンバーとシナジーを生む立ち回りをしてもらえそうかというところを見ています。その立ち回りがバリューやカルチャーにマッチしているかどうかも大切です。
なので一緒に働くことになるメンバーとも候補者の方と話してもらって、感想を聞くようにしています。小さな違和感でもそれが後になって響いてきたりするので「みんなで見逃さないようにしようね」、と。
具体例を挙げると、「土壇場で何を大事にするか」といった部分を見るようにしています。余裕がない時って、素が出るじゃないですか。その時に保身に走ってしまう方だと、インシデントが起きたときに隠してしまうかもしれない。逆に勢いよく「ごめんなさい!」と言える人なら、気持ち良くお仕事ができそうです。もちろん体制作りによってカバーできる部分もあるとは思いますけどね。
河合:「技術力より気概やシナジーを生み出す人が良い」とはっきり言えるのはすごいですね。
お二人とも技術・スキルよりも別のものを重視されていますが、私もそう思っています。と言うのも、エムスリーにはエンジニアの中にも別職種出身の人が結構いるんです。でも「自分で動ける人であればOK」ということで採用するケースが多いんですよね。
ただ、この相談者さんはEMになってまだ数カ月なので、そこに気付くのは難しいかもしれません。お二人は「こういう所を見れば後に活躍するだろう」というのが分かってきた頃のエピソードってあります?
あらたま:「実際に痛い目を見てみて理解した」というエピソードは聞いたことがあります。
Webの事業会社では、エンジニアは会社をドライブさせていく重要なポジション。そのエンジニアの採用の基準を「技術力」に全振りしてしまった結果、事業としての価値が生み出されなくなってしまったことがあったそうで。いわゆるブリリアントジャーク(※)ですね。
(※)有能ではあるが人間性に問題がある人物
河合:人間、どうしても「痛い目を見たくない」という気持ちが生まれてしまいがちですけどね。
あらたま:先輩たちにこれまでのうまくいった話やうまくいかなかった話を聞けたら良いですよね。
河合:この相談に具体的に答えづらいのは、会社によって求めている人が違うからなんですよね。「どういうエンジニアが必要か」というところを先輩や役員、CTO・COOと話してちゃんと定めるところから始めた方が良いような気がします。
あらたま:それを自分の言葉で説明できるようになって腹落ちできている状態なら、それを満たすために見るべきポイントがシャープになっていくかもしれないですね。
戸倉:いろんな会社のエンジニア求人を見てみるとヒントが得られるのではないでしょうか。技術力以外のソフトスキルについても書いてありますし、表現の仕方もすごく参考になると思います。
マネジャーになったばかりの時って、さまざまなことを「全部一人で頑張らなきゃ」という感覚になると思うのですが、使えるリソースは使った方が良いです。
採用は人と企業のマッチングという答えがないテーマなので、いろいろ試してみる必要もあるのかなと思います。
河合:たくさんの事例を知らないといけないというのはその通りな気がします。ネット検索すれば情報は出てくると思うので、なるべく多くの事例を知って、その中で自分の会社に合うものを見つけていく。採用プロセスのPDCAですね。
あらたま:ただ、採用のリアルな話ってなかなか外に出ない分野でもありますよね。そういう背景もあって、最近EM向けのミートアップを始めてみました。「EMゆるミートアップ」といいます。
河合:じゃあそこに参加するしかないな。
あらたま:お待ちしてます(笑)
河合:そういうところで他社の事例を知るのって大事ですよね。
あらたま:インターネットに出す情報って、気を遣うじゃないですか。特に採用はその候補者の方との関係性や会社としての方針もある。なかなかセンシティブな話題なので、あえてクローズドな場にすることで安心して相談する・されることができる環境を作りました。
河合:採用については、お二人とも「一人でやらない」ということをキーワードにしているのですね。採用って答えがない話なので、「一人では候補者を評価できない」という意識を持つことが重要な気がします。
私からは、『人を選ぶ技術』という本を読むことをおすすめします。「どういう人を選ぶか」というナレッジが構造化されて書いてあるので分かりやすいと思いますよ。
また、前職では採用検討会を実施していました。CTOも含めて、その候補者と面接した人が全員集まって「この人を本当に採用しても良いのか」というのを検討する会です。「時間が取られるので大変」という声が上がりつつも、面接のクオリティーが上がっていったんですよね。
自分の考えが合っているかどうか、さまざまな人と話してみることが大事だと強く感じました。
次回は「エンジニアの志望度を上げる方法」について回答していきます。お楽しみに!
文/赤池沙希
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