株式会社ワールドインテック
テクノ事業部 テクノ中日本グループ
グループ長 西川朋雄さん
2013年に営業としてワールドインテックに入社。大阪や名古屋など各地の営業所長を経て、中日本グループ長に就任
【PR】 働き方
アウトソーシング事業を通じて、日本のものづくりを支援する株式会社ワールドインテック。高度なスキルを持ったエンジニアの需要が増加し、採用競争が日々加速する製造業界において、年間約900名のエンジニアの採用に成功している。
「ただ、いくら採用人数を確保できても育成しきれずに退職されてしてしまうと結局人材不足に悩まされてしまうでしょう」と課題感を語るのは同社のグループ長 西川朋雄さんだ。
年間を通じて多くの人材を採用しているからこそ、エンジニアの育成と定着を向上させる工夫が欠かせない。その一手として西川さんがプロジェクトリーダーとなり生み出したのが、職種ごとのスキルの習熟度を記載した『エンジニアカルテ』だ。
エンジニアカルテとは、どのような取り組みなのだろうか。そして、どのような効果があるのだろうか。エンジニアカルテ導入のプロジェクトリーダーを務めた西川さんに話を聞いた。
株式会社ワールドインテック
テクノ事業部 テクノ中日本グループ
グループ長 西川朋雄さん
2013年に営業としてワールドインテックに入社。大阪や名古屋など各地の営業所長を経て、中日本グループ長に就任
ーーITエンジニア人材不足が叫ばれる中、入社したエンジニアの「育成や定着」を工夫することで人材不足の課題に向き合っているそうですね。その一手に2023年4月から本格運用を開始したエンジニアカルテがあると伺いました。エンジニアカルテとは、どのようなものなのでしょうか。
エンジニアカルテは、そのエンジニアがどんな技術・技能を、どのくらいの習熟度で保有しているのか、レーダーチャート化したスキルプロフィールです。
例えば、機械分野であれば機械工学基礎、材料、設計・製図、加工、機械要素、計測制御と細かい技術や知識が問われます。エンジニアカルテでは、それらの各知識をどの程度理解しているのかが数値で示される作りになっています。
ーースキルの習熟度はどのように算出しているのでしょうか。
各スキルの数値は、自己申告による習熟度レベルの数値と、第三者機関のテストを受けた結果の数値を反映。レーダーチャートでは、以下の四つの数値がグラフとして可視化されます。
●自己申告の結果
●第三者機関のテスト結果
●第三者機関のテスト受講者の平均値
●事業部の平均値
四つの数値がレーダーチャートとして出力されるため、自己評価と客観的評価、業界や自社における自身のスキルのギャップを視覚的に把握することが可能です。
こうしてスキルが可視化されると、キャリア形成についてエンジニア自身だけでなく、その上司や育成担当、時にはクライアントも一緒になって考えやすくなる。そんな関係性を構築する一助にもなっています。
また、一度カルテ化したら終わりではありません。スキルの伸び方を確認するために、1年に1回テストを実施。1年間でどの程度成長したのかエンジニアと人事の双方で確認していく運用です。
そのデータが蓄積されていくとエンジニア本人が成長実感を得られるばかりでなく、組織として参照できる育成やキャリア構築に関する事例が増えていく。「入社当初はこのくらいのスキルしかなかったエンジニアが、何をどのくらい学ぶことで数年後にこんなプロジェクトで活躍できている」というように。キャリアを築く上でのモデルケースも同時並行で溜まっていきます。
ーー組織としてもロールモデルのデータが溜められるのでメリットが大きい仕組みですね。エンジニアカルテを導入しようと思った理由は何だったのでしょうか?
大きな背景はやはり、エンジニア不足が深刻化していく中で、せっかく入社してくれたエンジニアをどのように育成・定着させていくかという課題にも打ち手を講じる必要があったことです。
特に製造業のエンジニア需要は非常に高く、ワールドインテックも採用に苦戦する状況が続いています。また、産業が多様化した現代の社会情勢を考えると、今後もエンジニアの採用競争は続くでしょう。
例えば、当社の大きな取引先の一つである自動車業界では、電動化に関するモーターやバッテリーなどの技術開発が活発です。日本政府は30年代にガソリン車の販売を禁止すると打ち出しているため、今後も電動化の市場は拡大していくと予想されます。ただ、電機系のエンジニアは数十年前から不足し続けているんです。そのため、拡大する市場に対して、ますます電機系のエンジニアは不足します。同じような問題が電機系だけではなく、他の業種・職種でも起こっていくでしょう。
また、こうした時代背景のほかにもう一つ、エンジニアカルテを導入した要因として社内事情もありました。
ーーどのような社内事情だったのでしょうか?
