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キーワードは「他者比較」と「疑似体験」。エンジニアとしての成長のためにしていることは?/ばんくし【聴くエンジニアtype Vol.36】

働き方

エンジニアtypeが運営する音声コンテンツ『聴くエンジニアtype』の内容を書き起こし! さまざまな領域で活躍するエンジニアやCTO、テクノロジーに関わる人々へのインタビューを通じて、エンジニアとして成長していくための秘訣を探っていきます。
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ある程度の経験とキャリアを重ねると、「自己成長」は少しずつ感じづらく、難しくなっていく。そこで停止せずに成長を続けていくためにはどうすればよいのだろうか?

前回に引き続きばんくしさんが話し手となり、自己成長のために努力していることを聞いた。

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【ゲスト】
エムスリー株式会社 VPoE
河合俊典(ばんくし)さん(@vaaaaanquish

Sansan株式会社、Yahoo! JAPAN、エムスリー株式会社の機械学習エンジニア、チームリーダーの経験を経てCADDiにジョイン。AI LabにてTech Leadとしてチーム立ち上げ、マネジメント、MLOpsやチームの環境整備、プロダクト開発を行う。2023年5月よりエムスリー株式会社3代目VPoEに就任。業務の傍ら、趣味開発チームBolder’sの企画、運営、開発者としての参加や、XGBoostやLightGBMなど機械学習関連OSSのRust wrapperメンテナ等の活動を行っている

「失敗する力」が大きなインパクトを生む

ーー前回はエンジニア人生の中で一番成長した瞬間を聞きましたが、今も成長のためにしていることはありますか?

「他者との比較」は今も常にしていますね。

私が尊敬しているエムスリーのCTO・山崎(聡)をはじめ、他社のCTOやVPoEにできていて自分ができていないことをリストアップしたり、逆に自分の得意な部分を伸ばすためにはどうしたらいいかを考えたりしています。

ーーばんくしさんが他者と比較した結果、「自分には足りていないかも」と感じたのはどんな点ですか?

同じサービスやプロダクトに10年以上携わって酸いも甘いも経験している人と比べると、私にはプロダクトを長く続けるうえでのノウハウが足りていないと感じます。

技術的な面で言うと、ブラウザ経由のWebアプリは作ったことはあるんですが、いわゆるスマートフォンのアプリケーションってそれほど作ったことがないんですよ。触ったことがない言語がまだまだ多いので、基礎だけでも知っておかないとと思っています。

私はよく「エンジニアが幸せになるには?」と考えているのですが、その上で他者との共通言語になり得るソフトウェアやプログラミングについて話せないのは致命的だと思っているので、少しずつその技術の穴を埋めていく作業をしているところです。

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また、人と比べる中で「失敗する力がある人」に憧れるなと思うようになりました。

例えばチームや組織を作るときや、技術の意志決定をするときって「失敗するわけにいかない」という感情が働くじゃないですか。私の周りにはその部分のネジを外せる人が何人かいて、その人たちは全員モチベーションが高い。よって、ビジネスインパクトの大きな仕事ができているんです。

中にはそういう人に苦労させられている人もいるかもしれないですが(笑)、失敗に対する恐怖感を一瞬でもいいからゼロにできる力はとても魅力的です。

“疑似体験”でマネジメント力を磨く

ーー他にも、成長のためにしていることはありますか?

「擬似体験」を重要視しています。と言うのも、これまでは情報のインプットと手を動かすことを繰り返すスタイルが自分に合っていたのですが、最近は実際に手を動かすのが難しいシーンも増えていて。私はマネジメントでは失敗するわけにいかないと思ってしまうタイプなので、「試しにやってみる」ということが難しいんです。

なので最近は山崎と1on1をしたり、他の組織や社内のマネージャーと話したりして、自分がインプットした知識やコミュニケーション方法を試させてもらっています。「マネジメント」の疑似体験ですね。

ーーそういった周囲のエンジニアとはどんな話をするんですか?

シンプルに、そのエンジニアの悩みを聞くんです。

例えば「最近こういう意志決定をしたんだけど、間違っているような気がする」とか「中長期のキャリアについて」とか。

その悩みに対して、私が「その人が考えを深められるような結果に導けたか」、「その人や悩みにふさわしいコミュニケーションやアドバイスができたか」を後からフィードバックしてもらいます。

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相手のことを理解して、適切なコミュニケーションを取る力を鍛えるのって、実際に人が目の前にいないとできないじゃないですか。なので知人を通じてその悩みからどう脱却していくかを一緒に考える工程を疑似体験する……という感じですね。

ーーなるほど。その疑似体験を通して相手を理解し、「伴走する力」をトレーニングしているのですね。

そうです。やっぱり「幸せ」って人によるので、マネジメント層は「その人にとっての幸せとは?」を探る力を向上させることが大切なんですよね。

インプットとアウトプットはツールで徹底管理

ーー自分に足りないものを習得するために、どうやって時間を振り分けているんですか?

日々タスクをこなす上で、ゴールや目的に対して作業に充てる時間を調整している方は多いと思うのですが、私も同じやり方をしています。

私には「エンジニアリングに関わっている人たちが幸せになり、大きなインパクトが出せる形をつくりたい」「娘が大きくなったときに幸せな世界にしたい」という目標があるんですけど、そのゴールから逆算して日々研鑽しています。「こういう効果を生みたいから、今この勉強をする」みたいな。

もちろん間違えることもあるんですが、ちゃんとゴールが決まっていて、逆算できていれば後から調整することもできます。

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ーー時間の割り振りが合っているかどうか、振り返る作業もしているんですか?

週1回程度でやっていますね。本を読んだ時間とかもGoogleカレンダーに全部入力して後から見られるようにしてます。

ーー「インプットすること」と「手を動かすこと」をセットで繰り返すことが自分の成長に効果的だということがわかっているからこそ、ちゃんと可視化しているんですね。

もちろんタイミングによってはどちらかに時間を割きすぎてしまうこともありますけどね。

本を読んだ後はMiroとかGoogleドキュメントとかを使って整理するようにしているのですが、あまりうまく整理できていないと感じるときは手を動かすことが足りていないケースが多いです。

逆に手を動かしてアウトプットしたものの出来が良くないときは、インプットが足りていない。両者のバランスは大切にしていますね。

次回もゲストにばんくしさんをお迎えし、お話を伺います。お楽しみに!

文/赤池沙希

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