16年以前の当社は中途入社者の入れ替わりが激しかったことから、社員を育成する制度は今ほど整っていませんでした。
しかし、入社したとしても育成しきれずに退職してしまえば、いつまでも人材不足が解消できない。社員を継続的に育成・成長させる仕組みがなければ事業も成長していきません。
それまでも専用の研修施設を作ったり、OJT制度を整えたりはしていたのですが、お恥ずかしい話、ここ数年で「エンジニアとしての自信をなくした」という理由で退職する者が増えてきたんです。
ーーそれは喫緊の問題ですね。
エンジニアにいろいろヒアリングしていくと、ワールドインテックの事業形態に関係がありました。というのも、ワールドインテックのエンジニアはお客さまの職場に常駐します。基本的には、1人もしくは少数の先輩達と業務に取り組むんですよね。
ただ、お客さまの職場で仕事に取り組んでいると、どうしても自分の立ち位置が分かりにくくなります。どのようなスキルを身に付けられているのか、この方向性でキャリアを積んで間違いがないのか。エンジニアが不安になる要素は少なくありません。
これらの不安を解消する方策を立てる必要があると思い、スキルと習熟度をグラフで表すエンジニアカルテの発想につながりました。
ーーエンジニアカルテは、同僚や先輩の少ない職場でも安心してキャリアを積んでいくために作られたのですね。実際に導入するにあたって大変だったことも教えてください。
計1500人いるエンジニア全員に第三者機関のテストを受けてもらい、一人一人のカルテをイチから用意することが大変でしたね。それは単に「数が多い」からではありません。忙しい業務の合間を縫ってまで、なぜテストを受ける必要があるのか。出来上がるカルテにどんなメリットがあるのかを説明し、納得感を持ってもらうことに対してです。
本格導入は23年4月からでしたが、1年以上前からトライアル導入をスタートさせ、数十名単位に分けて説明会を実施。少しずつ社内の理解を深めていきました。
また、カルテは現状7種類の職種に分かれているのですが、在籍するエンジニアを7種類に分類することも一筋縄ではいきませんでした。エンジニアの職種を細分化すれば、本来は数十種類にも及びます。ただ、種類を増やしすぎると運用面で、エンジニア自身も評価する上司も混乱してしまう。そのため、できるだけ少ない数にまとめる必要がありました。それはスキルも同様で、どのスキルをカルテに反映させるべきか、検討には時間と労力を要しました。
ーーどのように解決していったのでしょうか。
現場のエンジニアと密にコミュニケーションを取り、意識のすり合わせをしていきました。具体的には、2週間に1回は話し合う場を設け、「ここはあえて職種を増やさず、面談でのすり合わせを密に行うことで意識統一をしよう」などと協議を重ねました。
制度を本格導入したあとも日々改善点があがっているので、現在進行形でアップデートを行っています。ただ、内容を変えすぎると、今度は過去のデータとの比較ができなくなるので、変えすぎないように注意しながら運用させるのも難しいところですね。
ーー社内でのエンジニアカルテの評価はいかがでしょうか。
カルテでは、第三者機関のテストを受験した全国の人の平均値や当社のテクノ事業部の平均値とも比較できるので、特に20代でキャリアの浅いエンジニアからは「同期より数値が低いから頑張らなくちゃ」、「メーカー勤務のエンジニアと比べて技術は高いかも」というのが見える化されてモチベーションが上がるという声が聞こえてきています。
また、本人だけでなく、周りの管理職や教育担当となるリーダーからも「グラフ化されていて分かりやすい」「事業部平均と比較できるのでキャリアへの具体的なアドバイスがしやすくなった」と好評です。
例えば「AIエンジニアになりたい」という希望があった場合。ワールドインテックの方針としては極力社員の希望はかなえる方向で動くのですが、AI領域に全く知見がないエンジニアに「はい、どうぞ」と任せるわけにはいきません。エンジニア自身、意欲はあれど何をどうすれば憧れの仕事に就けるか検討がつかないでしょう。
そんな時にもカルテが役立ちます。その職種に必要なスキルが記載されているので、AIエンジニアには機械学習やデータサイエンス知識などが求められることがカルテを見れば分かる。エンジニア個人が自分の希望するプロジェクトやポジションと照らし合わせながら、何をどのくらい習得すればいいのか明確に把握できるんです。
アドバイスをする側も、エンジニアカルテを見せながら、「AI関係の職種に就くなら、ここから1年はこんなスキルを身に付けたらいいね」とフィードバックしながらキャリアの歩み方を建設的に話し合えます。
こうした取り組みのおかげもあり、ここ1年の定着率は90%台です。この数値をもっと改善していきたいと思っています。
ーー今後、エンジニアカルテはどのようなアップデートを予定していますか?
技術トレンドは、今はホットでも1年後には重要でなくなっていたり、新しいトレンドが生まれたりするので、常に最新版となるように改善を重ねていきたいです。
実用的な運用を行い、継続的にエンジニアを育成・成長させながら事業も拡大したいのはもちろん、製造業で活躍するエンジニアを増やしていけるとうれしいですね。
>>>ワールドインテック テクノ事業本部の中途採用情報はこちら
文/中たんぺい 編集/玉城智子(編集部)
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